2017年09月03日

第1777夜:立喰さくらうどん対決【熊本(熊本)】

 熊本駅で30分以上待ち。ホームは灼熱。時間は15時半。前夜の呑み過ぎ喰い過ぎでボンヤリしたまま朝から何も腹に入れておらず水だけ。何か啜りたいが熊本ラーメン気分ではなく、こんな気分の時は和風出汁一択である。

 新幹線改札内の屋号分からぬ立喰うどん屋へ。改札内入口からはスタンディング、改札外からはシッティングという不思議な構造だ。

 券売機前にたたずむ。熊本っぽいメニューを探す。辛子蓮根とさくら肉(馬肉)が入った火の国うどん570円、辛子蓮根うどん530円にも心惹かれる。ちなみのかけうどんは350円だが、すべてに日奈久ちくわというのが入っているようだ。

 店長一押しとあったのが「さくら(馬肉)うどん」530円。辛子蓮根気分でもない。さくらうどんで勝負。涼しい店内へ突入し、チケットを手渡す。熊本の名水をグビリと呑む。カッチカチに凍った冷凍うどんを鍋に投入したところは見なかったことに。

 程なくしてブツ登場。最近は関東の真っ黒かつ濃厚な立ち食いそばばかり啜っていたので透き通った出汁が新鮮。うどんも久々だ。

 出汁を啜る。……。甘味に効いた極上。馬肉の汁も染み込んでいるかもしれない。うどんは、まあ、普段から自宅で食べ慣れた歯ごたえ。さくら肉は風味豊かだが少々硬いが、缶詰のような味がしてジャンクで旨い。汗を滴らせながらすべて啜りきった。

 ある日の猛暑の朝。熊本駅1番ホームにも立ち食いうどん屋がある。その名は<吉祥うどん>。併設されている駅弁売場もこのグループで、非常にコスト安く味もボリュームも申し分ないので重宝している。うどん啜りは初めてだ。

 この店にも「肉うどん」がある。`馬肉入´と注釈があり、熊本風情を感じさせる。値段は550円。新幹線改札内より20円割高だ。しかし、天かす入れ放題である。

 明るい笑顔のお姉さんが灼熱の中で肉うどんを作って下さる。こちらも思いッきり冷凍うどんだったが、これも見なかったことにする。

 待っているだけで汗が噴き出る。ハンカチで必至に拭っているとブツ降臨。ビジュアルがかなりワイルドである。一味をパラリし、まずは出汁。……。野趣あふれている。馬を喰っているという実感に満たされる。うどんは、まあ、新幹線改札内と変わらない歯ごたえだ。

 馬肉が見た目以上にたっぷり入っている。歯ごたえがタフだが、噛みしめるほどに旨みが溢れてくる。甘辛く煮られており、こちらもジャンクナ味わいだ。途中から天かす投入。……。馬肉うどんと天かすの相性は何となくTVを騒がしている船越夫妻の雰囲気だ。

 新幹線改札内は20円安いが、1番ホームは天かす付。新幹線改札内は繊細で、1番ホームは野趣。この勝負、甲乙つけがたし。

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熊本駅新幹線改札内の立喰さくら(馬肉)うどん。

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熊本駅在来線1番ホームの立喰い馬肉入りうどん。
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2017年09月01日

第1776夜:熊本ラーメン放浪記・その2【熊本(熊本)】(後編)

 参道商店会の皆さまとは「水前寺名物とは何か」というテーマで酒席含め何度も話し合ったことがあった。しかし、その際に「もやし」という単語は出ていただろうか。

 時間は15時。観光客もまばらな時間帯の平日。店内は私だけ。カウンターに座ろうとしたら「涼しいところへどうぞ〜」とテーブル席へ若い女性店員さんが案内して下さる。コワモテっぽいマスターもはにかんだ笑顔で私に扇風機を向けて下さる。嬉しい接客だ。

 メニューを見る。「水前寺もやしラーメン」発見。しかも、この支店限定メニューとある。初志貫徹で迷わず注文。

 「水前寺菜」が名物であることは商店会の皆さまにお聞きしていたが、「水前寺もやし」も名物だったとはつゆ知らず。耳だけでなく自分の足で探さねばならぬようだ。

 程なくしてブツが運ばれてきた。中央のモヤシがかなりのボリュームである。モヤシの多さで目立たないが、チャーシューも大きめが2枚、キクラゲもたっぷりトッピングされている。ゆで卵と刻みネギも渋くも光る存在感を放っている。

 まずはスープ。……。いかにも熊本風とんこつのパンチだが、それ以上に味噌の香りが鼻孔をくすぐる。慌ててメニューを再度読み込む。赤みそと水前寺みそをブレンドしているそうだ。水前寺もやしの存在も知らなかったが、水前寺みそも初めて目に、耳にする。

 この味噌がとんこつ特有の臭みを消し、まろやかに啜ることができる。クセの強いスープが好きな御仁には物足りないかもしれぬが、熊本ラーメン慣れしてない私にはちょうど良い浸透圧。卓上のフライドガーリックをまぶすと、かなり`熊本寄り´になる。

 もやしを頬張る。しゃきしゃき。スープに絡み合うと旨さが倍加。メニューによると、水前寺もやしは長寿を願いう縁起物であるらしい。得した気分に浸ることができる。

 もちもちとした少し太めの麺とスープの絡み具合も良し。チャーシューも柔らかくて味わい深い。最後はゆで卵をさらにスープに沁み込ませてフィニッシュだ。

 国内に数十店舗、海外は数百店舗という熊本のみならず日本ラーメン会の雄・味千。その中でも水前寺もやしラーメンを啜ることができるのはこの店だけ。ぜひ水前寺へお寄りあれ。

 我が水前寺における最高クラスの定宿<エクストールイン水前寺>フロントに、スタッフの方々がおススメする手書きの「ラーメンマップ」がある。水前寺付近のみならず、市内中心部も数店紹介されている。

 前述の桂花本店以外にもこむらさき、山水亭、赤組…。思わず腹が鳴る。最近の熊本ラーメン事情は豚骨一択ではなくつけ麺や塩系も増えだしたらしい。熊本ラーメン放浪の旅は終わりそうにない。

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水前寺もやしがたっぷり。
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2017年08月31日

第1775夜:熊本ラーメン放浪記・その2【熊本(熊本)】(前編)

 下通。上通と並ぶ熊本の中心市街地商店街である。2017年6月中旬、思った以上に早く熊本駅に到着できた私は、ホテルに荷物を預け市電に乗り、中心街へ。熊本地震以降初めて散策する余裕を得た。

 地震の影響を見た目では感じさせぬ活気である。人通りも多い。震災前から熊本は元気だという話は聞こえていたが、その底力をまざまざと痛感させられた。

 時間は14時半。ホテルに戻る前にラーメンを啜ろう。ホタホタ散策していると、路地の奥にこれ見よがしにデカデカと「桂花ラーメン本店」看板が。熊本駅構内の支店は実食済だが、本店は初めて。たまたま聖地が現前に現れた僥倖に思わず惹き寄せられる。

 ドアを開け、カウンターへ一直線。店員さんがメニュー表を持ってくる。しかし、何故か店員さんの表情が戸惑い気味だ。

 店頭メニュー紹介で定番の桂花ラーメンではなく47年間人気1位という「太肉麺」一択に心は固まっていた。メニューを見もせず人気1位を注文。

 お茶を飲みながら店内キョロキョロしていると、ほどなくしてブツ降臨。ごろっと大きな豚の角煮。ゆで卵。そして、生キャベツ。火を通していない生キャベツ。それも千切りではなく乱切り。生キャベツ乱切りがラーメンに合うのだろうか。それとも、私の選択ミスか。

 胡椒をパラリし、まずはスープをひと啜り。……。うむ、まごうこと無き熊本桂花の味。麺はツルツルのモチモチでスープに見事に絡む。肉の塊は口の中でホロリと崩れ溶ける。濃い目の味付けがスープに合う。ゆで卵も天晴なアクセントである。

 そして、自宅ですら試そうとも思わぬ生キャベツ。……。おや、合うではないか。濃厚な熊本スープに一服の清涼感。そして、このラーメンの構成要素の中で唯一無二のシャキっとした歯ごたえ。角煮との相性はさらに壮絶。このラーメンだからこそ実現した奇跡である。

 大満足で店を出ようとした時、券売機があったことに気付いた。私は気が流行るあまり券売機に全く気付かずいきなりカウンターに直行してしまった。店員さんの戸惑いの理由に納得だである。外の暑さなのか我が羞恥なのか、一気に体内温度が上がった気がした。

 それから2週間後の炎暑の15時ごろ。水前寺参道商店会に隣接する<味千拉麺水前寺観光センター店>に飛び込んだ。

 貴重な熊本訪問の機会。聖地(本店)で実食済だったので別の店も含め最初は`味千´足を運ぶ気持ちはなかった。全世界で数百店舗展開する日本屈指のラーメンチェーンでもある。

 二つの理由が私の足を向かわせた。一つはミッション先である水前寺参道商店会に隣接していること。もう一つは「水前寺もやしラーメン」というノボリに惹かれたからだ。〔次夜後編〕

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桂花ラーメン本店にて。

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