2026年04月28日

第3909夜:28年ぶりのシネマモード【福山(広島)】(前編)

 バラの街。広島と岡山の間に位置する備後地方最大の都市・福山の愛称である。

 1998年の半年間、私は福山市民として製鉄所で働いていた。平日は朝5時に職場に入り、退社は夜中2時ごろ。土日は朝7時で夜は22時だったか。後半3カ月は金曜も休みになった。経費(人件費)削減のためという。そんなことは全く関係なく、半年間で工場に行かなかったのは1日だけ。たしか、急な尿管結石に苦しんだ日だ。

 これだけ書くと20世紀にはなかった概念「Bラック企業」かもしれない。たまに早く上がれそうになると(それでも22時だが)「お前ヒマそうだな」と業務を追加されそうになる。先輩方も残っておりなかなか帰れない、帰らない。郊外の山の上にある寮に住んでいたが、朝メシも昼メシも寮の食堂で喰った(喰えた)記憶がない。それでもブクブクと太っていった。

 職場の名誉のためフォローすると、ちなみにこれは強制でなく(一応ですが)、私の仕事が終わらないから。より正確には、先輩方では楽勝な業務が新人で知識経験のない私には時間をかけるしかなかったから。チームは違えど同じ室の同期も似たようなものだった。

 残業代などつかなかった。給料を工場滞在時間で割ると、時給100円以下だった。缶コーヒー1本買うこともためらわれる。秋から不況か何かで出勤が週5日から4日になり、労働時間は変わらないが1日減った分、給料もたしか減らされた記憶がある。

 1999年3月に神戸新長田の震災復興まちづくり会社に転職した際、9時半に出勤で商店街の会議が無ければ18時に退社し上司らと飲みに行けることに打ち震えた。

 すぐに大きなイベントの担当になり土日も出勤するようになったが、苦でも何でもなくただ楽しかった。クレーム対応ですらヨシッと異様に前向きに気合が入った。

 福山時代の半年間は、私の仕事に対するスタイルに大きな影響を与えた。もちろん、良い方向に。さすがに今は福山の製鉄所も令和基準に適応しているだろう。たぶん。

 半年間で福山市内で呑んだ記憶は2、3回しかない。たまに強引に仕事を切り上げた平日や数時間の余裕が生まれた土日は、街なかの映画館でスクリーンに没頭した記憶しか残っていない。ラーメンも啜ったはずだが1杯も記憶にない。

 当時はシネコンが一般的でない時代。それでも街なかに5、6スクリーンあったのではないか。上映された映画はすべて観たように思う。テレビやビデオも部屋になく、24時間工場から電話がかかってくるのが嫌で携帯を解約した私にとって、スクリーンで2〜3時間没頭し現実逃避することが唯一のストレス解消だった。

 映画を観るようになったのは、福山に住む1年ほど前の大学4年生の時。映画というより「映画館」が好き。2000年代初頭は年間100本ほど「映画館」で観た。福山から神戸に戻り、やはり映画館の数の多さは都市規模に比例すると痛感した。〔次夜中編〕

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片側アーケードになんとなく前世紀の残り香が(2025年9月撮影)。

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前世紀から残っているっぽい路地も令和ではシュールで斬新(2025年9月撮影)。

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2025年11月26日

第3799夜:福山ラーメンの朝【福山(広島)】(後編)

 広島料理ゾーン(酢牡蠣・カキフライ・がんすなど)に惹かれるが、初めての店。店の王道の人気メニューで攻めたい。

 1品目が「肉2倍肉豆腐(黒)」。『名物』『まずはこれ!』などのキャッチが踊っている。写真の画像もダントツで大きい。

 肉はすじ肉っぽい。一味をパラリ。味が染み込んでいる。肉豆腐は大衆系酒場の定番。当たり前のように旨いが、自宅でなかなか再現できない。出汁も酒のツマミになる。

 2品目が「から揚げ2種盛り(旨塩2ヶ・手羽先2本)」。『金賞受賞!』とあるが何の金賞かは不明。熱々揚げたてで、手羽先が皮までパリパリで私好み。

 レモンサワーを追加し、3品目が「たまふわ焼き」。『名物』の横に『卓上調理』とある。何のことかと思いきや、フタをした土鍋に固形燃料が。火が消えたら食べ頃という。フタを外す。目視でふわふわ感が伝わる。味は甘めゆえ醤油で整える。なかなか楽しい肴である。

 他にも食べたい逸品やシメもあったがラストオーダー。お会計を済ますと2500円以下。すぐ隣の福山ラーメンの店で締めようと店外から中を覗く。先ほどは満席だったが今は誰もいない。店じまいしたのだろう。

 翌朝。目の前の窓から福山駅新幹線ホームがすぐ下に見える。新幹線がガンガン通過する。テッチャンにはたまらない部屋だろう。

 10時前にチェックアウト。昨晩呑んだ店の前を通る。福山ラーメンの店も閉まっている。 福山駅到着。徳山へ向かう新幹線は15分後。

 駅構内入り口横にセルフの駅そば屋があった。思いっきり「福山ラーメン」を推している。気づけばフラフラと店内へ。券売機で750円のチケットを購入。店外も店内も福山ラーメンPOPで溢れている。待つ間、水を飲みつつPOPを読み込む。

 「麺は備後地方お馴染みの平打ち生麺、スープと鶏と豚と小魚、福山の醬油メーカーの本醸造醤油で味付け、表面に浮く背脂…(以下省略)」

 やはり尾道ラーメンでないのか。福山から尾道まで電車で20分ほど。令和6年度は5回も尾道入りし、毎回ラーメンを実食してきた。

 ブツを受け取る。大きなチャーシュー(バラ)が2枚。ロースでなくバラなのは「薔薇のまち福山」だからか。葱、メンマとシンプルな構成である。胡椒をパラリ、スープから…。

 尾道ほど魚介は強くなく、鶏ガラ風味がパワフル。むしろ好みである。スープと平打ち麺のカラミも良い。こんなうまいラーメンを朝7時から啜れる福山市民が羨ましい。ラーメンが旨い街にハズレなし。私の福山イメージがかなり上方にアップデートされた。

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いっきに2杯注文(独りですが)&肉豆腐。

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唐揚2種盛。

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蓋を開ければ…。

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楽しき演出。

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ホテルの窓から。テッチャン垂涎。

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福山駅前。

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ラーメン推しの店。

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福山朝ラー。

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2025年11月25日

第3798夜:福山ラーメンの朝【福山(広島)】(前編)

 福山ラーメン。天下屈指の有名な尾道、そこまでの知名度はないが底堅いファンが熱い笠岡の両ラーメンシティに挟まれた備後屈指の大都市・福山のご当地ラーメンであるらしい。

 「らしい」と書くのも、まあまあなラーメンオヤジの私も20253月までその名称すら存じ上げなかった。45年の神戸、4年の札幌に次いで私が唯一居を構えた福山なのに(1年未満)。

 年度末な3月中旬の夕刻。井原駅からブラブラ30分以上歩いてミッション会場へ向かう途中の24時間スーパーで日本酒(720ml)とワイン(750ml)を購入。

 井原鉄道、ラッシュ時間は知らぬが1時間に1本平均。駅の待合室は遅い時間は閉鎖され、寒いホームでじっと待つしかない。そのための作戦として、暖を取るために酒を捕獲していた。紙コップも自宅から持参するという我ながら芸の細かさである。

 2024年7月に始まった井原ミッションもついに最終回を迎えた。初めて訪れた街で一応やり遂げたという達成感と、もっとできたかもしれないという残尿感が入り混じる。

 毎回2〜3時間以上費やすのだが、この夜は珍しく90分ほどで終了。終電より1時間早い電車に乗ることができた。この夜は岡山方面でなく宿のある福山へ向かう。翌朝に山口県周南市へ直行するためである。ところがあまりにもスムーズ。寒さで震える暇もなかった。

 せっかく買ったので赤ワインを開け、紙コップに注ぐ。ラッキーなことに横一列でなく4人掛け。井原鉄道の終点の神辺駅までの約15分、プチ晩酌の始まりである。

 15分間でワインを空にして、神辺駅ホームで電車を待つ。終電であれば25分待ちだったが、1時間早いラス前ゆえ乗換時間わずか4分。アッという間に入線。酒を持て余す。

 横一列シートだったが、日本酒も開けてドボドボ注ぐ。まったりとした至福。横一列だがガラガラゆえに可能な無法の作法を決めていると、あっという間に福山駅着。

 駅前のイメージが一変している。福山でのホテル泊はたぶん初。宿に向かう途中の高架下に何軒が店がある。先ほどの車内晩酌ではすきっ腹に酒だけ飲んだので空腹である。

 「福山ラーメン」と書かれた店があった。豚骨と醤油の2種。醤油はよく見れば「尾道風」とある。福山ラーメンの定義が分からない。

 他には牛丼、カレー、中華などの大手チェーンが並ぶ中で、1軒の居酒屋が気になった。<大衆酒場 安べゑ>。チェーン店っぽいオオバコだが、他で観たことがない。

 飛び込んでみた。ラストオーダーまで30分と注意喚起されたが、独りゆえ充分。カウンターに陣取る。両隣の男性は定食らしきものを喰っている。スマホで注文するスタイルだった。

 まずは飲み物。レモンサワー190円(税抜)。安い。何度も操作するのも面倒なので独りだが一気に2杯注文。お通し(テーブル料)がない点も好感度高め。〔次夜後編〕

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24時間営業。

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福山城ライトアップ。

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高架下沿い(撮影は翌朝)。

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私なら、上(醤油)かな。

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レモンサワー99円が心強い。

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