🍜宮城・仙台駅ホームの「黒石つゆやきそば+黒石やきそば」
黒石つゆやきそば。青森県黒石市のB級グルメとして確固たる地位を築き上げている東北の雄である。東日本大震災の前年、仙台駅在来線ホームで昼食を兼ねた遅めの朝食を腹に入れようとホーム中ほどに見える立ちそば屋を目指した。空腹のため急ぎ足だ。
券売機の前で、我が目を疑った。定番中の定番・天ぷらそばを注文しようとしたが、メニューにない。あるのは3種類。「ラーメン」「黒石やきそば」「黒石つゆやきそば」のみ。呼吸と指が止まってしまった。これは面白い。
1000円札を投入。黒石系のどちらのボタンを押すか迷った。13秒ほど悩みに悩み、決断した。両方のボタンを押した。程なく130円のお釣りが吐き出された。
調理熟女に2枚手渡した。「2種類両方ですね」と何度も念を押された。大きな誇らしさと、小さなし恥ずかしさを感じた。
焼きそばは作り置きと思っていたら、何と鉄板で一から調理し始めた。駅のホームの立ち麺屋にて、鉄板がある店など他に知らない。私は度肝を抜かれた。ジャージャー、ジュッジュという音色とともに、スープの香ばしい香りがホームに立ち始めた。
まずは「黒石やきそば」(380円)。ソースの暴力的なまでに魅惑的な香りが鼻に飛び込んでくる。少し酸味の効いたソースが平打ち麺に見事に馴染んでいる。出来たての旨さに痺れる。
続いて真打ち「黒石つゆやきそば」(390円:当時)。調理過程をつぶさに観察していたのだが、先程のソース焼きそばを皿ではなく丼に入れ、ツユを注いて刻みネギと天かすをトッピング。ダシは真っ黒。黒石の名に恥じない力強いビジュアルである。
まずはダシ。……。うどんダシに焼きそばからにじみ出たソースが溶けだしている。ソース味の和風だしというのか、とにかく怪しげな旨さだ。ソースの味が少しする細うどん、といった風情。うどんと焼きそばの固定観念を覆す全く新しい味といえる。
ソースと和風だしをうまく取り持っているのが天かす。天かすからにじみ出るコクが両者を絶妙に融合させている。国際結婚を取り仕切る神父のような存在と言えばよいのだろうか。
とにかく怪しげな旨さだ。完全にハマってしまうと抜け出せそうにない。結局ダシも麺も一滴一本残らず食べつくした。もちろんダシに浸かっていない黒石やきそばも完食。当たり前だが満腹だ。つゆ入りの方が10円高いだけ(当時)という芸の細かさにも感心する。
おそらく家庭でも似たような味は再現できるのかもしれない。うどんダシにソース焼きそばをぶち込めばよいのだから。私は試そうとも思わないが、決して上手くいかない気がする。やはり免許皆伝を得た本場の秘伝が隠されているはずである。〔次夜最終〕
(付記)
上ネタも年明けうどん代わりに15年以上前の死蔵ストックより。このバカブログをご笑覧のセニョール&セニョリータ、新年あけましておめでとうございます。旧年中もご愛顧賜り誠にありがとうございました。本年も半年〜1年の遅れの時空歪み投稿になりますが、何卒御贔屓に。

