2025年08月11日

第3731夜:立ち呑みでがんす【広島(広島)】

 がんす。昭和49年神戸生まれの私にとって「がんす」とは怪物ランドの王子様に仕える狼シェフの口癖語尾だが、広島では魚肉練物を揚げた名物料理である。

 師走の夕方。尾道駅から在来線でたっぷり100分ほどかけて同行氏と広島駅へ。尾道には新幹線の泊まる新尾道駅があるが、異様に遠くて路線検索するとバスで30分以上かかる。接続や本数を勘案すると、在来線と変わらないようだ。

 令和に入り、広島駅は大幅にリニューアルしたようで、土産物売場や呑み屋ゾーンの充実っぷりが壮絶。街に勢いを感じさせる。

 とりあえず駅構内で軽く呑もうとなり、何軒かあるなかで私が惹かれたのが立ち飲み屋。まさに「軽く」に相応しい。お好み焼き屋ならそれで終わってしまう。

 この日は午前中に徳山を発ち広島を通り越して尾道へ。そして広島へ逆戻り。尾道ミッションは全集中でしゃべり倒し。生ビールが一瞬で空になる。

 フードメニューを見る。定番が多く、どれもリーズナブルで好もしい。しかし、ここは広島。広島市内では駅構内も含め令和になってから初吞み。広島っぽい名物を口に入れたい。

 「広島菜キムチ」は3週間ほど前に尾道駅前のラーメン屋で呑んだ際にツマミで食した。白菜、大根、胡瓜に続く第4のキムチか。広島県内以外でお目にかからない。さっぱり感はなくどっしりした味わいと歯ごたえだが、白米よりも酒に合いそうだ。頼まずにいられない。

 そして、冒頭の「がんす」。全く予備知識なく注文してみた。島根県大田市が本拠で広島市内に単身赴任されている同行氏が「がんす」を説明して下さる。

 思ったより大きなフライが4等分。ソースが掛かっている。千切りキャベツとマヨネーズも添えられている。まずはソースが掛かったところを齧りつく…。魚肉と思えぬ濃厚さ。体にも良さそうだ。マヨと絡めるとジャンク感も倍増。ハマってしまう。

 生を2杯だけにし、バスで市内中心部へ。20時前だが、アーケード商店街はすごい人である。広島の活気に目を細める。

 当然、もう一軒。今度はじっくり座り呑み。視界に入った肉系居酒屋でメガハイボール鯨飲しながら丼に入ったポテトフライ、串焼、煮込みなどに舌鼓。1軒目で広島を味わったので、2軒目は定番で。ただ、会話の内容が超弩級ホラー級の戦慄ゆえ、味をあまり覚えていない。

 翌朝。平和大通沿いの我が全国の定宿(T横イン)の朝食会場へ。すっかり忘れていたが、平成末期に2度ほど、この宿に泊まった記憶が蘇る。

 我が全国定宿、無料朝食が充実し始めた。ご当地メニューもあり、このホテルでは「がんす」だった。皿に盛りつける。ソースかマヨネーズがないか探したが見当たらなかった。

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充実の広島駅構内。

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広島菜キムチ。

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がんす。

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2軒目は街なかの半地下。

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ラーメン鉢たっぷりのポテトフライが心強い。

posted by machi at 05:55| Comment(0) | 広島県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年08月10日

第3730夜:すすりんぼうV「千両役者」【尾道(広島)】

 <くいしんぼうS両>。尾道駅からアーケード商店街へ入ると比較的すぐに発見できる尾道ラーメン店、というか町中華である。

 師走の午前。徳山駅から新幹線で三原駅で下車し、在来線で尾道へ向かう。三原駅構内はプリン推し。三原は下車したこともないので全く存じ上げなかったが、新幹線、在来線を含め改札内に売店無く、推しを捕獲できない。

 三原がプリンなら、尾道はラーメンである。着後、ミッション開始まで2時間以上あった。駅に近い<misdo>でPC猿打。カウンター席はコンセントがあって大助かり。

 13時半前にmisdoを出てミッション会場へ向かう。前回は海岸通り沿いを歩いた。今回はミッション会場までほんのわずかなアーケード下に4軒も尾道ラーメン店があった。

 昼ラーする時間はないと思っていたが、思いのほか午前中の猿打が快調。ミッション会場は視界に入っている。ミッション開始は25分後。ラーメンを啜っても時間のお釣りがくる。この日は終わってから広島市へ向かうため、尾道ラーメン店でイッパイはできない。

 ミッション会場に最も近かったのが冒頭の<くいしん坊千両>。13時半を回っていたが、それでも地元客風が店内に数名。観光っぽくなく期待が高まる。

 券売機と対峙した瞬間、カウンターに座っていたオヤジが忍寄ってきてオススメメニューを教えてくれる。最初、常連さんの謎の親切かと思いきや、この店の大将っぽい。

 大将のオススメはラーメンと炒飯のセットだった(と思う)が、私は忠告を聞かず迷わず「チャーシューメン」のボタンを押す。1000円。確か駅前のチャーシューメンが1300円ほどだったのでかなりお得。このご時世、千円札1枚でチャーシューメンを啜ることは難しい。

 巨大リュックと手荷物の私に大将はカウンターでなく4人掛けテーブルを勧めて下さった。卓上のポットから水を飲む。店内はお店が紹介された記事や著名人と思しき方からのお礼のお手紙などが壁面を彩っている。

 本場の尾道ラーメンは3軒目。どこもサイドメニューが充実している。この店だけでなく途中通りかかったどの店も旨そうだった。次回はどこに攻めようか思案していると、ブツ降臨。

 思わず口笛を吹きそうなビジュアルである。見た目だけでこれほど旨さが約束されているラーメンはそれほど多くない。まさに千両役者的な華がある。

 胡椒をパラリ。まずはスープ…。魚介+背脂。深さ、キレ、コク。これまでどこも旨かったが、まさに真打。千両役者の実力を思い知る。チャーシューも分厚く私好みの肩ロース。

 夢中で啜っていると、大将が近づいてきた。何故か小声で私の耳元で囁いた。

 「コショウ、ふりかけてみて。もっと美味しくなるから」。

 すでに振りかけていたが、今回は大将の忠告に従った。

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posted by machi at 10:52| Comment(0) | 広島県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年07月18日

第3317夜:すすりんぼうU「奇祭」【尾道(広島)】

 ベッチャー祭。毎年113日、ベタ・ソバ・ショーキーに扮した3体の鬼神が尾道市内を練り歩き、子供たちを追い回す西日本有数の奇祭である(らしい)。

 ほぼ同じ趣旨の「鬼まつり」を尾道と同じ福山経済圏である岡山県井原市で体験した。私はオッサンだが、鬼に追い回された。怖かった。

 11月最終木曜日。尾道駅着後、ミッション会場までアーケード商店街でなく海岸通り沿いに10分ほど歩く。その道筋だけで尾道ラーメンを掲げる店が11店舗もあった。濃厚濃密全集中ミッションを終え、行きと同じ海岸通り沿いを歩いて駅へ向かう。こっちの方が近道ゆえに。

 同行氏たちと別れ、独り飛び込んだのが冒頭の奇祭をフューチャーしたっぽいラーメン店<尾道らーめんベッチャー>。「世界が認めた金賞受賞の味」とある。

 時間は17時前。何はともあれ瓶ビール。ゴボゴボ注ぎ、一気にプファ〜。3週間ほぼ連続出張だった。この日がタフを極めた11月出張の最終日。ビールがしみじみと旨い。

 オツマミが豊富で十数種類も。どれも税込400円代の良心である。「広島県産かきポン」は大きなサイズが3ヶでプリップリ。私のような牡蠣フェチにはこれだけで大当たりだ。

 秀逸が「おつまみ盛り」。揚げ餃子3ヶ、昆布チャー(シュー)、広島()キムチの3種盛で500円はお得。さらに、アルコールと一緒なら300円に。私は瓶ビールを頼んでいたのでお得を享受。ビールが瞬殺で空になり、広島県三次市の地酒を招集。チビチビとヤる。

 ラーメンは何にしようか。メニューに「世界が認めた金賞の味」の秘密が熱筆されていた。10年ほど前にモンドセレクション金賞を3年連続で受賞しているとある。尾道ラーメンでは初らしい。受賞作が「ベッチャーつけ麺」。

 冒頭の奇祭を同じくする岡山県井原市の地場スーパーの「カット葱」もモンドセレクションを受賞していたことを思い出しつつ、私はつけ麺よりもラーメンが好きうえ、権威に靡くことなく「チャーシュー麺」990円を指名する。

 程なくしてブツ降臨。背脂が軽く吹雪いている。胡椒をパラリ。まずはスープ…。魚介と背脂の抱擁に目を細める。口角が上がる。目尻が下がる。私にとって背脂はマストでない。二郎系の店では背脂を「抜き」にする。しかし、尾道に背脂は欠かせない。体も暖まる。

 麺の説明書きも熱い。最高級の小麦を職人が通常の何倍も手間をかけた小加水小ちぢれ麺とある。よく分からないが、モチモチとしてスープによく絡む。ちぢれというより、ストレートに近い印象だ。

 卓上に巨大な薬味が。「尾道やくみ」。小魚などをブレンドしているこの店オリジナルらしい。少し振りかける…。味変する。私は味噌でも胡椒なのだが、この薬味ならアリである。

  大満足で店を出る。電車に乗り込む前にコンビニで漫画『藤枝梅安』を購入。福山から新幹線で新神戸。地下鉄に乗ろうとしたら定期券が切れていたので券売機でクレカで購入した。

 それから24時間後。3週間ぶりに自宅に引き籠りPC猿打。夕方に近所のスーパーで買物し、レジでクレカがないことに気づく。どうやら昨晩、券売機で使った際に紛失したらしい。疲れていたのだろう。

 慌てて地下鉄の忘れ物センターに電話で問い合わせる。対応して下さったのは女性。「新神戸駅でクレジッ…」と言い終わる前に「ああ」と声が聞こえた。

 幾分の明るさを含んだ声質。カードが届けられていることが伝わった。感謝しかない。凄いぜニッポン!3週間出張のラストを飾った尾道、大団円である。

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人気店の雰囲気。

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いろんな祭りがあるものです。

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試さずにいられない。

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幸先好調。

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広島の地酒で。

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夢中で熊啜。

posted by machi at 05:09| Comment(0) | 広島県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする