2017年02月06日

第1631夜:登山と糖質の巻【伊賀(三重)】

 『山と食欲と私』。単独登山女子を主人公にした`山グルメ´コミックである。料理漫画コレクターの私は本屋でそれっぽいコミックを見つけると迷わず買ってしまう。最近はブームなのか本当に料理マンガが増えた。少しも面白くない作品もありハズレも多いが、この作品はかなりの実力。実際によく売れているらしい。

 私は手に汗握る山岳ミステリや山を舞台にした冒険サスペンス映画は大好物である。特に山岳ミステリでは私の中では笹本稜平先生と夢枕獏先生が最高だ。

 しかし、私自身は登山に全く興味がない。登山どころか坂道も階段もダメ。ジョギングなど概念すら浮かばない。そのクセに人一倍馬喰鯨飲するので、身長は加齢とともに縮んで170pを切ってしまったのに体重は約0.1トン。高位安定のまま緩やかに上昇を続けている。間もなく北九州小倉の「ワンハンドレッドクラブ」に入会できそうだ。

 ある11月上旬の夜。忍者の隠れ里・伊賀上野銀座商店街の旦那衆と<いとう>さんで絶品料理に舌鼓を打ちながら、ビールや焼酎を痛飲していた。私が最も愛するビール「キ●ン一番搾り遠野産ホップ2016」が解禁。私にとってはボジョレの1000倍増しのヨロコビである。生は東北でしか呑めないが、瓶や缶は全国各地で楽しめる。この瓶を扱う店も増えてきた。

 具だくさんの茶碗蒸しを始め、ハズレなしの絶品大皿料理に舌鼓。商店街F山理事長の鮮魚店のうなぎの白焼は頬っぺた落とし。蒲焼も旨いが、酒のアテとしてうなぎ白焼は間違いなくエベレスト級のご馳走だ。サクっとした歯触り、ジュンワリと染み出す鰻の上品な脂とコク、さっぱり感を呷るわさび醤油。すかさず遠野産ホップで追いかける。……。笑みが止まらない。

 絶品料理を振る舞って下さるマスターが厨房奥から出てこられた。ところが足を引きずっている。痛風かと思いきや、そうではないという。

 マスターも交え、ダイエットの話題に。食事制限よりもウォーキングよりもジョギングよりも何よりも効果的な方法をマスターと石B氏から教えていただいた。答えは「登山」だった。

 足場の悪い山道を上り下りしていると、体幹や普段使わない部位が刺激されるそうで、下山後も代謝効果が続くという。手首足首に錘を付けたり、20sの水をリュックに背負って登山するとさらに効果は増すという。あまりに疲れすぎて食欲も無くなるらしい。

 何も本格的な山でなくとも、近所の山でも良いらしい。ただし、アスファルト舗装されていない道を登るのが基本なのだろう(当たり前か)。 私の神戸の自宅マンションのベランダから高取山が真正面から一望できる。15分も歩けば六甲連山の登山道入口に辿り着く。

 笹本先生や夢枕先生の山岳ミステリに出てくる登山はかなり過酷だが、コミック『山と食欲と私』の登山は私にも出来るかもしれない。ビールを呑みつつシメに出てきた超大盛やきそばを思う存分啜りながら、登山のために体内に糖質をため込まねばならないと気合を入れ直した。

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私にとっての「ボジョレ」と絶品鰻白焼。

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具だくさんのワイルドな茶碗蒸し。

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糖質制限など吹き飛ばせ。

(付記)
登山の決意から3か月経過。登山どころか日常生活でますます歩かなくなりました。
 
posted by machi at 08:59| Comment(0) | 三重県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月29日

第1607夜:続・妖艶な伊賀牛の巻【伊賀(三重)】

 忍者の隠れ里・三重県伊賀市中心市街地。その路地に20代の美人セクシーママが一人で切り盛りする居酒屋がある。私より一回り以上年下だが、店を見事に回す姿に率直に尊敬する。ちなみにこのあたりの住所は`忍町´。実に風情がある。

 すっかり夜が涼しくなった10月上旬。伊賀上野銀座商店街が誇るツートップと22時過ぎに冒頭の居酒屋へ。カウンターに陣取る。テーブル席も埋まっており、中々の人気である。同行の石B氏曰く、何食っても酒が進む料理であるそうだ。期待が膨らむ。

 お通しがいきなり伊賀牛。生卵と絡めて口に運ぶ。……。肉が甘い。そして柔らかい。噛めば噛むほど旨みがあふれ出す。この逸品だけでノックアウトだ。

 F山理事長が迎えの店に注文されていた握り寿司が出前された。仕事が施された赤身マグロ、蒸し穴子、口の中で吸いつくような烏賊、干瓢かと思いきや歯ごたえと濃い目の味付けに思わず目を細めてしまう牛蒡巻……。

 スナックではなく居酒屋に握り寿司を出前するという無法は、常連かつ名士だからこそ許される究極の地元密着といえる。私のそのような場に同席させていただく、光栄の至りである。

 串焼がどしどし運ばれてくる。L字カウンターなので厨房が丸見えなのだが、焼鳥も器用に焼いていく。1本1本注文を受けてから串に刺す芸の細かさにプロの矜持を感じる。

 鶏以上に目を見開いたのが、伊賀牛の串焼である。精肉とホルモン。口の中でサラリと蕩ける。特にホルモンの味付けと歯ごたえが絶妙。焼酎のピッチが止まらない。

 F山理事長から課されるミッションの重さに頭を悩まし、絶品料理の味が分からなくなる時がある。そんな時はすかさず石B氏が助け舟を出して下さる。怖い刑事と優しい刑事に交互に詰問される容疑者の気持ちが少しだけ理解できる。

 店を出た。F山理事長は御帰宅され、店を閉めた美人セクシーママと石B氏と駅前のダーツバーへ。石B氏は20分ほどで帰宅され、私とママはカウンターに移り、マスターや従業員さんも含めて談笑。ガンガン呑む。

 それにしてもママ、お酒が私より強い。私がクロクロ(ジョニーウォーカーのブラック×ブラック)のハイボールを注文すると、同じペースでクロクロのロックをダブルで注文。私の中の妙な負けず嫌いが顔をもたげ、私もクロクロのロックダブルに。凄まじい勢いで杯を重ねていく。

 伊賀上野銀座商店街は魅力的な飲食店が多いようだが、残念ながら我がミッションが終了する22時以降は一気に選択肢が狭まる。しかし、F山理事長と石B氏は毎回趣向を変え、たいした仕事を出来ていない私ごときに最大限おもてなし下さる。

 伊賀上野の夜の楽しみの一つが、伊賀牛。その味は精妙かつ上品なのに妖艶だが、今回のお店の若くて美人のセクシーママが最も妖艶である。

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とろける串焼き。

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いくらでも酒が進む味付け。

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名士だからこそ許される必殺の居酒屋寿司出前。

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名古屋スタイルの鉄板ナポリタンも最高。
posted by machi at 13:28| Comment(0) | 三重県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月17日

第1598夜:伊賀牛ホルモン鍋七変化の巻【伊賀(三重)】

 ホルモン鍋。毎月どころか毎週福岡(北九州ですが)に訪れている私は福岡県民でないわりに「もつ鍋」に接する機会は多い。居ても立っても居られないほど好物かといえば、そこまで熱くない。しかし、もつから滲んで油膜が浮いた出汁は絶品。これだけで酒が呑める。クタクタに煮えてコクが染み込んだ野菜も頬っぺた落としだ。

 もつ煮は好物だが、私は関西人でありながら「豚」派。西日本は「牛」だろうが、どうしても脂がキツすぎる。もつ煮に関しては東日本系の「豚」に岡惚れしている。

 前置きが牛もつのように脂っこくなったが、少し夜が涼しくなってきた忍者の隠れ里・伊賀市の中心・上野銀座商店街。<いとう>さんへ22時過ぎに商店街の旦那衆と足を運んだ。この店は3、4回通っていると思うが、何を食べても絶品。ボリュームも半端ない。特に「伊賀牛」をこの店で味わうことは人生を確実にワンランク豊かにする。

 その日の夜の卓上にはカセットコンロが。鍋なのだろうか。生で乾杯し談笑し始めると、ドカンと予測通り鍋が鎮座した。たっぷりのニラが中央でこんもり盛り上がっている。その下にはプリプリしてそうなホルモンがたっぷり。「伊賀牛のホルモン鍋」だった。ステーキ肉は幾度となくご馳走になったが、伊賀牛ホルモン童貞喪失のチャンスである。

 煮えるまでのアテとして七味マヨネーズが添えられたウィンナー炒めと手羽餃子が運ばれてきた。空腹気味の酒呑みの心をざわつかせる。これで充分なメイン料理だ。

 ホルモン鍋が煮えてきた。取り分けて、まずは出汁を啜る。……。様々な旨みが溶け込み、ホルモンの脂がいつまでも熱を溶かさない。さっそくホルモンを口に運ぶ。……。クドさ、しつこさともにゼロ。純粋な脂の旨みと甘みだけが昇華される。そして柔らかい。和牛の、それも伊賀牛のホルモンとはこれほど上品で艶やかなのか。

 少し辛みを加えようと旦那方が輪切の粗挽唐辛子を注文。投下した。プリっと味が引き締まり変化した。さらにウィンナーを何本も注文。鍋に投下。私は焼肉屋では必ずウィンナーを頼むし、自宅鍋にはウィンナーは欠かせないアイテム。見事な「三変化」である。

 焼酎に切り替え、伊賀牛ホルモン鍋をつつく。具は無くなってきた。シメはラーメンである。私の鍋シメは米ではなく麺原理主義者なので思わず笑みが漏れる。

 麺が煮えた。しかし、何か足りない。旦那衆は厨房に刻み葱を注文。すぐに運ばれてきたので投下し「四変化」。メンマも欲しいと叫び声があがり、さすがに常備じていないと思いきや分殺で卓上へ。極上のネギメンマラーメン「五変化」。疋田天功もビックリのイリュージョンに圧倒されていると胡椒がないと声があがる。胡椒パッパの「六変化」。

 涎が垂れるのを我慢しつつ麺とスープを一心不乱。最早鍋〆の粋を遥かに超えている。伊賀牛ホルモン鍋六変化。翌朝、私がさらに2sほど太って「七変化」。

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火入れ直前。

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鍋が煮えるまで。その一。

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鍋が煮えるまで。その二。

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中盤にウィンナー投下。

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posted by machi at 08:45| Comment(0) | 三重県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする