2025年04月23日

第3652夜:因幡の国への侵入ゲート【鳥取(鳥取)】

 スーパーはくと。始点終点がどこか知らぬが、三ノ宮駅と鳥取駅をノンストップでつなぐ特急列車である。

 私の住む兵庫県と鳥取県は隣県。しかし鳥取県はこれまで米子市しか訪問経験がなく、山陰を走る特急も乗車経験は「やくも」「スーパーおき」のみ。県庁所在地である鳥取市は前職(神戸新長田時代)も含め半世紀生きて来て完全に未踏だった。

 そんな鳥取市へ、ようやく秋の風が心地よい9月下旬3連休明けに向かうことに。事前に鳥取市の、それも駅を中心とした中心市街地に特化した多量かつ詳細極まりない資料を連休中に読み込んでいたが、未訪問ゆえ映像イメージが湧きにくい。

 鳥取市といえば砂丘と梨のイメージが強い。申し訳ないが、どちらもそれほど惹かれない。チューハイは呑むが生の果物そのものはめったに口にすることもなく、規模は違うが生まれた時から須磨海岸近くに生まれ育ち、今も車で10分も掛からぬ地点に居を構えているからだ。

 そういえば『K独のグルメ』の特番でG郎さんが鳥取市内で何か喰っていなかったか。

 訪問前夜に我が漫画棚を確認。『駅弁ひとり旅』『駅弁特急』に鳥取市の情報が。特に『駅弁特急』が詳細。砂丘は駅からバスで20分もかかること、駅近くに「砂丘そば」なる名物があること、鳥取駅弁「元祖かに寿し」が駅弁マニアである著者のぶっちぎりベスト1位という。

 事前に頂いた資料にはこれらの有益情報(私にとって)は無かった。気持ちが高まってきた。

 朝9時44分。三ノ宮駅ホームから「スーパーはくと」に乗り込む。普段は新神戸駅から新幹線を利用するばかりで、在来線の三ノ宮駅から乗り込む行為自体がが新鮮である。

 全席指定で、私は2号車。自席に向かうと、すでに誰か座っている。そして、満席だ。まさかのダブルブッキングか…。車両表示をよく確認すると「増2」とある。まさか、増便?試しに隣の車両に移ると、ただの「2号車」。安堵する。

 特急は西方面へ疾走。新快速が止まる神戸駅、西明石をスルーするのも新鮮だ。須磨海岸沿いの見慣れた車窓の景色も特急ならではの新味がある。

 上郡から北上し始めた。列車は決して新しくないが、窓側席はコンセントがあり、Wi-Fiも完備。トイレもシャワートイレだ。車両前方のスクリーンは列車の運転席から前方の風景がライブ中継。鉄男くん、鉄子ちゃんには垂涎だろう。

 車窓の風景に「宮本武蔵」ゆかりの地らしき表示が視界に入った。駅で言えば「大原」あたり。その大原で停車。何気なく駅看板をみたら、隣の駅名が「宮本武蔵(みやもとむさし)」。

 そもそもこのあたりが兵庫県か鳥取県か岡山県かもわからない。岡山県内を走る井原鉄道に「吉備真備(きびのまきび)」という駅がある。歴史上のスターをまんま駅名にする事例は少なくないのか。

 宮本武蔵といえば、私にとっては『バカボンド』と『刃牙道』。『刃牙道』は宮本武蔵の墓からDNAか何かを採取してクローンを作り格闘家たちと対決する物語(当然全巻保有)のため、史実に忠実っぽい『バカボンド』の内容を思い出そうとする。

 どこが出身だったか。バカボンドも全巻保有していたが、40巻の手前で休載して再開の気配が1oも感じられず、手放してしまった。これを機に買い戻すかと考えていたら、正午に鳥取駅着。乗り換えなしは有難いが、新神戸〜小倉よりも時間がかかる。

 ミッション集合場所は鳥取駅改札前。時間は1時間後。取り急ぎ改札を出ようとしたら、見慣れぬ風景というか、30年前の日常の光景が眼前に飛び込んできた。

 JR鳥取駅の改札、まさかの駅員さん有人対応だった。因幡国の中心・鳥取駅は山陰屈指の主要駅。鳥取県西部の伯耆国・米子駅は当然に自動改札。ノスタルジーな衝撃に頭が真っ白に。アヅウサギは切符をどうしたらよいか一瞬分からなくなった。

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スーパーはくと車内。

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隣の駅は「みやもとむさし」。

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まさかの有人改札。懐かしさに落涙。

(付記)

それから約半年後の3月15日正午に鳥取駅へ。改札を出ようとしたら、凄い人。この日から自動改札になったらしい。駅員さんが必至で自動改札の使い方を説明しカオス。最初、何か特殊な切符なのかと身構えたが、普通に通して回収された。何故か笑ってしまった。入場ゲートの床面に思いっきり大きく「お手持ちの切符を自動改札へお通しください」とあった。さらに笑ってしまった。

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おめでたいけど、有人の方が風情あり。

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床一杯の注意書き。

posted by machi at 10:13| Comment(0) | 鳥取県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月19日

第3483夜:ナマケモノになりなさい【米子(鳥取)】

 米子駅土産売場。2023年11月時点でグッとリニューアルに品ぞろえも充実していた。

 米子ラストミッションを終えた翌朝。岡山、東京、小山を経由して目的地の佐野へ。移動日ゆえ(ただし丸々8時間ですが)、着後は呑むだけ。

 佐野駅周辺の呑み屋でもよいが、月2回佐野入りしているので飲む機会はいくらでもある。佐野ラーメンも啜る機会あり。しかし、米子はいくら再訪を誓おうが明日やもしれぬ我が人生。最後かもしれない。特急の待ち時間、万感の想いを胸に米子駅土産物売り場へ。

 伯耆の国・米子を下野の国・佐野で思いっきり満喫することに。鎌倉時代から江戸時代、もしかしたら昭和の高度成長時代まで、伯耆の国の名産を当日中に下野の国で味わうことなど不可能だっただろう。

 鳥取市、鳥取県内の市町村、隣県の島根県、松江市…。私は徹底的に「米子市」に拘った。

 製造元が米子市外はすべて割愛。駅弁も米子市の調整元<米吾>さんの未食を2箱。デザートも米子市内の製菓会社の土産物クッキー。酒は…地酒でなく、地焼酎。米子の蔵元<稲田本店>の芋焼酎でキメた。日本酒でなく焼酎のような蒸留酒はスィーツにも合う。

 お会計、ざっと5000円弱。独り居酒屋より高いかもしれぬが、絶対的な満足感が補償されている。後は、佐野駅前のコンビニで缶ビールとロックアイスを購入すれば万事万端だ。

・「幕の内弁当 伯耆物語」(米吾)

・「大山どりの鶏三昧弁当」(米吾)

・「大山ソフトクリームサンドクッキー(6ヶ入)」(寿製菓)

・「本格芋焼酎 なまけ者になりなさい」(稲田本店)

 佐野駅前のコンビニで缶3本とロックアイス捕獲。市役所から徒歩1分ほどの定宿チェックイン。荷を解く間にユニットバスに湯を張る。長旅の凝りを少しでも解す。冷蔵庫から発泡酒を取り出し一気飲み。

 まずは「伯耆物語」から。これぞ、幕の内。豪華である。鰻まで入っている。奈良漬が添えられているのも分かってらっしゃる。様々なおかずをツマミながらグビビ。缶チューハイ、ハイボールも空になった。

 『大山どりの鶏三昧弁当』は大山どりの鶏そぼろめし、照り焼き、中華風酢鶏の三銃士。味が染みて地鶏特有の歯ごたえも心強い。大山高原野菜の漬物に、未踏かつ一生登らないだろう大山に思いをはせる。玉子焼、磯辺揚げなどの脇も固い。

 紙コップにロックアイスを入れ、焼酎ドボドボ。米子の蔵元の芋焼酎。目玉おやじが思いっきりプリントされている。商品名は「なまけ者になりなさい」。水木しげる先生の至言である。先生の教えに従い、今夜「も」なまけ者になることにした。

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佐野市の定宿にて。

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伯耆の国の幕の内。

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伯耆の国の鶏三昧。

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伯耆の国の甘味。

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独りで5ヶは多すぎた。

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なまけものになります。

posted by machi at 07:16| Comment(0) | 鳥取県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月18日

第3482夜:最後の牛骨【米子(鳥取)】

 牛骨ラーメンスタンプラリー。米子のソウルフード「牛骨ラーメン」を2〜3カ月かけてラリーすれば、様々なオリジナルグッズが抽選もしくは絶対もらえるという素敵な企画である。25店舗ほどが参加していた。

 この企画を知ったのが、我が6回米子シリーズの最終回。定宿(T横イン)にそのチラシが置かれていた。私がほぼ毎昼お世話になった<このみ>さんが見当たらぬ。牛骨でないのか。

 米子の最後の夜。米子駅近くで創作寿司を満喫後も、私はラーメン腹を残していた。呑みシメに牛骨ラーメンで決めたかった。昼のシエスタ時間と違い、ラーメン店の灯りが眩しい。ホテルは異なるが米子に泊って頂いた中央会M本所長と最後にラーメンを啜ることに。

 所長が案内して下さったのは、我が定宿の掛け値なしに真ん前の<とき兵衛>。エッ?うどん屋なんじゃ…。看板には「油かすうどん」「カレーうどん」が全力でプッシュ。

 宿に戻る際に真正面なので当然に店の存在に気付いていたが、うどんに惹かれなかった。それも、大阪系の油かすに。

 店内へ。完全に居酒屋風である。そして、圧倒的センターが「牛骨ラーメン」だった。

 ついに出会えた。はっきりと「牛骨」と表記されたメニューを。牛骨は醤油、味噌、塩あれど、迷うことばく醤油一択だ。

 タッチパネルを所長が操作。所長、かなり満腹かつもう飲めないらしく、瓶ビール1本を分けようとおっしゃる。異存はない。私はチャーシューメン。所長は苦しそうに半チャーハンを選択。途中、通信障害が発生しフリーズしたか画面が消えた。所長は同じ操作を繰り返した。

 所長がトイレに行っている間、瓶ビールが2本置かれた。おや、2本?まあ、どうせ呑む。1本なら足りないと思っていたので、さすが所長と感心した。

 所長が戻ってくるなり「あれ、2本ある?」。あれ、頼んだのではなかったの?まあ、良い。ただ、所長はもう炭酸すら入らないようで舐めるようにチビチビしている。

 チャーシューメン、降臨。旨そうである。シビれるビジュアルである。しかし、卓上に何故か2杯も。所長、目を剥いている。

 どうやら、通信障害でなく、注文は通っていたらしい。そのままもう一度同じ操作をしたので、瓶ビール1本が2本に、チャーシューメン1杯が2杯に。

 所長、慌ててワンオペ兄ちゃんに確認。しっかり2つづつオーダーが通っていたようだ。半チャーハンのキャンセルを申し出たが、後の祭り。出来上がる寸前という。

 所長、肩を落としながら牛骨を啜る。私、肩を上げながら鼻息荒く啜る。昼の<このみ>さんが牛骨だったこともしっかり分かった。あちらは「醤油」と表記しているだけ。米子のソウルフード、牛骨がデフォルトなのだろう。鳥取市にはあまりなく、米子が一大勢力らしい。

 この店、夜しか開いていないが真夜中も開いているようだ。なぜ今まで気づかなかったのか。よく見ると、牛骨スタンプラリーのポスターも貼られている。

 半チャーハン登場。一人前に見えなくもないが錯覚だろう。所長は一口でギブアップ。私は残りを頂く。パラパラでなくしっとり系で私好み。胡椒強めだが塩加減絶妙。ビールに合う。

 唯一の救いが、半チャーハンは一皿だけだったこと。2皿だったら目も当てられない。これだけ通信障害で届かなかったのか、ワンオペ兄ちゃんの手加減なのか優しさなのか。お会計も1皿分だけだった。後はきっちり2セットづつだったけど。

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我が定宿の真ん前。

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最後の牛骨。

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9か月間ありがとうございました。

posted by machi at 06:39| Comment(0) | 鳥取県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする