2023年03月10日

第3126夜:290円の豚骨ラーメン【博多(福岡)】(後編)

 外に出る。観光地にありがちな外国人観光客ばかりでなく、明らかに地元民と思しき方々も買物を楽しまれている。

 腹が落ち着いたので色んな店を見て回る。にんにくマヨネーズが実に旨そうだ。歳末クリスマスガラポン抽選会で盛り上がっている。私にとって290円ラーメンとの出会いがどんな福引景品にも負けない一等賞である。

 それから数年後。コロナが世界を席巻しつつも、ウィズコロナからアフターコロナへの槌音が響いてきた11月上旬の夜。コロナ以降、恐らく初めて福岡市に足を運んだ私は、気心の知れた同世代で中洲川端商店街で呑むことに。

 この日は福岡県商店街フォーラムだった。同世代メンバーも全員商店街関係者。ゆえに、那賀川沿いの屋台でなくアーケード商店街内の店を攻めることに。

 ちなみにこの夜、中州川端へ行く前に吉塚駅前のチェーン居酒屋でかなり呑んでいた。自分では酔っぱらっていないつもりだが、フワフワした心地である。

 適当に商店街内の居酒屋へ。福岡っぽいメニューを頼みながら濃い目のハイボール痛飲。この夜、私にとっては2軒目だったが、中州での1軒目でいつの間にか記憶が飛んでしまった。以降、全く記憶がない。記憶を飛ばしたのも、コロナ以降では初めてかもしれぬ。

 目覚めたらホテルのベッド。いつチェックインしたのか。時間は9時半。急がねばと慌てたら、チェックアウトは11時という表示が視界に。心の底から安堵。

 Yシャツどころか、ジャケットもズボンもハンガーに掛けず床に散乱。そして、ドロドロである。何か零したのか。

 ど二日酔いのままスマホ画像を見る。1軒目は3人で楽しく飲み食いしているようだ。3人で記念写真を撮ったまでは覚えている。以降の記憶がない。

 スマホ画像を辿る…。もう1軒突撃しているようだ。画像はピンボケブレブレ。そして、チャーシューメンの画像が。記憶なく2軒さらにハシゴしている。

 チャーシューメン、どこの店だ。指で広げて拡大する……。メニュー表の画像があった。「博多ラーメン 290円」。290円!?

この歴史的値上げの昨今(特に小麦食品)、290円…。しかし、記憶がある。私が頼んだと思しきチャーシューメンもたったの490円。まさかのワンコイン切り。

 口をあんぐりさせたままガン見を続ける。「はかたやメニュー」とあった。数年前、中州川端商店街に屹立する290円ラーメンに受けた衝撃を思い出した。

 衝撃は思い出せたけど、味は全く思い出せなかった。1gも記憶が無かったからである。

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盟友たちと中州で乾杯。

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このあたりからすでに記憶あやふや。

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令和と思えぬ安さ。記憶ないけど。

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1gも記憶なし。

posted by machi at 07:30| Comment(2) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月09日

第3125夜:290円の豚骨ラーメン【博多(福岡)】(前編)

 中州川端商店街。九州最大最強の歓楽街、福岡市中州地区に位置する魅力満点のアーケード型商店街である。中州は夜の社交場だが、この商店街は昼の社交場である。

 コロナなど1oも世界に蔓延っていなかったある休日。福岡市内で時間に余裕が生まれ、数年ぶりに同商店街をブラブラ散策。活気に溢れている。魅力的な店が実に多く、そしてラーメン屋も多い。どこも旨そうだ。

 時間は14時前。朝から何も腹に入れていない。空腹を覚えた。博多駅に戻り「麺街道」で何か啜ろうかと一瞬考えたが、せっかくなので商店街内で啜りたい。さあ、どの店で啜ろうか。

 見間違いでなければ<どさんこ>という店が異様に流行っている。北海道の、あの「どさんこ」なのだろうか。博多に来て札幌系を啜ろうとあまり思わない。

 他にも旨そうなラーメン店が林立している。迷ったあげく、ひときわ目立っていた「290円」という文字に惹き寄せられた。<博多ラーメン はかたや>。ベタベタな店名に実力が垣間見える。そこそこの一等地のはずである。

 カウンターが空いていた。飛び込む。定番が博多ラーメン290円。これにトッピングをいろいろ重ねていく。餃子セットも旨そうだが、ここは驚愕の「290円」に身を委ねる。

 隣の老齢婦人が480円ほどの豚骨味噌ラーメンを啜っているのが眩しく見える。ビールを頼もうかと思ったが、とりあえず290円だ。

 常連と思しき皆さんは硬め、ばり硬など声を飛ばしている。私は「ふつう」である。ブツが運ばれてきた。シンプルな構成だが、焼豚、ネギも乗っていて290円は安い。

 スープを啜る。……。熱々である。超濃厚というわけではないがすっきりと飽きのこない深さとコク。あっという間に啜ってしまった。

 替玉(100)と替肉(100円)と替ネギ(30)を召喚。今度は「固め」に挑戦する。ものの十数秒で替玉登場。ネギも焼豚もぶち込む。

 替玉するとスープが薄くなることが多い。その対策が卓上のラーメンダレ。心憎いサービスである。そして、ゴマと紅生姜と大蒜。これらフリー卓上軍団をフル活用し、290円ラーメンをデコレートしていく。

 豚骨替玉の際、私の1杯目はせいぜいゴマと胡椒ぐらいで後は何も投下しない。替玉投入後(2杯目)は紅生姜、辛子高菜などを集中砲火。辛子高菜は有料の店も多いが、無料の店では漢気を感じる。

 残念ながらこのお店、辛子高菜は無かったけれど、290円なら全くの問題なし。夢中で啜り終えた。お会計520円。大満足である。〔後編〕

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(付記)

上記「前編」の内容、古すぎてほぼ記憶なし。後半へのプレリュードとして死蔵ストックよりアップ。よって画像も2022年11月上旬撮影。

posted by machi at 04:43| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月08日

第3124夜:チェーン居酒屋の呑み放題プレミアム【福岡(福岡)】

 福岡県商店街振興組合連合会フォーラム。JR吉塚駅前で開催されたこのフォーラムに私はお招き頂いた。しかし自分自身で何を話しているのか途中分からなくなるほどまとまりのない、しまりのないグダグダ話に堕ちてしまう。慣れぬことはするものでなし。教訓を刻む。

 関係者5人で打ち上げ。会場はフォーラムと同じビルの<U民>。最初、戸惑った。商店街や市場関連の懇親会でチェーン居酒屋はまずない。しかも私にとって、コロナ以降初の博多飲み…。

 注文はタッチパネル。私が最年少だろうが、操作は苦手ゆえ先輩に変わって頂く。呑み放題の料理付コースらしい。しかも呑み放題は「プレミアム」らしい。

 プレミアムモルツを駆けつけ2杯。グダグダ話といえノドが乾いた。私は毎度のことだが、人前での全集中ミッションの後はアドレナリンが零れっぱなしで食欲が直後湧かない。

 大皿にサラダ、刺身、天麩羅、焼鳥などが並ぶ。いかにもオオバコ店である。生を2杯のみ、角ハイボールに切り替えた。

 料理に手を付けず角ハイをお代わりしまくっていると、タッチパネルご担当者から「メーカーズマークのハイボールあるよ」と聞き捨てならぬ情報が。メーカーズマークはそこそこ割高なバーボン。ハイボールでなくバーボンソーダに切り替える。

 ガラスジョッキでなく真鍮カップでメーカーズマークソーダ降臨。グッとテンションが上がってきた。すでに数杯呑んでいる。グラスに口を付けた…。濃い。ソーダは4分の1も入っていないのではないか。

 何かのスィッチが入った。小皿に取り分けられていた料理に手を伸ばす…。おや、普通に旨い。グイグイ箸が動き始めた。

 鍋が運ばれてきた。カセットコンロに点火。そして、大皿に野菜と牛肉が。

 思わず目を剥いた。牛肉、巨大皿に広げられた人数分の5枚。なかなかの霜降りである。これは1枚1000円でもおかしくないレベル。そして、さらに大皿にもう少し細かくカットされた霜降り肉が積み重なるようにたっぷりと運ばれてきた。

 出汁が張っているので、まずはしゃぶしゃぶし、そのまま口に…。口いっぱいに肉汁が溢れる。小分けされた霜降りもたっぷりなので、2枚目からはポン酢しょうゆ。キリリと引き締まる。

 こんな破壊力のある鍋が控えていたとは。日本酒のラインナップもそこそこにレアな地酒だ。

 〆の第1弾握り寿司降臨。勢いたっぷりに口に運ぶ。第2弾として鍋の〆もあったようだが記憶が定かでない。第3弾の〆にショートケーキ。はちきれんばかりの満足感である。

 2時間コースで、私一人で10杯は飲んだはず。これで、一人5,000円。顎がハズれそうに。

 恐るべきチェーン居酒屋の底力。ここまで気合を入れられたら、零細は太刀打ちできぬかもしれない。接客、味、雰囲気、新名物…。新たな高みへ歩まねばならぬ時代が来たようである。

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フォーラム(対談)。

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前菜。

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メインディッシュ。この後の〆第1弾(画像取り忘れ)。

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〆第2弾。

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〆第3弾。

posted by machi at 08:37| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月06日

第3123夜:急須のうどん出汁【福岡(福岡)】

 博多駅バスターミナル。コロナ以降、そもそも博多に立ち寄る機会が滅失していることもあり、私にとって全く利用する機会のないバスターミナルである。しかし、ビルの地下は別。奥の奥に「牧のうどん」が存在しているからである。

 博多に来るのが凄まじく久々なら、当然ながら牧さんも久々。時間は11時過ぎ。店内びっしりだが回転が素晴らしく、待つことなく絶妙のタイミングで誘導して下さる。

 久々に牧さんの券売機と対峙。私の後ろには人が並んでいる。ゆっくり吟味している時間なし。

 左上の一番目立つ大きな写真入りボタンは「肉・ごぼう天・かしわセット」。‘お得なセット’とショルダーネームが。かしわは「かしわめし」のようである。880円。

 肉ごぼう天を頼むつもりでもあったので、迷わずにプッシュ。店員さんにうどんの硬さを「普通」でお願い。以前「やわ」を頼んだ時、アゴが無くても啜れるほどの柔らかさだった。

 まさに老若男女な客層である。壁に張り出された牧のうどん店マップに目を通す。我が拠点の北九州市内は無し。セントラルキッチン方式ゆえの配送戦略なのか。これも偉大な正解である。

 ブツ降臨。テンション爆上がり。卓上のネギ入れ放題が力強すぎる。急須に入った替え出汁も心強すぎる。ネギをたっぷりと投下し、まずは出汁…。

 肉の甘み、ごぼう天を包む天かすの油分が出汁に溶け込んでいる。思わず目をつむる。旨すぎる。夜中1時まで鯨飲していた五臓六腑に沁み込んでいく。麺の柔らかさが懐かしい。

 私はうどんにコシを求めない。福岡県はラーメンも旨いけど、うどんがとんでもなく旨い。うどんとそばなら迷わずそばを選ぶ私が、福岡県では迷わない。うどん一択である。

 それほど啜っているわけでないのに、出汁が減ってきた。柔らかなうどんが出汁を吸う。そのために添えられている急須の替え出汁。そして、魔法が発動する。うどんが出汁を吸って膨らむのか、啜っても減らない。魔法の、夢のうどんである。

 かしわめしが旨い。これだけで丼でお替りしたいほど。うどんを啜り、出汁を啜り、かしわめしを頬張り、肉やごぼう天を楽しみ、タクアンをパリポリ。至福の無限ループである。

 麺を啜り終えた。出汁も呑み切った。かしわめしも1粒残っていない。そこで、替え出汁を丼にすべて注ぐ。葱を散らす。ざるそば後の蕎麦湯割りならぬ、牧さんの出汁〆である。 

 肉とごぼう天の濃厚で甘辛い味が溶け込んだ出汁も最高だけど、シンプルでプレーンな出汁そのものを味わう…。全く違う。

 淡麗、上品、気品、和心、洗練、絶佳。澄み切っているのに、どこまでも底が見えない奥深い重層。私のヨゴレきった悪心もこの瞬間だけ洗われた気分に浸れた。ほんの一瞬だけ澄み切ったまま、私は地下鉄で馬出九大病院前へ向かった。JR吉塚駅へ行くつもりだったのに。

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地下奥の至宝。

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豊富極まりない選択肢。

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読むだけで心躍る。

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北九州は残念ながらエリアではない様子。

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夢のはじまり。

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夢のつづき。

posted by machi at 09:11| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月05日

第3122夜:ゆめの街へ【飯塚(福岡)】

 Yめタウン。近畿地方以東にはあまりなじみないだろうが、中国九州地方ではイ●ンと並んで巨大ショッピングモール建設に突き進む西の横綱である。そして、「ゆⅯタウン飯塚(仮称)」が飯塚市商店街連合会からほど近い(400mほど)市の市場跡に令和5年にオープンする見込み。

 令和411月。7カ月ぶりに飯塚へ足を運んだ。<ホテルニューガイア飯塚>チェックイン。エレベーターに設置されていたボタン押し用の綿棒が撤去されていたことにアフターコロナの槌音を感じさせる。

 その夜は中茶屋ホールで充分すぎるほど高レベルな飯塚市商連の旦那衆や伴走サポーターたちと福岡県中小企業団体中央会がスポンサーの「商店街レベルアップ研修」。テーマは令和5年夏開業予定の「ゆめタウン飯塚(仮称)」との連携策検討。私はグダグダの狂言回し。

 終了後、7人で<三拍子>。博多もつ鍋と飯塚もつ鍋を選べるという。えッ?違う食べ物だったのか。飯塚がいいな。心で念じてたら、飯塚が選択された。博多も気にはなったけど。

 生で乾杯。ポテサラ、手羽先を楽しみつつハイボール。それから芋焼酎の水割。濃くて量たっぷりが筑豊の心意気か。

 この店で私が一番好きなメニューがある。正式名称は知らぬが「パングラタン」。大き目にカットされたパンはボリュームもあり、熱くてトロトロ。簡単そうだがプロの匠がにじみ出ている超逸品である。

 もつ鍋も仕事柄様々な店で味わってきたが、三拍子のもつ鍋が一番好きかも。スープは無双の絶品。これだけで酒が呑める。福岡の地酒「寒北斗」をヤりながら楽しむ。寒北斗、福岡県の地酒の中でもっとも愛飲している。

 接客、味、量。値段はメニューを観たことないが、まさに三拍子揃う名店で23時頃お開き後、飯塚のN井貴一からいつのまにか香ばしめの仙人のようなビジュアルに変貌していたN田氏と<トパーズ>。この店はマスターもママも私のことを覚えて下さっている。

 マスターやママ、N田氏と談笑していると、夜中1時に。最後の〆はN田氏のカラオケ。氏はママにスマホを手渡し、唄っているところを撮影してほしいと頼んでいる。

 氏と酒を酌み交わすようになって10年以上。知らない客の前でステージ上で今井美樹のバラードをカラオケしたり、かなりガチハードなYAZAWAバーで客に浜省を強要したり、スナックにDVDを持ち込んで鑑賞したり…。無双のメンタルを持つ、底が分からない不思議な男である。

 翌朝。気持ち良すぎる秋晴れ。急ぎ目に歩いて新飯塚駅へ。福北ゆたか線で博多へ向かう。

 普段、新飯塚へは折尾から向かい、帰路も折尾方面へ向かう。博多方面へは数年ぶりか。しかし車窓を眺めるヒマもなくひたすらPC猿打。眠いが、夢を見る暇なし。

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魔性の旨さ、パンのグラタン。

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私が一番好きなもつ鍋。

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福岡の地酒(寒北斗)。

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2階へ。

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独特な男。

posted by machi at 08:14| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする