2021年07月10日

第2722夜:黙啜の向こう側【小山(栃木)】

 <一品香>。清涼と自信と不動を感じさせる屋号のラーメン店である。ただのラーメン店でない。小山商工会議所にほぼ隣接している、行列のできるラーメン店である。

 ある熱くも寒くもない最高クラスの快晴の正午すぎ、今やすっかり盟友となった小山商工会議所S氏とこの店へ向かう。向かうと言っても、会議所から徒歩20秒。決してわかり易い立地ではないが、広大な駐車場はほぼ満車。入口の前で行列ができている。

 至る所に注意表示がある。写真撮影禁止。マスク着用必須。「黙食」という過酷な2文字熟語が迫力満点である。最初に券売機でチケットを買う。並び方にも様々なルールがある。客への躾が厳しいお店のようである。

 普段の私なら「しゃぁーしー店だな(注:北九州弁)」と絶対を足を運ばないが、店から溢れるオーラが私を捉えて離さない。地元人100%の行列が店優位を決定づけている。実力があればどんなことも許される世界でもある。

 私はチャーシューメン950円を選択。20分ほど待ってカウンターへ。たまたまレジのすぐ隣の席で、焼豚などが別売されている。焼豚の切れ端とメンマで650円セット。まだ実食前だが絶対にハズレがないという確信が湧いた。帰りの新幹線晩酌用のツマミで購入。笑みが漏れる。

 行列は途切れることなし。「黙食」というよりも、客は一心不乱で夢中に啜っているから会話どころではないかもしれない。会話しても注意されないし、何となく楽し気な雰囲気も充満。

 ブツ降臨。比喩ではなく、瞳にハートマークが生まれた。美しい。

 条件反射でスマホを構えた。客やスタッフが写り込むような店内撮影は厳禁だが、商品のみの撮影は許されている。たまにすべてを禁止する店もあるが、この臨機応変さが実に好もしい。念のために店員さんに撮影の許可を得る。笑顔で「どうぞ!」。

 チャーシューが迫力満点。スープは透き通っている。麺は太い。佐野ラーメンに似ているが、店内のどこにも佐野と書かれていない。この店のオリジナルなのだろう。

 胡椒パラリ。……。まずはスープ。黙食ならぬ「黙啜」ルールを忘れ、思わず声を発した。「うまい!」。あっさりの深層にどこまでも深い旨味が溶け込んでいる。常食系の極北。毎日啜れる。

 麺はツルツルのモチモチ。スープとのカラミも抜群。メンマも太くて味わい深い。チャーシューは分厚く大きい。噛みしめるほどの味わいが深まる。私はチャーシューメンだが、さらにチャーシュー増しや増し増しもあるようだ。

 餃子は巨大。1ヶで満腹になるほど。S氏が5ヶ注文して下さり、私が3ヶも食べてしまう。 

 気づけば汁1滴残っていなかった。唖然呆然。先に席を立って外へ。行列はさらに伸びている。令和3年どころか、マイベストチャーシューメンに出会えたのかもしれない。

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細やかなルール。

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マスク必須。黙食の徹底。

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写り込まない様に慎重に。

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許可を頂いて撮影。最高の旨さ。

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巨大。
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2021年07月06日

第2721夜:背脂とべったら【戸畑・若松(北九州)】

 尾道ラーメン。札幌味噌、博多豚骨、長崎ちゃんぽんほどの知名度と広がりはないかもしれぬが、その高名を耳にしたことなきラーメン者は宇宙に不在である。

 特徴は、背脂。新潟にも背脂系のラーメンがあるそうだが未だ恥ずかしながら未啜。そして、尾道ラーメンも未啜。大阪難波あたりで尾道ラーメンという表記を見たことはあったが、何故か足が向かなかった。原則としてご当地ラーメンはその当地で対峙したいからである。

 緊急事態宣言が開けたもののパッとしない弥生三月の正午過ぎ。北九州市の戸畑駅前でバスダイヤの都合上、20分の持ち時間(待ち時間)があった。うどんの名店<ウエスト>は立地、時間的に少し厳しい。バス停の真ん前にあるイ●ン戸畑内のラーメン屋に適当にダイブする。

 この店、何故か尾道ラーメン押しの店だった。博多ラーメン、久留米ラーメンと2種類あり、札幌味噌や函館塩もある。長崎ちゃんぽんや浜松餃子まで。

 この店に足を運べば様々なご当地麺を啜れそうだが、一抹の不安を抱いた。このような何でもある店は、言い換えれば特徴がないことが多い。

 迷っている時間はない。この昼は豚骨気分でもなかった。尾道童貞を捨てることに。

 まちづくり屋になってから広島県にほとんど御縁がない私は(2019年度に2回だけ広島市内へ訪問)、当然尾道は未踏。H田知世様の映画(時をかける少女)でしか知らぬ街。

 5分ほどでブツ降臨。啜り切ってお会計を済ませるまでの持ち時間は、約7分。楽勝である。ブツは背脂たっぷりだけどあっさり醤油。岡山系ほど甘口醤油ではない。

 普通に旨かった。汁まで啜り切った。北九州でもこの感動なら、本場(尾道)ならさらに期待できそうである。

 バスに乗って若戸大橋を渡り、10分ほどで若松へ。2020年度最終となった北九州若松ミッション。無事フィナーレ。2020年4〜5月の第1期緊急事態宣言中も変わらず召還して下さった若松がなければ、私は渡ってはいけない川を超えていただろう。感謝の百乗である。

 妙に宿泊料が高騰している気がする若松の定宿(Rートイン)にて大浴場を独占の後、U島氏と<TOMATO>へ。久々に絶品料理とメガハイボールを満喫。

 北九州市(福岡県)は緊急事態宣言解除後も飲食店は21時閉店を厳守。その間隙を狙い、TOMATOは壮絶に大流行り。お客ひっきりなし。消費行動にメリハリがある。

 2軒目がないのでU島氏の店(八百屋というより食料品店)へ。オールドをヤリながら乾きもの。

 途中、U島氏が自分で漬けたらしいべったら漬が。これをわさび醤油で頂く。……。昇天。べったらのような大根や蕪を甘く漬けた漬物とわさび醤油の相性無双。ぜひお試しあれ。

 翌朝も北九州はいい天気。ホテルの部屋から若戸大橋が煌めいていた。背脂のように。べったらのように。

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何でもアリ。

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いろいろ迷ってしまいそう。

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我がラーメン人生初(たぶん)の尾道ラーメン。

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<TOMATO>にて。

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至福。

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日常が戻りつつあるかも。

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U島氏の八百屋にて。

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何かを切り始めた模様。

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べったらとわさび醤油。相性無双。

(付記)
先日(6月下旬)、近所のスーパーで尾道ラーメン(カップ)が100円以下で売っていたので試啜。ご当地カップ麺に成る実力に改めて敬礼。

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posted by machi at 04:48| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月05日

第2720夜:買い回りの流儀【春日部(埼玉)】

 春日部駅東口商店会エリア。2019年から2年間お世話になり続けたこの商業地域に、2年間のミッションを完遂した翌朝、足を運んだ。この日は帰神するだけ。ゆえに買物するためである。

 まずは<栃惣>さんへ。若夫婦が対応して下さった。2020年度はなかなかお会いできなかった。おすすめの2種類の固焼き煎餅セットを購入する。

 すると、オツマミにどうぞと大量の「割れせんべい」をプレゼント。新幹線のおつまみ用も別途。割れせんべいは味が同じなのにお得。明太子の切子と同じようなもの。感激である。

 こちらは朝8時オープン。パンでもないのに、そんな時間帯に煎餅を買いに来る客はいるのか。疑問を口にすると、オープン前の7時半ごろから入口が開いていれば買い求めるお客が来店するそうな。ほほぅと感心してしまう。

 続いては春日部最強のチャイニーズレストラン<けいらく>。オープン直後なのにほぼ満席。忙しそうな厨房から若旦那のSンヤ氏が出てきてくれた。事前に焼豚をブロックで注文していたので受け取る。ステイホームがさらに充実する。

 お会計を済ませると、お土産ですと手渡された。中味はジャックダニエルのボトル。焼豚よりも高いではないか。感謝というより、申し訳なさが先立つ。

 その勢いで和菓子<青柳>。春日部を統べる春日部駅東口商店会連合会O川会長様のお店である。地元の原材料に拘った和菓子が大人気。店内はひっきりなしにお客が入ってくる。私は2種類のカステラ詰め合わせを購入。カステラはバーボンなどの洋酒に合う。

 調理場に会長の御姿がちらりと見えたゆえ、ご挨拶。2年間お世話になったお礼を述べる。すると会長は「ミニ西郷どんに」と埼玉県産モチ米を使用した毎朝蒸したてのお赤飯をプレゼント。店員さんが「西郷どん」のフレーズに爆笑しながら手渡して下さった。

 駅へ向かう途中、<靴のくわばら>店頭にコンバースのスニーカーが1足だけクリアランス販売。サイズは私にドンピシャ。しかも、たったの2200円。半額よりも遥かに安いのではないか。美人店長不在ゆえご母堂と思しき方と少し雑談。

 トドメは<寿タバコセンター>でラッキーストライク。店主のK子氏はプロジェクトリーダー。しかし昨晩の最終回は高熱のため欠席されていた。当然不在故、奥様から購入。

 買物すると、おまけの領域の遥か斜め上を行くサービス。予期せぬ手荷物の多さと重さが頼もしく嬉しい。これぞ、商店街の買い回りの愉悦。さすがに不動産までは買えませんでしたが。大型店やネットでは絶対に味わえぬ買物の醍醐味であり、流儀である。

 皆さな、世界で1番有名な幼稚園児を要する野原一家も買物する埼玉県春日部市へおでんせ。住みやすい街ランキング、私の中では「住みやすい街大賞」2連連続1位の埼玉県川口市と双璧ですぜ。

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<栃想>さん。

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<けいらく>さん。

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<青柳>さん。

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<靴のくわばら>さん。

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<寿タバコセンター>さん。

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戦利品の数々。
posted by machi at 09:02| Comment(0) | 埼玉県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月01日

第2719夜:ステイホテルの流儀【春日部(埼玉)】(後編)

 部屋に戻って湯に浸かり、バスローブに着替えて晩酌開始。東野圭吾ミステリを読みながら。2度目になるとリズムが掴めてきた。ステイホームとは違った味わいである。

★ステイホテル3泊目:2021年2月上旬★

 3度目となるとリズムが掴めてきた。その余裕ゆえか、スマホをホテルに置き忘れた上にミッション会場を間違えるという失態を犯す。

 スーパーで缶ハイボールやバーボン(チップスター付)、ゆで卵購入。メインディッシュをどうするか。初回は<Ⅿ屋>、2回目は<イトーY−カドー>。3回目は<Nか卯>攻めを決意。 

 ローストビーフ丼、マグロづけ丼などツマミになりそうな押しメニューが充実。かつ丼や親子丼の「アタマ(ライス抜き)」など呑んだくれの哀愁を擽ってくる。分かってらっしゃる。

 熱々唐揚5ヶ、牛皿2パック。紅生姜や七味唐辛子の小袋も捕獲し、徒歩2分でホテル帰着。

 缶チューハイをカシュッ、プハー。揚げたて唐揚、ジューシーでサクサク。牛皿は凄いボリュームに。これをチビチビつまんでいるとあっという間にロング缶が3本空に。

 コーヒーカップにバーボンをゴボリ注ぐ。牛皿やゆで卵を満喫。

 ステイホテル呑みはオンライン呑み会クラスに酔いが回る。TVもつけない。誰とも話さない。友は極上の警察ミステリシリーズ『棲月 隠蔽捜査7』(今野敏 新潮文庫)である。

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ロビーにて。

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独り二次会。

★ステイホテル4泊目:2021年3月中旬★

 夕刻に<ホテルカスカベ>チェックイン。荷を解いて半年ぶりぐらいに我が主君・岩手県宮古市末広町商店街のS香親分と電話で雑談。東日本大震災からこの日でちょうど10年。大津波が無ければ親分とも宮古とも御縁は皆無だった。犠牲者のご冥福を心よりお祈りする。

 夜は2年間お世話になった春日部の最終回かつ2017年から御縁を頂いた埼玉県庁との最終回。最初の2年間は蕨・ふじみ野・越谷・寄居。最後の2年間は春日部。それまで首都圏と全く御縁なく、面識もなかった私に貴重な機会を与えて頂き、県庁の皆さまには心より多謝。

 埼玉県は緊急事態宣言継続中ゆえ飲食店は休業中。最後は皆さまと杯を思う存分かわしたかったが叶わず。時間は20時過ぎ。夜の種族の私にとっては宵の口にもなっていない。

 春日部の愛してやまない我が定宿ロビーで特別ゲストとして最終回に参戦して下さった我が10年来の戦友氏と、この3年間一番一緒に呑んだチョッキとホテルの売店で買った缶酒や缶詰で2時間ほどプチ打ち上げ。ほんの1本のつもりが数本に。

 御両人が帰路につかれ、さすがに腹減ったので歩いてすぐの<Ⅿ屋>で牛皿やカルビ皿をテイクアウト。コンビニで別途酒とツマミ(ゆで卵やポテチ)追加。刃牙シリーズ第4部『刃牙道』廉価版第1巻。極上の刃牙ワールドに浸りながら。

 幾分の寂しさと至福が入り混じる、埼玉最後のステイホテルな夜である。

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最後の夜。
posted by machi at 08:17| Comment(0) | 埼玉県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月30日

第2718夜:ステイホテルの流儀【春日部(埼玉)】(中編)

 その日は午後に栃木県小山市でミッションがあり、小山駅構内で捕獲した小山の蔵元のカップ酒3本、小山のまちの駅で捕獲したチーズ醤油漬やおとっぺベーコンを捕獲済だった。酒もツマミも十分すぎるほど。

 春日部ではホテル戻りがほぼ毎回深夜1時を回る。20時など初めてでどうしたら良いかわからない。酒とツマミの豊富なストックが心強い。

 こんな緊急非常事態にも変わらず接して下さる小山(栃木)と春日部(埼玉)の方々に心の底から感謝。一生忘れません。

 翌朝。8時過ぎにチェックアウトし、足を惹き釣りながら<Ⅿ屋>で前夜にテイクアウトするか迷った「にんにく醤油焼き牛めし」をイートイン朝食。セルフゆえ、受取に向かう足が痛む。Ⅿ屋は我が春日部滞在時の心強すぎるステイホテルの友である。

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朝M屋。

★ステイホテル2泊目:2021年1月下旬★

 それから2週間後。依然として緊急事態宣言継続中に、春日部を訪ねた。18時前に春日部市役所へ。入口のドアに掲示物が貼ってあった。

 特に気にもとめずスルーしようとした瞬間、不穏な4文字熟語が視界に飛び込んできた。

 「爆破予告」

 思わず目を凝らす……。予告に対応した来庁者への謝辞だった。

 コロナでも大変だろうのにテロまで対応せねばならぬのだから市役所の皆さまは気の毒としか言いようがない。個人的には「管財課」が窓口である点が、まあそうなんだろうけど、何故か笑わせる。

 春日部駅東口商店会に若手商業者(NEXTメンバー)と春日部駅長との意見交換会を決行。

 春日部駅が高架となり、駅周辺も様変わりする。最低でも10年以上の一大プロジェクトだ。それが令和3年早々に思いっきり着工される。春日部駅周辺は凄いことになりそうだ。

 20時前に解散。令和3年になり、チョッキを見かけなくなった。その日の朝、本人からメッセージが届いた。コロナで病院に行くという。

 呑み屋は美しいほどに20時で閉店。ゆえに今夜も当然のごとく一人でステイホテル。

 2週間前は<Ⅿ屋>でテイクアウト。今回はⅯ屋の斜め対面に24時間屹立する<Nか卯>で何かテイクアウトするか。いやいや、Ⅿ屋の新商品も旨そうだ。

 毎回ファストフードテイクアウト晩酌も味気ない。定宿から歩いて2分ほどの閉店間際だった<イトーYーカドー>へ。

 閉店間際ゆえか総菜がほぼ売切。残っていた巻き寿司やスナック菓子、カップ麵などを適当にかごへ。酒売場に埼玉の地酒コーナーがあった。県内の蔵元のカップ酒も5本捕獲。〔次夜後編〕

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ご苦労様です。

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買い過ぎた。
posted by machi at 11:47| Comment(0) | 埼玉県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする