2025年06月21日

第3699夜:本州に一番近い市場商店街【門司港(北九州)】

 第3回プラザ祇園貸店舗ツアー。本州に一番近く、九州最北端(たぶん)の市場商店街「プラザ祇園」への出店を検討する頼もしき猛者たちが門司港エリアだけでなく北九州市内全域から集結。時は11月中旬の土曜日。北九州市内のあらゆる各所でイベントが開催されていた。

 かなり地味なイベントだが5人申込があり、2人キャンセルしたので参加は3人。多い少ないではない。参加者の熱意と気合と渇望が重要である。参加者が50人でも誰も出店しなければ成功と言えない。3人でも2人が出店すれば大成功である。1人でも大成功だ。

 参加者よりオブザーバーや事務局、市場組合員の方が多い。圧迫でなく、新規出店者への分厚いサポート体制のアピールである。

 第1部は私の創業&出店漫談、第2部が貸店舗ツアー、第3部が意見交換と支援施策説明。コロナ禍から飲食店希望者の比率は減ったが、ハンドメイド系、美容、介護、スクール系などは勢いが衰えない。3人ともぜひプラザ祇園で夢を叶え、人気店になってねと切に願う。

 終了後、私はいったん神戸に戻る。4日後、再び北九州入りする。神戸に戻ってからの自宅晩酌の肴をプラザ祇園で仕入れる。

 H村理事長の<魚菊>で酢牡蠣、もずく、烏賊煮付。酢牡蠣が新鮮でプリップリ。もずくはポン酢しょうゆをぶっかけてズルルルル。健康になった気がする。烏賊煮付は味が濃く加減も絶妙。日本酒が鬼のピッチになった。

 T清前理事長の<丸新>では唐揚、コロッケ、エビフライ、ポテトサラダ、たまにしか販売されない窯で焼いたという焼豚。貸店舗ツアー事務局として献身した北Q州商工会議所M好氏のオススメが、この焼豚。二日後から長期出張が続くため、1本ではなくハーフブロックに。

 深秋の楽しみ「Kリン遠野産ホップ使用一番搾り」をグビビしながら丸新お惣菜を満喫。自宅にストックしていた甘くない第4のワイン「オレンジ」でヤる。どれも旨すぎる。

 焼豚は確かにすごかった。何もつけなくても良い。噛めば噛むほどに旨味が口にあふれ出す。溺れそうになる。半分を満喫し、残り半分は翌夜の楽しみに。

 この日の帰神前、M好氏の上司である商工会議所K本門司センター長に、門司港と下関の両方を一望できる関門海峡の展望台へご案内頂く。日本屈指の観光地・門司港にコロナ前年から通い始めて丸6年。こんな絶景を観たことなかった。

 壇ノ浦の合戦値が見える。『ゴルゴ』の神回の一つに、門司港から関門海峡を越えて下関の標的を狙撃するシーンがある。その場に立つと、その凄さが体感できる。

 門司港駅まで送って頂く途中、めったに降りない踏切バーにブロックされた。超駅レアの観光トロッコ列車が通過するという。そんな列車の存在、全く存じ上げなかった。

 トロッコが眼前を通過し始めた。運転席のK本氏と助手席のM好氏が手を振り始めた。トロッコ列車内の満席っぽい乗客の視界に入る全員が手を振り返してくれた。

 市場も商店街も観光地も、人との触れあい、出会い、掛け合いが大切である。そんな温もりを日々体感できる市場商店街の一つが、本州に一番近い「プラザ祇園」である。

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貸店舗ツアー。

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出店希望者と組合員との座談会。

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関門海峡。

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幻のトロッコ列車。

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幻の焼豚。

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精肉店の晩酌肴。

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鮮魚店の晩酌肴。

posted by machi at 07:22| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年06月20日

第3698夜:日活ロマン焼肉【小倉(北九州)】

 日活。昭和世代には様々な思い出が蘇り、ビジュアルが思い浮かぶことだろう。私は昭和生まれの昭和育ちだが、昭和49年生まれという、完全な昭和世代とも言い切れぬ微妙な世代。

 私が「日活」と聞いて思い浮かぶのは「ロマンポルノ」一択。しかし、観たことがない。

 私がモノゴコロが付き始めた頃に、ファミコンが世に出て、ビデオデッキが徐々に復旧し始めた。ゆえに、映画としてのロマンポルノでなく、ビデオとしてのロマンのないポルノ世代。

 ちなみに私、その時代から進歩せぬアナログオヤジのため、令和時代のサブスクに全くついていけない(アマプラの無料だけ)。

 ある秋の夜。北Q州商工会議所M渡アニキご一家と年1回恒例の焼肉祭。その前年は門司の超ド名店<太平楽>。今回、M渡氏が予約したのは、てっきり焼肉店が鶴橋なみに集積する古船場あたりかと思いきや、その先にある北九州モノレール香春口三萩野あたりという。

 夜7時半。上下作業着の焼肉スタイルで約1年ぶりに三萩野で下車。普段なら南下して黄金市場商店街に向かうのだが、今回は逆方向。ほのかに焼肉の狂おしい香りが漂ってきた。

 焼肉屋が見えた。かなり大型で新しい雰囲気。事前情報では昭和レトロな激シブと聞いていた。おかしいな、地図ではこのあたりなのだが…。

 巨大焼肉店の隣に路地があった。首を伸ばすと、ポツンと1軒の店から灯りが灯っている。近くの文字は見えぬ老眼だが、遠くはがっちりと見える…。<焼肉の日活>にたどり着いた。

 店内は土間と小上がりにテーブルが計4席。半分は埋まっている。残り半分は予約席だった。その予約席の1つにⅯ渡一家が勢ぞろい。1年ちょっとぶりである。私は氏の娘さん(高校2年生)の「おいちゃん」を自称している。成長っぷりに目を細める。

 生でガツンと乾杯。豪快で気持ちよいNオミ姐さん(M渡氏の奥様)と話すと元気が湧いてくる。牛タンが柔らかくて旨い。生が瞬殺で2杯眼前から滅失する。

 カルビ、ロース、どれも蕩ける旨さ。サンチュで巻くと笑みが漏れる。ハイボールに切り替えた。濃い目が嬉しい。

 驚かされたのが、タレ。ニンニクもコチュジャンも必要のない圧巻の完成度。辛すぎない、甘すぎない。タレだけでも売ってもらいたいぐらいである。

 赤ワインをボトルで。兄さん姐さん私の3人で軽く1本空ける。3年後には娘さんも吞めるようになれば1本で足りなくなるだろう。その日が楽しみでもある。

 圧巻はホルモン鍋。モンゴル軍の兜をひっくり返したような巨大鍋にたっぷりの野菜。カルビとホルモンを追加する。これも絶妙。そして、うどん2玉。玉子とじで味わう。箸が止まらない。昭和生まれのDNAが勃起する。

 大満足で店を出る。21時閉店ゆえ、まだ夜は長い。姐さんと娘さんは南(家路)へ。アニキと私は北(堺町)へ。日活ロマン焼肉の後は<ムーランルージュ>である。

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超絶に分かりにくい立地。

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チンチンに冷え冷え。

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最高のビジュアル。

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タンも旨し。

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ホルモンも鮮度良し。

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このタイプの焼台が好き。

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ホルモン鍋。

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〆はちゃんぽん麺。卵を投下。

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2軒目は当然にムーラン。

posted by machi at 05:56| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年06月19日

第3697夜:霜月の錦【京都(京都)】

 インバウンド。今更説明も何もないが、市場商店街も大都市に関してはたっぷりとインバウンドに浸っている。特に市場に関しては、大阪の黒門、京都の錦が2強でなかろうか。

 11月中旬なのに異様なまでに蒸し暑い夜。栃木県から京都河原町に直行した私は、18時ごろ錦市場を通って組合事務所へ向かう。

 昭和時代はいざ知らず、全国的に市場の閉店時間は早くなった。16時には店じまいを始める店が多数。特に地元客向けでない観光地では顕著。

 そのイメージを抱きつつ、初めて日がすっかり暮れた夜の錦市場へ足を運んだ。すべてシャッターが下り、閑散としているかと思いきや、目を剥いた。ギュウギュウで先が見通せない。

 観光客向けでない、プロ向けの店(卸)は閉まっているところもあったが、どの店も大活況。歳末のようである。度肝抜かれた。さすが錦、圧巻である。

 2024年度晩夏から錦市場を担当させて頂くようになり、深秋の11月に3回目となったミッションで最終回。私にとっての3部作完結編である。

 最終回は将来の錦を担う若手商業者の方々3名とたっぷりと濃密に2時間、ノンストップで意見交換させて頂いた。守秘義務があるのでここには内容を記せない。

 まさに、現場の声である。私も認識が足りていなかった。目からウロコどころでない。首ごと落ちそうになる。インバウンドの光と影のコントラストを思い知らされた。

 21時前に終了。河原町へ向かう途中、ビルの1階がシブい呑み屋ゾーンだった。

 かなりの緊張だった、400年以上の歴史と世界的知名度を有する錦市場ミッション3部作。とりあえず千秋楽を迎えた安堵感もあり、錦市場周辺で買物はしたが飲み食いは未経験ゆえ、シブイ老舗でイッパイやりたい。

 しかし、この夜は栃木県から直行し、荷物も多く重く疲労が色濃い。神戸の自宅まで2時間弱。翌日は北九州小倉である。

 河原町は始発駅。十三で乗り換えて三宮へ。そこからは地下鉄で自宅へ。河原町駅改札横のコンビニで「冬物語」を1缶購入。前回は「秋味」だった。季節の移り変わりを缶ビールで体感しつつ、カシュツとグビビビビ。

 十三駅で神戸線に乗り換えるのだが、改札を出てしまった。空腹に耐えられない。1缶だけの缶ビールが私の夜のスィッチを推した。

 呑み屋びっしり集積する西日本屈指の呑み屋街。私が向かったのは、お気に入りのチェーン居酒屋。ビール大瓶、熱燗2合、オヤジ好みの玉子サラダ、串カツ、厚揚、鯖塩焼…。お会計は2500円程度。京都の錦は私にとって手が届かぬ天上。私には十三が絶妙の浸透圧である。

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夜も大晦日の参道のごとき賑わい。

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冬の到来の風物詩。

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阪急十三駅東口のチェーンオアシス。

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オヤジ好みの玉子サラダと赤星。

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2種類の串カツ。

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肉味噌厚揚げ。

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鯖塩焼と熱燗。

posted by machi at 06:36| Comment(0) | 京都府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年06月13日

第3696夜:創業するなら佐野で【佐野(栃木)】

 <アルシオーネ・コート佐野>。北関東屈指の人気都市、佐野市の新都心、でなく最早「都心」かもしれない関東屈指のアウトレットモールに近接するウェディングガーデンである。

 秋が深まった平日の夜。このガーデンで「先輩創業者・創業塾OBによる座談会及び交流会」が開催された。

 佐野商工会議所が主催する創業塾、毎年大盛況である。私が佐野と御縁を頂くようになったのは令和4年度から。創業塾には十数名でなく数十名受講申し込みがある。受講料も創業塾の中ではかなり高額。それでも殺到する。近隣市の軽く56倍の盛況っぷりである。

 これまで10名近い創業塾OBから色々なお話をお聞きする機会があった。皆さん、口を揃えるのは「受講して本当に良かった」。特に受講生同士の交流が密であり、同窓会の雰囲気がある。実際に創業した際、同期の受講生同士のネットワークが大いに役立っているようである。

 しかし、コロナ禍において交流する機会を設けることができなかった年次OBたちがおられる。「創業するなら佐野で」をキャッチコピーとする佐野商工会議所は交流を求める熱い要望に即座に対応。同世代交流という「横串」だけでなく、世代を跨いだ「縦串」も突き刺した。

 た〜てのいとは〜♪。あの名曲の歌詞を創業塾でマトリックスする企画力と行動力。感服していると、その交流会の前半である創業者トークセッションの聴き手役を任された。

 市役所を(定年)退職後にイチからラーメン店を創業された女性、民間救命サービスという独特な分野を切り開いていた還暦越えの男性。そして、このウェディング場の支配人を兼ねながら様々なサイドビジネスを手広く広げている男性。

 私に与えられた時間は1時間。あっという間だった。聞き入ってしまい、時間を、進行を忘れてしまう。会場を埋め尽くした三十数名も感じ入ったようである。

 終了後は立食懇親会。恐らく来場者は100%自家用車。ゆえに飲み物はソフトドリンクだけ。会費は一人5000円。とんでもなく料理が豪華である。

 料理がどんどん追加される。むしろ5000円は安い。トークセッションの登壇者でもあった支配人が頑張って下さったのかもしれない。

 私はドリンクだけ口にして、料理には一切手を出さなかった。会費を払っていないためでもあるが、全集中ミッションを終えた直後はアドレナリンが駄々洩れで空腹感が1gも湧いてこない。日が沈むとアルコールと一緒でなければ固形物がノドに通らない。

 終了後、会議所の課長様に佐野駅まで送って頂く。1時間に1本の両毛線。小山の定宿に向かう列車は30分後。

 佐野駅前のコンビニが解体され新築工事中。駅前でアルコールを入手できないことは事前に知っていた。カバンからポケットバーボンを取り出し、誰もいないホームのベンチでグビリ。

 胃に火が灯った。ようやく食欲が湧いてきた。小山駅到着は22時半。さて、どうするか。

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豪華な会場。

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豪華な登壇者。

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豪華な料理。

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豪華な歓談。

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孤独なバーボン。

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2025年06月10日

第3695夜:路地裏のクマさん【佐野(栃木)】

 <喫茶.903(きっさ・どっと・くまさん)>。20247月最終日に佐野駅からほど近い二条通り付近で新規創業した喫茶店である。

 オーナーのM島氏は2022年度のアヅマプレゼンツ企画にご参加頂き、2023年には鹿沼チャレンジキッチンをご経験。そして2024年、創業を実現された。

 氏の創業から3カ月半を経過した秋の午後。午前中に栃木市役所でミッションを終えて両毛線で佐野へ。打合せ後、佐野市役所のご担当者たちと「くまさん」へ。7人目となる佐野創業者インタビューの聴き手を務めるためである。

 訪問前から謎が2つあった。一つは、立地。もう一つが店名。立地というか、路地裏どころか路地の奥の奥。佐野市民でもまず分からない一角である。一日の店頭通行量は20名も満たないだろう。駐車場の有無どころか、車も入れない。

 屋号のくまさんも謎だった。何故なら、私なら見た目そのまんまだが、オーナーのM島氏はクマのイメージから程通りスレンダーなナイスミドルだからである。

 食事を楽しまれているご年配の常連様の隣で、入れたての美味しい珈琲を味わいながらたっぷりとお話を伺う。

 SNS(インスタグラム)の活用方法から経営理念、名物「ナポリタンスパゲティ」誕生秘話、内装のこだわりなど多岐にわたるお話に、都度首肯する。

 立地に関すれば、よほど見事で戦略的な告知、そして店そのものの実力がなければ二の足を踏む場所である。目立つ目立たないというレベルでない。しかし、常連だけでなく新規客も着実に増えている。女子高校生も来店するという。

 「立地に関係なく勝負できることを証明したかった」。勝負師である。そして、オープンしてまだ3カ月ちょっとなのに見事に勝利。佐野市外どころか千葉からの来店するそうだ。

 ご本人のビジュアルからほど遠い「くまさん」という屋号。M島氏はDラえもん好きらしく、ドRえもんの誕生日が93日だから「903」。数字のごろ合わせだった。

 昭和生まれでドラえもん世代の私だが、誕生日を50歳の今になるまで「66日」と思い込んでいた。昭和世代はなじみ深い絵描き唄のイメージが強いのだろう。

 正式な屋号は「喫茶.903」。喫茶と数字の間に「.(ドット)」が含まれているのがポイントである。詳細は割愛するが、どっとお客様に来ていただきたいという想いも込められていた。

 お客の8割が注文するという「ナポリタン」。ミートとナポリタンしか口にしないというM島オーナーに私も激しく首肯。

 私の外食スパゲティはナポリタンが9割、ミートが1割。ただしめったに作らぬ自宅スパゲティで、ナポリタンなど作り方が分からない。ケチャップをぶっかけるだけなら全く別の食べ物で少しも旨くない。

 自宅では市販缶をぶっかけるだけのミートソースか、茹でたてをチューブマーガリン、マヨネーズ、醤油をぶっかけてまぜまぜしたスパゲティしか自宅で口にしない。特に後者など、絶対に店でお金を取って出すことなどできないけれど。

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佐野屈指に熱い創業スポット「二条通り」にてオープン。

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スナックを居抜き。ゆえの味わい。

posted by machi at 07:53| Comment(0) | 栃木県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする