2023年08月04日

第3225夜:赤べこスピリッツ【柳津(福島)】(後編)

 よく眠れた翌朝。朝の露店風呂へ。キリリと冷えた冷気。冬の朝の露天風呂は人間が人生で体感する天国の中で間違いなくその一つである。

 時間は7時半。こんな時間、普段は全く空腹などない。普段は朝昼兼用一食で、朝一番にホット珈琲を飲まねば一日が始まらない。しかし、温泉旅館の朝食は別腹。ビジネスホテルの朝食バイキングにはないスペシャル感が溢れ出ている。

 昨晩と同じ会場へ。違いは、昨晩は4人。今朝は私独り。湯豆腐、ブロッコリー(荏胡麻ドレッシング)、馬味噌、塩鮭、山菜、漬物、甘酢大根、根野菜魚煮、麩煮、温泉卵、板海苔…。

 あさ月糸納豆は荏胡麻油を少しだけ垂らす。柳津名産「雪堀キャベツ」の味噌汁が上品。わずかの柚子胡椒が絶妙のアクセント。会津産コシヒカリの白飯、味噌汁、どちらもお代わり。普段は食べないフルーツ(オレンジ・メロン)まで完食した。

 9時からかわちやグループ本社でたっぷり3時間。それから寺内町あかべこ通り商店街へ。かわちやグループがプロデュースするお店が続々オープンしていた。

 <赤べこ堂>はアイスや団子を販売する甘味処。りんご、みしらず柿、リッチミルクの3種アイスを試食させて頂く。さっぱりした酸味、上品で淡麗な甘さ、濃厚濃密。3つの個性が素晴らしい。他にも数種類アイスが。何とか剤を使わない「クラフトアイス」らしい。

 団子もたっぷり。小倉、ずんだ、クルミ味噌の3種類をお土産に頂く。どれも小さく可愛いカップに。晩酌のデザートとしよう。

 玄米の団子が試作中という。私も試食させて頂く。味噌ダレが強いが玄米の歯ごたえにはちょうど良い。タレが垂れないのも良い。後は匂い、湯気を最大限活用したしずる感。東武日光駅前の揚げ湯葉まんじゅうを目指してほしい。

 コンビニエンス<河内>で柳津ソースカツ丼購入。満腹ゆえ新幹線晩酌の共に。若松と柳津のソースカツ丼の違い。柳津はソースカツ、キャベツ以外に薄焼玉子が敷いているのである。

 他にもこれから改装を検討中の物件を複数見せて頂き、最後は<パン工房あかべこ>。映える商品多数。私はガーリックラスクをツマミに購入。そして、チーズが練り込まれたパンも。そのままでもトーストしても、クリームチーズを塗っても旨そうだ。

 I村氏に会津若松市まで送ってもらう。途中、七日町の<赤べこカフェ>へ。この店の前を何度も通りかかったが、かわちやグループだったとは。「あいづトルコライス」を昼飯に。

 トルコライスといえば長崎だが、会津にもあったとは。カツ、スパゲティ、半熟玉子、ピラフ、生野菜。オヤジのお子様ランチ。いっそのこと、赤べこの小旗を刺してほしいぐらいに。

 どの店も店員さんは若い。そして懸命に働いている。まさに幼少から刷り込まれた赤べこ精神なのかもしれない。

 その夜。東京駅で缶を3本買って溜まったポイントを活用してのグリーン車に乗り込む。会津柳津ソースカツ丼。冷えても旨しな絶品。これが400円以下。赤べこのように頭を垂れた。

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家庭では再現不可能な非日常の朝。

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新たなランドマーク。

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伝統と斬新が同棲した店内。

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クラフトアイス。

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開発中を試食。

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かなりの人気店。

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ツマミに好適。

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会津若松市内の七日町エリア。

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トルコライス。

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安さと旨さ。絶対的な正義。

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2023年08月02日

第3224夜:赤べこスピリッツ【柳津(福島)】(前編)

 赤べこ。会津地方でも特に柳津においては信仰心すら感じさせるシンボルである。

 千数百年前、会津柳津円蔵寺建立の際、木材運搬に使役された牛が数多く倒れる中、最後まで働きとおしたのが赤色の牛。それにあやかり、古来より子供の誕生日にはその牛のように重荷に耐えて壮健であれと赤べこを供えた…。

 会津らしいというか、タフでヘビーな由来である。愛らしさの中に悲劇が潜んでいる。

 1999年3月1日に新長田まちづくり鰍ノ入社。2010年4月にフリーになるも、まちづくりを生業とした24年目の2023年3月1日。私は郡山から高速バスで会津若松へ。コロナ以降、ここまでが最北端だった。駅前で柳津の稲M氏と4年ぶりに合流。氏の運転で柳津へ。

 懐かしい風景が視界に入ってくる。柳津に入った。寺内町、4年前より垢ぬけて店が増えた気がする。実にいい感じに満ちている。

 <瀞流の宿かわち>へ4年ぶりに。懐かしい女将さんが出迎えて下さった。私の事を覚えてくださっていた仲居さんも。室内は雛祭りモード全開。至る所に段飾り。

 コロナ期間はタイヘンだったろうが、そんな時こそ攻めの経営。客室や共用廊下など7割以上リニューアル。より快適な空間に。通常ではリニューアルのタイミングは難しかっただろうが、逆手の経営に脱帽。お客様もかなり戻手来ている雰囲気だ。活気にあふれている。

 リニューアルされた館内をスタッフの方にご案内頂き、私は広々和室。快適である。ポットに入った冷たい水が旨すぎる。改めて、館内、客室の様々に「赤べこ」がいる。

 リニューアルされた個室で会食開始。かわちグループ総帥のY内会長、I村部長、観光部門トップO森氏。皆さんはお車なので烏龍茶。私だけ生ビールをチェイサーに会津の地酒。

 4年ぶりのかわち会食。至福である。森羅万象様々なお話を楽しみながら地酒3種セット。肴は山菜小鉢2品に先付三品から。

 呑み比べが無くなり、幻な飛露喜を2種類。ラムしゃぶ、馬刺という馬羊コンビの旨さを引き立てる。さらに豚ロースチーズ焼、西京焼でさらに写楽(地酒)を痛飲していると、黒いワカメのような小鉢が運ばれてきた。4人で1鉢である。

 「イワタケ(岩茸)」という幻中の幻という。採取にも命がけ。そもそも市場に流通していないらしく、値段が分からぬ(付けられない)。少なくとも、松茸の数倍は下らないそうだ。

 そんな天下の珍味を我がバカ舌が受け止められるか…。ワカメでもキノコでもない。キクラゲに少し似ているが非なる。味付けも絶妙だが、初めて体験した食感かもしれない。コリコリ、シャクシャク。しかし、柔らかい。貴重すぎる経験だ。

 福島の郷土料理「こづゆ」とアイスが出てきた。炊き込みご飯までたどり着かなかった。気づけばたっぷり3時間、天国だった。

 そして、4年ぶりのかわち露天風呂。誰もおらず、独り占め。4年ぶりの塩分強めの泉質が皮膚に沁み込む。

 柳津に月1回ペースで足を運んでいた4年前。その頃は老眼など1oもなかった。腰痛もなかった。体重も100s超えていなかった。4年分の不摂生と老化が浄化されていく気がする。

 部屋にはかわち売店で買った地酒「柳津」720mlが。缶ビールでノドを開かずとも、柳津の水道水は極上の冷たきミネラルウォーター。茶菓子に置かれていた柳津名産「あわまんじゅう」と地酒で〆を楽しむか。ほくそ笑みながら露天風呂と一体になる。〔次夜後編〕

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私にとっての柳津の代表的風景。

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帰って来た感、ハンパなし。

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館内はひな祭りムード満開。

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あかべこを探せ@

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あかべこを探せA

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あかべこを探せB

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この感じが懐かしい。

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温泉宿の醍醐味。

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宴の始まり。

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地元プランド豚(たぶん)チーズ焼。

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地酒が進む西京焼。

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究極無双の珍味中の珍味「イワタケ」。

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福島名物「こづゆ」

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露天風呂からの、地酒と名産「あわまんじゅう」

posted by machi at 11:36| Comment(0) | 福島県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月07日

第3206夜:郡山駅前で朝定食を【郡山(福島)】

 朝定食。私は普段朝飯を食べない。朝昼兼用が多く、どちらかと言えば昼寄り。夜は鯨飲暴食するので朝は食欲がない。珈琲を2,3杯と煙草が私の朝食である。

 そんな私でも朝食を腹に入れる時がある。前夜珍しく鬼喰せず空腹な朝。昼飯を食うタイミングがなさそうな1日など。

 福島県郡山市は東北屈指の大都市である。2017年頃から福島県の会津地方に御縁を頂き、月1回ペースで会津入りしている。郡山〜会津若松間は電車がバス。バスは平日なら30分の1本走っているのでコロナ禍以降はバスの利用頻度が増えた。

 会津若松市に隣接する喜多方は朝ラー文化がある。若松も朝ラーの店はあるが、改装中の表示が貼られたまま。

 若松駅構内に立ち蕎麦屋が朝から営業しているが、我が定宿のある中町フジグランドホテルから徒歩1分で神明通り商店街にある郡山行きバス停を利用する。よって会津若松で朝食を食べることはめったにない。

 神明通りから乗車する時間によるが、郡山に着くのは10時前後が多い。その30分後には新幹線で南下することがほとんど。帰神する際は途中大宮あたりで途中下車すれば時間は昼時。駅周辺でラーメンを啜るのが我が定石。

 大宮まで行かずに宇都宮、小山で下車して栃木県ミッションにそのまま移行する際は郡山で朝昼兼用メシを済ますこともある。多くは新幹線改札内の立ちそばか、実力の高い郡山の駅弁を新幹線で満喫するか。

 ある冬の朝。郡山に15分早くバスが到着。新幹線発車まで40分。切符もすでに購入済。時間は10時前。ラーメン店などは11時頃からしか開かないだろう。

 駅前に<M屋>がある。3大牛丼メジャーの中では私の一番のお気に入り。M屋の定食や期間限定メニューの充実ぶりは同業の追従を許さない。せっかくだから、朝しか食べられぬ朝定食にしよう。確か、小鉢が選べるはずだ。

 券売機と対峙。最高値が鯖と鮭の定食590円。ソーセージエッグや豚汁の定食が400円台。牛小鉢朝定食はライスが小盛・並盛・大盛・特盛で同じ値段。味噌汁、牛小鉢にもう一品。

 このボタンを押そうとした瞬間「たまごかけ朝定食」が視界に。ライス、味噌汁、生卵に小鉢で290円。しかも、4種類の小鉢から「ミニ牛皿」を選択できる。

 これしかない。生卵と牛皿が喰いたかったのだ。ライスは特盛。これで290円は恐れ入る。

 カウンターに座ると、店員さんがお水を置いてくれた。チケットを半切りして厨房へ。

 最近の松屋はチケットを買った瞬間に厨房にオーダーが入り、番号が表示されると自分で取りに行くセルフスタイルが主流のはず。ポン酢。バーベキュー、甘タレの卓上ダレ三銃士がテーブルにない店もある。

 この店は三銃士が力強く鎮座。紅生姜もみっしり。平成時代のスタイルに懐かしさと温かみを感じる。

 ブツ降臨。値上げラッシュな令和5年2月。これで290円とは信じられぬ。

 牛皿に七味をパラリ。味噌汁の蓋の紅生姜をたっぷり乗せ、まずは味噌汁。牛丼チェーンのシンプルな味付けである。

 牛皿をおかずにライス。紅生姜でさっぱりさせながら。途中。ライスに甘ダレ、バーベキューを垂らして味変を楽しみ、ライスが3分の1になったところで生卵を投下。牛皿に残ったツユと醤油を垂らし、一気呵成に首を上下させながら赤べこ喰。コスパ無双な天国の朝である。

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郡山駅前に屹立。

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無双発見。

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朝から喰い過ぎ。

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郡山駅構内フードコート。

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朝定食のA、いつ試そうか。

posted by machi at 07:42| Comment(0) | 福島県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする