2015年05月02日

第1204夜:美しい花【長岡(新潟)】

 長岡市大手通商店街プランづくり。私も全4回参加させていただき、商店街の抱える課題、地域資源や強み、地域住民(お客様)のニーズを踏まえ、おおむね4年間の事業コンセプト(テーマ)を検討してきた。2グループに分かれて議論を展開。「組合員同士が連携する空店舗対策(O野チーム)」「多世代が楽しめるまちづくり(N津チーム)が提示された。

 商店街IT化推進(SNS等情報発信等)、無料の駐車場・駐輪場スペース整備&無料駐車場デー、路上活用イベント(オープンカフェ・週末フリマ・夜マルシェ・路上バル)、清掃(ゴミ拾い・草取り等)、空店舗対策(まちなか工場・流行店誘致)、表町東地区再開発事業、除雪(ヒーター化・店前路上除雪)……。一つでも多く実現することを願ってやまない。

 日本屈指に地に足の着いた見事な商店街活動を続け、行政との連携は日本のモデル。空店舗も解消されつつあり、様々な整備事業も進む。

 終了後は恒例の懇親会。日本屈指にステキな駅前居酒屋<いさり火>さんで刺身、名産の栃尾油揚げ(納豆・味噌)、蓮根などの天ぷら、コロッケ、グラタンなどをツマミに地酒や生ビールをガンガン。シアワセの大花火が脳内でタ〜マヤ〜と打ち上がる。

 長岡では普段1軒目で鯨飲グデングデンだが、S藤事務局長からラストナイトなので2軒目があるので、少しセーブするようにとメッセージが。普段よりかなり早い23時頃店を出る。

 ズクズクの雪道を地元人にしか分からぬショートカットを繰り返しつつガシガシ進むS藤局長と若手のO野氏。向かった先は局長行きつけの<美花>。美人で陽気な中国人姉妹が切り盛りする場末感あふれるスナックである。私の大好きな雰囲気だ。関係が不詳の年配熟女&中年男性が並んでカウンターに腰掛けている。

 私達もカウンターに陣取り、水割で乾杯。すかさず曲をバンバン入れていく。局長も小N氏もノリノリ。私は音痴なので普段スナックであまり唄わぬが、店の魅力的な雰囲気に気も大きくなり、幾度とばく恥唄する。カラオケボックスなどには10年以上足を踏み入れた記憶はないが、年を重ねると同じ唄うならスナック、それも場末感あふれる哀愁に包まれて唄いたい。

 ご令嬢との結婚を間近に控えるO野氏はこんなところで真夜中に熱唱していて大丈夫か。そんなことを冷やかしていると、カウンターの年配女性がワインのボトルを氏に剛毅にプレゼント。私もシアワセのオコボレにあずかる。実におめでたい。

 初めて長岡に訪れたのは2013年の冬。計7回訪問した。最初長岡人(新潟人)は引っ込み思案で人見知りなイメージがあったのだが、素晴らしく人懐っこい。私も訪れるたびに、この地に昔から入りこんでいるような気分になり、居心地の良さが倍加する。

 長岡のラストナイト。チャイニーズレディのお世辞と笑顔も素晴らしく、私もすっかりノリノリでゴキゲン。小雪チラつく寒夜に咲く、美しくも妖しい花。米百表というより、酒百杯の精神である。

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<美花>さんにて。
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2015年05月01日

第1203夜:ふのりはどこだ?【長岡(新潟)】

 立呑み。立食い。行儀の悪さと背徳の喜びは紙一つである。私は立呑みだけで何軒でもハシゴできるほどスタンディングスタイルを愛している。立食いでも立食パーティは好まないが、駅そばなどの「立ち麵」は心の底から愛している。日本が世界に誇るファストフードである。

 ある冬の夕方。朝からバッタバタで何も口に入れることできず、新幹線を2本乗り継ぎ17時前に新潟県の長岡駅に到着。長岡はご当地麺が充実。「生姜醤油ラーメン」、ミートソースを焼そばにぶっかけた「イタリアン」、高級感あふれる「へきそば」、背脂系ラーメンも魅力的。ちなみに駅近くではイタリアンは構内1階、背脂ラーメンは駅前にある。

 迷いに迷ったが外は極寒。空腹に耐えきれず最も近い2階の改札内の駅そば<長岡庵>へ。第5の選択肢である。普段なら迷わず天ぷらそばだが、思いとどまった。せっかくの長岡、ご当地っぽいもので攻めたい。空腹で胃がキュンキュン鳴り、早く早くとせがみ泣いている。

 券売機の前で迷い指していると、「かき揚げふのりそば」の文字が視界に。かき揚げは圧倒的定番だが「ふのり」とある。盛岡駅構内の立麺<はやて>の磯のりのようなものか、関西定番のとろろ昆布か、それとももみ海苔か。490円。ワンコイン以下は許容範囲だ。

 オヤジさんにチケットを渡すと、程なくしてお待ちどうさま〜とお声が掛かる。もちろんセルフなので受け取りに。具だくさんのかき揚げが黄金色に輝いている。刻み白ネギと黒い器の汁に映える。しかし、ふのりと思われるものがトッピングされていない。どこだ、ふのりは?

 少し首を傾げつつ唐辛子(私は七味より一味)を多めに振りかけ口を近づける。鰹だしの豊潤な香りが躍る。出汁を啜る。五臓六腑に沁み渡る。体中が「和」になる。出汁に浸りモロモロになる前にかき揚げをひと齧り。キュッと口の中で弾け、野菜の旨みと甘みが追いかける。

 白っぽい色の蕎麦を手繰る。つるつるずるずる。……。何という滑らかさ。そばそのものが旨い。あっという間に啜り終えた。あまりの旨さに茫然とする。一息つき、返却口に向かうべく席を立った時、張り紙が視界に入った。ふのりそばの説明だ。口を半開きのまま精読する。

 一般的に蕎麦のつなぎは小麦粉が用いられるそうだが、ふのりそばはつなぎに「ふのり」という海草を使っているという。独特の香りと歯切れの良い食感を楽しんでと書かれている。確かに蕎麦は旨かった。香りもあり、歯切れがいいのにノドごしもツルツル。ふのりはどこだと思いきや、蕎麦に練りこまれていたとは。

 二日酔いの翌朝8時。新幹線発車まで10分の持ち時間。再度<長岡庵>に駆け込み、今度はトッピングなしの「ふのりそば」350円一本勝負。純粋にふのりの風味を味わう作戦だ。

 早速啜る。見た目はどう見ても切ないかけそばだが、かけより50円高い。二日酔いに沁みる。濃い目の出汁と相性もいい。ふのりそばそのものの旨みを体中で体感する。ざるそばもあるようで、夏場にもし訪れることがあればぜひ試してみよう。

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夕方に啜った「かき揚げふのりそば」

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翌朝に啜った「ふのりそば」
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2015年03月15日

第1172夜:とまらないHe〜He【長岡(新潟)】

 「銀ちゃん!」。私は未観だがたしか『蒲田行進曲』か何かで登場人物が階段を豪快に転がり落ちるシーンで叫ばれる名ゼリフである。そのシーンだけは観たことがあるような気がする。

 ある冬の真夜中。私は新潟県長岡市のシブくもモダンな居酒屋の2階で商店街および事務局の旦那女将衆と旨し地酒を鯨飲していた。新潟限定の生ビールを数杯ノドに放り込んだ後の熱燗はシビれるほどの冬の醍醐味である。ただ、少々酒が進み過ぎたようだ。

 記憶がイマイチ定かでないが、夜中1時前だっただろうか。お開きとなった。席を立ち階段に向かうが、足元が覚束ない。まっすぐ歩けない。階段に差しかかった。安全を期して壁に手を付けようと伸ばした瞬間、つるっと滑った。「銀ちゃん!」のごとく滑落は免れたが、階段の角でケツを思いっきり強打。

 即座に恥ずかしさのアドレナリンが全開に噴き出したため、痛みは全く感じない。羞恥心に塗れただけだった。瞬時に目が覚め、ホテルに戻る。

 鯨飲の翌朝。目覚めれば膀胱がはち切れそうにパンパンである。明らかに酒が残っておりベッドから出たくなかったが、40歳で確信犯的寝小便をしている場合ではない。

 部屋のユニットバスに向かうべく起き上がろうとした瞬間、ケツに激痛が走った。ウォッという呻きが私の口から溢れた。一瞬何のことか分からなかった。

 頭は朦朧、ケツは激痛。涙目で小用を決めながら激痛の原因を思い出そうとした。そうだ、階段で滑って角を強打したのだ。一晩たって腫れてきたのか、痛みが明らかに増している。

 ケツを摩りながらチェックアウトし、長岡駅へ。その日は目的地まで新幹線3本、在来線1本乗り継がねばならない。ミッション終了後はさらに在来線と地下鉄を乗り継いで帰宅予定。8時間近く電車にほぼ座りっぱなし。ケツには飛びっきり過酷な日である。

 新幹線に乗りこむ。顔を顰めつつPCを叩いていると、マンホールからガスを噴出したくなった。幸いガラ空きでガスの音や匂いが漂いそうなエリア内に乗客はいない。念のため再度キョロキョロ。我ながら絶妙の力の入れ加減とマンホールのすぼめ加減でシュっとガスを放った。

 その一発が呼び水になったのか、頻繁にガスが止まらなくなった。プップ、プップを繰り返していると、車内が混んできた。私はこきたくなるたびにデッキに向かった。通路側でホントに助かったが、小用でも煙草でも電話でもなくただ屁をこくだけなので、それこそ一瞬で席に戻ってくる。隣にすわるスーツ姿のオヤジが雑誌を読みながら怪訝な視線を送ってくる。

 デッキと座席を幾度となく往復しながら、永ちゃんの名曲『とまらないHa〜Ha♪』が頭の中でリフレインを繰り返す。とぉ〜まらないぃ〜He〜屁!車内デッキの天井に向かって赤タオルの代わりのポケットの白いハンカチを投げそうになった。

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サッ●ロの新潟限定生ビール。これと地酒を呑み過ぎたのかも。
posted by machi at 08:01| Comment(0) | 新潟県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする