2025年12月16日

第3806夜:宇都宮駅「燻煙香箱」「みぶのサビかん」【駅弁】

 「燻煙香箱」。焼ベーコン、焼スモーク豆腐、粗びきソーセージ、燻し鶏つまみ、燻し豚なんこつ…。益子町の「とん太ファミリー」様とのコラボとパッケージにある燻製の駅弁である。

 宇都宮は駅弁発祥の街であり駅であるらしい。すべての調整元は北関東を統べる<松廼屋>様。宇都宮駅でこれまでかなりの種類を味わってきたが、入れ替わり激しく出会いは一期一会。迷って逃すと永久の別れになる。

 「燻煙香箱」は明らかに新顔。捕獲後、すぐ横の駅コンビニで栃木県内のカップ地酒を数種類捕獲。その夜、懇親会から定宿に戻り、ユニットバスでコリを解してからフタを外した。

 これほどの酒ツマ駅弁があるだろうか。特に豚なんこつは刮目の秀逸。散々呑んだ後だが缶チューハイロング缶が瞬殺。宇都宮の地酒「黄ぶな」をチビチビやりつつ夕刊を読みふける。

 おかずが無くなった。びっしりと真っ白なライスが広がっている。出張に常備している四次元ポーチからふりかけを取りだした。

 翌朝。6年間の及んだ栃木県ミッションを終え、帰神する。今度はいつ宇都宮駅を利用するか分からない。隣接する鹿沼市に我が関東支店(串カツJu-So)あれど、JR宇都宮駅を経由するか分からない。宇都宮駅の利用が我が生涯最後の朝になるかもしれない。

 駅弁売場へ。前日は夕方だったのでいくつか売切れていた。10時前だったのでフルラインナップ。実食済駅弁はスルーし、未食をチェック…。異様なまでの存在感を別の意味で放っている作品があった。「みぶのサビかん」。駅弁秋の陣北関東エリア賞受賞駅弁とある。

 この名称は栃木県に馴染なければ意味不明だろう。翻訳すると「壬生町のワサビ入りかんぴょう巻」の略。寿司ネタの中でも屈指の地味さを誇る「かんぴょう巻」一択の駅弁だった。

 国産かんぴょうの98%は栃木県で生産されているという。18世紀初頭、壬生藩主のお殿様が近江より種子を取り寄せたことで広まったという。知らなかったが、「ゆうがお」というウリ科の実をヒモ状に裂いて夏の日差しで乾燥させたものらしい。ちなみに全国で出回っているかんぴょうのほとんどが中国産だろう。栃木県のかんぴょうは高価である。

 かんぴょうといえば宇都宮市と小山市に挟まれている下野市一択と思っていた。下野市のマスコットキャラはかんぴょうだし、石橋駅前にはかんぴょうと書かれた看板が並んでいる。

 岐路の新幹線。宇都宮のカップ酒をチビチビやりながらサビカン(わさび入りかんぴょう細巻)をつまむ。キャッチコピー通り「甘さの中にツンとしたワサビの辛み」そのまんまの味。

 地味で清貧だが、異様なまでの満足感がある。「〆のひと皿」として推奨しているらしい。値段は1050円。スーパーなら300円以下だろうがそれを上回る駅弁ならではの演出が眩しい。

 私の寿司屋の〆ネタは煮穴子か穴きゅう巻、玉子が多い。これからかんぴょう巻にしてみるか。ただしワサビを多めに加えてもらった「サビかん」で。

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2025年04月15日

第3645夜:京都駅「八坂邸和牛姿焼弁当」【駅弁】

 「八坂邸和牛姿焼弁当」。<八坂邸>さんという京都の割烹がプロデュースしていると思しき<ミートショップヒロ>さんが調整元の京都駅弁である。

 ある平日の冬。凄まじい混雑ぶりの京都駅で在来線特急から新幹線に乗り替える。駅そばを啜るつもりだが、まず駅弁売場を覗いてみる。京都駅もバラエティに富んでいる。その特徴は駅弁専門の調整元というより、老舗や人気店が直売または監修している比率が高い。値段は高めだが、かなりの工夫が凝らされている。店で味わうよりはリーズナブルかもしれない。

 時間は11時半。おかずたっぷり幕の内系は酒の肴に好適だが、ミッション前のノンアル期には少々物足りない。逆に肉一択系などはおかずが少ないので酒の肴として寂しい。

 そんな状態の我が琴線に触れたのが「八坂邸和牛姿焼弁当」。1100円はこのテの駅弁としては安いかもしれない。。新幹線発射時間まで30分弱。かなりの空腹だ。

 私は待合室に行き、空いている席を見つけた。掛け紙を外す。巨大な肉が一面を覆い、御飯が見えない。一枚の名刺サイズのカードが挟まれている。思わず目を剥いた。使用している和牛の詳細が記載されている。「弘BEEF認定証」だった。

 出荷者「ダイチク」、血統「金照」、トレサビ(個体識別番号)「1343759410」、産地「長崎」……。産地長崎以外さっぱり分からない。暗号のようだが、それだけ見事な和牛ということだろう。長時間しっかりと肥育されているので、とても濃厚な味わいが楽しめますとある。

 弘BEEF認定基準も書かれている。「京都食肉卸売市場で弘が直接厳選して競り落とした牛」「生産者は弘と交流があり、生産手法やその人柄にも信頼のおける人」「肉質基準として、霜降り度合(BMSNo.6以上の牛」。……。世界遺産も顔負けの厳しい認定基準である。

 フタを外す。……。思わず目を見開いた。周囲を見渡した。強烈なニンニクの香りである。これほどパンチ力のある香りの駅弁は初めてだ。京都のハンナリしたイメージなどどこにもない、タフでワイルドなビジュアルとタタズマイ。

 肉を箸でつまむ。……。切れ目なし。まさに姿焼。かぶりつく。……。ピリ辛でニンニクの激しい旨みが破裂する。その後、肉の甘みと旨みがトロリ流れてくる。タレのついたご飯を口に運ぶ。……。動と静、熱と冷、アダムとイブ。白米の旨さを再認識する。

 あっという間に食べ終えた。ホームは外国の方で賑やか。余韻に浸りながら新幹線に乗り込む。瞬間、これまで嗅いだことのない種類の香辛料的スメールが鼻孔に飛び込んできた。アジアのどこかの国に迷い込んだ気がした。

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2016年頃の死蔵ネタより。

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2024年08月07日

第3473夜:のり弁のお品書き【駅弁】

東京駅18番ホーム14号車付近。ウワサでは広大無比な迷宮・東京駅構内において2か所しかない立ち食いそばがあった付近である。「あった」という表現通り、2023年11月時点では存在しない。その跡地には「海苔弁当」専門店に入れ替わった。

 コロナ禍は休んだり営業時間を短縮したりだったが、18番ホームで熱々を提供していた。駅そばマニアの間では全国的に有名な「かつ煮そば」があり、カツ丼もテイクアウトできるのでそのまま新幹線車内に持ち込んで熱々に食らいつける稀有な経験を提供してくれていた。季節ごとのかき揚げそばも四季折々で印象深い。

 18番ホームは東海道新幹線の一角。私が知る限り、東海道新幹線には3本ホームあれど、ここだけ立ち蕎麦があった。コロナ禍でかなりの数があった売店も間引かれ、3分の2は5類になり半年近くなった2023年11月現在も閉まったまま。地味に不便である。

 私はほか弁系テイクアウトでは99%「のり弁」。安さ、旨さ、ボリューム…。他の追従を許さない。駅弁においてはのり弁の占める比率は決して高くない。むしろ稀と言ってよい。

 その中で郡山駅の調整元<福豆屋>様ののり弁シリーズは孤軍奮闘の趣。味も申し分なし。このバカブログでも以前書き散らしたはず。

 ある秋の正午過ぎ。私の乗る新幹線がちょうど東京駅18番ホームに入線。14号車あたりに乗っていた。下車するとのり弁屋が聳えていた。

 この日は早朝に小倉を発ち、東京で東北新幹線に乗り換え郡山を経由して会津若松へ向かう。新幹線乗換時間は20分。朝から何も食べておらず空腹である。

 その24時間前。小倉へ向かう新幹線車内で新神戸駅弁「姫路城鶏のり弁」を腹に入れていた。世界遺産登録30周年記念である。

 新神戸駅は淡路屋様とまねき食品様の2大調整元が東西の横綱。駅弁も大充実で新製品も頻繁ゆえチェック欠かせぬ。その中でも私はこの駅弁を選んだ。酒のツマミには具沢山の幕の内系を好むが、酒呑まぬ朝昼は単品一本勝負。のり弁が本能的に好き故か、見かけたら外せぬ。

 巨大な竹輪磯辺揚げ、鶏照焼をメインに副菜も充実。人参の形がお城な点がこの駅弁の矜持か。喰い終わって気づいたが、ほぼ1年前、全く同じ駅弁を実食していた。

 それから24時間後、18番ホームでのり弁を捕獲すること。駅弁売場は数あれど、のり弁はココ限定。それ以上に、営業時間が朝から14時まで。14時終わりはハードル高く、今まで御縁が無かった大きな理由だ。

 何種類かあるようで、すでに2種類のみ。私が選んだのは「季節限定旅海苔弁(鰤照焼)」。1140円は駅弁としては普通だが、ほか弁なら3ヶ以上買える。3倍の価値を伝えて頂きたい。

 東北新幹線上野駅を超えたあたりでフタを外す。「お品書き」があった。豪華な駅弁ではたまに入っているが、のり弁にお品書きなど初めて。鰤照焼、圧倒的な存在感を放っている。

 「米」は山形県庄内平野で本間さんが丹精込めて育てたコシヒカリ、らしい。

 「海苔」は香り豊か、口どけ滑らかでとろけるような甘みのある有明産、という。

 「魚」はこだわり熟成で、旨味を最大限に引き出した焼き魚、とある。

 「唐揚げ」は熟成仕上げ、肉の旨味をはっきり感じる鶏唐揚げ、だそうだ。

 「副菜」はラー油でピリ辛に仕上げた、牛蒡の風味を活かしたきんぴら、ときた。

 「漬物」は塩分8%仕立て、爽やかで食べやすい紀州産南高梅、と結んできた。

 照焼に齧りつく…。味が濃い。濃厚である。噛みしめると旨味が弾ける。すかさず海苔メシで追いかける。

 やるではないか。お品書きを封入するだけの自信に首肯。酒のサカナにも好適。しかし、もし駅ホームに3大ほか弁チェーンがあれば、恐らくそこでのり弁を買ってしまうだろう。タルタルソースを追加して。

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新神戸駅で捕獲。

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東京駅新幹線18番ホーム。

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捕獲。

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お品書き。

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ゴージャス。

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東北新幹線へ向かう途中、「かぬまシウマイ」ポスター発見。

posted by machi at 05:53| Comment(0) | 駅弁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする