2025年11月09日

第3788夜:Black or White【富山(富山)】

 富山ブラック。何とも不穏で魅惑的な響きを有する言葉である。一般的な知名度は分からぬが、麺道を究めようとする者にとっては自明の理。富山で覇を唱えるご当地ラーメンである。

 十数年前の昼前。乗り換えのためだけに富山駅に降り立った私は、昼食に富山ブラックラーメンを啜るべくそこら中で改装中の駅舎を出た。関西の知人軍団にバッタリ邂逅するという嬉しき鳥肌経験の後、一人ブラックに染まるべく、駅舎近くの飲食店を探索し始めた。

 ブラックを求める私の視界に飛び込んできたご当地丼があった。「白えび天丼」。富山湾の貴婦人と言われている艶やかなピチピチ。思わず立ち止まった。魅力的なご当地料理である。

 黒か、白か。店の前で3秒ほど長考。米派と終わりなき終末戦争を展開している麺派の私は我に立ち返り、初志貫徹すべく黒へ心の振子を傾けさせる。もう、迷わない。観光案内所でランチマップを入手し、駅から最も近そうなラーメン店<一心>に向かった。

 店内はサラリーマン客でびっしり満員。地元客、それもサラリーマンや工事関係者で賑わう店に外れなし。カウンターに陣取った私は、メニューを見る。特に`富山ブラック´という表記はないが、メニュー写真のスープは確かに黒い。お店のダントツ一押しだった「煮玉子ラーメン」を注文。富山で最初に煮玉子を提供した店であることが記されている。

 ブツを待つ間、暇つぶしに店内ポップやメニューを斜め見る。化学調味料不使用完全無添加、ナントカ水使用、カルシウム、コラーゲン、麺とスープへのこだわり……。腹より頭が満腹になりそうな時、ブツが運ばれてきた。黒い。MJのように「フォ〜」と叫びそうになる。

 ラードが油膜を作り、漆黒のスープが揺蕩っている。煮玉子の黄金色が一際鮮烈。圧倒されつつ、まずはレンゲでスープを啜る。……。思いっきり和風魚介風味である。もっと胡椒辛い、もっと塩っぱいかと思いきや、マイルド。昔は濃厚ギトギトを愛していたが、年を重ねて魚介系にも心奪われるようになった私にとって、実に体になじむ味。

 食べ放題のキャベツキムチをラーメンと啜ると、過激さが増す。煮玉子も抜群で、麺もスープとよく絡む。化学調味料不使用完全無添加のため、パンチ力よりもバランス重視が見事。

 啜り終えて駅に戻る。売店で二つのカップ麺を発見した。「富山ブラック」(寿がきや)と富山限定「白えびらーめん」(イシダ)。黒か、白か。迷わず両方握りしめ、レジに向かった。帰宅後、あまり時を置かず啜り比べた。

 「富山ブラック」は鶏ガラと豚骨ベースらしいが、刺激満点の胡椒の味が存在感独り占め。全く<一心>さんのラーメンと異なる味。これが王道の富山ブラックなのか。富山湾の貴婦人「白えびらーめん」はかなり和風。白えびの旨さを全体で包み込む。優しく上品な味わいだ。

 ブラックが『BAD♪』のごときポップ味なら、ホワイト(白えび)は『ヒール・ザ・ワールド♪』のごときバラード味。マイケルの名曲『BLACK or WHITE♪』。私は……。

140307一心@富山.jpg

全く覚えていない。黒、というより赤。

140309富山ブラック@寿がきや.jpg

140310白えびらーめん@イシダ.jpg

(付記@)

今回はデータが残っていた十数年前の死蔵ストックをアップ。この内容、掛け値なしにほぼ覚えていない。自分自身の出来事と思えないが、次夜への前説である。

(付記A)

以降、他にもカップで「富山ブラック」を啜っていた模様。

240401富山ブラック@ヤマダイ.jpg

250527ごつ盛り富山ブラックラーメン@東洋水産.jpg

posted by machi at 06:32| Comment(0) | 富山県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月26日

第1114夜:ブラウンラーメンへの遠き道【入善(富山)】

 名水のまち。それも、海洋深層水のまち。富山県入善町の観光案内パンフレットに記されたキャッチフレーズである。富山駅より東へ電車で1時間弱。黒部市のお隣の自然豊かな町である。豊富な湧水のためか、水道水も名水のまちに恥じぬ旨さだ。日本一大きいジャンボスイカも名産であるという。ゆるキャラもスイカがモチーフだ。

 ある秋の昼下がり。滋賀県守山市から特急や普通列車を乗り継いで入善駅に到着。商工会F田氏と合流し、市に中心市街地や郊外を車でご案内いただく。ロードサイド沿いは大型店が林立しているものの、実にコンパクトにまとまっている。

 `ホテル風料理旅館´という独特のキャッチフレーズを有する旅館にチェックイン。私は和室を選択。清潔で広々としており、パソコンを叩いていると文士気分を少し味わえる。

 売り出し中の入善名物は「ブラウンラーメン」。海老味噌仕立てであるという。富山県は富山市の「富山ブラック」が有名だが、県内各地で「色」をテーマに舌ホワイトやレッドやグリーンラーメンが街おこしの起爆剤として弾けているという。

 ブラウンラーメンマップを読み混む。町内十数か所で啜れるようだ。土産として商品化されており、製造元<善商>さんは2009年、商工会青年部設立50周年記念として設立されたらしい。富山県知事賞受賞の実力だ。実に楽しみだったが、私は会議や勉強会前に何か腹に入れ宇と集中力が滅失するので、じっと我慢を重ねた。

 入善町の商業者対象の商人塾が終わり、メンバーの一人N口氏がオーナーの<京之輔>さんで懇親会。海の幸が絶品である。今朝仕入れた(釣った?)アオリイカの半日干し?の半端ない旨さに目を剥く。地酒立山を熱燗で鯨飲。入善のオトコたちはド酒呑み揃いだ。

 2次会に流れようとしたら、半分眠られていた商工会会長様が移動せずここで呑もうとおっしゃる。さらに杯を重ね続けた。

 24時を大きく回り、商工会F田氏と商人塾コーディネーターK澤先生とブラウンラーメンを啜るべく夜の街を鮫歩したが、土砂降りの雨ということもあってかどこも閉まっている。

 無念を堪えつつスナックに飛び込む。お店も閉店間際で、ママに急かされながら少しだけ飲ませて頂く。コーディネーターのK澤先生は何と大学の寮の9年先輩だった。この業界に入って15年。大学の同窓と会うことはあっても、寮生は初めて。独特の想い出話に華が咲く。

 外は変わらずに土砂降り。日本酒の酔いが気持ちよい。フラフラ歩いて旅館に戻ろうとすると、道を間違えて何故か墓地の前に。ブラウンラーメンどころか旅館への道も果てしない。

 後日、商工会F田氏がブラウンラーメンを送って下さった。早速試す。黒部川扇状地の伏流水で地元産味噌がベースの海老味噌仕立てで、少しピリ辛という。入善沖の海洋深層水で仕込んだ中太麺らしい。

 スープをひと口。……。まさに海洋深層水的な深さ。タフだけど繊細な海老の旨みと香りが鼻孔をタップする。スープが絡まるちぢれ麺のコシも抜群かつ、食感もツルツル。汗が染み出る。袋麺とは思えぬ本格派。本場・入善で啜ればさらに凄まじいのだろう。神戸でも買えるカップ麺の全国展開に期待したい。

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入善町の中心市街地。

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超本格。入善みそブラウンラーメン(2食入)。
posted by machi at 07:54| Comment(0) | 富山県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月21日

第969夜:出会いと別れ【富山(富山)】

 北越2号。2014年早春、季節惑いな吹雪の新潟県から日本海沿いに帰神しようと乗り込んだ特急列車である。余談だが、南極2号なら全く別の意味になる。大阪駅まで直通するサンダーバード号に乗り換えるべく、始発駅である富山駅で途中下車した。

 富山は10年ぶり。その際はまちづくりや商店街と全く関係ない用務で訪れていたこともあり、記憶はぜい弱。富山駅およびその周辺は思いっきり工事しており、全く地理感が湧いてこない。はっきり予定を決めていなかったが、乗り換え時間まで約1時間。観光案内所で入手したランチマップを頼りに、どこかで昼食を腹に入れようと作戦を立てた。

 富山駅の改札口を出た。マップを見ると、思いっきり駅と中心部は離れている。とても中心部まで足を運んで昼食を取り、1時間以内に駅に戻れる自信がない。半分途方に暮れつつ、工事の仮囲いばかりの駅前で、私は半分途方に暮れつつボンヤリしていた。すると、「あぁ!!アヅマさん!!!」という悲鳴に近い叫び声が耳に飛び込んできた。

 私はアヅマなので、反射的に声の方に顔を向けた。すると、思いっきり旧知の面々。普段お世話になっている伊丹&尼崎のまちづくり混成軍団だった。Mダム、N脇氏、W狭氏が混じっている。嬉しさと懐かしさというより、あまりの奇遇に度胆抜かれて鳥肌が立った。

 この4年間、私は東奔西走している。どこかでバッタリ知人と出会うということはないこともないだろうが、兵庫県の皆さまと兵庫県に住む私が何の示し合せもせずバッタリ富山で出会う確率は強烈に低いのではなかろうか。私が駅前でボケっと佇んでいたのは1分ほど。少しでも移動していればお互い永遠にニアミスしたままだったはずだ。

 お互いに再開を喜ぶというより、あまりの世間の狭さに少々引き気味。皆さまは視察兼旅行で一泊されるという。私は1時間後の帰路につかねばならない。

 富山駅前から縦横に路面電車が走っている。強烈に未来デザインな格好よさの新型車両も存在感を放っている。まちづくり業界では、富山の中心市街地活性化の取組は一つのモデルケース。路面電車に乗り込むマダム御一行をお見送りさせていただいた。

 私は、手を振った。皆さんも手を振り返してくれる。旅番組を好む私は、このようなシーンを頻繁に目にする。メインの旅案内人が訪問先で偶然知り合いの芸人とバッタリ遭遇し、数分間ほどひとしきり絡む。さらに先を目指す旅タレントをお見送りするシーンである。

 これらはおそらく思いっきり演出だろうが、今回の奇遇はガチンコ。私の立ち位置は『T猿』のD川氏やジミーO西氏のようなポジションである。

 偶然の出会いから別れまで、計測していないが15分ぐらいだったか。皆さんが路面電車で去った後、何とも言えない味わい深い気分になった。旅の醍醐味は出会いと別れである。

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富山駅前でバッタリ。
posted by machi at 07:12| Comment(0) | 富山県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする