神戸ビフテキ亭。新大阪駅在来線改札内の物販ゾーンで存在感を放つ煌めいている肉系弁当や総菜のテイクアウト専門店である。51歳(当時)の私はそのうち45年以上神戸市民だが、この店がどこにあるのか知らぬ。新神戸駅にはない。三宮や元町あたりにあるのかもしれないが。
コロナ前、ここ赤身のローストビーフ丼を賞味した。旨かった記憶がある。ただ、新幹線車内か紀南へ向かう特急車内でパクついたのかは覚えていない。
アレは何だっんだと全世界の黒歴史になったコロナが明けて数年後の秋の3連休の中日。新大阪駅は人種のるつぼ的な混沌賑わいに満ち溢れている。紀伊田辺へ向かう特急くろしお号発車まで10分弱。遅めの昼メシを捕獲すべく物販ゾーンへ向かう。
巨大な駅弁専門売場もあるが、何故かここはめったに利用しない。神戸の雄・A路屋様が大阪だけでなく京都も制圧している。何となくだか、大阪っぽい店で買いたくなる。しかし<神戸ビフテキ亭>の惹きに抗えない。神戸で買えない、神戸。‘弊店の神戸牛は最高ランクの『本物の神戸牛』です」と何故かかなり控えめに小さく表示されている。
数年前、この店のラインナップを観て唖然とした。「日本一の牛肉弁当」が32,400円(税込)である。その横がその10分の1程度1000円代から4000円代がずらりと並ぶ。
この日、私が手にしたのが「牛とろローストビーフ弁当」。税込1760円である。令和になり、1000円以下の駅弁が絶滅の危機に瀕している。1500円前後が定番になりつつある昨今、1760円は決して高すぎない。店員さん曰くこれが1番人気らしい。そして、ラスイチだった。
ご飯が見えぬほどにびっしりと美しいサシが入った(神戸)牛が並べられている。値段の安さから、本当に神戸牛?と神戸市民の私は訝しんでしまう。
私は霜降より赤身好き故、和牛よりも米国牛を好む。しかし、たまに和牛を食べたくなる。前夜、小倉の肉屋でマボロシの小倉牛が半額だったので3切だけ購入。広げるとフライパンいっぱいのサイズ。それぞれ塩コショウ、ポン酢&葱、すき焼きタレ&生卵で堪能した。とてつもなく旨かった。決して安価でないが、外食で食べることに比べたら凄まじくお得である。
特急くろしおに乗り込む。眩しい太陽光線がローストビーフをきらめかせる。ミッション前故、アルコールはご法度。ペットボトル水である。
3種の小袋があった。ステーキソース、洋風わさび、そしてウニソース。ステーキソースとウニソースで分断。洋風わさびはウニに寄せる。
特急が動き出した。まずは一切れ…。蕩けた。しつこくない。実は「軽く温めますか」と店員さんに聞かれて激しく首肯。わずかな温めが脂を溶解させサラリと仕上げている。ソースとの相性も良く、ライスにも風味が移転している。
ウニソースは新発見。刮目の旨さだった。洋風わさびを添えると味変どころでないウルトラ確変に突入。後は無我夢中。じっくり味わうつもりが、隣の大阪駅に到着する前に完食。
翌日は逆ルートゆえ、正午過ぎに新大阪駅で特急から神戸線に乗り換える。明日も買おうかな。今度は神戸の自宅に持ち帰り、晩酌の肴として。
肉弁当のジャングル。
思わず目を疑う(上段)。
掛け値なく絶品。ぜひお試しあれ。
翌日はミニサイズなどを自宅で。

