名水のまち。それも、海洋深層水のまち。富山県入善町の観光案内パンフレットに記されたキャッチフレーズである。富山駅より東へ電車で1時間弱。黒部市のお隣の自然豊かな町である。豊富な湧水のためか、水道水も名水のまちに恥じぬ旨さだ。日本一大きいジャンボスイカも名産であるという。ゆるキャラもスイカがモチーフだ。
ある秋の昼下がり。滋賀県守山市から特急や普通列車を乗り継いで入善駅に到着。商工会F田氏と合流し、市に中心市街地や郊外を車でご案内いただく。ロードサイド沿いは大型店が林立しているものの、実にコンパクトにまとまっている。
`ホテル風料理旅館´という独特のキャッチフレーズを有する旅館にチェックイン。私は和室を選択。清潔で広々としており、パソコンを叩いていると文士気分を少し味わえる。
売り出し中の入善名物は「ブラウンラーメン」。海老味噌仕立てであるという。富山県は富山市の「富山ブラック」が有名だが、県内各地で「色」をテーマに舌ホワイトやレッドやグリーンラーメンが街おこしの起爆剤として弾けているという。
ブラウンラーメンマップを読み混む。町内十数か所で啜れるようだ。土産として商品化されており、製造元<善商>さんは2009年、商工会青年部設立50周年記念として設立されたらしい。富山県知事賞受賞の実力だ。実に楽しみだったが、私は会議や勉強会前に何か腹に入れ宇と集中力が滅失するので、じっと我慢を重ねた。
入善町の商業者対象の商人塾が終わり、メンバーの一人N口氏がオーナーの<京之輔>さんで懇親会。海の幸が絶品である。今朝仕入れた(釣った?)アオリイカの半日干し?の半端ない旨さに目を剥く。地酒立山を熱燗で鯨飲。入善のオトコたちはド酒呑み揃いだ。
2次会に流れようとしたら、半分眠られていた商工会会長様が移動せずここで呑もうとおっしゃる。さらに杯を重ね続けた。
24時を大きく回り、商工会F田氏と商人塾コーディネーターK澤先生とブラウンラーメンを啜るべく夜の街を鮫歩したが、土砂降りの雨ということもあってかどこも閉まっている。
無念を堪えつつスナックに飛び込む。お店も閉店間際で、ママに急かされながら少しだけ飲ませて頂く。コーディネーターのK澤先生は何と大学の寮の9年先輩だった。この業界に入って15年。大学の同窓と会うことはあっても、寮生は初めて。独特の想い出話に華が咲く。
外は変わらずに土砂降り。日本酒の酔いが気持ちよい。フラフラ歩いて旅館に戻ろうとすると、道を間違えて何故か墓地の前に。ブラウンラーメンどころか旅館への道も果てしない。
後日、商工会F田氏がブラウンラーメンを送って下さった。早速試す。黒部川扇状地の伏流水で地元産味噌がベースの海老味噌仕立てで、少しピリ辛という。入善沖の海洋深層水で仕込んだ中太麺らしい。
スープをひと口。……。まさに海洋深層水的な深さ。タフだけど繊細な海老の旨みと香りが鼻孔をタップする。スープが絡まるちぢれ麺のコシも抜群かつ、食感もツルツル。汗が染み出る。袋麺とは思えぬ本格派。本場・入善で啜ればさらに凄まじいのだろう。神戸でも買えるカップ麺の全国展開に期待したい。
入善町の中心市街地。
超本格。入善みそブラウンラーメン(2食入)。
2014年12月26日
2014年05月21日
第969夜:出会いと別れ【富山(富山)】
北越2号。2014年早春、季節惑いな吹雪の新潟県から日本海沿いに帰神しようと乗り込んだ特急列車である。余談だが、南極2号なら全く別の意味になる。大阪駅まで直通するサンダーバード号に乗り換えるべく、始発駅である富山駅で途中下車した。
富山は10年ぶり。その際はまちづくりや商店街と全く関係ない用務で訪れていたこともあり、記憶はぜい弱。富山駅およびその周辺は思いっきり工事しており、全く地理感が湧いてこない。はっきり予定を決めていなかったが、乗り換え時間まで約1時間。観光案内所で入手したランチマップを頼りに、どこかで昼食を腹に入れようと作戦を立てた。
富山駅の改札口を出た。マップを見ると、思いっきり駅と中心部は離れている。とても中心部まで足を運んで昼食を取り、1時間以内に駅に戻れる自信がない。半分途方に暮れつつ、工事の仮囲いばかりの駅前で、私は半分途方に暮れつつボンヤリしていた。すると、「あぁ!!アヅマさん!!!」という悲鳴に近い叫び声が耳に飛び込んできた。
私はアヅマなので、反射的に声の方に顔を向けた。すると、思いっきり旧知の面々。普段お世話になっている伊丹&尼崎のまちづくり混成軍団だった。Mダム、N脇氏、W狭氏が混じっている。嬉しさと懐かしさというより、あまりの奇遇に度胆抜かれて鳥肌が立った。
この4年間、私は東奔西走している。どこかでバッタリ知人と出会うということはないこともないだろうが、兵庫県の皆さまと兵庫県に住む私が何の示し合せもせずバッタリ富山で出会う確率は強烈に低いのではなかろうか。私が駅前でボケっと佇んでいたのは1分ほど。少しでも移動していればお互い永遠にニアミスしたままだったはずだ。
お互いに再開を喜ぶというより、あまりの世間の狭さに少々引き気味。皆さまは視察兼旅行で一泊されるという。私は1時間後の帰路につかねばならない。
富山駅前から縦横に路面電車が走っている。強烈に未来デザインな格好よさの新型車両も存在感を放っている。まちづくり業界では、富山の中心市街地活性化の取組は一つのモデルケース。路面電車に乗り込むマダム御一行をお見送りさせていただいた。
私は、手を振った。皆さんも手を振り返してくれる。旅番組を好む私は、このようなシーンを頻繁に目にする。メインの旅案内人が訪問先で偶然知り合いの芸人とバッタリ遭遇し、数分間ほどひとしきり絡む。さらに先を目指す旅タレントをお見送りするシーンである。
これらはおそらく思いっきり演出だろうが、今回の奇遇はガチンコ。私の立ち位置は『T猿』のD川氏やジミーO西氏のようなポジションである。
偶然の出会いから別れまで、計測していないが15分ぐらいだったか。皆さんが路面電車で去った後、何とも言えない味わい深い気分になった。旅の醍醐味は出会いと別れである。
富山駅前でバッタリ。
富山は10年ぶり。その際はまちづくりや商店街と全く関係ない用務で訪れていたこともあり、記憶はぜい弱。富山駅およびその周辺は思いっきり工事しており、全く地理感が湧いてこない。はっきり予定を決めていなかったが、乗り換え時間まで約1時間。観光案内所で入手したランチマップを頼りに、どこかで昼食を腹に入れようと作戦を立てた。
富山駅の改札口を出た。マップを見ると、思いっきり駅と中心部は離れている。とても中心部まで足を運んで昼食を取り、1時間以内に駅に戻れる自信がない。半分途方に暮れつつ、工事の仮囲いばかりの駅前で、私は半分途方に暮れつつボンヤリしていた。すると、「あぁ!!アヅマさん!!!」という悲鳴に近い叫び声が耳に飛び込んできた。
私はアヅマなので、反射的に声の方に顔を向けた。すると、思いっきり旧知の面々。普段お世話になっている伊丹&尼崎のまちづくり混成軍団だった。Mダム、N脇氏、W狭氏が混じっている。嬉しさと懐かしさというより、あまりの奇遇に度胆抜かれて鳥肌が立った。
この4年間、私は東奔西走している。どこかでバッタリ知人と出会うということはないこともないだろうが、兵庫県の皆さまと兵庫県に住む私が何の示し合せもせずバッタリ富山で出会う確率は強烈に低いのではなかろうか。私が駅前でボケっと佇んでいたのは1分ほど。少しでも移動していればお互い永遠にニアミスしたままだったはずだ。
お互いに再開を喜ぶというより、あまりの世間の狭さに少々引き気味。皆さまは視察兼旅行で一泊されるという。私は1時間後の帰路につかねばならない。
富山駅前から縦横に路面電車が走っている。強烈に未来デザインな格好よさの新型車両も存在感を放っている。まちづくり業界では、富山の中心市街地活性化の取組は一つのモデルケース。路面電車に乗り込むマダム御一行をお見送りさせていただいた。
私は、手を振った。皆さんも手を振り返してくれる。旅番組を好む私は、このようなシーンを頻繁に目にする。メインの旅案内人が訪問先で偶然知り合いの芸人とバッタリ遭遇し、数分間ほどひとしきり絡む。さらに先を目指す旅タレントをお見送りするシーンである。
これらはおそらく思いっきり演出だろうが、今回の奇遇はガチンコ。私の立ち位置は『T猿』のD川氏やジミーO西氏のようなポジションである。
偶然の出会いから別れまで、計測していないが15分ぐらいだったか。皆さんが路面電車で去った後、何とも言えない味わい深い気分になった。旅の醍醐味は出会いと別れである。
富山駅前でバッタリ。