2025年07月07日

第3710夜:神々の神門通り【出雲(島根)】(前編)

 出雲大社。言わずとしれた八百万の神々の起源であり、国生みの地である。私は知らなかったが縁結び祈願でも浸透していた。

 ぐっと冷え込んだ深秋の午後。14時過ぎに出雲市駅へ。令和6年度で7回目の出雲入りである。毎回16時半ごろの着くのだが、この日は諸事情で3時間以上早い出雲入り。ミッション会場入りは4時間後。定宿チェックイン可能時間は1時間後。むしろ、時間を持てあました。

 出雲と言えば、大社である。しかも私が出雲入りしたのは「神有月」。全国的には10月は「神無月」とされる。日本中に散らばる八百万の神々が出雲へ帰省するからだ。その代わりに出雲地方だけは「神有月」。ただし旧暦なので出雲の神有月は11月中旬…。ややこしい。

 2週間前に出雲入りした際は、日本中の神様が集う直前だった。そして今回、神様はすでに全国へ戻ったらしい。月12回ペースで出雲入りしながら、大社は未踏だった。私が神社仏閣にあまり興味がないこと。もう今度でいいやと後回しにすること。理由はこの2点だ。

 今度でいいやを続けていたら、この日を含め出雲入りできるのは残り23回と気づいた。場合によっては大社巡りする時間がもう取れぬかもしれぬ。

 折しも一畑電鉄で1時間に1本の電車が10分後に発車する。この機会を逃すべきでない。500円の切符を購入し、電車に乗り込んだ。観光客と地元が半々な雰囲気か。

 大社へは直通せず、途中、ナントカという駅で乗り換える。2両編成で、1両が普通の横一列並びシート車両。もう1両がすべて観光というか、展望用車両だった。

 観光客は観光車両へ、地元人は一般車両へ。はっきりと別れて苦笑する。私も観光車両へ。車窓からは民家と山しか見えず、雨が引くほど降り出した。傘がない。駅前で買わねば。

 大社前駅着。改札を出る。雨は止んでいたが寒さに震えながら薄着を後悔していると、白い大きな鳥居が見えた。しかし、皆さん大鳥居と逆方向へ歩いている。全く予備知識ゼロで来たが、そちらが大社方面らしい。

 境内へ向かう参道に広がるのが「新門通り」。蕎麦屋、土産物屋、ぜんざい屋、カフェ、スィーツなどの店がびっしり。ちなみに「ぜんざい」は出雲が発祥という。

 神門通りは商店街組合なのだろう。大社駅から境内の間限定だが空き店舗など皆無。どの店も流行っているが、神社系観光地あるあるなのだが閉店時間が全般的に早い。

 車道と歩道はバリアフリーで見事な共存。建て替えや新築の工夫も見受けられる。大社よりも神門通りに興味が湧いてきた。

 大社の入口へ。大勢の観光客が写真撮影に勤しんでいる。境内へ。このご時世、前面禁煙でなく灰皿が設置されている。出雲の神々は寛容である。〔次夜後編〕

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一畑電鉄。

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観光客向け車両。

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向こうは明らかに地元向け車両。

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参道は雨。

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様々な観光客用の店が林立。

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いざ、神々の聖地へ。

posted by machi at 07:28| Comment(0) | 島根県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年06月04日

第3690夜:神々の神有月【出雲(島根)】

 神有月。日本(世界?)中の八百万の神々が出雲に集う期間である。旧暦では10月中旬、新暦()では11月中旬という。その間、出雲以外は「神無月」となる。

 出雲に神様が帰省する2日前、6時間かけて2週間ぶりに出雲入りした。

 18時前に出雲市駅に到着し、1830分から出雲大社、代官町(歓楽街)と並ぶ出雲3大聖地「中町商店会」にて濃密濃厚な2時間ミッションを終え、東京から出雲入りされた私の神々(クライアント様方)と出雲の幸を堪能すべく駅前の炉端居酒屋へ。

 生で乾杯。私のこの夜の御神酒は2杯目からメガハイボール。ジョッキに「デカッ」の印字されており、思わず口から「デカッ」と感嘆が漏れる。

 この日はバッタバタで朝昼固形物を腹に入れることができず、1食目は21時となった。空腹で腹の中の神様がお怒りモード。慌てて御神酒でなだめる。

 お通し3種の中で「蛍烏賊沖漬」に目を細める。地酒が呑みたくなるも、ジョッキの重みが心地よい夜である。白いかの天ぷらも秀逸。塩にチョン付け。柔らかい。笑みが漏れる。

 店名を冠した看板メニューが刺身盛合せの「かば盛り」。山陰の海の幸(たぶん)を卓上の「しじみ醤油」で。甘過ぎない風味。山陰のこだわりを感じさせる。

 料理名は分からぬが、恐らく親鳥の山賊焼。豪快である。噛みしめるほどに奥深い野性的な滋味があふれ出す。メガハイが進む。

 「出雲そばサラダ」なるものを頼んでみた。これまで駅構内の麺屋で幾度か啜ったことあり。まあ、これはサラダにせずともノーマルに啜れば良かったか。

 注文はスマホでQRコードの読み取り。神様歴2年目の若手に操作を委ねる。ツマミを追加し、メガハイお代わりを繰り返し、いったんお開きに。

 東京から降臨した二神は明日、出雲空港から東京へ戻るという。時間は22時半頃。大国主様は早朝便らしく御宿へ戻られた。白兎様は翌日余裕らしく、代官町1か月前に飛び込んでボトルをキープしたスナック<Jag>へ。

 ボックス席でハイボールを鯨飲しながら白兎様と話し込む。店内はひっきりなしに客が入れ替わるも常に満席。恐らくヨソモノは白兎様と私だけ。

 夜中1時前になった。白兎様と別れ、私はコンビニへ。小腹が空いてきた。外は冷え込んできた。ここは神有月の山陰であることを思い出した。神有月は神々だけでなく日本中、世界中から観光客も殺到する。我が定宿も満室だ。神々の飛行船(羽田→出雲)も満席だったらしい。

 ホットケースに豚まんが。寒空の下、熱々を頬張りつつ定宿へ向かう。寒い冬の屋外の熱々豚まんと揚げたてコロッケは、八百万の神々も国譲りしてしまう禁断のエデンの果実である。

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2025年05月20日

第3678夜:神々のかに寿し【出雲(島根)】

 山陰の海の幸。出雲市内の呑み屋街を歩いていると「のどぐろ」が圧倒的に『推し』であることが分かる。地味だが超高級魚。しかし、世間一般的には「かに」だろう。

 私の知る限り、JR出雲市駅構内には2か所で駅弁が販売されている。そのうちの1か所は土産物売場内。そこで「かに寿し」を見つけた。しかも、松江でなく出雲市内の調整元様である。

 私はあまり「かに系駅弁」に手を伸ばさない。まず、高い。次に、おかずが少ない。そして、そもそも剥くのが面倒なので、かにが特段嫌いでもないが決して大好物でもない。

 見つけた「かに寿し」、山陰のかにを9月上旬という季節外れっぽい時期だが1,585円で味わる。高いか安いか分からない。自宅に持ち帰り、地酒とヤる作戦を立てる。

 出雲の地酒は「十旭日(じゅうじあさひ)」と決めている。この蔵元、我がミッション先の商店街内に本店を構えているから。

 出雲から神戸までの遠さを痛感しつつ、自宅でフタを外す。かに身は半分。残りは錦糸卵。

 発泡酒2本で喉を開き、まずはかに身…。オヤ?酢がきつくない。剥きたての風味が濃い。甘く淡泊で上品。酢飯部分も酢が穏やか。

 地酒で追いかける。かにの風味が増す。海神が口の中で踊る。量的には物足りないが、駅弁とはこのようなもの。かにの旨味を十分に堪能できた。

 それから2カ月ほどたった秋雨の朝。JR出雲市駅構内のそば&ラーメン&その他なんでもな食堂居酒屋で「かに寿し」を捕獲した。この食堂居酒屋は朝10時から開いており、私が見つけた2つの駅弁売場のもう一角である。

 ここは松江市が調整元の駅弁を3種類販売している。これまで2種類味わった(邪気退散招福ちらし・島根牛すき焼きもろみ丼)。残る一種が「かに寿し」だった。

 お値段は1,630円。駅弁の中でも1500円越えはかなりのパンチ。ちなみに前述のかに寿しより45円お高い(2024年秋時点)。

 捕獲から7時間後。自宅でしずしずとパッケージを外す。鮮やかな桃源郷が広がっている。冷蔵庫からストックしておいた出雲の地酒300mlを取り出し、まずはノドを湿らせる。

 カニの身から…。すかさず地酒で追いかける。こんどは酢飯と一緒に。酒が膨らむ。かに寿し、量は決して多くない。チビチビ食べるためにも、酒は欠かせない。

 あっという間に食べ終えた。神々の聖地で捕獲した2種類のかに寿し駅弁。私はよく勝手に食べ比べ対決しているが、ほぼ互角と乱筆してきたことが多い気がする。

 今回は…最初に味わった出雲市内の調整元の「かに寿し」の圧勝。この調整元、かに以外も寿司系が確かあったような。試さずにいられない。

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出雲市内の調整元様のかに寿し。大社の御神酒とともに。

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駅弁にはその地の地酒が合う。

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松江市内の調整元様のかに寿し。かにたっぷり。

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