2024年08月07日

第3473夜:のり弁のお品書き【駅弁】

東京駅18番ホーム14号車付近。ウワサでは広大無比な迷宮・東京駅構内において2か所しかない立ち食いそばがあった付近である。「あった」という表現通り、2023年11月時点では存在しない。その跡地には「海苔弁当」専門店に入れ替わった。

 コロナ禍は休んだり営業時間を短縮したりだったが、18番ホームで熱々を提供していた。駅そばマニアの間では全国的に有名な「かつ煮そば」があり、カツ丼もテイクアウトできるのでそのまま新幹線車内に持ち込んで熱々に食らいつける稀有な経験を提供してくれていた。季節ごとのかき揚げそばも四季折々で印象深い。

 18番ホームは東海道新幹線の一角。私が知る限り、東海道新幹線には3本ホームあれど、ここだけ立ち蕎麦があった。コロナ禍でかなりの数があった売店も間引かれ、3分の2は5類になり半年近くなった2023年11月現在も閉まったまま。地味に不便である。

 私はほか弁系テイクアウトでは99%「のり弁」。安さ、旨さ、ボリューム…。他の追従を許さない。駅弁においてはのり弁の占める比率は決して高くない。むしろ稀と言ってよい。

 その中で郡山駅の調整元<福豆屋>様ののり弁シリーズは孤軍奮闘の趣。味も申し分なし。このバカブログでも以前書き散らしたはず。

 ある秋の正午過ぎ。私の乗る新幹線がちょうど東京駅18番ホームに入線。14号車あたりに乗っていた。下車するとのり弁屋が聳えていた。

 この日は早朝に小倉を発ち、東京で東北新幹線に乗り換え郡山を経由して会津若松へ向かう。新幹線乗換時間は20分。朝から何も食べておらず空腹である。

 その24時間前。小倉へ向かう新幹線車内で新神戸駅弁「姫路城鶏のり弁」を腹に入れていた。世界遺産登録30周年記念である。

 新神戸駅は淡路屋様とまねき食品様の2大調整元が東西の横綱。駅弁も大充実で新製品も頻繁ゆえチェック欠かせぬ。その中でも私はこの駅弁を選んだ。酒のツマミには具沢山の幕の内系を好むが、酒呑まぬ朝昼は単品一本勝負。のり弁が本能的に好き故か、見かけたら外せぬ。

 巨大な竹輪磯辺揚げ、鶏照焼をメインに副菜も充実。人参の形がお城な点がこの駅弁の矜持か。喰い終わって気づいたが、ほぼ1年前、全く同じ駅弁を実食していた。

 それから24時間後、18番ホームでのり弁を捕獲すること。駅弁売場は数あれど、のり弁はココ限定。それ以上に、営業時間が朝から14時まで。14時終わりはハードル高く、今まで御縁が無かった大きな理由だ。

 何種類かあるようで、すでに2種類のみ。私が選んだのは「季節限定旅海苔弁(鰤照焼)」。1140円は駅弁としては普通だが、ほか弁なら3ヶ以上買える。3倍の価値を伝えて頂きたい。

 東北新幹線上野駅を超えたあたりでフタを外す。「お品書き」があった。豪華な駅弁ではたまに入っているが、のり弁にお品書きなど初めて。鰤照焼、圧倒的な存在感を放っている。

 「米」は山形県庄内平野で本間さんが丹精込めて育てたコシヒカリ、らしい。

 「海苔」は香り豊か、口どけ滑らかでとろけるような甘みのある有明産、という。

 「魚」はこだわり熟成で、旨味を最大限に引き出した焼き魚、とある。

 「唐揚げ」は熟成仕上げ、肉の旨味をはっきり感じる鶏唐揚げ、だそうだ。

 「副菜」はラー油でピリ辛に仕上げた、牛蒡の風味を活かしたきんぴら、ときた。

 「漬物」は塩分8%仕立て、爽やかで食べやすい紀州産南高梅、と結んできた。

 照焼に齧りつく…。味が濃い。濃厚である。噛みしめると旨味が弾ける。すかさず海苔メシで追いかける。

 やるではないか。お品書きを封入するだけの自信に首肯。酒のサカナにも好適。しかし、もし駅ホームに3大ほか弁チェーンがあれば、恐らくそこでのり弁を買ってしまうだろう。タルタルソースを追加して。

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新神戸駅で捕獲。

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東京駅新幹線18番ホーム。

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捕獲。

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お品書き。

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ゴージャス。

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東北新幹線へ向かう途中、「かぬまシウマイ」ポスター発見。

posted by machi at 05:53| Comment(0) | 駅弁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月27日

第3366夜:会津田島駅「しんごろう入り南会津おふくろ弁当」【駅弁】

 しんごろう。南会津で実在していたとらしい人名であり、南会津の郷土料理の名称である。

 しんごろうという名の若者が母のためにご飯を半づきにして丸め、じゅうねん(荏胡麻)味噌を塗り焼いたものを食べさせたという。新米が出た時に振舞われるそうである。

 「しんごろう入り南会津おふくろ弁当」を会津田島駅構内で発見、捕獲した。

 会津田島駅は浅草からの東武特急終点(または始発)。私は春日部、栃木、鹿沼、日光あたりから会津若松へ移動(またはその逆)する際、田島で乗り変える。3分ほどしか時間ない時もあるが、だいたい15分ぐらいの乗換時間がある。

 田島駅で購入する「とうがらし味噌」は我が必需品。かなり辛いがニンニクも効いている。そもそもあまり自宅にいないので減らないのだが、田島で降りるとつい買ってしまう。

 田島駅の駅弁コーナーも見逃せない。私の知る限り、会津地方で最も駅弁が充実している。東武線すべての駅においても、私の知る限り東武日光駅と双璧。

 田島駅の「ソースカツ丼」と「南会津さとやま弁当」は実食済。煮込みカツ丼(普通のカツ丼)や稲荷寿司、巻寿司、500円代の弁当も数種類あった。

 12泊13日のムチャ旅11日目。会津若松から快速で会津田島駅へ。時間は10時半過ぎ。売店を除くと、ラインナップが充実していた。もう1時間遅ければ何もなかったかもしれない。

 初見の品発見。冒頭の「しんごろう入 南会津おふくろ弁当」である。調整元は「かどや」様。1200円。ずしりと重い。切らしていた煙草も1箱購入し、一服してから特急に乗り込む。

 ガラ空きの特急が動き出した。車内アナウンスが流れた。この特急、全座席満席という。

 観光シーズンや土日はよく満席に。この時期、私も前日に切符を買うようにしている。田島からはまだ空いているが、1時間後の鬼怒川温泉から思いっきり満席になるはず。私の隣は誰もいない。鬼怒川に着くまでに食べ終えねば。

 懸け紙を外す。裏側に料理の解説がびっしり。「しんごろう」の由来も。そして、南会津の郷土料理が隙間なくびっしり埋まっている。地元素材にこだわった手作り弁当と書かれている。

 「南会津産のアスパラ天麩羅」。4月から10月までらしい。サクサクとフレッシュで、先鋒として申し分なき働きである。「かまぼこ」も歯ごたえありシブい活躍。

 「厚焼き玉子」は使い込んだ銅製フライパンが美味しさの秘密らしい。確かに美味しい。じっくり数時間煮込んだ「自家製いなり寿司」は甘さも爽やか。ジューシーでボリュームある。

 味付けが見事だった「自家製塩糀のから揚げ」にかぶりついた後、冒頭の「しんごろう」。最初、肉の塊に見えた。かぶりつく。甘い。荏胡麻味噌が甘いのか。しかし、上品さがある。

 抜群だったのが「本ぜんまいと打ち豆の煮もの」。青豆を木槌で潰した冬越えのための保存食という。これ、酒、それもウィスキーのツマミに好適。パリッと香ばしく、甘さとコクが絶妙。これだけ別売りで買って帰りたいほど。

 「舘岩特産赤かぶ漬」で舌を引き締めた後、我が好物「にしんの山椒漬」。前夜、居酒屋で売り切れで食べられなかった。身欠きにしんを山椒の葉を入れたつけダレで漬け込んだ料理。会津田島祇園祭のおもてなし料理という。若松でなく田島発祥だったのか。

 これ、無限に日本酒が進む。土産物売り場で見かけない。これも買って帰りたい。

 最後は「地元おばあちゃんの梅干入り青しそおにぎり」。最高の〆である。満腹である。

 私はこれまで800種類ほど駅弁を楽しんできた。この駅弁、ベスト3位以内かも。日本酒があれば一升は開きそうである。数時間後にミッションを控える私は、無糖フルーツティーで流し込まざるおえなかったけど。

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充実の田島駅。

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我が駅弁千物語でベスト3位クラスの絶品。

posted by machi at 08:38| Comment(0) | 駅弁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月20日

第3314夜:会津田島駅「ソースカツ丼」【駅弁】

 会津田島駅。浅草駅を始点すれば、複数ある東武鉄道終着駅の中で私が知る限り最も遠い。東京、埼玉、栃木を経て福島まで。田島からは会津鉄道に乗り換えて終点の会津若松まで旅する。

 会津と栃木(栃木・鹿沼・日光)や埼玉(春日部)を移動する際、タイミングが合えば東武特急を利用する。その際、会津田島駅で乗り換える。乗換時間3分の時もあれば、30分の時も。

 ある夏の朝。新鹿沼駅に行くと巨大ないちごのオブジェが立っていた。新鹿沼駅は半年ぶりだが、こんなのあったか?いちごデザイン押しが激しいバス停標識やいちごポスターに、鹿沼シウマイの冷凍自販機やシウマイ顔はめパネルが交互に並んでいる。陣取り合戦のようだ。

 私も地区外会員である鹿沼商工会議所は「シウマイのまち」として全力で領域展開中。一方市役所のスタンスはあくまでも「いちご」らしい。永遠に相容れない深すぎる溝と闇がある。

 ちなみに、鹿沼市以外の栃木県民の数人に「鹿沼に苺のイメージはあるか」聞いてみた。すべての人が同じ答えの「No!」。しかし、鹿沼はシウマイで町おこしをしていることは95%が知っていた(アヅマ調べ)。私の中ではシウマイの勝利である。

 11時前に乗り込んだ特急はほぼ満席。12時半、会津田島駅着。会津若松行き乗換15分。いったん改札を出て充実している売店へ。

 田島の売店で時間がある時は「とうがらしみそ」を買い込む。大蒜風味たっぷりで、激辛。味噌ラーメン(Sッポロ一番)、テイクアウトした焼鳥にチョン付けすると確変モードに。この日は東武沿線7泊8日タフミッション2日目。この間に消費できぬブツを買う余裕はない。

 猛烈な空腹が襲ってきた。会津若松着後は間髪入れずミッション。夜まで固形物を口にするチャンスはない。

 売店に駅弁コーナーが。「南会津さとやま弁当(松茸ごはん)」「会津ソースカツ丼」の2種。さとやまが1200円、カツが650円。

 ソースカツ丼は会津若松市内の店舗やスーパー、コンビニで数え切れぬほど喰ってきた。さとやまは気になるが梅雨時期に松茸がピンとこない。しかし、あまり迷っている時間はない。

 私は2つとも手にレジへ。一人じゃなくツレの分も一緒に、という空気感を醸しながらお会計。そうせねば、箸は1本、レジ袋1枚に2つとも入れられる。私が2ヶとも一気に喰うと思われる。まあ、間違いでないけれど。

 独りなのにツレがいるフリを装いながら2つの駅弁を手に会津若松行き普通列車へ。嫌な予感がした。いつもは2車両なのに1車両しかない。

 乗り込む。車窓が見える4人掛けはすべて埋まっていた。普段、会津へ向かう(その逆も)際は平日。ゆえにガラッガラ。この日は土曜。観光客でかなり混んでいる。

 横一列シートへ。少々恥ずかしいが、空腹には勝てぬ。さとやま弁当はおかずびっしりなので、ゆっくり酒を呑みながら味わいたい。この夜の夜食にすることに。

 ソースカツ丼を取り出す。南会津町内のレストランが作っているようだ。ずしり重く、650円は駅弁とすれば破格の安さである。

 水で喉を潤し、まずはカツ…。美味い。旨い。甘い。そして、巧い。冷えても抜群。これぞ駅弁である。肉は柔らかく、ソースに胡麻風味がある。キャベツも程よくなじんでいる。

 桜漬を箸休めの夢中で喰う。目の前の車窓を眺めながら…の予定が、前の座席(横一列シート)に一人旅のオヤジが私の同じように駅弁を頬張っていた。オヤジも車窓を眺めるつもりが、私の飯を食う姿を眺めながらなのだからお互いに気の毒な展開である。

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東部新鹿沼駅前。

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光(シウマイ)と闇(イチゴ)のハルマゲドン@

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光(シウマイ)と闇(イチゴ)のハルマゲドンA

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光(シウマイ)と闇(イチゴ)のハルマゲドンB

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光(シウマイ)と闇(イチゴ)のハルマゲドンC

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両方とも抱きしめる。

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会津名物。

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膝にのせて。

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その夜の深夜。

(付記)

これから半年後の12月上旬に頬張った会津田島駅の「ソースカツバーガー」(400円)、掛け値なしに絶品でございました。

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posted by machi at 10:56| Comment(3) | 駅弁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする