<あんず>。広島市タカノ橋商店街の決して目立つ場所ではないビルの2階の韓国料理店である。ある師走の21時過ぎ。私ごときではなく弁護士が対応すべきタカノ橋ミッション終了後、7人で<あんず>へ。冷え冷えの中がタフなミッション後の毛細血管に染み込む。
ナムル3種盛から始まり、サムギョムプサル(合ってるかな?)、せせり炒め、キムチ、唐揚、チヂミ、とうもろこし天ぷら、ポテトフライ……。
韓国料理一辺倒ではない。日本人に合う味付けというか、好みというか、定番料理も揃えているところが心憎い。そして、何を喰っても旨い。ハイボールも濃い目。日本酒も充実している。
我ら7人以外にも若いカップルが2組。実に家庭的というか、飲み屋なんだが他人様の家にお招きいただいた気分、さらにその上を行き、自宅にいるような寛ぎ気分を味わえる。
〆にホルモンうどんを少し取り分けてもらった。うどんの出汁は関西風の透明感ある昆布系。ただし、ホルモンが天ぷらになっている。ホルモンの天ぷらは初めてかもしれぬ。細く千切りされた赤い物体が華やかさを添えている。
出汁を啜る。……。じんわりと旨い。西日本人は全員好む味だ。しかし、じんわりと辛みが広がる。唐辛子だった。辛い。熱い。しかし、旨い。ホルモンの天ぷらもふわふわのプリプリ。うどん出汁を衣が吸って独特の官能を高めている。汁1滴残さなかった。
時間は23時前。2軒目は専務理事も含み若手中心に5人で市役所方面のメイン通りから外れた住宅街へ。ほのかに灯りらしきものが灯っている古民家がある。<おうちBARひらひら>。
これまで日本中で分かりにくい店、入りにくい店、見つけにくい店を訪ね呑み歩いてきたが、北九州市の隣町の水巻にある韓国料理店に次ぐセットアッパー級の難解さ。目を凝らせば看板らしきものはあるが、集中しないとまずスルーだろう。
店内に入り、思わず歓声を上げた。巨大なスクリーンには80年代洋楽ロックのライブビデオが。それ以上に、まさに古民家を改装した和風バー。その中に洋のテイストが差し色として映えている。店主のセンスの高さが全力で伝わってくる。
ハートランドを飲み干した後は、ハイボール。400円という安さに驚愕。カクテルも豊富で、専務理事が嗜まれていたカクテル「サザンカンフォート」に挑戦。辛口のジンジャーエールで割るそうだ。きりっとした濃厚だがコシのある甘さだ。ツマミは出来立てのポッポコーンである。
談笑と激論を繰り返していると、深夜1時を回った。私はお礼を述べ、ブラブラと広島市滞在時の定宿へ。歩いて5分である。
1軒目も2軒目も、壮絶に寛げる自宅感覚が心地よかった。この気分を維持していたい。歓楽街の誘惑を珍しく振り切り、定宿でチェックイン手続きした。この定宿チェーンに年間100泊以上生息している私にとって、自宅以上に寛げる3軒目でもある。
何喰っても旨し。
ポテトフライは外せない。
タカノ橋商店街の皆さま、ありがとうございました。
BARとは思えない。
寛ぎの極み。
居心地良すぎ。
2020年03月26日
2020年03月25日
第2404夜:お好み焼き放浪記〜広島編・1枚目〜【広島(広島)】
日本三大お好み焼。言い換えれば、世界三大お好み焼きである。大阪風、広島風の2強に「神戸長田風」を加える(異論は挟ませぬ)。「神戸」ではなく「神戸長田」である点がポイントだ。
3大お好み焼きの調理方法や特色などは割愛する。神戸長田焼は私がモノゴコロ着く前からのソウルフード。地ソース(バラなど)を産湯としてきた新長田っ子の私は、お好み焼きにはこだわりがある。そして、神戸長田焼は世界最強であることを疑っていない。
令和元年現在もその思いは変わらぬが、かなり揺らいでいる。平成の終わりあたりから広島焼にハマりだしたのである。それも本場ではなく、北九州市内で。特に小倉黄金町ミッション終了後に<安芸>という店に以前よく通った。そこで開眼してしまった。
ある師走の夕方。朝昼何も腹に入れていなかった私は、すっかりリニューアルされ垢ぬけた広島駅構内の飲食店ゾーンを攻めることに。お好み焼き屋だけでも10店舗ほどが軒を連ねている。しかし、デジャブというか、自分がどこにいるのかわからない感覚に襲われた。
……。理由が分かった。同じ店が同一ビル内に出店しているからである。紛らわしい。
時間は17時前。並んでいる店とそうでない店で明暗を分けている。ラーメンにも惹かれたが、ここは広島焼。程よく混みあっているが一人なら座れる<Rちゃん>に狙いを絞った。
メニューを見る。真っ先に「スペシャル」が視界に。これだけ文字の色も異なり、人気ナンバーワンとある。しかし値段は1450円。もっともノーマルが840円。
スペシャルとの違いは、八戸産いかと生えびを使用しているか否か。その差、610円。神戸長田焼ならその差額分だけでお好み焼きが1枚余裕で味わえる。
ノーマルにトッピングする具材で値段が跳ね上がっていく。ちなみにスペシャルは全メニューの中で3番目に高額。価格1位は「ロイヤルスペシャルALL IN」。3500円。よく分らぬが、凄そうである。しかし私なら3500円をランチで払うなら迷わずに鰻を攻める。
少しの迷い、店が力強く勧める「スペシャル(1450円)」に。思うツボなのだろうが、神戸長田共和国から辿り着いた流浪のヨゴレまちづくり屋は、強大な広島焼帝国と対峙せねばならない。
店内はサラリーマンが8割といったところ。しかし、広島弁があまり耳に入ってこない。立地特性上、地元客よりも観光客は出張族が多いのだろう。
ブツが降臨。なかなか脱力感溢れるビジュアルである。私はモダン焼にしても広島焼にしても、そばではなくうどん派。モチモチして旨さが倍加する。しかし、そば派が圧倒的な勢力である。
2種類の「カープソース」を駆使。いかにも広島である。一味もパラリ。箸を二つに割り、いざ喰らわんとしたとき、異変に気付いた。マヨネーズがない。広島焼にマヨは欠かせないはずだ。
店員さんにお伝えすると、「あっ、ちょっとお待ちくださいね」。
戻ってきたとき手にしていたものはマヨネーズだが、たっぷりチューブ式ではなく、テイクアウトのサラダとかに付いてくる小袋タイプ。たっぷりかけられない。じらしプレイもスペシャルなのか。さすが日本最強のお好み焼き帝国である。ヨソモノには厳しい。
肝心のお味は、うどんとキャベツと卵と豚肉と生地が蒸されるように程よく焼け、甘めのソースとマヨネーズに合いました。美味しかったです。800円ぐらいだったなら大満足でした。
神戸新長田時代、「神戸新長田新鮮トレトレにゅーす」(叶_戸ながたTMO発行)を毎月1回発行していた。不定期だったが、「新長田お好み焼き放浪記」というコーナーを担当していた。
私が店主も含め気にいった店を取材し、食し、記事にしていたのだが、しばらくすると何故か閉店してしまう。生存率はかなり低かった。一部からは「デスノート」として恐れられていた。
十年ぶりに、お好み焼き放浪記を復活させる。新章は広島編からスタートし、全国へ。私がこのバカブログに乱筆しても、謎の理由で閉店しないようお願い申し上げます。
広島駅構内。知らぬ間にグッと垢ぬけて。
初のお目にかかった「カープソース」。
スペシャル。
3大お好み焼きの調理方法や特色などは割愛する。神戸長田焼は私がモノゴコロ着く前からのソウルフード。地ソース(バラなど)を産湯としてきた新長田っ子の私は、お好み焼きにはこだわりがある。そして、神戸長田焼は世界最強であることを疑っていない。
令和元年現在もその思いは変わらぬが、かなり揺らいでいる。平成の終わりあたりから広島焼にハマりだしたのである。それも本場ではなく、北九州市内で。特に小倉黄金町ミッション終了後に<安芸>という店に以前よく通った。そこで開眼してしまった。
ある師走の夕方。朝昼何も腹に入れていなかった私は、すっかりリニューアルされ垢ぬけた広島駅構内の飲食店ゾーンを攻めることに。お好み焼き屋だけでも10店舗ほどが軒を連ねている。しかし、デジャブというか、自分がどこにいるのかわからない感覚に襲われた。
……。理由が分かった。同じ店が同一ビル内に出店しているからである。紛らわしい。
時間は17時前。並んでいる店とそうでない店で明暗を分けている。ラーメンにも惹かれたが、ここは広島焼。程よく混みあっているが一人なら座れる<Rちゃん>に狙いを絞った。
メニューを見る。真っ先に「スペシャル」が視界に。これだけ文字の色も異なり、人気ナンバーワンとある。しかし値段は1450円。もっともノーマルが840円。
スペシャルとの違いは、八戸産いかと生えびを使用しているか否か。その差、610円。神戸長田焼ならその差額分だけでお好み焼きが1枚余裕で味わえる。
ノーマルにトッピングする具材で値段が跳ね上がっていく。ちなみにスペシャルは全メニューの中で3番目に高額。価格1位は「ロイヤルスペシャルALL IN」。3500円。よく分らぬが、凄そうである。しかし私なら3500円をランチで払うなら迷わずに鰻を攻める。
少しの迷い、店が力強く勧める「スペシャル(1450円)」に。思うツボなのだろうが、神戸長田共和国から辿り着いた流浪のヨゴレまちづくり屋は、強大な広島焼帝国と対峙せねばならない。
店内はサラリーマンが8割といったところ。しかし、広島弁があまり耳に入ってこない。立地特性上、地元客よりも観光客は出張族が多いのだろう。
ブツが降臨。なかなか脱力感溢れるビジュアルである。私はモダン焼にしても広島焼にしても、そばではなくうどん派。モチモチして旨さが倍加する。しかし、そば派が圧倒的な勢力である。
2種類の「カープソース」を駆使。いかにも広島である。一味もパラリ。箸を二つに割り、いざ喰らわんとしたとき、異変に気付いた。マヨネーズがない。広島焼にマヨは欠かせないはずだ。
店員さんにお伝えすると、「あっ、ちょっとお待ちくださいね」。
戻ってきたとき手にしていたものはマヨネーズだが、たっぷりチューブ式ではなく、テイクアウトのサラダとかに付いてくる小袋タイプ。たっぷりかけられない。じらしプレイもスペシャルなのか。さすが日本最強のお好み焼き帝国である。ヨソモノには厳しい。
肝心のお味は、うどんとキャベツと卵と豚肉と生地が蒸されるように程よく焼け、甘めのソースとマヨネーズに合いました。美味しかったです。800円ぐらいだったなら大満足でした。
神戸新長田時代、「神戸新長田新鮮トレトレにゅーす」(叶_戸ながたTMO発行)を毎月1回発行していた。不定期だったが、「新長田お好み焼き放浪記」というコーナーを担当していた。
私が店主も含め気にいった店を取材し、食し、記事にしていたのだが、しばらくすると何故か閉店してしまう。生存率はかなり低かった。一部からは「デスノート」として恐れられていた。
十年ぶりに、お好み焼き放浪記を復活させる。新章は広島編からスタートし、全国へ。私がこのバカブログに乱筆しても、謎の理由で閉店しないようお願い申し上げます。
広島駅構内。知らぬ間にグッと垢ぬけて。
初のお目にかかった「カープソース」。
スペシャル。
2020年01月05日
第2354夜:鷹の牡蠣【広島(広島)】
タカノ橋商店街。広島電鉄鷹野橋駅すぐ、広島市役所もほど近いアーケード商店街である。
ある秋の午後。私は十数年ぶりに広島市へ足を運んだ。駅構内や周辺の垢抜けっぷりに驚嘆しながら広島電鉄で市内繁華街の中心・八丁堀へ。
広島市中心部のアーケード街を散策。欧米人が凄まじく多い。お店も高級感がある。客層も平日の昼間だが若い。歩いていたら夢中になり、そのままミッション先の鷹野橋まで歩いてしまう。
久々にたっぷり歩いた。ミッション開始まで30分以上ある。商店街は川に近く、絶好の散歩コースでもある。
休憩がてらに「タカノ橋商店街」の喫茶<ぶらじる>へ。純喫茶のムードが心地よい。お店のフロントはパン屋で奥が喫茶。パンの匂いが爽やかで思わず笑みが漏れる。
ブレンドを注文。新聞を読みながら特別に許可を頂いた紫煙を燻らせていると、ブレンドが。そして、ピザパンのサービスが。思わず微笑。珈琲は香ばしく、パンもフワフワで温かい。嬉しいサービスである。
商店街副理事長のT沢氏を訪ね、氏に案内して頂く。商店街のど真ん中に仮囲いがが、もともと「こうせつ市場」だったらしいが完全に撤去され更地に。この900坪という広大な一等地に近い将来マンションが2棟建設されるそうである。
自分で言うのもナンですが日本中で恐らく私しか対応できないようなマニアック極まりない5時間ミッション終了後、タカノ橋商店街の皆さまとカープの選手や監督も来られるという商店街内の超人気海鮮居酒屋<徳の風>へ8人で。ちなみにミッション会場は神社の本殿。なかなかにシュールである。
若手商業者も数名混じり、生で乾杯。タフな5時間だったゆえ、安堵感とノドの渇きで生ビールが瞬殺に滅失。十数年ぶりの広島の夜。そして、一人じゃないのも初めてだ。
8人のメンバーに店のオーナーも加わっているのでかなりVIPな気分。鮮度最高の刺身に震え、店オーナーから全部食べていいけんねと勧められた牡蠣フライ、蒸し牡蠣に悶絶。プリプリの食感、歯を充てると海の恵みがあふれ出す。シアワセの海に溺れる。
広島といえば、牡蠣。他にも色々あるだろうけど、牡蠣。私はシゴト場、日本各地の牡蠣を口にする機会はあるが(どんな仕事だ)、広島はまさに「本丸」といった雰囲気。気分は三本の矢だ。
ハイボールに切り替え、熱々の天ぷらに目を細める。〆の穴子寿司と鯖寿司、思わず目を見開く。思う存分、広島名物を満喫。これぞ役得の極み。
24時前に歩いてホテル帰着。帰路に何を食べようか。牡蠣フライ、蒸し牡蠣、穴子寿司……。先ほどのお店の垂涎メニューを思い出す。広島焼か、それとも……。
広島電鉄「鷹野橋」駅降りてすぐ。
珈琲を頼むとパンがサービス。
鮮度抜群。
熱々の牡蠣フライ。
殻付き最高。
天ぷらもサクサク。
旨すぎる〆鮨。
ある秋の午後。私は十数年ぶりに広島市へ足を運んだ。駅構内や周辺の垢抜けっぷりに驚嘆しながら広島電鉄で市内繁華街の中心・八丁堀へ。
広島市中心部のアーケード街を散策。欧米人が凄まじく多い。お店も高級感がある。客層も平日の昼間だが若い。歩いていたら夢中になり、そのままミッション先の鷹野橋まで歩いてしまう。
久々にたっぷり歩いた。ミッション開始まで30分以上ある。商店街は川に近く、絶好の散歩コースでもある。
休憩がてらに「タカノ橋商店街」の喫茶<ぶらじる>へ。純喫茶のムードが心地よい。お店のフロントはパン屋で奥が喫茶。パンの匂いが爽やかで思わず笑みが漏れる。
ブレンドを注文。新聞を読みながら特別に許可を頂いた紫煙を燻らせていると、ブレンドが。そして、ピザパンのサービスが。思わず微笑。珈琲は香ばしく、パンもフワフワで温かい。嬉しいサービスである。
商店街副理事長のT沢氏を訪ね、氏に案内して頂く。商店街のど真ん中に仮囲いがが、もともと「こうせつ市場」だったらしいが完全に撤去され更地に。この900坪という広大な一等地に近い将来マンションが2棟建設されるそうである。
自分で言うのもナンですが日本中で恐らく私しか対応できないようなマニアック極まりない5時間ミッション終了後、タカノ橋商店街の皆さまとカープの選手や監督も来られるという商店街内の超人気海鮮居酒屋<徳の風>へ8人で。ちなみにミッション会場は神社の本殿。なかなかにシュールである。
若手商業者も数名混じり、生で乾杯。タフな5時間だったゆえ、安堵感とノドの渇きで生ビールが瞬殺に滅失。十数年ぶりの広島の夜。そして、一人じゃないのも初めてだ。
8人のメンバーに店のオーナーも加わっているのでかなりVIPな気分。鮮度最高の刺身に震え、店オーナーから全部食べていいけんねと勧められた牡蠣フライ、蒸し牡蠣に悶絶。プリプリの食感、歯を充てると海の恵みがあふれ出す。シアワセの海に溺れる。
広島といえば、牡蠣。他にも色々あるだろうけど、牡蠣。私はシゴト場、日本各地の牡蠣を口にする機会はあるが(どんな仕事だ)、広島はまさに「本丸」といった雰囲気。気分は三本の矢だ。
ハイボールに切り替え、熱々の天ぷらに目を細める。〆の穴子寿司と鯖寿司、思わず目を見開く。思う存分、広島名物を満喫。これぞ役得の極み。
24時前に歩いてホテル帰着。帰路に何を食べようか。牡蠣フライ、蒸し牡蠣、穴子寿司……。先ほどのお店の垂涎メニューを思い出す。広島焼か、それとも……。
広島電鉄「鷹野橋」駅降りてすぐ。
珈琲を頼むとパンがサービス。
鮮度抜群。
熱々の牡蠣フライ。
殻付き最高。
天ぷらもサクサク。
旨すぎる〆鮨。