2024年09月04日

第3496夜:呑み屋で茶を点てる男【田辺(和歌山)】

 茶道。創始者が誰が存じ上げぬが、その道のスーパースターと言えば千利休氏。私でも知っている。古くから日本に馴染んだ文化であり作法である。しかし、私が呑むお茶はペットボトルだけ。急須で入れたこともない。ましてや「茶を点てる」など。

 私の田辺市中心市街地貸店舗ツアーガイドが9年目を迎えた2023年11月下旬の祝日。全5回開催される田辺商工会議所主催「創業ゼミ」最終回を迎えた。私は毎年、初回のソロ漫談および創業経験者2名との「アヅ子の部屋」、最終回のツアーを担当する。

 最終回のメインは私も10年以上お世話になっているY本中小企業診断士。Y本先生を交えて7、8名で<きまま>で打ち上げすることもこの数年のすっかり習慣となった。

 Y本先生はコロナ前、田辺歓楽街のスナックにギターを持ち込み、自作の「キスミー田辺♪」を熱唱されていた。

 コロナ5類後の晩秋、<きまま>にギターが立てかけられていた。Y本先生が持ち込んだのかと思いきや、常連さんのギターという。勝手に弾いても良いらしい。

 先生は新曲を披露。「き〜まま〜、き〜まま〜、きままに田辺〜」。キスミー田辺のほぼ替え歌だが、先生の作曲だから無問題。数年ぶりに聞いたが、サビを覚えていた。自然に曲が口から洩れた。素晴らしいメロディメーカーであり、作詞家でもある。

 熱唱後、Y本先生はママに湯を沸かさせた。カバンから抹茶の粉や茶筅、茶碗を取り出した。そして、いきなり茶を点てだした。

 たまに呑み屋でギターを弾く御仁は見かけるが、茶を点てる御仁は見たことない。度肝抜かれていたら、ママをはじめ我ら酔っ払いにも1杯づつ点てて下さる。

 私は結構なお点前が出来ないのでただ啜っただけ。けど、実に旨かった。すっきりさっぱりした。初めて茶筅で点ててもらった。

 ママのおばんさいをツマミに麦焼酎ママ手作り梅干ソーダでド鯨飲していたら23時に。お開きとなり、5人で田辺駅前商店街に面したスナックへ。レギュラーメンバーのK藤氏と同い年というママ、気だるい田辺弁に色気を感じさせる美魔女である。

 ハイボールをヤリながら私は鹿沼で知ったバーチャルカラオケを満喫。Y本先生もAKBから演歌まで幅広く熱唱。どの歌を歌ってもY本ワールド全開。

 ここでも先生は茶を点てた。居酒屋ならまだしも、スナックで茶を点てる男。利休氏も彼岸で驚いているだろう。

 夜中1時を回った。最後は<一吉>の個室へ。生ビールで乾杯。私はこの店でシメる時、「カツカレーうどんのうどん抜き」と決めている。当然、メニューにない。しかし、数年ぶりに頼んだが何の聞き返しもなくオーダーが通った。ステーキも追加。

 ステーキやカツカレー汁をツマミに生ビール。この店ではさすがに先生は茶を点てることはなかった。けど、1軒目で点てて頂いたお茶のおかげか、鯨飲しているが全く酔わなかった。二日酔いも皆無だった。

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パンダ列車で紀伊田辺へ

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落ち着かない

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田辺の創業×空き店舗対策、10年間ほぼ不動のメンバー

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居酒屋で弾き語る漢

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居酒屋で茶を点てる漢

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美味しゅうございました

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スナックで茶を点てる漢

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深夜4時までのオアシス

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私の田辺のシメ。カツカレーうどんのうどん抜き

posted by machi at 10:51| Comment(0) | 和歌山県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月03日

第3495夜:大黒様の流儀【春日部(埼玉)】

 ふじ麺小豚。この5文字で二郎(インスパイア)系の香りを嗅ぎ取った御仁は上級のジロリアンである。春日部駅西口から徒歩5分程度の<大黒屋本舗>様で味わうことができる。

 連泊でもせぬ限り春日部であまり昼飯を喰うチャンスはないのだが、2023年度は昼ミッション中心。朝7時半ごろ神戸市内の自宅を出れば、スムーズなら正午過ぎに春日部入りできる。

 初秋の陽気に逆戻りした11月下旬。春日部日帰りミッションを決行した。前日に北九州から帰神し、翌朝に紀伊田辺へ移動する。その間隙を縫うため、日帰りとなった。せめて旨しラーメンを啜り、爪痕を残したい。

 その1か月ほど前、超人気店<金狼>でつけ麺を啜った。その際、同じ道沿いに<大黒屋本舗>を発見。次回はココと決めていた。飛びこむ。カウンターはなくテーブル席のみ。

 メニューを見る。2大推しが「ふじ麺」と「つけ麺」。他にも醤油、味噌、鶏塩、煮干、担々麺、麻婆麺まで揃っている。確か、まぜ麺もあったか。

 券売機でないことも好ましい。メニューを観ながら戦略を練ることができる。一般的に最上段「左側」がナンバーワンポジション。「ふじ麺」ゾーンだ。メニューが写真入りなのですぐに二郎インスパイアと判別できる。

 ノーマルが1,050円。ふじ麺小豚が1,350円。小豚がいわゆるチャーシューメンなのか。辛ふじ麺は1,180円。余談ついでに、ふじ麺とつけ麺以外は1000円以下だった。

 初めての二郎系店舗で大盛は危険。チャーシュー増しも危険だが、惹きに抗えぬ。麺量は中盛がプラス100円、特盛が250円。追加料金のない並盛を軸に生卵を別途追加。二郎における私の欠かせない味変アイテムである。

 トッピング系のマシマシ呪文がない(もう説明不要ですね)。しかし、セルフで「辛天かす」「漬ニンニク」が取り放題。辛天かす、大宮や川口で啜った二郎インスパイア系の有名店のトッピングメニュー。なかなか心強い。

 水を飲みながらぼんやりしていると、ブツ降臨。しっかり二郎系である。

 普段はスープからだが、二郎の場合はこんもり小山の野菜から…。首肯した。しっかり味付けが施されている。ただ茹でただけの味のない野菜をこんもり盛っている店もあるが、ひとシゴト加えられているだけで旨さが保証される。これは、当たりだ。

 スープは二郎系というより、魚介に近い。確かに店内にどこにも「二郎」をはじめ呪文を示す文言がない。完全にこの店オリジナルの世界観。我が十数年に及ぶ二郎歴の中でもトップクラスの絶品ぶり。夢中で啜る。分厚いチャーシューも柔らかく味が染みている。

 3分の1を食べ終えたところで辛天かすと漬ニンニク投下。一気にジャンク感、二郎感が増す。90分後にミッションなのだが、マスクするからまあいいや。

 残り3分の1で、生卵を使う。麺や野菜を浸して啜る。スープがあっさりなので生卵の力を借りずとも最後までイケたかもしれぬが、この味変は我が不動の戦法。ヤメラレナイ。

 さすがにスープは呑み切らん。しかし、麺、野菜を軽く啜り切った。春日部の我が定宿からなら徒歩3分程度。力強い店を発見した。

 私は体型も腹も大黒様であり、恵比寿様であり、布袋様。妙に親近感の沸く屋号である。

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最初居酒屋と思った

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初めての店では左上が基本

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大満足

posted by machi at 07:40| Comment(0) | 埼玉県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月02日

第3494夜:北Qカレー百景2023秋【北九州(福岡)】(後編)

 関門海峡を抜ける頃、カレーパンを取り出す。「冷めてもサクサク!!当社オリジナル製法」の文言が頼もしい。電子レンジで1分ほど温めた後にトースターで1分加熱するともっと旨い的なことも書かれているが、持ち帰らず、車内でかぶりつくことに。

 人気ナンバー1「牛肉の旨味たっぷり こだわりビーフカレーパン」から。確かに旨味が詰まっている気がする。ただ、カレーパンは普通のカレーライスより味の違いが我がバカ舌には分かりにくい。ちなみに税込313円。恐らく10種の中の最安値だ。

 ナンバー2「とろーり半熟卵のカレーパン」はクルトンか何かで数多くの突起を形成。

 かぶりつく…。トローリした黄身が溢れてきた。思わず笑みが漏れる。謎の突起も見事なアクセント。人気ナンバー2だけは温めて食べた方が絶対に旨いだろう。ちなみに税込453円。私がこれまでに食べたカレーパンの最高値を軽く超えてきた。

 他の8種類も試して来たくなった。「きっと見つかる」でなく「必ず見つかる」だろう。

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【44皿目:黒崎】「アルクイン黒崎プラス」オリジナルカレー・お野菜ゴロゴロカレー

 別れの朝。2023年11月21日、私は10時過ぎに黒崎を発つ。2010年から御縁を頂いてきた黒崎の最後の朝である。

 定宿はアルクイン黒崎「プラス」。サービス、清潔さ、部屋の広さ、設備、接客、価格の安さ、すべての点において百重丸である。ユニットバスに設置されている「ひげそりムース」が地味に嬉しい。これを部屋に常備しているビジネスホテルを私はココ以外存じ上げない。

 そして、アルクインの百重丸に大きく貢献しているのが、無料朝食。10種類ほどのパンが食べ放題の他、2種類のカレーも食べ放題。この食べ放題カレー、定番と日替わりで構成(たぶん)。そして、ヘタな専門店の千倍旨い。

 夜中2時まで鯨飲し、食欲が1gもない最後の朝。8時に目覚め、ユニットバスで強引に覚醒し、1階朝食会場へ。食欲的には珈琲だけだが、朝カレーは二日酔いの特効薬とも言われている(読んだことがある)。

 この日の朝は「オリジナル」と「お野菜ゴロゴロ」。お野菜は初見。さらに中央にモヒカンならぬ馬の背をライスで造形。そのすそ野の2種のカレーを滑らせていく。

 スプーンを手に、オリジナルから。安定というか、ただただ旨さが際立っている。お野菜ごろごろ、本当にゴロゴロである。どちらも旨い。ルーが足りなくなり、追加する。福神漬も。

 大満足でチェックアウト。玄関を出れば、そこは北九州の至宝<シロヤ>。小倉駅前は常に長蛇の列だが、黒崎店は並ばずに買える。フランスパン、玉子ロール、バターパン…。今夜の、または翌朝の朝食である。黒崎の思い出を噛みしめながら。

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posted by machi at 04:15| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月01日

第3493夜:北Qカレー百景2023秋【北九州(福岡)】(前編)

【42皿目:小倉(古船場)】「ファミリーマート」(ファミチキ×)タルタルチキン丼 キャベツ炒め入り(カレー風味)

 『スラムダンク』。バスケ漫画の金字塔である(たぶん)。連載が始まった頃、私が入れ違いで『ジャンプ』を卒業した。ゆえに私はスラダン(この略語も最近知った)を知ってはいるが(タイトルとバスケ漫画であること)、読んだことがなかった。

 小倉の我が2大定宿に続く第3の宿(Cラウンヒルズ)は1回入口横にかなりの数のマンガがある。部屋に持ち込める。以前、ここで『GANTZ』にハマり、後日全巻コンプリートした。

 ある暑くも寒くもない秋。第3の宿に近いコンビニでテイクアウトすることに。スラダンを1巻から読むための友として。

 私が手に取ったのは「(ファミチキ×)タルタルチキン丼(ファミチ キャベツ炒め入り(カレー風味)」。税込598円。

 普段はたまにコンビニのホットスナックを親しむ程度だが、Lチキ、ななチキ、ファミチキ、どれも好物である。そのファミチキとタルタルな丼。チキン南蛮丼のテイストか。期待が高まる。レンジで温めて頂く。

 いそいそと部屋に戻り、蓋を外す…。ほのかにカレーの香りが漂うが、キャベツの量はごくわずか。そして、ファミチキと思しき物体を5等分にしている。もちろん、不味かろうはずはない。旨い。あっという間に平らげた。

 食べ終えて、満足感よりも残尿感が勝った。ファミチキは1ヶ200円程度。パックライスも100円程度。これで300円。タルタルソースとごく少量のカレーキャベツで300円…。料理のできない私でも作れるのではないか。

 そんな残尿感も、あっという間に滅失。スラダン、とんでもないぐらい面白かったからである。全巻購入しなければ。文庫版はあるのかな。

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【43皿目:ビエラ小倉】「博多カレーパン研究所」こだわりビーフカレーパン・とろーり半熟卵のカレーパン

 <博多カレーパン研究所>。小倉駅3階土産物売場にステキなラボが開いてた。気づかなかった。よく観ればサバーガー(未食だけど、たぶん鯖サンド系)に間借りしていた。

 ある秋の昼。新幹線の時間が迫りラーメンを啜る時間無きゆえ、新幹線車内用の昼メシを物色していた。駅弁はとっくに全種類制覇。その折、前述のカレーパンを発見した。

 10種類もあった。「あなたの好きなカレーパンがきっと見つかる!!」らしい。じっくりチェックする時間は無く、ホットケース内の「人気1」「人気2」を指名。

 切符売場は引くほどの混雑っぷりだが車内ガラガラ。どうやら臨時増便らしい。〔次夜後編〕

posted by machi at 05:37| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月31日

第3492夜:もうひとつの都心【黒崎(北九州)】

 副都心。神戸なら「新長田(西の)」で、北九州なら「黒崎」である。

 2022年から新たに御縁を頂いた長崎街道黒崎宿「熊手銀天街」。2年間で10店舗が新規出店。かつ2店舗が早々に出店準備中。1ダースの新規出店は心強い。黒崎の、熊手のソコヂカラを感じる。飲食可能で20坪以下なら黒崎は瞬殺で埋まる。

 2011年から北九州と本格的にお世話になった私にとって、黒崎は起点であり拠点だった。私がフリーになる前年、サーズが神戸発祥で話題になった。この時、黒崎にお招き頂いた。

 当時、神戸市の中学生が修学旅行に北九州へ来るのは常識がない的な趣旨を北九州市長が発言し、神戸市長が反論。そんな折ゆえ、私はマスク着用のまま2時間の漫談。聴衆もマスク。

 当時は貴重でレアな経験で笑い話にしていたが、2020年のパンデミックから当たり前の光景に。先取りしていたと言えないこともない。

 フリーになった年、近畿地区タウンマネージャー候補数名を引き連れ「アヅマジャパン」を結成。北九州市の黒崎へ1日研修を決行。翌年の大津波の年(2011年)、私の黒崎が始まった。

 私の黒崎は13年間ずっとではない。トビトビである。前半から中盤は黒崎駅前新天街、最後の2年間は熊手銀天街。2023年、私と黒崎の御縁も終わる。寂寥感よりも達成感が強い。

 最後の黒崎の夜。8人で<ニーグ>。黒崎駅前新天街から移転してきたという。しかも、オープン初日。私の最終日に初日を迎えるお店に訪問する奇遇。まさに新旧交代だ。

 料理はどれも旨かった。ハイボールの濃い目が嬉しい。流行ることは間違いない。

 この夜は月曜。こげんも肴やも定休日。<バーバーズバー>へ向かう。私は2度目。ハイボールをやりながら同行氏や常連さんらと談笑。

 枝光かどこかで人身事故が発生したらしく、電車が動いていないらしい。同行2氏は帰れない。しかし、とりあえず駅まで。私も普段なら一緒に慌てているのだが、この夜は黒崎泊まり。大正解である。 

 動き始めたようだ。2氏とお別れ。また出会える日が来ることが祈念する。

 私はホテルへ向かう。しかし、そのまま通り過ぎて<ミッキー>へ。ギガハイボールをやりながら浜省をリクエスト。マスターがミスチルと浜省のフェスコラボの激レア動画を見せてくれる。シビれる。

 「もうひとつの土曜日」「ロマンスブルー」をリクエストした後、最後は「ラストダンス」。私もラストダンスだ。十数年間、ステップを間違え続けて何度もねん挫しそうになったけど。

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熊手銀天街にニューオープン(2023年11月)

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私、銀杏がわりと好物

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世界で一番好きな食べ物かも

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2軒目

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奥の紳士とは十数年のお付き合い

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最後は浜省バー

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もちろん、ギガ

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目に焼き付ける風景

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ラストジョッキ

posted by machi at 03:43| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする