2025年04月07日

第3638夜:神々の地鶏【出雲(島根)】

 大山どり。中国地方の霊峰・大山あたりで育てられていると思しき地鶏である(たぶん)。

 残暑厳しい9月上旬。出雲駅前ミッション終了が21時半過ぎ。ノドの渇き、空腹、疲労のトリプルである。この夜は一緒に付き合って下さる御仁は誰もおらず、ソロ。

 22時頃、山陰屈指の歓楽街「代官町」を放浪。22時という時間ゆえ、電気がついて暖簾が出ていてもラストオーダーで撃沈する可能性が高い。店頭に営業時間を書いている店を探す。

 代官町、どこも賑わっている。女性の呼び込みや酔客で溢れている。外から店内が見える店はどこも満席ばかり。力強い。

 出雲の夜は3回目。いかにも観光客目当ての店より、地元民で溢れる店に行きたい。しかし、山陰ならではの名物も味わいたい。イチゲンの独り客でも入りやすい店が良い。できれば広々としたカウンターで。おまけに新聞などを広げても嫌な顔をされないお店がベスト。

 贅沢かつ困難な要望を胸に物色。視界に入ったのが「大山どり焼鳥専門店」というキャッチ。ただの焼鳥ではない。大山どりである。

 ガラス張りゆえ外から店内が見える。カウンターが空いている。かなりキレイでおしゃれで焼鳥屋に見えぬ。店員さんも若い。営業時間が24時までと書かれている。

 オシャレじゃない方が好みなのだが、それ以外は完璧。私の高すぎるハードルをすべて満たしていた<すみれ>さんへ飛び込んだ。

 感じのよい若い女性の接客が心地よい。注文はすべてLINE登録からのQR。昔はしゃらくさかたったが、すっかり慣れた。商品写真もあり、注文履歴や会計金額がリアルタイムなのでむしろ良い。しかも独りだから、じっくり戦略を立てられる。

 ホッピーがあったので迷わず「黒」。お通しのキャベツはお代わり無料という。ホッピーをヤリながらメニューを吟味。独りゆえ、頼み過ぎると轟沈する。

 豊富なメニュー群から「大山どり」にテーマを絞る。焼鳥は「ねぎまの塩」「王様レバーのタレ」、そして唐揚とトリメンチカツ。大山どり尽くしである。レバー、プリプリ。ねぎまは安定の王道。メンチは肉汁溢れる。唐揚はサクサクジューシー。

 その他の逸品メニューで気になったのが「あおさ香る春雨ヘルシーペペロンチーノ」。情報量の多い商品名だが、ヘルシーでさっぱりなのにコクがある。スパゲティはナポリタンが9割、ミートが1割の私にとってぺペロンなど太陽系外だが、春雨には合うのだろう。

 ポテトフライを頼みそうになるが、たまには別角度で。「ジュージュー揚げ餅」召還。アヒージョかと思うほどタプタプの油にサイコロカットされた餅がびっしり。熱々でやけどしそうになる。すかさず3杯目のホッピーで追いかける。

 かなり腹が膨れてきた。しかし、〆の汁モノを啜りたい。

 LINEメニューの「麺」コーナーを確認。濃厚鶏白湯と淡麗鶏だし醤油の2種類のラーメンがあり、それぞれレギュラーとハーフ。50歳のオヤジだが、ハーフなどで日和っていられない。淡麗よりも、濃厚で。「濃厚鶏白湯ラーメンレギュラー」の召還する。

 天一系の鶏白湯の店は全国で増えた気がする。この店は大山どりだから、その鶏ガラを使っているかもしれない。

 ブツ降臨。鶏チャーシューも分厚く大きいのが2枚。まずはスープ…。目を細める。呑んだ後のこってりがたまらない。麺とスープのカラミも官能的。

 啜りつつ会計画面を操作しようとしたら、LINE登録時の初回限定サービス画面が。アンケートに答えると3種類のスィーツから1つプレゼントして頂けるらしい。

 若いころは甘いものが全くダメだったが、40を超えたあたりからイケるようになり、50の今、すっかりスィーツオヤジだ。

 アンケート、思った以上にタフな内容で時間もかかったが、その分出てきたスィーツが絶品。私が選んだのは「きな粉と黒蜜のアイス」。メニュー写真以上に量が多い。一口サイズ程度と思っていたら、遥かに上回ってきた。

 出張先での久々独り晩酌。老眼の進行著しいが、嗅覚の衰えはそれほでもないようである。

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代官町の人気店。

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ヘルシーな春雨ペペロンチーノ。

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ホッピー、唐揚、焼鳥、鶏メンチカツ。

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カロリーモンスター。

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鶏白湯ラーメン。

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かなりタフな設問ぞろい。

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紹介画像よりも量多し。

posted by machi at 09:42| Comment(0) | 島根県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年03月21日

第3623夜:神々の女将【出雲(島根)】

 女将。味わい深い2文字である。大将と異なり、かっぽう着や和装をキリリと、艶やかに着こなし、客を捌きもてなす。温泉旅館、割烹、小料理屋…。スナックなら「ママ」になる。

 8月上旬の、幾分暑さも和らいだ21時前。出雲駅からほど近い中町商店街ミッションを終え、ノドの渇きと空腹を癒すべく居酒屋に狙いを定めた。商店街は歓楽街と隣接しているが、まずはミッション先であるアーケード下のお店を選択したい。

 時間は21時前だが、どこも流行っている。満席で入れそうにない店ばかり。商店街の一番端にある<ミートショップ サイトウ>さんに一か八か飛び込んでみた。4人掛けテーブルが1席空いていた。ツイているが、30分後にラストオーダーという。

 店を選び直す気力もない。30分勝負を試みる。

 生で乾杯。瞬殺で体内に吸収される。2杯目からはメガレモンサワー。ずしりとした重さと保冷カップが心強い。

 ‘ミートショップ’というショルダーネームが入る前から期待を抱かせた。結果、期待を遥かに上回る感動が待っていた。

 大好物の「センマイ刺」は臭みなく歯ごたえ良し。コチュジャンタレにびったり合う。「チーズダッカルビ」のジャンク感がタマラナイ。思わず笑みが漏れる。「ホルモン4種盛」は肉系店舗の真骨頂。どの部位もレモンチューハイが進みまくる。

 「ハムカツ」の安定、「タコさん赤ウィンナー」の洒脱、タルタルたっぷり「チキン南蛮」の正義。他にもいろいろ頼んだが、ほうれん草と玉子の「ポパイ炒め」は白眉。箸休めなのに一品で勝負できる圧巻の旨さ。値段もリーズナブル。人気も納得である。

 ラストオーダーから30分店に居たが閉店に。正味1時間。メガレモを数杯ヤったが、呑み足りない。

 歓楽街である代官町へ。居酒屋。スナック、ラウンジが林立している。お腹は充分に満足。スナックや軽い小料理が望ましい。

 私の視界をとらえたのが、赤提灯に彩られた<寄道処 あずみ>。店頭のA型看板には「和風スナック?女将?」という文言があり、その下にフードメニューが羅列されている。暖簾は出ているが、全く店内が見えない。

 和風スナック、良いではないか。女将、という文言にもグッと来た。旅情気分も高まる。

 同行氏たちの承諾を得ず、暖簾を潜った。客は誰もいない。そして、奥からコワモテのオヤジさんが。1か月前に独りで飛び込んだスナックも、女将でなくムキムキのお兄さんだった。出雲のスナックは男性店主なのか。

 カウンターに座る。オヤジさんにシステムを聞く。「スナック」ゆえにテーブルチャージは発生するが(1500円)、ドリンクは統べて500円均一という。目の前に並ぶ総菜は別料金。

 店内のTVではオリンピックの熱戦。開催国のリネール選手が決勝で豪快な1本勝ちで金メダル。リネール選手、昔から出ていなかったか?

 ハイボールを鯨飲しつつ談笑。居心地が良い。気づけば24時を回っている。ふと気づいた。店頭のA型看板、「女将」でなく「女将?」と疑問形であったことを。八百万の国の夜はあまりにも奥深い。

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posted by machi at 07:29| Comment(0) | 島根県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年03月20日

第3622夜:神々の神話セット【出雲(島根)】

 スサノオ。古代日本の暴れ神であり、出雲地方の英雄である。天照大神の弟でもある。歴史&伝奇ミステリ&マンガ好き(の私)にはお馴染みの大スターである。

 汗が止まらない8月上旬の夕刻。出雲市駅の改札を出た。ミッション開始まで2時間。駅前の定宿に荷物を預けても充分に余裕がある。腹も減った。

 改札を出てすぐに視界に入るのが<出雲の国 麺家>。1か月ほど前、この店で駅弁を買った。JR西日本駅構内やホームにある立ち蕎麦屋と同じ屋号だが、全くテイストが異なる。別の資本なのだろう。

 入口に貼られているメニューが気になった。「スサノオラーメン」。強そうである。地元産の味噌に麹をブレンドしたダントツの一番人気とある。‘スープがおいしいから他のラーメンより1,5倍スープ増量’と自信に満ちている。頼まない選択肢はない。

 このラーメンを軸にした「神話セット」がかなりの推し。日本三大蕎麦・出雲割子そばに飛魚がベースの高級かまぼこ「大社飛魚野焼き」も添えられている。

 大きく出た感のある商品名「神話セット」を注文。すると、オレンジジュースか烏龍茶がサービスという。オレンジを選択した。

 スサノオラーメンが980円、割子そば(1枚)がたぶん300円。野焼きが5ヶで400円。セットは3ヶなので240円と計算できる。オレンジジュースが300円。しめて1820円。セットは1400円だから400円以上お得。まさに神話級の振舞である。

 しまね和牛の丼もかなり押している。そばとラーメンが競うようであり、ツマミ系や酒もそこそこ充実している。朝10時から休みなしのようで、これから重宝しそうだ。

 目の前には「祝 夏の甲子園出場 島根県立大社高校」のPOPが。大社高校は初耳だが、大社という名から出雲市内の高校と推測可能(調べればすぐわかるが面倒なので)。

 神話が眼前に広がった。スサノオ、メニュービジュアルよりかなり貧相。しかしメニュー写真をよく見ると「大盛」とある。私が頼んだのは普通サイズ。深く納得する。

 ラーメンとそばを同時に啜った記憶がない。どのように攻めれば良いか分からない。ヤマタノオロチのように首を振り、まずはスサノオラーメンから全力で攻めることに。

 札幌以外でめったに味噌は啜らぬが、なかなか深い味わい。麹の味が分からぬが、何となく麹らしさも感じられる。半熟卵が実質1ヶなのも嬉しい。玉葱の甘みも効いている。麺は黄色い縮れ麺。スープと良く絡む。1.5倍増量スープが頼もしい。

 間に高級かまぼこ(野焼き)を挟む。わさび醤油で頂く。これ、好きな味。歯ごたえも強い。ビールや地酒がヤリたくなる。

 ついに対峙叶った出雲割子そば。出雲そばの店は関西や北九州でも見かけることはある。ただし、啜った経験なし。

 私の蕎麦は立ち蕎麦が99%。それも真夏でも熱い汁。ざるそば系は料理屋で出されたら美味しく頂くが、独りで店に入って単独で注文することはめったにない。皆無かもしれない。

 色は濃い。かなりの細切り。エッジが立っている。ツユをぶっかけて啜るとある。初の出雲そば…。私のバカ舌では蕎麦の繊細な味の違いは分からぬが、美味しかったです。

 残った味噌スープを飲み干す。〆のオレンジジュースを楽しみながら再度メニューを見る。出雲は「ぜんざい発祥の地」らしくメニュー化されている。出雲、さすが奥深い。歴史は神話レベルまで遡れる。深さの底が知れない。

 この店で次回は何を攻めようか。島根和牛丼か、島根和牛カレーか、思い切ってぜんざい、割子そば3段か…。うどんの割子3枚もあった。何故か蕎麦より100円高かった。

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JR出雲市駅改札正面の最重要施設。

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召還。

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おめでとうございます。

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懐かしいというか、まだこんな湯呑があったのね。

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ラーメンのビジュアルは少々写真指名と異なるが、熱いラーメンと冷たい和蕎麦の組合せは初めてかも。

posted by machi at 10:07| Comment(0) | 島根県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする