新幹線改札内の屋号分からぬ立喰うどん屋へ。改札内入口からはスタンディング、改札外からはシッティングという不思議な構造だ。
券売機前にたたずむ。熊本っぽいメニューを探す。辛子蓮根とさくら肉(馬肉)が入った火の国うどん570円、辛子蓮根うどん530円にも心惹かれる。ちなみのかけうどんは350円だが、すべてに日奈久ちくわというのが入っているようだ。
店長一押しとあったのが「さくら(馬肉)うどん」530円。辛子蓮根気分でもない。さくらうどんで勝負。涼しい店内へ突入し、チケットを手渡す。熊本の名水をグビリと呑む。カッチカチに凍った冷凍うどんを鍋に投入したところは見なかったことに。
程なくしてブツ登場。最近は関東の真っ黒かつ濃厚な立ち食いそばばかり啜っていたので透き通った出汁が新鮮。うどんも久々だ。
出汁を啜る。……。甘味に効いた極上。馬肉の汁も染み込んでいるかもしれない。うどんは、まあ、普段から自宅で食べ慣れた歯ごたえ。さくら肉は風味豊かだが少々硬いが、缶詰のような味がしてジャンクで旨い。汗を滴らせながらすべて啜りきった。
ある日の猛暑の朝。熊本駅1番ホームにも立ち食いうどん屋がある。その名は<吉祥うどん>。併設されている駅弁売場もこのグループで、非常にコスト安く味もボリュームも申し分ないので重宝している。うどん啜りは初めてだ。
この店にも「肉うどん」がある。`馬肉入´と注釈があり、熊本風情を感じさせる。値段は550円。新幹線改札内より20円割高だ。しかし、天かす入れ放題である。
明るい笑顔のお姉さんが灼熱の中で肉うどんを作って下さる。こちらも思いッきり冷凍うどんだったが、これも見なかったことにする。
待っているだけで汗が噴き出る。ハンカチで必至に拭っているとブツ降臨。ビジュアルがかなりワイルドである。一味をパラリし、まずは出汁。……。野趣あふれている。馬を喰っているという実感に満たされる。うどんは、まあ、新幹線改札内と変わらない歯ごたえだ。
馬肉が見た目以上にたっぷり入っている。歯ごたえがタフだが、噛みしめるほどに旨みが溢れてくる。甘辛く煮られており、こちらもジャンクナ味わいだ。途中から天かす投入。……。馬肉うどんと天かすの相性は何となくTVを騒がしている船越夫妻の雰囲気だ。
新幹線改札内は20円安いが、1番ホームは天かす付。新幹線改札内は繊細で、1番ホームは野趣。この勝負、甲乙つけがたし。

熊本駅新幹線改札内の立喰さくら(馬肉)うどん。

熊本駅在来線1番ホームの立喰い馬肉入りうどん。