ギネス。私が最も愛するビールである。我が家の「冷蔵庫にも常に常備」している。バーなどで見かけると頼まずにいられない。
我が家の蔵書コミックに衝撃の1話があった。そこには「ギネスは常温」で吞む方が圧倒的に旨いとつづられていた。目を疑った。自我が崩壊しそうになった。
そういえば20代の頃、ロンドンのパブに夜中に独りで飛び込み、ギネス(だったか)を頼んだ。キンキンに冷えていなかったが異様に旨かった記憶が残っている。しかし家で試す気にはならない。ビールは可能な限りキンキンに冷えてほしい。たとえ真冬の屋外であっても。
自宅吞みならキンキン冷え冷え発泡酒(たまに缶ビール)から始める。とりビーならぬ「とりハ(ハイボールではありません)」習慣は一生続けるつもりである。たまに居酒屋の1軒目でその日の最初の生ビールがイマイチだったら涙がこぼれそうになる。
タフな出張からの帰路。新幹線に乗る前に缶ビールを売店で買う。ギリギリまで冷えたヤツを動き出してからヤリたいので、発車直前にホームで買う。ただ、冷えていない時もあるので注意が必要である。ホームにない場合は改札内外の最も近い売店を利用する。
最もよく利用するシチュエーションは東京駅から新神戸駅までの2時間45分の夜。発泡酒ロング缶2本、缶チューハイのロング缶1本。この3本を売店で買う。当然だが時間が経つとヌルくなる。静岡を超えるあたりでロング3本は滅失する。
以前は車内販売があった。缶ハイボールを買うとカップに氷を入れてもらえるので重宝していた。クーラーボックスまで出張に持ち歩くとさすがにヘンである。ゆえにウィスキー、日本酒、赤ワインなど常温でヤレる酒精でチビチビすることになる。
ある秋の日。神戸から栃木県佐野市まで日帰り出張の帰路。乗り換えの小山駅前の超お気に入りスーパーでその夜の酒とアテを仕入れる。アテは唐揚、チキン南蛮、ポテトチップス、ビーフジャーキー、チーズなど。酒は…。
ギネスが視界に入った。冒頭の「常温」を思い出した。駅の売店やコンビニでギネスを見かけたことはない。そこそこ大きなスーパーや高級スーパーでなければギネスは並べられていない。カゴに3本放り込んだ。定番の缶ビールと缶チューハイも1本づつ。
小山から東京の車内で定番の2本をカラにした。そして、東京から新神戸の車内。ギネス、冷え冷えでない。カシュっと開ける。泡がこんもり盛り上がる。某メーカーの缶ジョッキのようである。ゴキュゴキュする…。悪くない。むしろ良い。ギネスは呑むのではなく「噛む」らしいが、確かにその表現が相応しい。しかし、最早ビールでなく別の飲み物な雰囲気である。
出張先でギネスを入手するにはかなりの戦略が必要。それより、車内販売を廃止した代わりに缶ビールなどの自販機を設置してもらえる方が有難いのだが。

