肩を落としてトボトボ歩く。赤看板に白文字で「そば・餃子」という文字が視界に。「そば」だが横に「餃子」とあるので中華料理店(街中華)またはラーメン屋だろう。店の前には誰もいないようだ。グッと顎が上がり、前を強く見据えて歩を進めた。
店外券売機と対峙。「麺焼そば」「辛玉焼そば」…。エッ?焼そば?顔を上げて看板を確認。「麺焼そば専門店・こだわり餃子 バソキ屋」とある。
焼そばを昼メシに想定していなかった。私の口は完全に豚骨ラーメンモード。しかし、この店を逃すと昼メシそのものにありつけない可能性がある。弁当を買っても食べる場所がない。
券売機の前で2秒ほどフリーズしていると、店内から女性店員さんが現れ「お一人ですが?」。首肯すると「空いているカウンターへどうぞ」とステキな笑顔を向けてくる。
重いリュックを背負ったまま一時間以上歩いていた。疲れが溜まってきた。まさかの展開だが、これも何かの天の差配。
「目玉焼そば」のボタンを押す。大盛や肉増し、様々なトッピングのボタンが溢れる中で‘おすすめ’と激しく推してくるのが「Bランチ」。プラス220円で餃子3ヶ、おにぎり(2ヶ)、味噌汁がついてくるという。これだ。
店内へ。全員男性サラリーマン。ただし年齢層は幅広い。カウンターの端が開いていた。しかもそのすぐ下にコミックコーナーがあるというベストポジション。
水を飲みながら店内をグルリ見渡す。「麺焼そば」という言葉が新鮮というか哲学的。かぶっていないか。「麺焼そばのこだわり」が壁面に記されていた。要約すると、両面を焼くことで香ばしくパリパリモチモチになるとある。ここで、冒頭の日田(風)焼そばに回収される。
コミックコーナーの中で席を立たずに手を伸ばすだけで掴めた「進撃の巨人」最終巻をパラパラしていると、ランチの3品が卓上に。そして、目玉焼を載せた真打が降臨。
味噌汁で心を鎮め、まずは焼そば…。パリパリとした歯ごたえ。しかし、焦げていない。モチモチもある。すごい焼きの技術でないか。おにぎりをアクセントに食べ進める。噛み応えがあるので満足感、満幅感もある。餃子は大きい。一口サイズでないのも嬉しい。
そばを半分食べ終えて目玉の黄身を崩す。後は蕩けるように一気呵成。十数年ぶりと思しきパリパリ焼そば。「カタ」「バリカタ」の斜め上を行く食感だが思わぬ功名。大満足で店を出ると、行列ができていた。危なかった。
時間は12時25分。25分間の余裕というか、空いてしまった。ミッション会場前に<Kメダ珈琲>があったことを思いだす。店の前に行列はない。熱い珈琲で25分間寛ごう。
ドアを開けて店内へ。何故かレジ横に10人ほど座っている。店員さんが忙しそうに「お名前を書いてお待ちくださ〜い」。名前を書かず、1秒後に店を出た。
天の助け。
座ったまま手を伸ばせるキョリ。文庫かリミックスになれば全巻揃えんば。
充実のセット。
食べ終わって店を出ると行列が。

