2013年05月16日

第721夜:パンティをかぶると、人は強くなれるのか?【Cinema】

 『変態仮面』。1990年代初期に『週刊少年ジャ●プ』で1年ほど連載されていたらしいマンガである。20年の歳月を経て、2013年春、実写映画化されるニュースがネットを中心に飛び交っていた。私はその斬新なポスタービジュアルに興味を惹かれ、コンビニで映画化に合わせて発売されていたコミック全4巻を購入。電車の中で読み始めた。

 表紙もインパクトが大きく、コンビニコミックなのでカバーなどなく恥ずかしさを強いられた。パンティをかぶった変態高校生が表紙のマンガをニヤニヤしながら電車の中で読みふけるメタボ中年変態オヤジ。さぞ周りに、特に女性には恐怖を与えてしまったかもしれぬ。

 SMクラブでバイトする女王様な母とM気質の刑事の父(殉職)を持つ格闘家高校生が、女性のパンティをかぶると親譲りの変態の血が覚醒。人間のもつ潜在能力をマックスにまで高め、変態的必殺技を用いて悪を懲らしめる…。石仮面をかぶると吸血鬼になるが強烈に強くなることは知っていたが、パンティをかぶっても強くなるとは、恥ずかしながら存じ上げなかった。

 私はこのマンガの存在を全く知らなかった。タイトルすら初目初耳だった。私がジャンプ愛読者だった期間は小学校低学年から中学卒業ぐらいまで。以降、『週刊少年マガ●ン』『モー●ング』『ビッグコミ●ク(スピリッツ・オリジナル)』に移行していった。

 変態仮面の連載は、ちょうど私のジ●ンプ卒業と入れ変わりだったようだ。主人公と同じ高校時代にリアルタイムで読んでいたら、私もパンティをかぶっていたかもしれない。しかし、パンティをかぶっただけで強くもならず悪も懲らしめないなら、本当にただのヘンタイだ。

 『変態仮面』の持つ強烈にクダらない世界感、よくこんな作品を天下のジャンプで連載していたなという出版社の度量(昔、ジャンプで連載していた『シェイプア●プ乱』という下ネタマンガがあったのをこのバカ文章を書きながら思い出した)にシビれた私は、フラフラと兵庫西宮のシネコンに足を運んだ。奇跡の実写化とされる映画版を観るために。

 映画は原作のチープな世界感を維持しつつ、マニアックな役者陣で脇を固め、映画独自の妙な豪華さも醸し出している。主人公の若手俳優も見事だったが、敵役の偽変態仮面の熱演に感動。続編はないと思われるが、映画史に残る怪作だ。よく劇場ロードショーできたものである。

 観終わった時、私はふと考えた。まちづくり業界で変態仮面に変身できるほどの肉体美を誇るサムライはいるのか。……。一人だけ、いた。和歌山県T辺商工会議所のエレファントマン・O崎中小企業相談室長である。彼の十八番・ヌギヌギ宴会芸にパンティをかぶれば、紀南最強の中年変態仮面の誕生だ。ぜひ覚醒していただきたい。娘さんは、大学生らしいけど。

 上映前、私は危惧していたことがあった。それは、チケットを買う際のやり取りだ。「何をご覧になられますか?」「……、変態仮面、お願いします…」。想像するだけで恐ろしい。

 劇場に着いたとき、チケット売り場はすべて自動発券機に変わっていて驚愕した。安堵と拍子抜けを同時に味わいながらロビーで入場を待っていると、館内アナウンスが聞こえてきた。

 「長らくお待たせいたしました。間もなく19時25分より上映の、へ、変態仮面の入場を開始いたします…」。声が震えている。思わず同情。ビジュアル以上に、罪なタイトル名である。

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パンチ力満点のビジュアル。

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2012年06月24日

第505夜:波動砲を命中させる心構え【Cinema】

 『宇宙戦艦ヤマト』。1977年にアニメ放映が開始され、以降幾多の続編が作られてきた宇宙SFの金字塔。遂に実写版が2010年12月、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』として放映された。

 実写版劇場公開時点で36歳だった私は、正直申し上げてヤマト世代ではない。私のアニメ歴は、幼少期は『ドラ●もん』『怪物●ん』などの藤子作品。小学時代は『キン肉マ●』『キャ●テン翼』など。ヤマトは私より5〜10歳程度年配にとってはストライクゾーンと思われる。

 私の知っているヤマトは、主要登場人物のぼんやりとしたイメージしかない。ストーリーは全く分かっていなかった。極めて新鮮な気持ちで、実写版ヤマトを見た。

 2199年、地球侵略を狙うガミラス帝国の遊星爆弾で地球は放射能に汚染させ、生き残った人類の一部は地下に潜り絶滅寸前。地球上から緑が無くなった。そんな折、14万光年以上離れたイスカンダル星から謎のカプセルが地球に到着。そこには、絶滅寸前の人類を救う可能性のある唯一の手段が記されていた。1年以内に放射能除去装置を入手して帰還しないと、地球も人類も滅びてしまう。その情報を希望に、宇宙戦艦ヤマトはイスカンダルに向けて出発する。

 主人公の戦闘班班長・古代進を木村拓●氏をはじめ、豪華キャストが島航海長、真田技師長、徳川機関長、佐渡船医を演じている。沖田十三艦長役の山●務氏は圧倒的な存在感だ。

 私が戸惑ったのは、ヒロインの森雪を演じる黒木メ●サ氏。私の持つ雪のイメージは、たおやかで優しく菩薩のようだったが、圧倒的な目力を見せつける黒木氏ではピンとこなかった。しかし、攻撃班のエースパイロット役と分かり納得。原作は生活班班長兼看護婦だったのだ。真っ青な顔のデスラー総統を誰が演じるのか非常に気になったのだが…。

 映画のテンポや辻褄、演技や演出、CGのリアルさはともかく、私が驚いたことが2点あった。

 1点目は、これほど頻繁にワープしていたのかということだ。私が出張で新幹線や飛行機を多用するような感覚で用いられている。エネルギーは大丈夫だったのだろうか。

 2点目は、ヤマト最大の武器「波動砲」の乱射である。私は、波動砲は最後の手段と認識していた。これも、割と気軽にぶっ放している。外したら大ごとだ。

 様々な地域活性化策で、細かい打ちあいより一発で決着を付ける波動砲のようなメガトン企画はあるのだろうか。神戸・新長田では、鉄人28号等身大モニュメントがまさに波動砲だった。

 まちづくりでも宇宙戦艦でも、関わった者なら一度は波動砲をぶっ放してみたいと思うはず。ただし、映画(ヤマト)のラストのように、リーサルウエポン(最終兵器)はカミカゼ的な諸刃の剣。波動砲を命中させる最も大切なことは、企画そのものよりも「退路を断つ」という心構えかもしれない。

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2012年03月03日

第429夜:ステキじゃない金縛り【Cinema】

 『ステキな金縛り』。監督と脚本・三谷幸喜氏の笑いあり、涙ありの傑作法廷コメディである。昨夜(2012年3月2日)の日本アカデミー賞授賞式を見ていたら、この素晴らしき作品が全く相手にされていなかった。コメディに対する識者のハードル(偏見?)に戦慄すら感じた。

 三谷監督作品は見逃せない。私がこれまで鑑賞したのは『ラヂオの時間』『みんなのいえ』『THE 有頂天ホテル』『ザ・マジックアワー』を含め計5作。豪華キャストが織りなす上品なコメディは至福の時間を間違いなく提供してくれる。

 ちなみに私の好む日本人監督は3人。三谷監督に加え、『ヅラ刑事』『日本以外全部沈沈没』『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』『地球防衛ガールズ』などのバカ映画の巨匠・河崎実監督。もうお一人は『イン・ザ・プール』『インスタント沼』『図鑑に載っていない虫』などのユル〜い空気感が悶絶の面白さを見せる三木聡監督。3人とも見逃せない。

 しかし後者2人はマニアックすぎるのか一般受けしないのか、大都市のミニシアターのみで期間限定で放映されることが多く、知らぬ間に終わっていることが多い。注意が必要だ。

 『ステキな金縛り』を鑑賞して笑い、涙を流した私は、ある学生時代のエピソードを思い出した。私の隣で寝ていた男性の金縛り体験である。15年ぶりに記憶の封印を私は解いた。

 私は学生の頃、北海道の枝幸というオホーツク海に面した人口8,000人程の「蟹の町」で同じ寮生と出張アルバイトしていた。1ヶ月に4日ほど、夏季や冬季は1週間から2週間ほど枝幸のビジネスホテルに滞在する。普段は一人部屋だが、混み合っている時は相部屋になる。枝幸滞在中は酒を呑みながら毎晩バカ話をしている。

 同僚は霊感が強いそうだ。実家の部屋で目が覚めたら、開いている窓から窓に向かって百鬼夜行が天井を飛ぶように移動していたそうだ。ちなみに窓を閉めたら、通り抜けできないどんくさい妖怪もいたそうでドンドン窓にぶつかっていたらしい。

 ツインの相部屋で酒を呑み、別々のベッドで私は爆睡。翌朝もすっきりと目覚めていると、隣で同僚がぐったりしている。どうやら金縛りにあったらしい。彼は昨夜の顛末を話し始めた。

 ハッと目覚めると、体が全く動かずかろうじて首だけが動いている状態に陥っていた。ウンウン唸っていると、ふとんから両手が伸びてきて首を締めだしたそうだ。同僚は最初、度の過ぎた私のイタズラと思ったそうだが、横のベッドを見ると私は彼に背を向け寝返りを打って爆睡中。では、このふとんから延びてくる白い手は何なのか…。

 パニックに陥りそうになりながら必死で抵抗していると、フッと金縛りが解けたらしい。同時に、2本の白い手も消えたそうだ。

 翌朝、私は爆笑しながら顛末を聞いていた。夢か現実か分からないが、まあ無事だったのだから。笑いながら洗面所に向かうべく部屋を出ようとした私は、妙な違和感にとらわれた。当然なのだが、部屋の内鍵は閉まっている。その瞬間、別の意味で私は恐怖に襲われた。

 もし同僚が謎の白い手に首を絞められて本当に殺されてしまったとする。首には絞められた跡が残っているかもしれない。部屋には内側から鍵が掛かっている。私の無関係を証言するはずの同僚はあの世へ。状況は密室でも何でもなく、鍵のかかった部屋の中には死体とピンピンした小太りのオトコ(私)だけ。小学生が現場検証しても、私の犯行と断言するだろう。

 私の無実を証言してくれるのは、同僚を金縛りにかけた幽霊だけ。映画『ステキな金縛り』と同じようなシチュエーションである。その可能性を思い浮かべた時、爆笑コメディ映画が猛烈な恐怖映画に思えてきた。

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posted by machi at 08:33| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする