2025年04月20日

第3649夜:モンドセレクション銀賞のカット葱【井原(岡山)】

モンドセレクション。たまに受賞ラベルが貼られた商品を目にすることがある。同じような商品が並んでいたら、ついそのラベル商品に手を伸ばしてしまう惹きと重みがある。

 井原町商店街エリアのお宿<舞鶴楼>をチェックアウトし、井原駅へ向かう。歩くと30分かかるそうで、タクシーを呼んでもらおうと考えたが、1時間の1本の時間帯の井原鉄道駅まで50分ある。早く着きすぎてもナンなので、ブラブラ歩いて向かうことに。

 車の速度では気づかない風景に気づく。こんなところにラーメン屋が。ユニークな店だな。24時間スーパーもあるのか…。川べりには2羽の鶴が。しかし、動かない。よく見るとオブジェだ。

 車社会の井原ゆえ、あまり人とすれ違うことはない。しかし、すれ違った人全員が会釈または挨拶して下さった。曇り空でいい風が吹いている。こんな気持ちの良い朝はいつぶりか。歩くからこそ体験できる至福である。すごい町である。

 順調に歩を進める。井原駅まであと5分という地点に食品スーパーがあった。920分ごろだが全開で、駐車場はびっしり埋まっている。電車発車まで25分。スーパーに入ってみた。

 私は市場や地場スーパーがあれば入る習性がある。大手にはない商品構成や、その土地の名産的お惣菜、地酒など。この日は神戸に戻るだけ。自宅晩酌の肴を仕入れようか。

 私がスーパーで絶対にチェックする商品がある。「カット葱」である。生野菜はあまり食べぬ私だが、カット葱だけは冷蔵庫にほぼ常備。格安スーパーは量が多くて安い傾向がある。しかし、あまり日持ちしない。ゆえに、数日間自宅の滞在するときに購入する。

 袋ラーメン、納豆、魚系缶詰、鰹のたたき…。カット葱が添えられるだけで一気に格が上がる。料理として完成度が高まる。料理できない私の必殺技でもある。

 野菜売り場へ。カット葱があった。値段は98(税抜)。まあ、普通だろう。この夜から3日間、自宅に滞在する。カット葱を補充したいが、自宅近くのスーパーで買えばよいか。

 ふと、足が止まった。何かの違和感があった…。ただのカット葱ではなかった。「2024年モンドセレクション優秀品質銀賞」とある。さらには「カット葱で日本初!受賞」とも書かれている。パッケージ(フタ)にも同様の受賞シールが。

 2024年とは、今年である。そもそも、モンドセレクションにカット葱部門があるのか。銀賞も凄いが、金賞は何なのか。そして、あまりにもシブすぎるセレクションである。

 カット葱フェチの本能が引火した。カゴに入れた。カゴに葱だけは少なすぎるし軽すぎる。総菜コーナーへ。よりどり3パック1000円コーナーから「ミニオムレツ(7枚入)」「かに焼売(10)」「いか天ぷら(無数)」をカゴに。

 レジでお会計の最中に気づいた。3品ともカット葱が本領を発揮する場面が少ないことを。

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井原駅から徒歩5分弱。

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よりどり3品+葱。

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様々な賞があるものである。

(付記)

 その夜。インスタント味噌汁に入れてみた…。旨い。しゃきしゃき。しかし、私のバカ舌ではどのあたりがモンド銀賞なのか分からなかった。ただし消費期限は6日間と他よりも長かった。

posted by machi at 06:48| Comment(0) | 岡山県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月19日

第3648夜:夜会と夕立【井原(岡山)】

 夜会。井原町商店街エリア活性化を推進する有志の団体「ともつく会」月1回定例会の名称である。商店主、主婦をはじめ様々な職業の方が来られる時間帯を考慮してか、夜に開催。名称の「夜会」がムーディで誠によろしい。「〜会議」より100倍以上参加意欲が湧いてくる。

 残暑厳しい9月中旬の土曜の夕方。夜会会場(自治会館)入りし、十数名のメンバーの前で3時間ほぼぶっ通しでアヅマショー。商店街内の空き店舗、空き家、空き地と思しき約80枚の画像をメンバーであれやこれやと情報を出し合い、共有する。ほぼ休みなしの3時間だった。

 この夜は若手中心のともつく会メンバーだけでなく、地域の重鎮型もご参加。女性が圧倒的に多い。皆さん、活発に議論を交わされる。

 夜会は親睦を深めるための呑み会も大きな軸。商店街等の総菜などを肴に3時間しゃべり倒した後の私も缶ビール。いろいろお話を聞かせて頂きながら。

 井原町商店街は三方を山に囲まれた谷あいの街。地形は閉鎖的だが商業者や住民は思いっきりフレンドリー。私のような謎のヨゴレなヨソモノ親父にも親しく話しかけて下さる。

 夜会は日付が変わるまで続けられるという。私は23時前にお暇し、お宿の<舞鶴楼>へ。

 この日は3連休の初日で満室だったが、宿のオーナーもともつく会メンバーらしく、何とか一室開けて頂いた。私の部屋はの204号室。向かう途中、201号室から203号室の前を通る。

 それぞれの部屋に名前がついている。温泉旅館などでは珍しくない光景だが、ビジネス系ホテルではあまり見かけない。そのネーミングが極めて個性的だった。

 201号室が「少年時代」、202号室が「夏まつり」、203号室が「カナリア」、そして我が204号室が「夕立」。共通点が分からない。この段階でピンときた御仁は恐らく還暦オーバーだろう。

 部屋に入る。荷を解いてシャワーを浴びる。部屋は清潔極まりなく、シャワー室とトイレがセパレート。ドリップコーヒーなども常備されている。

 椅子に座り、持参したウィスキーをチビチビやる。壁のポスターが視界に入った。雷(Thunder)、カエル(Frog)、立ち往生(Standstill)、嘘じゃない(No Kidding)、夕立(Cloudburst)の5文字が並んでいる。部屋の名称と言い、何かの暗号だろうか。

 机の上に置かれている備え付けの本が視界に入った。聖書かと思いきや、そうでなかった。「井上陽水英訳詩集」。

 ある意味、聖書のようなものである。ふとひらめいた。部屋の名前はすべて陽水氏の曲のタイトルでなかろうか。

 翌朝。幾分曇り空で涼しい風が吹いている。外に出て煙草を吸っていると、他の宿泊客が私に話しかけてきた。

 「今朝、降ってた雨もやんだみたいですね」

 全く気付かなかった。よく見れば、路面がうっすらと濡れている。夕立ならぬ朝勃、じゃなく朝立だったようである。

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四方を山に囲まれた井原市中心部。

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舞鶴楼。

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少年時代。

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夏まつり。

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カナリア。

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夕立。私の宿泊部屋。

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なかなか快適。

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深夜の部屋晩酌。

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オーナー様の趣味なのか。ご本人ゆかりの宿なのか。ある意味で、究極の聖書。

posted by machi at 09:35| Comment(0) | 岡山県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月04日

第3636夜:針の穴を通すルート【井原(岡山)】(後編)

 9時頃、先方と電話でやり取り。井原は天気も良いらしい。私の受入準備も万端らしい。

 決行が決まった。ただしダイヤめちゃくちゃだろうから、予定より2時間近く自宅を出た。

 ガラガラの神戸市営地下鉄で新神戸。新幹線新神戸駅、切符売場も売店もホームもガラガラ。こんな光景、コロナの緊急事態宣言来か。予約しておいた福山まで乗り換えなしのみずほ号が定刻に到着した。そして、定刻に福山駅に着いた。

 念のため福塩線神辺駅まで行けるか駅員さんに確認。駅員さん、笑顔で力強く大丈夫と請け負った。しかも、定刻発車。他は以前全滅。井原方面へ向かう路線だけが短縮運行している。

 駅構内と駅を出て半径20m以内の50分間プチ福山旅行を堪能し、福塩線ホームへ。車窓から福山城の天守閣が見えた。

 定刻に福山駅を出発し、定刻に神辺駅。乗り換え5分で井原鉄道。過去2階は銀河鉄道なトレインだったが、今回は何とアート列車。大原美術館とコラボし、美術館所蔵の日本と世界の名画でびっしりと車内が埋め尽くされている。

 人類の至宝に眼福していると、予定より1時間も早く井原駅へ到着してしまった。

 井原駅の待合室は超絶に立派。快適にPC。外に出れば灰皿も。構内のデニムショップも営業中。井原は快晴。入道雲な夏空である。台風の間隙を突いた我が強運に、ある意味ドン引く。

 待合室のTVでNHK大河ドラマの再放送が流れた。平安時代の女性作家が主人公である。初回で脱落したので、8カ月以上ぶりに観てもさっぱり分からない。冒頭流れるクレジットの役名を見てもほとんどが藤原姓なのでますますこんがらがっていると、お迎えが来た。

 公民館のような場所で井原町商店街エリアを盛り上げる皆さまの前で90分間の空き店舗漫談の後、商店街を私を含め6人でフィールドワーク。空き店舗、空き家、営業中のお店、空地などを1物件づつ確認していく。

 川べりの土手は桜並木で4月は圧巻という。その横の川、よく台風で増水しなかったものである。そして、そもそも井原までたどり着ける自信ほぼなかった上に、まさか屋外をたっぷり90分以上歩き回るとは。さすが岡山県、「晴れの国」である。

 私も皆様もノドが渇いた。蒸し暑い。地方都市の商店街で見かける、コンビニでもスーパーでもない「食料品屋」さんで飲み物を買う。自販機すらあまり見かけないのでオアシスだ。

 私が選んだのは、ラムネ。あまり冷えていなかったが、昭和感のある商店街をたっぷり歩いたので、久々にラムネが呑みたくなった。ビー玉を押し込む。冷えてない感じも昭和っぽくて味わい深い。ダストボックスも見当たらないので、リュックにしまう。

 日もかなり落ちてきた。無事、ミッションを遂行できた満足感で満ち溢れている。15分後に福山方面に向かう電車が来る。のんびりとホームへ向かう。

 チンチン、リンリンと鈴の音がする。風鈴か。昭和の原風景である。しかし、何故か私が立ち止まると鈴の音が止む。歩くと、鳴りだす…。風鈴でなかった。カバンに入れっぱなしだったラムネの瓶のビー玉だった。

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新神戸駅は目を疑うほどのガラ空き。

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新神戸駅のホームもほぼ無人。

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奇跡的に福山駅着。

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力強く府中行きは運行中。

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神辺駅で井原鉄道に乗換。

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アート列車。

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井原駅前は夏空。

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ともつく会メンバーとフィールドワーク。

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町のライフライン。

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郷愁の味。

posted by machi at 08:13| Comment(0) | 岡山県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする