この店も大人気で店頭に人が溢れている。好調のためどんどん拡張していったようで、造りはバラバラだが信号を挟んで5店舗ほど同じ屋号で並んでいる。
店頭にたっぷりズラリと料理サンプルや鮮魚が並んでおり、店に入る前にそこで注文するスタイル。あまり待つことなく店内へ。日本人はおらず、ほぼ地元人で制圧されている。
バドガールならぬ笑顔のステキな緑Tシャツのハイネケンガールがテーブルへ。栓を抜いて注いでくれる。台湾最後の晩餐。旅のクライマックスを祝い、一同で乾杯。濃密な2日間を振り返りながらどんどん運ばれてくる絶品料理に舌鼓。小皿料理と看板にあったが、少しも小皿ではない。ボリュームたっぷりだ。
私は中華料理店に入ると99%以上の確率で餃子を頼むが、今回の台湾滞在時は一度も頼まなかった。小籠包で充分だからだ。メニューを見ても、日本でお馴染みの焼餃子を見かけることはなく、ほとんどが蒸し餃子。台湾のワンタンは具だくさんなので、餃子との区別がつかない。
定番かつ安心の青菜炒めから始め、麻婆豆腐に取り掛かる。この麻婆豆腐、トロミ具合といい辛さと甘さの加減といい悶絶の旨さ。北九州黒崎<北京飯店>の真夜中にシメで堪能した麻婆豆腐ライスのごとき逸品と双璧だ。
具だくさんオムレツや揚げたてサクサク烏賊下足フライにビールが進む。どの料理も申し分なし。日本人だけでなく全世界の舌に合うユニバーサルな味付けである。酢豚の濃厚な甘辛さと歯ごたえに驚かされる。繊細と野生が超絶のバランスで両立している。
牡蠣と麩を煮込んだものはジャパニーズすき焼の味を連想させる。わずか2日間だが、すでに日本料理が恋しくなったのだろうか。牡蠣よりも出汁の沁みた麩が御馳走である。
この店の屋号に「麺」という文字が入っている。店員さんたちのTシャツにも大きく「麺」の文字が。M渡氏曰く、名物の麺料理があるらしい。普段なら迷うことなく注文するが、遅めの昼に食べ過ぎた。目の前の料理も量たっぷりであまり減らない。
私は麺追加を断念し、目の前に料理征服に全力を傾けた。貝柱と牡蠣と野菜がふんだんに入ったトロミのあるスープの磯風味に思わず微笑みながら目を細めた。
台湾の食事、全くの飛び込みではなく経験豊富な同行氏たちのオススメ店ばかりだっただろうが、すべてがラッキーストライク。こんな旨い中華を満喫すれば、当分日本では箸が伸びないかもしれない。ある意味で困った悩みである。

<好吃坦仔麺>。

店頭で事前にサンプルケースを見て注文。





どれも絶品。

大満足の台湾旅行。ありがとうございました。