2025年03月09日

第3611夜:神々の駅弁【出雲(島根)】

 一文字家。島根県松江市が本拠の駅弁調整元である。(おそらく)数多いラインナップの中から(おそらく)厳選の3種類がJR出雲市駅で発売されている。隣接する一畑電鉄駅舎内でも捕獲できるかもしれない。

 フリーになり15年目にして初の島根県内(出雲市)ミッションを終えた翌朝、出雲市駅へ。特急乗車まで30分の待ち時間。なかなか充実した土産物売場を物色する。前日に<旭日酒造>本店で300ml2本購入済。気持ちに余裕はある。

 売場は「出雲そば」が幅を利かせている。私は麺類が無類の大好物。しかし、ラーメンでもそばでもうどんでもそうめんでも土産として購入することはない。火力や湯量などを含め、お店のように美味しく調理できないからだ。私が料理できないこともあるけれど。

 もし出雲に再訪することがあれば、店でそばを喰おう。そう心に決めて、島根牛肉味噌と出雲市内のワイナリーの赤ワイン「葡萄神話」を購入。ずしりとした重みが心強い。

 切符売場に向かう途中、ラーメン&そば屋があった。そのカウンターに3種類の駅弁がお発売されていた。ここで、冒頭のフリに戻る。

 地酒と地ワインは大収穫。しかしツマミは味噌だけ。駅弁1ヶでは物足りない。結果的に2ヶ捕獲。帰宅後の楽しみが万倍に。

 まずは‘魚系’の『邪気退散招福ちらし』。日本海産の「のどぐろ」「穴子」を軸に「境港紅ズワイガニ」がんびっしり敷き詰められている。宍道湖を有する島根らしく「しじみ」もたおぷり。浜田名物という「赤天」や日本海産「岩海苔」、栗豆と小豆がシブく脇を固めている。

 小さいなサイズだが「大山どり」も嬉しい。そしてひときわ目を惹く「金針菜」。何かと思いきや、ユリの花だった。土台の米は島根県産こしひかり。

 続いて‘肉系’「島根牛すき焼きもろみ丼」。肉だけでなく、わき役たちのこだわりが凄い。

 もろみ味噌の説明だけで13行。もろみは半世紀生きて来て生きゅうり以外と組み合わせたことがない。蜂蜜の説明が4行。「まつえ蜂蜜」など初めて知った。味付けに使われている料理酒の説明書きだけで7行。料理酒などこれまで意識したこともなかった。

 ‘魚系’は地酒で。‘肉系’は地ワインで。2種類の駅弁。地酒2本、赤ワインで6000円弱。外呑みと変わらない出費だがそれ以上の満足感、多幸感が約束されている。

 「邪気退散招福チラシ」の説明書きは怒涛の32行。超大作である。しかも、定番かと思いきや新作駅弁とある。コロナ禍の昨今、疫病を対峙する「鍾馗様」をモチーフにしたという。

 八百万の神々の国・出雲。神々の一芸も多種多様である。駅弁はもう一種類ある。全力の蟹推し駅弁。次回は蟹の神様とランデブーである。旭日の御神酒をヤリながら。

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JR出雲市駅の駅弁売場。

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至福の始まり。

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招福ちらし。

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すきやき&もろみ。

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2025年03月08日

第3610夜:神々の代官町【出雲(島根)】

 サンロードなかまち。我がミッション先である。夜は良さげな呑み屋も多い。予約せねば入れない超人気店も存在するという。

 ミッション終了後、組合事務所すぐ近くのアーケード下の餃子系居酒屋へ数人で。生で乾杯。生を2杯咽に入れた後はメガレモンサワーをお代わりモードへ。

 餃子が旨い。他の一品料理もハズレなし。餃子の旨い店に間違いはない。ちなみに私、餃子居酒屋の裏定番である「餃子の皮せんべい」が好物である。

 店を出る。まだ仄かに明るい。神々の黄昏時である。初の出雲。二度と出雲入りが叶わぬかもしれない。出雲は神々だけでなく、山陰の旨し魚介も八百万。地酒をヤリつつ、八百万の魚介で舌鼓を乱打したい。

 サンロードなかまちと出雲市駅の間に歓楽街「代官町」が広がっている。なかなかの賑わいである。その中の1軒へ適当に飛び込んでみる。

 地酒「天穏」で始める。この店はこれがオススメらしい。他にも出雲の地酒のラインナップ豊富。21000円は地酒として破格の安さ。良心を感じる。

 魚はのどぐろ、さざえ、いかを刺身で。のどぐろは超高級魚。私はさざえといかの刺身が大好物だが、のどぐろは煮付の経験あれど、刺身は初…。脂はのっているが、さらりとしてクドクない。白身魚の脂の乗った刺身が全く食べられない私でも口に運べた。

 さざえ、最高である。肝を口に入れる。地酒で追いかける。至福である。箸休めで茄子とピーマンのピリ辛炒めを頼んでみたのだが、量が多い。剛毅である。

 地酒をお代わりしつつ、時折「トトノエ」のための瓶ビール。お通しのトコロテンも地味だがすっきりと嬉しい。

 同行氏が泥酔気味ゆえお開きに。私は出雲の定宿(T横イン)に荷を解き、再度歓楽街へ。

 予備知識なく適当に飛びこんだスナックのカウンター越しはレディでなく何故かムキムキのお兄さん。お兄さんと1時間ほど談笑して店を出る。

 シメに出雲そばを啜りたいが、どこに行けばよいか分からない。スナックを出たすぐ前の中華屋のラーメンが旨そうだった。店内はサラリーマンで満席。カウンターが1席だけ空いていた。こういう店は期待が持てる。

 ラーメンだけのつもりが「つまみ搾菜」と「焼餃子」。つい瓶ビールも。

 搾菜をツマミにビールをやっていると旨そうな餃子降臨。ビンビール追加。パリパリでジューシーで旨い。1軒目と4軒目で餃子である。どちらも旨しだった。

 麻婆豆腐が異様に旨そう故に召還。旨くて辛い。3本目の瓶ビールが空に。ツマミとビールも無限ループ。同時フィニッシュできないため、永遠にどちらかを注文し続けてしまう。

 〆は醤油ラーメンに焼豚追加。メニューにないチャーシューメンだ。程なくして降臨。最高のビジュアル。思いっきり笑みを漏らしたところで、記憶が飛んだ。

 どうやって帰ったのか。気づいたらホテルのベッドで朝8時。スマホを見る。4軒目のシメでチャーシューメンを注文したまでは覚えている。啜った記憶がない。そして、何故かその後にソフトクリームの画像が。コンビニに立ち寄っていたらしい。

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中町商店会の人気餃子居酒屋。

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安定の旨さ。

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山陰屈指の歓楽街「代官町」へ。

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山陰の海の香り。

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貝フェチの私には高天原。

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予備知識なくダイブ。

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この夜2度めのギョーザ。赤提灯に惹かれて。

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旨し。

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麻婆無双。

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オリジナルチャーシューメン。

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記憶なし。

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2025年03月06日

第3609夜:神々のアーケード【出雲(島根)】

 八百万。出雲におわす神様の数である。一神教でなく世界でも珍しい多神教国家・日本においても神様の数は突出している。ただし、普段はそれほどおられない。「神無月」と称される10月、出雲には神様が帰省する。出雲以外は神様が不在になる。

 私は伝奇&歴史ミステリが大好物。ざっと本棚を見渡しても「出雲」の2文字がタイトルに含まれる本は2桁を下らない(例えばT田崇史先生の一連の著作群)。コミックスにおいても同様である(『宗像教授』シリーズ・『イリヤッド』など)。

 出雲がジパングの中心だった時代から2000年ほど経過した20247月、初めて出雲入りした。フリーになり15年目、初の島根県ミッションでもある。

 出雲市駅、想像以上に垢ぬけて立派で充実している。出雲に足を運ぶ観光客の99%は出雲大社へ足を運ぶだろう。

 しかし、大社を軽くスルー。積極的なスルーというより、スルーせざる負えなかった。大社、思った以上に駅から遠いからだ。

 向かった先は駅から徒歩数分の「サンロードなかまち」。立派な木造アーケード商店街である。しかしよく見ると、木造でなく「木目調」。どうやって消防とかの許可を得たのは不思議だったが、激しく納得である。

 中町商店会のI橋会長にたっぷりと商店街をご案内頂く。アーケードの下を車がバンバン通る。商店街に空地は広大な駐車所が数か所。

 しかし、時速は20q制限であり、一方通行のため道幅は充分のため、歩いていてもストレスを感じない。むしろ車社会かつ西日本に多いアーケード商店街の今後のモデルになりそうだ。

 日本庭園な中庭もある古民家風店舗は3業態が同居するリノベーション。カフェ(蕎麦屋)&レンタルステース(リラクゼーション)&ゲストハウス。

 私が普段イメージしていたリノベーションの遥か先を走っている。リノベーションでなく…言葉は思い浮かばない。代表の方も丁寧にご説明下さる。

 出雲屈指の老舗の造り酒屋の本店がサンロードなかまちに。杉玉が目印である。店舗を建て替えでなく敢えて古さを活かして作り変えたという。味わい深すぎる。

 定番であり看板の「旭日(じゅうじあさひ)」と出雲大社御神酒である「八千矛」を2本購入。ついでにこの酒造メーカーのロゴが入ったデニムポーチも。

 たっぷり2時間半の打合せ後、商店街事務所の前の何でも屋さんの前に灰皿が置いてある。煙草を切らしてなかったが、お借りするため店内で煙草を1箱購入。紫煙を燻らせる。旨い。

 灰皿の横に張り紙が。出雲市へはたばこ税が11億三千万とある。これで人口規模が変わる。たばこはふるさと納税と同じく、お気に入りの市町で買いましょう。

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山陰屈指の商店街。

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木造「風」アーケード。

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車両との共存。

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地酒の蔵元本店。

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目移り。

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お土産に。

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新たな魅力拠点。

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お話をお伺いする。

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中庭がシブい。

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たばこは地元か好きな市町で買いましょう。

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2025年03月03日

第3608夜:神々の新型特急【出雲(島根)】

 やくも。岡山駅と出雲市駅の間を疾走する特急列車である。天候に弱くすぐに運休すること、日本屈指によく揺れることは、山陰人の基礎常識である。

 2023年、米子市へ6回訪れた。毎回、約2時間少し「やくも」に乗る。たまに満席でグリーン車しか空いていない時があるから注意が必要である。行きも帰りも順調に移動できたが、私が乗ってきた特急の後の便が何らかの理由ですべて運休になったこともあった。

 2024年7月上旬。私は中国地方を徘徊していた。月曜は岡山県井原市。火曜は神戸の自宅でPC猿打。水曜は山口県周南市。木曜は神戸の自宅でPC猿打。金曜は島根県出雲市。

 そんな週の木曜。山陰地方大雨というニュースが飛び込んできた。嫌な予感がした。運行状況をネットでチェック…。この日、特急やくもはすべて運休していた。始発から終電まで。山陰だけでなく、岡山県北部あたりから動いてない。

 明日は動くのか…。岡山駅へ行かねば分からない。雨がやんでも、倒木とかで運休になる可能性が実に高い。 

 翌朝。5時からPCに向かう。運行状況確認…。やくも、通常通りとある。安堵する。その代わり、広島県の瀬戸内沿いが全滅。私は岡山から乗り換えるので、セーフ。持っている。

 念のため予定より15分早い新幹線に乗車。駅改札内でホット珈琲を飲みながら「やくも」の入線を待つ。予定通りの時間に出雲市行きが発車する。

 安堵しつつホームで熱いコンビニ珈琲を味わっていると、見慣れぬ車両が入線…。やくもの新型車両だった。

 岡山から出雲市まで約3時間。車中でPC猿打し続けねばならない。到着後、出雲市駅周辺の商店街をたっぷり視察した後、PCにフル稼働してもらわねばならない。初訪問ゆえ、充電環境が分からない。

 全席にコンセントがあった。震えた。シビれた。思う存分猿打できる。しかも特段操作していないのにパソコンにWi-Fiがビンビン。新幹線よりもネット環境が良い。たまたまか。

 コンセント、ヘッドレスト、Wi-Fi…。あらゆるリニューアルが施された新型車両でありながら、強烈な揺れだけは以前のまま。むしろ好ましく感じた。

 2時間ほど経過。車内放送で「間もなく米子」とアナウンス。クセで思わず荷造りして降りそうになる。

 未踏だった米子以西。安来、松江…。フリーになり15年目。ついに初の島根県内ミッションである。未踏だったダンジョンの階層へ足を踏み入れた緊張感と高揚感である。車窓は雨だが、大雨でない。

 途中、宍道湖畔を通過する。雄大な景色である。西へ向かっているためか、雨が上がり晴れ間がのぞいている。

 順調に時刻通り到着するかと思いきや、終着駅から1駅手前の特急が止まらぬ駅で停車。5分経っても動かない。アナウンスが鳴り響いく。「業務連絡」のため一時停車したそうな。

 7分遅れで出雲市駅着。岡山駅から3時間10分の鬼揺。切符売場は長蛇の列。少し殺気立っている。やはり倒木か何かの影響で、私の後続の特急がすべて止まっているらしい。私の出雲入りは、出雲を統べる八百万の神々の御加護である。

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見慣れぬデザインが入線。

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グッと快適に。

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コンセントが大助かり。

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出雲市駅の一駅手前で「業務連絡」のため一時停車。

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出雲市着。

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モダンな駅舎。

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華々しいデビュー。それだけ力のこもった路線。

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2025年03月02日

第3607夜:異世界転生【周南(山口)】(後編)

 売店へ。徳山駅限定駅弁は売切。どうせなら山口県産、可能であれば周南市産で揃えたい。

 地酒コーナーへ。獺祭などが並ぶ中、周南市の酒造メーカーの300ml純米酒「西都の雫 原田」をカゴに。米も米麹も山口県産とある。ミニカップは付いていないが、このサイズならラッパ呑みでも好感度は維持できる気がする。

 ツマミ軍団は下関市のメーカーが強い。必死で探して…見つけた。周南市内のメーカーによる「肉のちょいつま」シリーズから「チーズウィンナー」もカゴに。温めた方が旨いとあるが、新幹線車内でそんなことはできない。楊枝もないので、冷えたウィンナーを手づかみで、地酒をラッパ飲み作戦を思い描く。野趣あふれる水軍である。

 この2種だけでは2時間心もとない。缶ハイボールのロング缶を放り込む。もう一品は周南市でなく長門市のメーカーの「活魚揚げ」。3枚入り220円。これ、超絶に旨かった。ボリュームもあり、冷えて丸かじりでも絶品。地酒にもハイボールにも好適である。

 今後の周南帰路の軍略が固まった。居酒屋で喉を開き、新幹線で地酒と地ウィンナーと地練物。ただ、ミッションが早く終わると居酒屋工程を割愛せねばならない。

 約半年間、月イチのペースで周南入りすることに。U野氏&K村氏と久々に酒を酌み交わしたい。ゴルゴ談議に華を咲かせながら。K村氏がゴルゴマニアに堕ちていることを願う。

 それから約1か月後。周南(徳山)へ再訪。初回と異なり視察無し。ミッション会場は徳山駅から南北通路で直結している異世界の風格漂うにぎわい交流施設の3階会議室。

 休憩なしでたっぷり2時間の濃密を終え、新幹線改札口へ。1時間に1本程度というレアな徳山⇔新神戸直行便は約20分後に発車する。

 徳山駅南口は日本有数のコンビナート群が広がっている。駅周辺はビジネスホテルが林立。観光客よりビジネス客が目立つ。まだまだ日差しはきついが、少し西日に傾いてきた。駅のホームは観光客よりビジネス客の数が圧倒している。

 直行便ゆえ、新神戸まで約90分。この日は滋賀県守山市から始発電車でいったん神戸に自宅に戻ってから周南へ。さすがに疲労が濃い。

 駅売店で缶ビールロング缶を1本だけ購入。冷たいうちに、駅ホームでほぼ一気飲み。人心地ついたころ、新幹線入線。乗り込み、少しだけ迷ったがPCを取り出し、電源を入れた。

 会議場所から交流拠点まで建物として繋がっている。兵庫県神戸市から山口県周南市まで新幹線で移動し、ミッション2時間で帰神。掛け値なしに一歩も地上へ出ることがない。

 これからもこのサイクルが続くのかもしれない。異世界に完全に取り込まれたスライム状態である。

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現実に戻る(神戸に戻る)ための90分間。

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ロング缶を一気飲み。

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活魚揚げ、200円ちょっとで旨い。お気に入り。

posted by machi at 05:51| Comment(0) | 山口県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする