2016年07月09日

第1491夜:釜山大学前の冷麺物語【釜山(韓国)】(後編)

 店内を見渡すがビールが見当たらぬので水をもらう。すかさず漬物が数種類お通しで運ばれてくる。ビールが呑みたくなる。

 まずは饅頭が運ばれてきた。ポン酢のようなタレに浸して口に運ぶ。……。小籠包に近い味わいか。旨い。思わず首肯する。私のイメージ通り完璧にオーダーが通っていた。

 水冷麺の大盛が運ばれてきた。中々の迫力である。昨昼と同じく麺の色は深緑。寒天みたいなものが大量に浮いているが、何かと思いきや氷だった。たっぷりの赤黒い味噌ダレ、千切りキュウリ、ゆで卵の輪切りがトッピングされている。ハサミも置かれているが、これは昨昼に麺をカットしている様子を見たので無問題。私は敢えてカットせずに挑んだ。

 スープを啜る。……。強烈に冷たい。辛味噌をスープに溶かして麺もグチャグチャに混ぜると、一気にスープが深紅に染まった。あっさりなので酢と液体辛子をたっぷりぶち込み味を引き締める。麺を啜り込む。……。強烈なコシである。味噌ダレに絡まりウマスムニダ。

 金属箸が重く、麺も強烈なコシなので旨いけど、顎も手もつかれる。大盛はいくら啜っても減らない感覚だ。何故か啜れば啜るほど冷たさが増す。大量の氷が溶け出しているのだろう。冷えた口の中に温かい饅頭を放り込むと、ムヒョムヒョ笑いたくなる官能の旨さだ。

 レジにこの店の名刺があったので持ち帰る。店の壁面メニューも念のために撮影。すべてハングル文字なのでさっぱり読めない。

 その3時間後。釜山港フェリー乗場で暇を持て余していた私は、観光案内所で韓国人のオネエサンに先ほどの店の読み方を聴いた。M氏は隣のソファーで爆睡。O中氏は行方不明だ。

 店の屋号は<ジョントンスゥミルミョン>。意味は「伝統ヨモギ冷麺」だった。まさに冷麺一択のお店。深緑はよもぎを練り込んでいたのだ。そして屋号の下にキャプションがあった。読み方は`ミルミョンイヤギ´。「冷麺物語」という意味らしい。ちなみに絶品の饅頭は「じゃがいも餃子」だった。じゃがいもの味は分からなかったが、8ヶ入りでわずか300円である。

 私が覚えたメッチュ(ビール)以外のハングル語に`ミルミョン(冷麺)’が加わった。韓国風冷麺といえば、私が知る範囲で神戸(新長田と板宿の「ちょこっと」)と盛岡。山形名物冷やしラーメンは未経験だが、一般的な冷し中華(冷麺)も韓国風冷麺も大好物である。

 日本の冷し中華は昼食に啜ることもあるが、盛岡や神戸板宿では焼肉や呑んだシメである。独特の酸味のある鮮やかなノドごしがシメに好適なのだが、あっという間に胃袋へ消える。呑んだ後にはちょうど良い量だが、昼飯なら食べた気がしないかもしれない。ちなみに釜山大学前で啜った水冷麺大盛、盛岡で啜った水冷麺大盛より量は倍、値段は半値である。

釜山最後の食事、華麗な地元密着の冷麺物語で閉じることができた。マシッソッソヨ、チュルゴウォッスムニダ、ットオルッケヨ!(美味しかった。楽しかったです。また来よう!)

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水冷麺大盛。ヨモギを練り込んであるので麺は緑色。氷がびっしり。

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絶品だったじゃがいも饅頭。
posted by machi at 12:30| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月08日

第1490夜:釜山大学前の冷麺物語【釜山(韓国)】(前編)

 釜山大学駅。韓国の中心部・南浦駅から地下鉄で20分ほど北上したところにある駅である。駅から徒歩すぐの釜山大学の間に賑やかな学生街が広がっている。

 韓国屈指の名刹・梵魚寺とその周囲の山々をプチトレッキングした我らオッサン3人は喉カラカラ。何はともあれメッチュチュセヨ!(ビール下さい!)。南浦駅に戻る途中に釜山大学前駅で下車。コンビニ飛び込み、路地でメッチュをゴキュゴキュと喉を鳴らせて人心地つく。久々によく歩いた後なので旨さが細胞や毛細血管まで染み込む。

 前日訪れた西面(セニョン)も若々しい雰囲気だったが、釜山大学周辺はさらに客層が若い。飲食店も若者向き。ピザ屋や喫茶店、洋食屋、居酒屋が非常に多く、物販もヤングカジュアル中心。大阪たこ焼の店が2軒もあり、行列が出来ていた。

 釜山だけかもしれぬが、路上でゴミ箱を見かけることがほとんどない。ホテルのロビーや駅構内も同様。ゆえに、路地がゴミ箱状態になっている。表通りと裏通りのギャップが激しい。

 学生街を散策途中、私は<ABCマ●ト>でアデ●ダスのスリッパ(39,000₩=3,900円)を2足購入。これで夏も万全だ。私は高校時代からスリッパだけはア●ィダスのアディレッタを愛用している。ギリシャのパルテノン神殿もエジプトのピラミッドもスリッパで登った。いつの間にか廃盤になって悲しんでいたが、似たバージョンが復活していたので歓喜する。

 森林トレッキングと大学街散策で空腹を感じてきた。時間は14時。3時間後には帰路に着かねばならず、釜山最後の外食となる。手軽な韓国料理が味わえる店に入りたいが、あまり見かけない。日本料理の居酒屋や定食屋は数軒見かけたが、さすがに入ろうと思わない。

 大通り沿いに日本語どころか英語表記も皆無で地元人で賑わっているドアの開いた開放的な飲食店があった。ハングル文字と外観だけでは何屋かさっぱり分からないが、看板の目立たぬ場所にあったあるマークが視界に飛び込んできた。

 ドンブリと思しき形状の図から、上に3本の線が伸びている。その縦に伸びる3本線を2本の線が並行してクロスしている。明らかにヌードルマークである。これだけで麺料理の店であることが推測できる。ただし、何の麺料理かは分からない。

 その日の朝に「あわびラーメン」を食していたが、一日一麺同盟の誇りを胸に店内へ飛び込む。適当に席に着く。ハングル文字一色のメニューが壁面に貼りだされているが、5種類のみ。しかし有難いことに、3種類の写真が乗っていた。2種類の冷麺と饅頭だった。冷麺専門店のようである。メニューと写真の位置が対応していないが、ある程度推測がつく。

 水冷麺の写真を指差した後、大と小の文字を順番に指さした。私が大、M氏が小である。続いて昨昼私が啜ったピビム冷麺の写真を指差した後、大の文字を指さした。これはO中氏のオーダー。最後に饅頭の写真を指差した。店員の女性は頷いた。通じたようである。〔次夜後編〕

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ヌードルマークが視界に。気付くかな?

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釜山大学駅を降りてすぐのメイン?ストリート。

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若者向けの店がびっしり。

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写真入りメニューで大助かり。
posted by machi at 06:50| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月07日

第1489夜:梵魚寺プチトレッキング【釜山(韓国)】

 梵魚寺(ポモサ)。678年に創建されたらしい慶尚南道三大寺院の一つ(よく分かりませんが)で、韓国禅宗の総本山である。天から降りてきた魚が山中の井戸で遊んだとの言い伝えから「梵魚寺」と命名されたという(ガイドブックより)。

 文禄・慶長の役で焼失したが17世紀に再建。秀吉氏の命を受けた大名らがこの寺を焼き滅ぼさなかったら世界遺産だったかもしれない。日本人にとっては法隆寺や金閣寺が異国人に燃やされるような感覚だったのだろう。何となく申し訳ない気分になる。

 釜山の中心部・南浦駅から地下鉄で30分かけて梵魚寺(ポモサ)駅へ。地下鉄は途中地上に出る。巨大な団地群が至る所に密生している。規模は日本より遥かに大きい。

 駅到着後、タクシーで強烈な山道を10分ほど上がっていくと釜山屈指の名刹「梵魚寺」に到着する。寺周辺はハイキングコースになっているようで、駅から寺まで登山スタイルで歩く人も数多い。駅前に登山系スポーツ用品店もあった。

 広大な敷地内に色鮮やかな一柱門、天王門、大雄殿、仏殿が林立。釜山だけでなく韓国全土から参拝に訪れているようだ。街の中心部もだが、釜山では欧米人をあまり見かけない。寺だが城壁のごとく立派な石積みが施されている。何となく沖縄的色彩と風景を感じさせる。

 雲一つない快晴。暑くも寒くもない最高の気候。登山ルックの山オヤジや山アジュマ(熟年婦人)たちが岩山の方に向かって歩を進めている。ハイキングというより、本格的なトレッキングコースになっているようだ。ウェアを見ても感じるが、韓国人は原色がお好きなようである。

 我らオッサン3人衆も足場の悪い岩道を少し歩いてみる。同行2氏はラフなスタイルでスニーカーだが、ブレザーを着て革靴を履いている輩は私だけだ。

 私は日本で登山らしい経験をした記憶はあまりないが、すれ違う人と挨拶しながら道を譲り合うイメージがあった。今回釜山を歩き回って気付いたことだが、山中や街中、地下鉄乗降時も含め数多く人とぶつかった。最初、私がどんくさいのかなと感じていた。

 たまたまかもしれぬが、どうやらコチラには登山すれ違い時の挨拶や道を譲り合うという習慣がないらしい。それとも私が日本人であることを視抜かれたからか。ただし、地下鉄では年配者に年配者が席を譲るシーンは幾度となく見かけた。

 山道どころか平地すらあまり歩かない私にとって、森林浴など久々である。巨石を縫うように流れる川も美しい。まさに都会の喧騒から離れた別天地だ。

 少し汗がにじみ出てきたが、基本的に木陰の中のプチトレッキングなので風が涼しい。メッチュ(ビール)が無性に飲みたくなったが、境内では売っていないようだ。下りは足がガクガク震える。手ではなく足の震えなので、アル中の症状ではない。痛風持ちだけど。

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posted by machi at 07:45| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする