ある肌寒い6月中旬の夕方。4か月ぶりに東京駅からバスで水郷潮来で下車し、行方商業協同組合のユーチューバー・H本氏と合流し、氏が未踏というラーメン店<こっこ屋>で腹ごしらえ。「特製鶏白湯らぁめん」を召還。秋田の比内地鶏を白濁するまで濃厚に煮込んでいるという。潮来エリアでは初の鶏白湯であるらしい。
ブツ降臨。味玉の黄が鮮やかだ。胡椒をパラリしてスープを啜る。うむ。しっかりと濃厚である。関西は鶏白湯系が増えているので啜る機会も少なくはないのだが、濃厚さでいえば「普通」といったあたりか。クセになる味である。
行方ミッション終了後、21時ごろ潮来駅前のホテルに戻る。同行氏と呑みに行くことにしたが、3時間半前に啜り上げた濃厚鶏白湯が胃に鎮座しており空腹感を感じない。よっていきなりスナック攻めである。
4か月前に<みそ汁>という御年80歳を超えるママが回しているイカした屋号のスナックへ飛び込んだ。今回はさらにその斜め上を行く<ニューみそ汁>というスナックへ。
「ニュー」も「みそ汁」もありふれた言葉だが、この二つが組み合わさると斬新さが増す。しかもスナックの屋号であるならなおさらだ。
バンジージャンプ気分でドアを開ける。……。常連で支配されていた店内の空気が凍り付く。歓迎ムードは皆無。イチゲンがフラリ飛び込むことはほとんどないのかもしれない。
カウンターが空いていた。特に誘導されるわけでもなかったが強引に座り込む。全くルールが分からないので、とりあえず焼酎をボトルで入れる。ママが何か食べてきたのかと問うので、居酒屋をスルーしていきなりここに飛び込んだことを申告すると、料理がどんどん運ばれてきた。
どれも絶品である。6〜7品ほど運ばれてきたのではないか。1か月前まで何とかという工場地帯のキャバクラで働いていたらしい熟女レディ曰く、ママは料理上手という。
常連がはけた。客は我ら2人だけになった。ママは私の横に座り、いろいろ話して下さる。ちなみに同行氏がママに屋号の由来をお聞きしたが、ママは千昌夫がどうのこうのと何となくはぐらかされてしまいよく分からない。ちなみに創業30年を超えるという。
昭和レトロな音楽と内装、風雪を刻んだ辛口トークのママとやんちゃな人生を歩んでこられたっぽい熟女レディ。私のような場末マニアの心を鷲掴みする鑑賞ポイントが充実している。
焼酎のボトルが空になった。新たに常連がご来店。まさに潮時とはこのためにある言葉である。
再訪を誓いながら会計を済ませ、近くのコンビニへ。ウィスキーや缶ビール、氷を買いホテルの部屋で2次会。いきなりスナック攻めゆえに、本日1杯目のビール。染みるように旨い。
途中で汁モノを啜りたくなった。普段ならラーメンだが、この夜は味噌汁気分だった。しかし時間は深夜3時。コンビニに再度買い出しに行くパワーは1gも残っていなかった。
心騒がずにいられない。
料理絶品。
鶏白湯は日本を席巻中。

