千光寺。日本屈指の観光地・尾道の中でも観光客必須ポイントである。歩いて登れぬこともないが、ロープウェイで展望台へ。そこから山を下っていく。ロープウェイなどいつ以来か。
ロープウェイ、恐ろしくギュウギュウに詰め込まれる。もう一歩詰めろ、まだまだ乗ってくるからもっと詰めろ的な指示が係員から飛ばされる。都会の朝の満員電車クラス。
風景など観れたものでないが、3分ほどで展望台に付く。そこにはロープウェイの苦行を忘れるほどの絶景が広がっている。これが、しまなみ海道なのか。尾道水道なのか。神秘的ですらある。天孫降臨、天地開闢、国生み…。スケールの大きな熟語が頭を過っていく。
2024年9月から月1回ペースで尾道に通うようになり、この日が5回目。最終回でもある。これまで海沿いの海岸通りかアーケード商店街しか経験なかった。上から全体を眺めることである疑問点も解消。百聞は一見に如かずとはよく言ったものである。
千光寺へ。太古に創建されたという。よくこんな急斜面にと感心する。岩山なのか、本堂のすぐ真上に巨大な岩が積み重なっている。境内は参拝客でびっしり。
尾道の観光客はとにかく若い。カップルか若い女性同士など。日本人比率も高い気がする。この日は2月の平日。閑散期でもお構いなしのパワフルさである。
商店街連合会T垣会長が作務衣を着た男性と談笑されている。30年ぶりにバッタリ会った小学校の同級生という。その男性、千光寺のご住職だった。参拝客で溢れる境内で、ご住職御自ら様々なお話を聞かせて頂ける。役得の極みである。
文学の小道を下っていく。猫の小道も下っていく。コンパクトなまちなかに魅力がこぼれんばかりに溢れている。
下山完了。ミッション開始まで50分。昼飯はもちろん尾道ラーメン。会長絶賛の2軒のうち、1軒は定休日ゆえ海岸通り別の1軒。
行列ができている。店内はカウンターだけが8席ほどらしい。激シブの外観で、営業時間は11時から13時とある。私が絶対に訪れることのできない時間帯である。
30分ほど寒風の苦行を耐え、店内へ。T垣会長は昔からの常連でイカついオヤジさんと談笑。会長の「あっさり&硬め」というイチゲンなら追い出されそうな注文もオヤジさん快諾。
メニューはざっくり2種類。「中華そば」と「中華うどん」。それぞれに並と大がある。どこにも「尾道」の文字がない。地元に愛され続けているからこその表記である。
私は「中華そば」の大盛にゆでたまご追加。程なくしてブツ降臨。黒目がハートになるセクシーさ。麺はストレートだが黄色い。スマホを取り出そうとして、辞めた。「撮影禁止」とあるからだ。隠し撮りしても音でバレる。会長に御迷惑をかけるわけにはいかない。
ミッションは20分後に始まる。啜り終え、移動し、セッティングせねばならない。冷え切った顔と体が湯気とスープで恢復していく。
私はあまり背脂を好まないのだが、背脂自体が衝撃の旨さ。至福の熊啜。しかし、麺が減らない。思った以上に量が多い。「もち米入り白米」という惹きの強いモノはスルーして正解だったかもしれない。
ポスターより。
しまなみ海道。
尾道水道。
巨石下の御堂。
屈指の人気店(店内撮影禁止)。

