2020年01月03日

第2352夜:親鶏と若鶏【高松(香川)】

 骨付鶏。全国どころか世界を制圧しつつある讃岐うどんほどの知名度はないが、香川では外せない名物料理である。

 天皇陛下が即位された祝日の夜。沖縄県宜野湾市ぎのわんヒルズ通り会の皆さまと高松市内のホテルで合流し、商店街を散策しながら会食することに。やはり飲食店が集うライオン通り方面へ。アーケードの照明も明るく、昼とは種類の異なる活気に満ちている。

 沖縄の皆さまに高松名物らしい「骨付鶏」を味わっていただきたい。瀬戸内の地魚を満喫していただきたい。しかし私は高松は十数年ぶり。地理感もなくオススメ店情報も知らない。

 居酒屋や案内所が多いゾーンに近づいてきた。ほとんど歩かない沖縄人たちは長旅もありお疲れのご様子。赤提灯に吸い寄せられるように讃岐名物満載の居酒屋に適当に飛び込んだ。

 生で乾杯。地蛸やカレイの唐揚に舌鼓をうっていただく。私は絶対に口に運べないが「オリーブはまち」なる刺身があった。オリーブの葉を粉末にして飼料として養殖したハマチという。そんなヤツがいたのか。

 ジョッキを空けながら談笑していると「骨付鶏」が豪快に降臨。有難いことにカットしてくれている。讃岐コーチンという品種らしい。

 さっそく口に運ぶ。……。いい感じの歯ごたえとスパイシーさ。皮のパリパリが旨い。骨付鶏の最も旨い部位は、骨にこびりついた肉。この希少価値を私は独占。思わず目を細める。久々に味わったが安定の旨さだ。

 もう一軒という流れに。6人ゆえ入れる店は限られる。それも座敷ではなくイス席のある店で。

 ライオン通りを抜け、さらに歓楽街感が増すトキワ新町の居酒屋へ。瀬戸内レモンハイなるチューハイを頼んでみる。目が覚めるほど甘かった。すかさずハイボール召還。キリリとした見事なリリーフぶりである。

 神戸人の私には食べ慣れすぎている牛すじ煮、串カツなどは宜野湾チームに舌鼓をうっていただく。そしてこの店でも「骨付鶏」を召還。ここでは「親鶏」「若鶏」の2種類を選択できる本格派。両方食べ比べて頂こう。

 談笑していると豪快にそのまんまで運ばれてきた。ハサミでカットしていくが、かなり熱い。ハイボールのジョッキで指を冷やしながら奮闘する。

 親鶏は歯ごたえがあり、硬め。しかし噛みしめるほどに旨味が溢れる。若鶏は柔らかく食べやすい。どちらを好むかは完全に好み。

 高松系の骨付鶏を頬ばるのは十数年ぶりだったが、当時は柔らかい若鶏が好みだった。ところが今回は親鶏に軍配。私自身がオヤジになり古びてきたから共感したのかもしれない。

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一軒目にて。

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2軒目にて。
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2020年01月02日

第2351夜:奇跡と必然【高松(香川)】

 丸亀商店街。四国の玄関口・高松の中心市街地を統べる日本屈指の商店街振興組合である。

 天皇陛下が新たに即位された祝日。私は十数年ぶりに高松を訪れた。新たな活性化プランを策定中の沖縄県宜野湾市「ぎのわんヒルズ通り会」の皆さまが高松を視察されることになり、その活性化プラン策定検討委員会の委員長を仰せつかっている関係で私も同行することに。

 高松に縁もゆかりもない私が引率でも案内でもなくただ同行するだけというある意味マニアックすぎるミッション。しかしこんな機会でもなければ高松に足を運ぶ機会もない。何故なら凄まじく賑やかで活気があるからだ。私のような流浪のヨゴレまちづくり屋には神戸から近くて遠い仰ぎ見る存在である。

 陛下の即位日は移動日。兵庫町のホテルに荷物を預け、宜野湾の皆さまと合流する前に時間に少し余裕があったのでアーケード街を中心に散策。兵庫町商店街を歩き、ライオン通りを曲がる。

 ライオン通りが飲食店も集積しており魅力的である。歓楽街と思しきトキワ新町を抜け、常磐町商店街、田町商店街を歩く。そしてバチカンにも負けないドームを誇る丸亀町へ。

 じっくり高松の中心市街地を歩いたのは初めてだが、これほどの規模とは、活気とは。お店も個性的ですべての業種業態が充実。若者が多いが年配者や家族連れも目立つ。老荘青である。

 じっくりとはいえ早歩きでも1時間かかった。アーケード街だけである。他にも魅力的な施設が点在しており、高松の商店街エリアを満喫しようと思えば丸一日でも足りないだろう。まさに「地方の奇跡」を体感できる。

 翌朝。高松南部商店街新世代協議会(NASAP)のH溪氏から喫茶<ナチュール>でお話をお伺いする。私はアップルティを注文。こんなお洒落な飲み物は初めてだが、実に旨し。3杯ほど呑めるお得感も嬉しい。あまりにも私には似合わないが。

 高松といえば丸亀町一択と思いこんでいた。丸亀ではない南新町・常葉町・田町の3商店街の若手商業者が中心となり様々なイベントを実施。特に親子をターゲットにした「かえっこ」イベントが秀逸。初めて知ったが南部3商店街で設立したまちづくり会社も数年前に発足していた。

 私は今回の視察団の団長ではないが委員長なので、進行役を務める。この南部だけで300店舗は優に超えている。しかし、西普天間飛行場の対面に1q以上に渡り広がり、通り会の名前通り丘のような「ぎのわんヒルズ通り会」との類似点がほぼ見当たらない。アーケードの有無、客層、片側商店街、気候、文化……。共通点は、しいて言えば「西日本」であることぐらいか。

 南部3町は自転車との共存を選んだようだが、丸亀は自転車通行を禁止したという。結果的に安全であることの評価が高まり来客は減っていないそうだ。確かに老いも若きも自転車を押している。関西の梅田や難波、心斎橋以外では考えられない光景だ。

 14時から丸亀町商店街会議室へ。何とF川理事長が対応して下さった。理事長の話をじっくりお聞きするのは初めて。ただただ呆然、唖然。商店街活性化なんて100万光年彼方にぶっ飛ばしている。言葉の意味通りで「まち」を作っていた。

 所有と利用の分離法則は全世界を震撼させたが、それ以上に商店街が医療法人の経営を始めたことに魂が震えた。奇跡なんて言葉は失礼であった。理念と先読みの構想に裏打ちされた必然だった。

高松市中心市街地商店街
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南部3商店街のお話をお聞きする。
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ぎのわんヒルズ通り会の皆さまの視察。
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F川理事長から直々にお話をお聞きする。
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posted by machi at 10:03| Comment(0) | 香川県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月01日

第2350夜:問答無用の力技【高松(香川)】

 さぬきうどん。泣く子も啜る香川県のソウル中のソウルフードである。もはやB級グルメというような範疇を振り切った文化である。

 ある秋の香川県高松市の正午。昼食は当然のごとく、さぬきうどん。どうせなら地元民で賑わう店が良い。しかし完全セルフはシロートの我ら沖縄県宜野湾チーム6人にはハードルが高すぎる。プチセルフスタイルでかなり大きな店だった<さか枝うどん>に飛び込んだ。

 20人ほどが並んでいる。しかしどんどん列が前に動く。ベルトコンベアーのように流暢だ。

 メニューが豊富である。「かけ」から始まり明太子バターなどバリエーション豊富。サイズも4種類で小(1玉)・中(1,5玉)・大(2玉)・特大(3玉)。

 店内ではサラリーマン、OL、家族連れなど大賑わい。皆さんゆっくり食べている感じは皆無で、すごい勢いで啜っては食器を返却し店を出ていく。平均時間は10分程度ではなかろうか。

 メニューを迷っているうちに最前列に来てしまった。旨そうな天ぷら類がズラリと並んでいる。どれも100円かそれより少し高い程度。後ろから並んでいる腹をすかせたうどん人たちの圧力が増してくる。迷っているヒマはない。

 トングを手に「半熟卵」と「ちくわ磯辺揚げ」を皿に載せた。かき揚げや野菜天ぷらも心惹かれたが、どれもデカい。喰いきれるか自信がない。

 続いてうどんを選択。私は1秒の長考の後「肉うどん、大で」と発言。そのままうどんの受取口へ。目の前で肉を載せてくれるのだが、凄まじい量である。牛丼チェーンの特盛肉の倍はありそうな雰囲気。そしてお会計。ちなみにすべて合わせて690円だった。

 そこからがある意味でクライマックス。刻み葱&天かす&すりおろし生姜の入れ放題ゾーンである。人としての品性が試される審判の場でもある。

 品性のカケラもない俗物の私は思いっきり葱を入れようとした。しかし、葱を掬うスプーンがクリームソーダ級。全く掬えない。店側の防御対策も万全である。うどんが見えないほど葱をぶち込んでいるオヤジはどのような攻撃をかましたのだろうか。

 席に着き。七味を多めに振り、まずは出汁。……。出来上がりから色々時間を要したからか少し冷めてしまったが、バッチリいりこ系の出汁が効いている。肉うどんの肉汁の甘みと旨味が溶け込んでいる。肉も減らないほどたっぷりで出汁が染みて相乗効果を高めている。

 ちくわ磯辺揚げを齧る。醤油を垂らして。ジャンクな旨さに痺れる。半熟卵の天ぷらはうどんに投下。黄身が出汁に溶け出すと官能が倍加する。

 この数年以上、コシの強い讃岐系は全く啜ってこなかった。九州北部や関西の柔らかいうどんばかり。久々のタフなノド越しに活が入る。それ以上に、大(2玉)を侮っていた。もし特大だったら啜り切らんかったかもしれない。

 ラストは土生姜を投下し、キリリと引き締める。ため池が枯渇するほどの熊啜である。

 店を出る時、再度張り出されているメニューを見た。それぞれにキャッチコピーが付いている。

 私が満喫した肉うどんは「問答無用。まさに力技。」。剛力無双な力強さに納得である。その横は肉ぶっかけうどん。キャッチが「濃い目の出汁に絡む肉汁。」何か官能的で卑猥な響きがある。値段は「ぶっかけ」の方が30円高い。

 どちらも意味はともなく勢いは感じさせる秀逸なキャッチコピーである。しかしノーマルとぶっかけの違いがさっぱり分からない。

 ちなみにこの店の我がベストキャッチが「いきなり食べたくなる味」。正解はカレーうどん。確かに発作的にいきなり食べたくなる時があることだけは言われてみればそのとおりである。

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肉うどんをカスタマイズ。

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こんなお店が近所にあれば、毎日通ってしまいそう。

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キャッチコピーが秀逸。

(付記)
新年あけましておめでとうございます。2019年ラストは「年越しそば」。2020年1発目は「年明けうどん」ということでうどんブログでございます。2020年もこのバカブログをご笑覧の皆さまにとってステキな1年になりますように。今年も御贔屓に!
posted by machi at 10:30| Comment(0) | 香川県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする