時間は11時。朝飯を腹に入れず久々にたっぷりと歩いたので空腹が襲ってきた。1時間前の朝ビールが胃袋を活性化させている。ホテル近くで飲食店を探したが、夜から営業が中心。せっかくの韓国・釜山。昼から焼肉とビールで激しく攻めたい。
店外メニューに日本語表記が施されていた焼肉<チョンギワ>が開いていた。瓶ビールを3本、牛カルビと豚バラ肉(サムギョムプサル)を注文。メニュー写真ではかなりたっぷりだったが、よく読むと100gあたり表示。写真はかなり盛っていたようだ。2人前づつ注文。
まずはお通しがズラリ並ぶ。生野菜、葉唐辛子、水菜をコチュジャンで絡めたサラダ、冷奴、玉葱スライス、キムチ。炭が詰まった七厘も運ばれてきた。
ビールで乾杯すると、ブツも運ばれてきた。私の座る角度からしか気づかないが、豚バラ肉の脂部分に黒っぽい点々のようなものが見える。目を凝らすと、オッサンの無精ヒゲのようだ。触ってみると、かなりの剛毛。毛ごと焼いて腹に入れるのが釜山スタイルなのだろうか。
まずは豚肉から焼こうと網に乗せると、女将が何かを叫びながら走り寄ってきた。豚肉を皿に戻し、牛カルビを網に並べだした。よく分からぬが、手順があるらしい。
肉はアッという間に焼ける。まずは辛くないタレに付けてそのままで。……。柔らかくてジューシー。コチュジャンのようなタレに絡めたり、サンチュで巻いたりと堪能。
入れ替わり店の人がやってきて肉を焼いてくれる。牛カルビを食べ終えたら、サムギョムプサル専用網にチェンジされた。故にカルビから焼かねばならなかったのか。
巨大な豚ばら肉を焼いたら、ハサミでカット。剛毛部分が少々気になるが、郷に従え。サンチュに乗せ、大蒜などの薬味も一緒に巻いて頬張る。……。思わず目を細める。ヘルシーである。
韓国焼肉スタイルは、お通しも含めるとかなりの量の野菜を摂取することになるが、肉がジューシーなためさっぱりしたものでシメたい。
メニューのデザート欄に冷麺があった。4000₩(400円)。別ページの冷麺は同じビジュアルだが600₩。デザート欄はミニサイズなのだろう。同行氏らは水冷麺、私はピビム冷麺というスープのないブツを注文。ハングル語など全く分からぬので、メニュー写真を指さし呼称だ。
程なくしてブツが運ばれてきた。小ぶりな容器だが、ずしりと重い。これがピビム冷麺か。同行氏お二人は水冷麺。盛岡や神戸新長田でよく見かけるタイプだが、両方とも麺が深緑。何を練り込んでいるのだろうか。ピビム冷麺に冷たいスープはなく、いかにも辛そうな赤い味噌風のタレがこれ見よがしに掛かっている。少々怯むビジュアルだ。
早速啜ろうと箸を持つと、店員のお姉さんがいきなりハサミで麺を4分割にカットし始めた。思わず目を剥いた。韓国焼肉はハサミで塊をカットしながら焼くイメージは定着しているが、麺もハサミでカットするとは…。
啜る。……。思ったより辛くない。甘みと辛みが複雑に混ざり合っている。冷麺の醍醐味はスルスルとしたノドごしにあるが、ピビム冷麺に関してはノドごし爽快とは言い難い。同行氏らの水冷麺のノドごしを観て、私のノドがごくりと鳴った。
牛、豚、お通しがズラリの昼。
あっという間に焼ける。
「デザート」のピピム冷麺。
ハサミでカット。驚愕。
昼から開いていて重宝。

