親子。人間であっても動物であっても、「絆」はなかなか切り離せないものである。しかし、人間界においては絆が滅失する例も少なくない。では、ニワトリとタマゴの親子はどうか。
<このみ>は米子入りの際、最も足を運んだ昼飯屋。半年間で6回のうち4回訪れた。あとは<ローダン>というラーメン屋。あと1回は何も食べる暇がなかった。
米子のソウルフードは「牛骨ラーメン」らしい。「さばしゃぶ」も名物。さばしゃぶは2回目の夜の思う存分満喫した。
<このみ>も我がバカ舌に自信はないが「牛骨」。どこにもその表記ないが、たぶんそうだろう。豚骨でも鶏ガラでも魚介でもない、独特の風味だからだ。すっかりハマってしまった。
私が米子入りするのがたまたまだが何故か14時半前。飲食店がシエスタの時間帯である。この店はシエスタせず働きっぱなし。
故に14時半や15時という微妙な時間でも、昼のゴールデンタイムを逃した地元の常連客がひっきりなし。注文に耳を澄ませると、焼き飯や定食が人気のようだ。
過去3回は「チャーシューメン」「スタミナラーメン&お好み焼きセット」「チャーシューメン+唐揚&生卵トッピング」。最後の昼餐は…。米子へ向かう特急車中でひたすら何を頼むか考えていた。気づけば2時間を経過し、米子駅に着いていた。
メニューを見る。チャーシューメンに気持ち9割傾いたが、土壇場で定食が捲ってきた。そして、差した。「唐揚定食」をライス大盛で注文。そして、ラーメントッピングメニューである生卵を別皿で追加。私も常連風の頼み方ができるようになってきた。
店内のスポーツ新聞に目を通していると、若い男性がご来店。焼飯をご注文。続いて女性の独り客で焼飯に紅生姜多めというツウっぷり。常連の風格に目を細めていると、ブツ降臨。
巨大な唐揚が6ヶ、ライスも大盛どころか特盛サイズ。生卵の黄身が眩しい。鶏唐揚と生卵。親子丼ならぬ親子定食である。
まずはスープ…。嬉しくなった。牛骨ラーメンのスープのようだ。旨い。スープが啜りたかったので、結果的に定食は大正解。
唐揚、何もつけずに旨い。ジューシーで味が濃い。ライスに合う。生野菜に添えられたマヨネーズや卓上の一味も駆使しながら、大きなサイズを6ヶ平らげた。箸休めの昆布佃煮もシブい役割を果たしている。
ライスが3分の1になった。卓上の醤油を生卵に垂らし、軽くかき混ぜてライスにオン。一気に啜り込む…。ほんの少しの違和感を感じた。その後、違和感が確信に変わった。醤油でなく、ソースだった。
15時頃の救世主。
ボリューム満点。

