2025年07月11日

第3712夜:神々の揚物【出雲(島根)】

 揚物。巷間では年を取ると苦手になる。私は逆に、年を取るごとにより惚れた気がする。

 冷え込む神々の聖地の夜。7回目となった中町商店会で全集中。東京や広島から応援チームが同行している夜は終了後に酒席を共にすることが多い。今回は独り。さて、どこに入ろうか。山陰屈指の歓楽街「代官町」を攻めるも良し、呑み屋で賑わう夜の中町商店会も良し。

 中町アーケード街の<串カツ サンキュー>さんはいつもに満席っぽいが、この夜は氷雨が降り続いているためか空席があった。カウンターに陣取る。

 最初の1杯目だけは口頭で、以降はドリンクも食い物もQRコード読み取り。瓶ビールを煽る。今日も充実の一日だった。

 神戸人(関西)の私が山陰の旨し幸で溢れる出雲で串カツを喰わなくても。しかし、これが7回目の余裕である。一応、栃木県鹿沼市<串カツ ジューソー>の大家でもある。神々の地の串カツを攻め、鹿沼ジューソーチームへ変わり種の逸品などを伝えることができれば。

 まずは「豚」「紅生姜豚巻」「カレー」「チーズ」「レンコン」。卓上のソース、アジ塩&一味、醤油を駆使しつつ、攻めていく。安い串は100円という正義である。

 紅生姜豚巻はなかなかの妙味。紅生姜だけなら酸っぱすぎる点を豚がまろやかに包み込む。カレーは何かの串カツにルーが垂らされている。あるようでない逸品である。

 メガトマトサワーをグビビとヤリつつ唐揚を召還。串ではなく、ド直球。熱々が3ヶ。塩をパラリ。熱々でジューシー。私は年間、唐揚を何ヶ喰っているだろうか。熱々の油と脂をトマトサワーが爽やかに洗い流していく。串カツ第2陣は「ナス」「玉ねぎ」追加。

 店員さんは皆さん若い男性だが、気さくに話しかけて下さる。出雲の情報をいろいろ教えて下さる。一番嬉しかったコメントは「最近、商店街に活気が出てきた」。思わず笑みが漏れてしまい、メガトマトサワーをお替りする。

 <サンキュー>さんはこれまで2回訪れた名店中の名店<ミートショップサイトウ>さんの姉妹店という。旨さに激しく納得。2年ほど前にオープンしたそうだ。

 「牡蠣フライ」を頼んでみた。大ぶりサイズが3ヶ。たっぷりとタルタル小鉢を従えて。

 外は寒い。熱燗でヤリたくなった。この店の数軒隣が出雲地酒「旭日」本店。旭日の燗をヤリながら、熱々の牡蠣フライ。贅沢な山陰の揚物祭り。50歳になったが、いつまでも揚物を食べ続けるバカオヤジでありたいものである。

 すべて揚物だけのフードメニューで完結。店を出る。雨が上がった。定宿を通り過ぎて出雲市駅構内のコンビニへ。地ウィスキーのフルボトル、ポテチ、ドーナツ、何とか監修の東京濃厚背脂ラーメンなどをカゴに。独り部屋2次会も濃厚アホまつりである。

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アーケード街の串カツ屋。

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揚物まつり。

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爽やかなトマトチューハイ。

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カキフライは熱燗で。

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posted by machi at 07:28| Comment(0) | 島根県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年07月10日

第3711夜:神々の神門通り【出雲(島根)】(後編)

 本殿に向かう途中、出雲にまつわる神話をモチーフにした銅像などが至る所に屹立。広大な敷地である。神社仏閣に疎い私でも格の違いが伝わってくる。

 ひたすら速足で突き進み、本殿の注連縄を一瞥してさっと引き返す。神々は全国へ戻って不在らしいが、全国から観光客が押し寄せている。ふと気づいた。あまり外国人を見かけない。

 出入口付近にシートを掛けられた土俵が。相撲の神様も別枠で祭っていた。

 神社よりも、商店街。再び神門通りへ。体が冷え切った。腹も減った。暖まりたい。

 蕎麦屋の前では「新そば」の文字が躍っている。しかし出雲そばは冷たく頂くのがたしか正統。店を物色していると、ある店の前で鯖寿司の試食を勧められた。<日本海>という店だ。

 ふと思いだした。確か、この店の「かに寿し」を出雲駅構内の土産物売場で捕獲して出雲の地酒と味わった。私がこれまで食したかに系駅弁の中でダントツに旨かった。

 店内は満席だったが、いっきに店を出たので客が不在に。私は、飛び込んだ。メニューを観ずとも推しは一択。「のどぐろ丼」だった。

 のどぐろは山陰を代表する高級魚。私も煮付などで味わったことがある。出雲入りの際に刺身か何かで食べた。脂ノリノリの白身。私は本来、このテが超絶に苦手。しかし食べられた。

 しかし、この推し丼のキャプションが凄すぎる。「全国ご当地どんぶり選手権in東京ドーム 2019年 2020年 二連覇達成(グランプリ獲得 観光庁長官賞)」。

 値段は1100円。しじみ汁セットで1400円。店頭で販売されていた「のどぐろ寿司」が3000円だから、比較としては相当に安い。セットを注文する。

 私に試食を勧めて下さった販売員の鏡のような素晴らしい接客熟女、まさかのワンオペ。店頭販売、試食、調理、配膳、片づけ、洗い物などを一人でこなしている。

 金色の丼がフタをして運ばれてきた。神西湖産しじみ汁を従えて。丼としじみ汁の器の大きさが変わらないので、従えてでなく腕を組んでな登場だ。

 まずはしじみ汁…。じんわりと旨い。しじみしか出せない風味。日々酷使している肝臓が喜んでいる。丹田の底から温まってくる。

 小ぶりなフタを開ける。超高級魚の鮮度最高(たぶん)生切り身がびっしり。ネギの深緑、わさびの淡緑、刻み海苔の真黒が黄色がかった白身を彩っている。

 まずは切り身を一口…。濃厚である。しかし、食べられる。脂っぽいがクドくない。飯を書き込み、しじみ汁を啜る。しじみも粒が大きい。

 「のどぐろ丼のタレ」というマーケティングの常識を覆した市販品を垂らてワシワシ。これ以上多いとしつこくて食べられないかもしれぬ。まさに適量。名物を思う存分堪能できた。

 電車で出雲大社前へ。新門通り(参道商店街)を散策し、境内をブラブラ本殿まで往復。新門通りでのどぐろ丼としじみ汁を満喫し、街なかへ向かう路線バスに乗る。この間、わずか45分。超絶プチ出雲参りである。

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境内。

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日本神話のワンシーン。

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神々の聖地。

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相撲の神様。

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惹かれる一角。

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試食。

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試さずにいられない。

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殿堂入り。

posted by machi at 09:05| Comment(0) | 島根県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年07月07日

第3710夜:神々の神門通り【出雲(島根)】(前編)

 出雲大社。言わずとしれた八百万の神々の起源であり、国生みの地である。私は知らなかったが縁結び祈願でも浸透していた。

 ぐっと冷え込んだ深秋の午後。14時過ぎに出雲市駅へ。令和6年度で7回目の出雲入りである。毎回16時半ごろの着くのだが、この日は諸事情で3時間以上早い出雲入り。ミッション会場入りは4時間後。定宿チェックイン可能時間は1時間後。むしろ、時間を持てあました。

 出雲と言えば、大社である。しかも私が出雲入りしたのは「神有月」。全国的には10月は「神無月」とされる。日本中に散らばる八百万の神々が出雲へ帰省するからだ。その代わりに出雲地方だけは「神有月」。ただし旧暦なので出雲の神有月は11月中旬…。ややこしい。

 2週間前に出雲入りした際は、日本中の神様が集う直前だった。そして今回、神様はすでに全国へ戻ったらしい。月12回ペースで出雲入りしながら、大社は未踏だった。私が神社仏閣にあまり興味がないこと。もう今度でいいやと後回しにすること。理由はこの2点だ。

 今度でいいやを続けていたら、この日を含め出雲入りできるのは残り23回と気づいた。場合によっては大社巡りする時間がもう取れぬかもしれぬ。

 折しも一畑電鉄で1時間に1本の電車が10分後に発車する。この機会を逃すべきでない。500円の切符を購入し、電車に乗り込んだ。観光客と地元が半々な雰囲気か。

 大社へは直通せず、途中、ナントカという駅で乗り換える。2両編成で、1両が普通の横一列並びシート車両。もう1両がすべて観光というか、展望用車両だった。

 観光客は観光車両へ、地元人は一般車両へ。はっきりと別れて苦笑する。私も観光車両へ。車窓からは民家と山しか見えず、雨が引くほど降り出した。傘がない。駅前で買わねば。

 大社前駅着。改札を出る。雨は止んでいたが寒さに震えながら薄着を後悔していると、白い大きな鳥居が見えた。しかし、皆さん大鳥居と逆方向へ歩いている。全く予備知識ゼロで来たが、そちらが大社方面らしい。

 境内へ向かう参道に広がるのが「新門通り」。蕎麦屋、土産物屋、ぜんざい屋、カフェ、スィーツなどの店がびっしり。ちなみに「ぜんざい」は出雲が発祥という。

 神門通りは商店街組合なのだろう。大社駅から境内の間限定だが空き店舗など皆無。どの店も流行っているが、神社系観光地あるあるなのだが閉店時間が全般的に早い。

 車道と歩道はバリアフリーで見事な共存。建て替えや新築の工夫も見受けられる。大社よりも神門通りに興味が湧いてきた。

 大社の入口へ。大勢の観光客が写真撮影に勤しんでいる。境内へ。このご時世、前面禁煙でなく灰皿が設置されている。出雲の神々は寛容である。〔次夜後編〕

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一畑電鉄。

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観光客向け車両。

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向こうは明らかに地元向け車両。

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参道は雨。

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様々な観光客用の店が林立。

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いざ、神々の聖地へ。

posted by machi at 07:28| Comment(0) | 島根県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする