2025年03月25日

第3627夜:限りなく透明に近いイエロー【Aho-Boiled】

 エニマクリン。朝食、昼食、間食、夕食のレトルト四重奏で構成される大腸検査食である。4食?入りで1320円。江崎Gリコ様の作品である。

 私は年の1度の健康診断、3ヶ月の1度の血圧検診を受けている。20代の頃から同じ病院、同じ先生。2024年8月現在50歳の私を20年以上の主治医。健康診断では胃カメラである。

 ある真夏の3ヶ月に1度の血圧検診の際、主治医の先生から大腸検査を勧められた。もう50歳なんだし、胃カメラしか飲んだことないのならなおさらと。

 病院は盆でも暦通り。盆時期は出張もない。ひたすら自宅に引き籠るかファストフードチェーン、コーヒーショップをハシゴしながらPC猿打するだけ。何の予定もない。大腸検査が2024年夏の最大のビッグイベントに。

 看護師さんから前日と当日の注意事項を詳しく説明された。検査の際にポリープなど見つかればその場で切除するから念のためパンツの替えと1泊する心準備をに念押しされた。

 大腸検査を翌日に控えた真夏の盆の朝。注意事項を再度読む。朝食、昼食、間食、夕食の合間に、それぞれ時間を決められて水を400ml以上飲むようにとある。夕食は20時までに終わらせねばならず、21時には下剤を飲まねばならない。その下剤も事前に手渡されている。食事は冒頭のエニマクリンをすべて時間通りに食べるだけ。迷わない。ぶれない。便利である。

 朝9時。朝食。「鯛がゆ」のレトルトをお椀に移してレンジでチン。口に運ぶ…。鯛の香りがする気がする。そもそも粥などいつ以来か。味が薄い。塩っ気がない。

 冷蔵庫を開けて生卵を放り込んで醤油を垂らすか、漬物と味わうか…。ふと気づいた。恐らく、勝手なアレンジは許されないのだろう。粛々と食べ終えた。気分は禅僧である。

 朝10時。水を500mlペット一気飲み。真夏なのでごくごく飲めるが、冬はキツいかも。この日は一歩も外出せずPCに向かう。単調な1日のアクセントがレトルト検査食である。

 栃木県代表石橋高校の甲子園1回戦快勝に歓喜してすぐの13時半、昼飯。和風ハンバーグと白がゆ。食欲湧かぬ故、カレー皿に2種のレトルトを移し、見た目だけでもカレー風に。

 レンジで温める。白がゆに和風の餡が絡んでなかなかの妙味。ハンバーグらしき物体もまあまあの満足感。美味しゅうございました。

 14時と16時にそれぞれ再び水500ml一気飲み。ビールやチューハイなら何の苦もないが、水だけはなかなかノドに通らない。

 17時、間食。グリコらしく「ビスコ」とゼリー。ビスコを口にするのはいつぶりか。ごくまれにスナックのチャームで出てくることを思いだす。

 このビスコが前日に口にできる最後の固形物。知らなかったが、ビスコのキャッチコピーは「生きて腸に届く」。しみじみと胃と心に響いてくる。

 朝から粥ゆえ、ビスコの甘さとほのかな塩気、バリバリした歯ごたえに感動。こんなに濃厚で旨いのか。普段口にしないチューブゼリーもリンゴ味で蕩けるように舌とノドを滑った。

 そして18時、再び水を500ml。

 19時ごろ最後の晩餐は「コーンポタージュ」。茶碗に移し替えて温める。清貧である。そして、20時に水を500ml飲む。アルコールは厳禁。アルコールのない夜など記憶にない。

 この日の最後のミッションは21時。3種類の下剤服用である。

 私のような不摂生野郎は大腸検査食を定期的に取り入れる方が健康になりそう。自由業者ゆえ時間に束縛されない利点はあるものの、きっちりと時間単位ですべきことを指示される社畜っぷりもたまには悪くない。人間は、完全な自由よりも適度な拘束が必要なようである。

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大腸検査前日の食事。

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朝食。

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昼食。

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間食。

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夕食。

(付記:ここからは少々キタナイのでご注意下さい)

 翌朝は2回。昨晩はたしか5回ほど。老廃物がどんどん消えていく。下剤恐るべし。

 8時に病院。呑みにくいトロっとした塩水のような生ぬるい下剤を1時間かけて呑む。3時間後に合格が出るまで8回。水状態、色も限りなく透明に近いイエローでなければならない。都度看護師さん(若い女性)から便の状態を確認され、合否判定される。かなり恥ずかしい。

 ようやく合格。妙に嬉しい。ズボンとパンツを脱いで前でなく後ろが空いた使い捨て短パンに着替える。オトコゆえ前空きパンツしか履いたことなし。後ろだけとは妙な感じだ。

 ベッドに横になる。間髪入れずマンホールに内視鏡が。目の前の画面に映像が思いっきり映る。我がマンホールをドアップで初めて目視。しみじみ介護脱毛の重要性を思い知らされる。

 内視鏡が大腸を這っていく。処男喪失。しかし、胃カメラより全然ラク。途中寝てしまい、いつの間にか内視鏡を抜かれていた。しかし、内視鏡で腸内をこねくり回されている時が一番便漏れしそうになる。力を抜けと言われるが、抜けるものではない。大惨事確実である。

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1時間かけて飲む下剤。

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2025年01月16日

第3582夜:赤いきつね全国味くらべ【Aho-Boiled】

 全国味くらべ。どこの味を比べるのか。「西日本」「東日本」「北海道」である。何の味か。「赤いきつね」である。

 平成後半あたりから、どん兵衛や赤いきつねシリーズなどで東と西の出汁の味を変えていることが広く知れ渡り、それを打ち出した商品も多く観られた。

 私は生まれも育ちも現住所も「西日本」だが、2011年以降は出張族になり「東日本」へ足を運ぶことが増えた。当然、東の「出汁」と対峙することになる。

 最初は濃口醤油&かつおだしに慣れなかった。薄口醤油&昆布だしの「西」がDNAだったから。しかし、食べなれると東の濃さも愛するように。

「北海道」は20代前半に4年住んでいたが、うどん(そば)を啜った記憶がほぼない。ラーメンばかりだった。

 ある雨の初夏の夕方。近所のスーパーで「赤いきつね」全国味比べ、前述の「西・東・北」が発売されていた。西日本でなく「関西限定」なら実食済。気づけば3種ともカゴに。

 だし比べするなら、同時に食べるのがベスト。4人、または2人いればそれも可能だが、私の独り暮らしには超S級の荒業。なるべく間隔を開けず、季節風のごとく西→東→北と日本を蹂躙する計画を立てた。

 まずは「西日本」。かつお・昆布・雑節に煮干を合わせ、淡口醤油で仕上げたとある。昆布と淡口(醤油)は西日本っぽい。ちなみにどん兵衛の「西」は昆布×本鰹とあった。

 お味は…キリっとした淡麗だが、甘みゼロ。九州の出汁は甘みがある。もちろん食べなれた味だが、「西日本」と唄うならウィングを広げすぎ。やはり関西として「九州」は別に編むべきだろう。ちなみに赤いきつねはどん兵衛と比べて麺が縮れてジャンク感強め。

 味の記憶があるうちに比べねば。翌日は「東日本」。かつお・昆布・宗田がつおに濃口醤油とある。「薄口」「濃口」が最大の違い。

 啜る…。好き。濃い中に甘みもある。中毒度も高い。私は西日本人だが、コッチが好み。アイデンティ喪失の瞬間である。

 中一日挟んで、ラストは「北海道」。かつお・利尻昆布を利かせている。「利尻」に北海道の矜持がある。色目は東日本と同様の濃さ。お味は…。東日本の味から濃さを抜いた感じ。むしろ「九州」に近い。好きな味だが、この3種では「東日本」が私の推しに。

 今回の食べ比べバカブログ、数夜前のどん兵衛食べ比べと構成を同一に。南、西、東、北。日本の多様性や文化を目で、舌で知ることができた。

 今度は、どん兵衛と赤いきつねの同一地域での食べ比べを試みようか。無限ループである。

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2025年01月01日

第3570夜:どん兵衛東西南北だし比べ【Aho-Boiled】

 だし比べ。どこの出汁を比べるのか。日本の「東」「西」「南」「北」である。何の出汁か。「どん兵衛きつねうどん」である。

 平成後半あたりから、どん兵衛や赤いきつねシリーズなどで東と西の出汁の味を変えていることが広く知れ渡り、それを打ち出した商品も多く観られた。

 私は生まれも育ちも現住所も「西」だが、2011年以降は出張族になり「東」へ足を運ぶことが増えた。当然、東の「出汁」と対峙することになる。

 最初は濃口醤油&かつおだしに慣れなかった。薄口醤油&昆布だしの「西」がDNAだったから。しかし、食べなれると東の濃さも愛するように。ちなみにその時期から最も愛するうどん出汁が「南」、つまり「北部九州」である。

 ある晴れた休みの日。近所の激安スーパーへ行くとどん兵衛きつねうどんのだし比べ、前述の東西南北が発売されていた。「北」は赤緑またはどん兵衛で実食済だが「南」は初見。気づけば4種類ともカゴに入れていた。

 だし比べするなら、同時に食べるのがベスト。4人、または2人いればそれも可能だが、独り暮らしには超S級の荒業。なるべく間隔を開けず、梅雨前線のごとく南→西→東→北と日本を蹂躙する計画を立てた。

 まずは「南」。「焼あご×サバ節」に期待が高まる。焼あごがいかにも九州な雰囲気。関西と九州、色は似ているが味が異なる。九州の方が甘みが強い。

 では、どん兵衛は…。一口目は関西(西)の味だった。しかし食べ進めるにつれ「九州()」の甘さ、味に変わってきた。素晴らしく旨い。なぜいままでこのうどん出汁の味が発売されていなかったのか。きつねでなく「ごぼう天」だったら完璧に北九州だった。

 翌夜。少し北上(東征)して「西」。昆布×本鰹とある。私が生まれ育った時から食べなれている味。昨日の「南」との違いは…。

 はっきりとわかった。すっきり淡麗だが、南に比べて「甘み」がない。確かに関西で味わううどん出汁の味。個人的に「南」の方が旨く感じたのは、私が最早関西人でないのかもしれぬ。

 翌々夜。新長田で学生時代の友人と久々のド鯨飲。店を出て地下鉄に乗ったところまでは覚えているが以降どうやって家にたどり着いたのか記憶なし。起きたら激しい二日酔い。しかし、この日、私は愛知県豊川市へ日帰りせねばならぬ。

 重すぎる体を引きずって水を飲もうと冷蔵庫に向かうと、カップ麺の空容器が。「どん兵衛きつねうどん東」。汁も無く、帰宅して泥酔したまま記憶なく啜ったらしい。味どころか啜った記憶皆無。本鰹×宗田鰹のコラボと残骸とかしたフタに書かれている。買い直して啜り直そうか。

 残すは「北」。北海道である。東を泥酔してしまい味を覚えていないが、「北」は「西」「南」と比べてはっきりと色が違う。濃い。味は、甘みが少ない。

 このシリーズの「東」は覚えていないが、私が東日本で啜る立ち蕎麦は甘みを感じる。ふと気づいた。私は北海道での麺類はほぼ100%「ラーメン」ゆえ、うどんやそばを啜ることがない。仮にあったとしても1oも記憶がない。

 この味が「北」なのか確かめようがない。「利尻昆布×鰹節」とあり「優しい甘み」とあるが、それほど甘みは感じない。

 独りで勝手にだし比べ、私的には「南」が推しである。それよりも、ニッシン様の私は思うつぼである。

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(付記@)

列島蹂躙からしばらく後「どん兵衛琉球そば」を発見。他メーカーは実食済だが、日清様の、しかも「どん兵衛」としては初見。

東西南北どころか、南のさらに南。麺は本格的な今のどん兵衛でなく、昔の縮れたジャンク系。赤いきつねに近い麺。スープは…。これぞ沖縄。東西南北だし比べとは比べることも無駄なほどの別次元である。

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(付記A)

 このバカブログをご笑覧の皆さま、新年あけましておめでとうございます。2005年一発目は「年明けうどん」ネタで。本年もどうぞよろしくお願い致します。

posted by machi at 09:16| Comment(0) | あ〜ほボイルド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする