私は大学生だった90年代半ば、カーワァイ作品がブームになった。代表作は『恋する惑星』。私は当時、大学内の500人以上が共同生活する寮で暮らしていた。たまに寮のイベントで映画の上映会があった。その時に観たけど、はっきり言って恋する惑星、さっぱり分からなかった。
それから十数年後、神戸元町の単館系シアターでカーウァイ監督の『ブエノスアイレス』が上映され、時間つぶしか何かで観た。今から十数年前なのであまり覚えていないが、ゲイカップルの映画だった。何故この映画を選んだのか、今でもよく分からない。
カーウァイ作品は現実感にない浮遊感が特徴か。ストーリーはあってないようなもの。
カーウァイ作品が好きというと、映画通のように思われる気がする。カーウァイ作品に陶酔するのでなく、それを観ている自分に陶酔するナルシスト映画のような気がしていた。
マーベル作品やスターウォーズなどのSF、ロード・オブ・ザ・リングのようなファンタジー、またはミステリ系サスペンスしか観ない私にカーウァイ作品は遠いものだった。
初めてカーウァイ作品を観て四半世紀以上。20年ほど前など、年間100本以上映画館へ。私の映画遍歴もそこそこに仕上がっている。今、カーウァイ作品に触れると新たな印象を抱くかもしれない。
特集上映期間、三宮のファストチェーンでPC猿打の合間、気分転換に寸暇を惜しんでシネリーブルへ。6本上映の中で4本を観た。以下、実際の公開順でなく私の鑑賞順に。
1本目は『2046 4K』。1960年代の香港が舞台。トニー・レオン氏とそれを取り巻く美女たちの恋愛映画(?)。途中、未来のSF映像が入り込んだり、アンドロイドが出てきたりと意味不明。
最もシュールだったのが、キムタク氏。何故か出演しており、しかも氏だけ思いっきり日本語。
2本目は『天使の涙 4K』。レオン・ライ氏が若い。ミシェル・リー氏は妖艶の極み。圧巻は金城武。浮遊感とポップを兼ね備えた圧巻の演技。よく分からん話だけど。
3本目は『花様年華 4K』。既視感があったが、『2046』の前日譚。マギー・チャン氏のファッションショーのような作品。トニー・レオン氏とマギー氏の不倫のようで不倫でない恋愛映画。
最期は『欲望の翼 デジタルリマスター版』。1960年代の香港が舞台。ぶちギレかつ現実感のない演技はレスリー・チャン氏の真骨頂。カリーナ・ラウ氏もビッチを熱演。マギー・チャン氏は儚くて圧巻。最後にトニー・レオン氏が出ていたけど、このシーンの意味は私には全く不明。
4作品とも30分以上寝てしまった。それでもぼんやりとあってないようなストーリーらしきものは掴めた。しかし、ストーリー以上に「何が面白いのか」あまり分からなかった。映像表現や色彩を楽しむもの、ということで良いのか。
私の映画鑑賞眼、四半世紀経ても全く成長せず。しかし、WKA新作が封切されるのなら、観に行くかもしれない。なんだかんだと、気になる監督である。
