地酒に切り替えた。私が産直ショップで購入したのは、日本酒ではなく小麦焼酎。「麦」焼酎でなく「小麦」焼酎だ。愛媛県産小麦を100%使用した梅錦山川梶i愛媛県四国中央市)の「一遍」。700mlで1200円程度。麦はこれまでも浴びるほど呑んできたが、小麦は初めてだ。
いったん部屋を出て、製氷機コーナーでアイスペールにたっぷりと氷を補充する。部屋備え付けのグラスに氷を放り込み、ロックで味わう。口を付けてみた。……。ウィスキーのような香りと味わいである。芋、麦、米の三大定番以外にも黒糖、栗、紫蘇、昆布など様々な焼酎を試してきたが、これは初めての味わいである。スッキリとしつつ、深い味わいだ。
なぜ「一遍」か。一遍とは人の名。浄土宗の一宗派・時宗の開祖で、松山市道後に生まれたらしく、誕生碑もある。このようなラベルのウンチクを読みながらホロ酔うのもオツなものだ。
続いて「じゃこカツ」。じゃこ天は愛媛名産として一般的でコンビニでも売っているが、フライにしたものは初めて。ジャコ天のシンプルで強い旨みに油のコクが加わり、無敵である。補充した醤油を垂らすと、さらに小麦焼酎が進んでしまう。
シメは「サゴシの押し寿司」。瀬戸内の魚・サゴシのバッテラ風だ。酢がしっかりと効き、昆布が臭みを消す。上品な脂が口の中で溶ける。
アイスペールの氷が溶けてきた。最初はロックで、途中から溶けた水をグラスに注いで水割りに。キンキンに冷えた水で焼酎の味に変化を付けることができる。
禁断の一人ホテル呑みのお伴は、活字ではなくTV。地上波ではなくBSの旅番組かスポーツがおススメだ。旅番組はマニアックなほど良い。ちなみに、有料放送(おわかりですね)は目が釘付けになり、サケやサカナどころではなくなってしまうので「ながら晩酌」には向かない。
世界水紀行、ローカル線の旅、バスの車窓から、自転車つれづれ二人旅、奥の細道を行く、こころの原風景、修験道の道を歩く、イスラーム世界の建築を訪ねて、発見日本の旅歩き、故郷浪漫紀行、鉄道絶景の旅、ぶらり途中下車の旅、世界温泉遺産、にっぽん歴史街道…。恐ろしく地味だが、一人ホテル呑みには豪華なラインナップ。BGMとしても心地よい。
私がたまたま松山のホテルで回したチャンネルは、某有名報道番組の解説委員が福岡県南部を紀行するシブ過ぎる内容。時事ネタや大事件には鋭い舌鋒の解説委員も、へえ〜、はぁ〜としかコメントのしようがないユルすぎる取材先がほとんど。地元の名産を不味そうに食べている表情もステキだし、死力尽くして感想を述べようとするもほめ言葉がなかなか浮かばない様子などは、衛星放送の醍醐味だ。衰退しきっている商店街をガチで訪問し、カメラの前で店の人に「寂しいですね〜」という会話の掴みも猛烈である。
旅番組を横目に地酒と地元の名産惣菜を一人旅先のホテルで味わう。隠微だが止められないオトナの楽しみである。
松山名産惣菜を揃えたビジネスホテル一人晩酌
≪蛇足:昨日のあ〜ほボイルド≫
ほぼ十三オフィスで久々のカンヅメ仕事。

