一文字家。島根県松江市が本拠の駅弁調整元である。(おそらく)数多いラインナップの中から(おそらく)厳選の3種類がJR出雲市駅で発売されている。隣接する一畑電鉄駅舎内でも捕獲できるかもしれない。
フリーになり15年目にして初の島根県内(出雲市)ミッションを終えた翌朝、出雲市駅へ。特急乗車まで30分の待ち時間。なかなか充実した土産物売場を物色する。前日に<旭日酒造>本店で300mlを2本購入済。気持ちに余裕はある。
売場は「出雲そば」が幅を利かせている。私は麺類が無類の大好物。しかし、ラーメンでもそばでもうどんでもそうめんでも土産として購入することはない。火力や湯量などを含め、お店のように美味しく調理できないからだ。私が料理できないこともあるけれど。
もし出雲に再訪することがあれば、店でそばを喰おう。そう心に決めて、島根牛肉味噌と出雲市内のワイナリーの赤ワイン「葡萄神話」を購入。ずしりとした重みが心強い。
切符売場に向かう途中、ラーメン&そば屋があった。そのカウンターに3種類の駅弁がお発売されていた。ここで、冒頭のフリに戻る。
地酒と地ワインは大収穫。しかしツマミは味噌だけ。駅弁1ヶでは物足りない。結果的に2ヶ捕獲。帰宅後の楽しみが万倍に。
まずは‘魚系’の『邪気退散招福ちらし』。日本海産の「のどぐろ」「穴子」を軸に「境港紅ズワイガニ」がんびっしり敷き詰められている。宍道湖を有する島根らしく「しじみ」もたおぷり。浜田名物という「赤天」や日本海産「岩海苔」、栗豆と小豆がシブく脇を固めている。
小さいなサイズだが「大山どり」も嬉しい。そしてひときわ目を惹く「金針菜」。何かと思いきや、ユリの花だった。土台の米は島根県産こしひかり。
続いて‘肉系’「島根牛すき焼きもろみ丼」。肉だけでなく、わき役たちのこだわりが凄い。
もろみ味噌の説明だけで13行。もろみは半世紀生きて来て生きゅうり以外と組み合わせたことがない。蜂蜜の説明が4行。「まつえ蜂蜜」など初めて知った。味付けに使われている料理酒の説明書きだけで7行。料理酒などこれまで意識したこともなかった。
‘魚系’は地酒で。‘肉系’は地ワインで。2種類の駅弁。地酒2本、赤ワインで6000円弱。外呑みと変わらない出費だがそれ以上の満足感、多幸感が約束されている。
「邪気退散招福チラシ」の説明書きは怒涛の32行。超大作である。しかも、定番かと思いきや新作駅弁とある。コロナ禍の昨今、疫病を対峙する「鍾馗様」をモチーフにしたという。
八百万の神々の国・出雲。神々の一芸も多種多様である。駅弁はもう一種類ある。全力の蟹推し駅弁。次回は蟹の神様とランデブーである。旭日の御神酒をヤリながら。
JR出雲市駅の駅弁売場。
至福の始まり。
招福ちらし。
すきやき&もろみ。