2019年07月30日

第2243夜:ニューみそ汁はママの味【潮来(茨城)】

 鶏白湯。天下●品こってりスープのごとき濃厚でクリーミーで、「ホワイト」として日本中を席巻しつつあるラーメンの古くて新しい新機軸である。

 ある肌寒い6月中旬の夕方。4か月ぶりに東京駅からバスで水郷潮来で下車し、行方商業協同組合のユーチューバー・H本氏と合流し、氏が未踏というラーメン店<こっこ屋>で腹ごしらえ。「特製鶏白湯らぁめん」を召還。秋田の比内地鶏を白濁するまで濃厚に煮込んでいるという。潮来エリアでは初の鶏白湯であるらしい。

 ブツ降臨。味玉の黄が鮮やかだ。胡椒をパラリしてスープを啜る。うむ。しっかりと濃厚である。関西は鶏白湯系が増えているので啜る機会も少なくはないのだが、濃厚さでいえば「普通」といったあたりか。クセになる味である。

 行方ミッション終了後、21時ごろ潮来駅前のホテルに戻る。同行氏と呑みに行くことにしたが、3時間半前に啜り上げた濃厚鶏白湯が胃に鎮座しており空腹感を感じない。よっていきなりスナック攻めである。

 4か月前に<みそ汁>という御年80歳を超えるママが回しているイカした屋号のスナックへ飛び込んだ。今回はさらにその斜め上を行く<ニューみそ汁>というスナックへ。

 「ニュー」も「みそ汁」もありふれた言葉だが、この二つが組み合わさると斬新さが増す。しかもスナックの屋号であるならなおさらだ。

 バンジージャンプ気分でドアを開ける。……。常連で支配されていた店内の空気が凍り付く。歓迎ムードは皆無。イチゲンがフラリ飛び込むことはほとんどないのかもしれない。

 カウンターが空いていた。特に誘導されるわけでもなかったが強引に座り込む。全くルールが分からないので、とりあえず焼酎をボトルで入れる。ママが何か食べてきたのかと問うので、居酒屋をスルーしていきなりここに飛び込んだことを申告すると、料理がどんどん運ばれてきた。

 どれも絶品である。6〜7品ほど運ばれてきたのではないか。1か月前まで何とかという工場地帯のキャバクラで働いていたらしい熟女レディ曰く、ママは料理上手という。

 常連がはけた。客は我ら2人だけになった。ママは私の横に座り、いろいろ話して下さる。ちなみに同行氏がママに屋号の由来をお聞きしたが、ママは千昌夫がどうのこうのと何となくはぐらかされてしまいよく分からない。ちなみに創業30年を超えるという。

 昭和レトロな音楽と内装、風雪を刻んだ辛口トークのママとやんちゃな人生を歩んでこられたっぽい熟女レディ。私のような場末マニアの心を鷲掴みする鑑賞ポイントが充実している。 

 焼酎のボトルが空になった。新たに常連がご来店。まさに潮時とはこのためにある言葉である。

 再訪を誓いながら会計を済ませ、近くのコンビニへ。ウィスキーや缶ビール、氷を買いホテルの部屋で2次会。いきなりスナック攻めゆえに、本日1杯目のビール。染みるように旨い。

 途中で汁モノを啜りたくなった。普段ならラーメンだが、この夜は味噌汁気分だった。しかし時間は深夜3時。コンビニに再度買い出しに行くパワーは1gも残っていなかった。

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心騒がずにいられない。

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料理絶品。

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鶏白湯は日本を席巻中。
posted by machi at 17:07| Comment(0) | 茨城県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月06日

第2207夜:みそ汁はママの味【潮来(茨城)】

 みそ汁。言わずと知れた日本人の国民食である。生まれてから口にしたことのない日本人など私の知る限り周囲には誰もいない。

 みそ汁と聞いて思い浮かべるのは地域や風土によって千差万別だろう。赤味噌、白味噌、具の違い……。ディテールの違いはあれど、なんとなく共通のビジュアルを連想できるはずだ。しかし、茨城県潮来市では……。

 ある冬の午後。東京駅からバスで水郷潮来ICに降り立った。行方商業協同組合H本氏に迎えに来ていただき、商連の事務所へ。濃密な6時間ミッションの合間、打合せを兼ねて役員さんたちと夕食。地元屈指の人気店。和洋取りそろえた変幻自在のメニューである。

 私は歯痛に苦しんでいたのでカレーうどん。皆さんの注文した定食が実に旨そうである。隣の御仁のポークジンジャー定食など垂涎だ。しかし、歯痛の私には責め苦である。

 最も簡単で早いと思っていた一番最後に私のブツが運ばれてきた。ビジュアルは、普通のうどんの上にカレールーが軽くぶっかけられている。なかなかシュールである。

 21時過ぎ、H本氏に潮来駅前のホテルまで送って頂き、荷物を部屋に入れて同行氏と夜の帳へ。ホテルからマップをもらったものの、あまり店はない。人も全く歩いていない。

 ホタホタ歩いていると、マップ圏外に出そうになった。戻るのも面倒だし、冷え込んできた。<みそ汁>というイカれた屋号のスナックにバンジージャンプ。場末マニアの私でも突入に躊躇する外観である。

 ドアを開けて中へ進む。広い店内だが客も女性も誰もいない。BGMも聞こえない。深海のように静まり返っている。

 「すいませ〜ん」と呼びかける。……。反応がない。もう一度呼びかけた。遠くから「はぁ〜い」と長年の風雪を刻んだ声が聞こえてきた。

 奥からママ登場。目視60代後半である。開口一番「いらっしゃ〜い、ウチは女の子はいないけど」。……。別によかです。

 カウンターに腰掛け、同行氏と生ビールで乾杯。6時間ミッションを終えた疲労に染み込む。

 ママの店だけでなく、この時期(2019年2月上旬)はどの店も暇らしい。いわゆる一般的な「ニッパチ(2月・8月)」現象ではなく、潮来市では現市長vs元市長が血で血を争う市長選の真っただ中という。ゆえに閑古鳥であるそうだ。確かに‘欲しがりません勝つまでは’的な味わいがある妙なスローガンが記されたノボリが至る所に刺さっている。

 芋焼酎ロックに切り替え、ママと話し込む。ママ、御年80歳という。同行氏も私も驚愕。60代後半にしか見えぬ。背筋も伸び立ち振る舞いも軽やかでピンとされている。今もお綺麗だが、半世紀前は潮来中のオトコが夢中になっていただろう。

 よく染みた煮物やママの畑で取れた野菜の自家製漬物などをツマみつつ杯を重ねる。ちなみにこの店以外に「ニューみそ汁」というさらにイカれた屋号の店があるが、特に関係ないそうである。

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最初カレーうどんと気づかず。

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入りにくさの極北。

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妙に広い店内を独占。

posted by machi at 10:46| Comment(0) | 茨城県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月26日

第2144夜:アヅ子の部屋【水戸(茨城)】

 水戸黄門。言わずとしれた天下の副将軍である。ドラマはもう終わったはずだが、長年高視聴率番組として昭和のお茶の間に親しまれてきたはずである。私は世代的にハマることはなかったが、それでもストーリーはよく知っている。

 では、どこの藩の御仁なのか。タイトルにもあるように「水戸」である。水戸の知名度向上にこれほど尽力された御仁はおられぬだろう。

 今にも雨が降りそうで冷え込むある晩秋の午前。私は初めて水戸駅に降り立った。当然のごとく黄門様ご一行が屹立する。ご老公をセンターに、助さん格さんが脇を固めている。残念ながらうっかりH兵衛氏や風車のY七氏は不在だった。

 その日は水戸駅前のホテルで、全国で活躍する強烈な商店街リーダーが4名が登壇し、30分づつ取り組み事例などを紹介し、その原動力となる想いを伝えるフォーラムが開催された。

 その4名の聞き手役に、私が主催者様から指名された。大役である。登壇順に、北海道からは函館朝市協同組合連合会の事務局長様、地元茨城県からは大子町まちの研究室副理事長様、東京世田谷からは明大前商店街振興組合理事長様、そして横浜の六角橋商店街連合会会長様。

 特に長年商店街活動をけん引してきた後半のベテランお二人が濃厚極まりない。私は徹●の部屋ならぬ「アヅ子の部屋」状態で4本撮りに挑んだ。ちなみに4名様とも初対面である。恥ずかしながら4地区に足も運んだことはなかった。

 スライドを映し、質問していく。おでかけリハビリ、名物づくり、防犯、闇市と商店街プロレス……。実にユニークな取組が紹介される。

 会場は150名弱という超満員ぶり。熱気に溢れている。質問が出ると、私はマイクを持ってステージを降り、駆け寄ってマイクを手渡す。痛風が完治していないのだが、妙なアドレナリンが出ていたのだろう。痛みが消えている。

 4本撮りが終わった後、体中から疲労が押し寄せてきた。ビールを一刻も早く注入したいが、絶賛痛風発症中の身。堪えねばならぬ。


 後半は石H御大がコーディネーターを務めるパネディス。前述の4氏に加え、私も末席を汚させて頂く。御大は私の疲労を考慮し、ほぼスルーして下さった。

 懇親会はシブい居酒屋で。私は乾杯だけビールを口につけ、後はひたすらハイボール。凄まじいピッチでノドを滑る。料理も旨そうだが、鱈の白子は痛風持ちにとって究極の激ヤバアイテム。

 慎重に料理を選びながら、数年ぶりにお会いした富士宮のM田会長(静岡県商連会長)と話し込む。相変わらず豪快な女傑である。

 20時前に終了。その夜のホテルは埼玉県越谷市。電車までまだ時間がある。事務局と適当に入った居酒屋でハイボール。ほっとするひと時を楽しみ、特急と普通電車3本乗り継いで帰着。

 特急車内でもプリン体ゼロっぽい缶チューハイに。アヅ子の部屋、最後は特急車内一人晩酌である。

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まずはご挨拶。

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超満員。

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勉強させて頂いております。

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また行きたい店。

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帰りの特急。

posted by machi at 07:49| Comment(0) | 茨城県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする