翌朝。眠いがユニットバスで覚醒させ、9時から栃木県日光市オンラインミーティング。便利な世の中である。
前日、岡山駅から普段通らないルートで表町方面へ向かおうとしたら、掛け値なしに駅前にラーメン屋があった。岡山はラーメン激戦地ゆえ特に気にも留めなかったが、看板の気になるショルダーネームが視界の隅に入ってきた。「岡山ラーメンの源流」。
その残像が一晩経っても消えなかった。時間は11時。昨日通ったルートで駅へ、というより源流へ向かう。源流の名は<冨士屋>。昭和25年創業という。
この屋号、この字(富士ではなく冨士)は私にとって永久欠番的な意味合いを持つ。神戸新長田時代の最大の盟友・M井氏の経営する呉服店の屋号が<冨士屋>。岡山の冨士屋は創業25年だが、神戸新長田の冨士屋は創業何年か。100年を超えているかもしれぬ。
開店時間は分からぬが、たぶん11時だろう。すでに店内はお客で満たされている。
券売機と対峙。さっぱり分からぬが「チャーシュー中華」のボタンを押した。恐らくチャーシューメンのことだろう。
店内はL字カウンターのみ。かなり広くて清潔でゆったりした造り。この店が発祥の聖地と思えぬので、恐らく本店は他にあるのかもしれない。
常連風は「チャーシュー中華」率が高い。アタシの拉麺嗅覚も間違えていなかったようだ。
ブツ降臨。まさに正統派の醤油。チャーシューの浮きが心強い。スープがタプタプなのも頼もしい。
胡椒をパラリ。まずはスープ‥‥‥。私の中の欠けていたピースがハマった。
岡山に御縁を頂き3年間啜ってきた岡山系醤油の「源流」であることをはっきりと理解した。甘めの醤油にしっかりした鶏ガラ。あっさりだけど、深みも十分。まさにソウルフード的な安定感。私が啜ってきた岡山ラーメンはすべてこのラーメンの派生かもしれない。
私の岡山での3年間。ラーメンとデミカツ丼を中心の昼は攻略し、夜は吉備の国最大最強商店街・表町のH谷川理事長やY部常務たちと呑み歩いた。
岡山は私が居を構える兵庫県と隣接しているが、同じ隣接している大阪と比べたら感覚的に異世界ほど離れている。しかし、私は毎月どころかほぼ毎週新幹線で岡山駅を通過している。
岡山市での3年間。ハマった店もいくつもあった。そして、最後に岡山ラーメンの源流を見つけ、啜ることができた。いつになるか先は読めぬが、再訪を誓った。近くて遠くて、やっぱり近い気もする吉備の国・岡山へ。

ラストラーメン。

源流の証明。

納得。