2020年10月01日

第2532夜:大ママの気配り【岡山(岡山)】

 自粛警察。妙な正義感に駆られた輩が暴走し、コロナ以上の被害を拡散する流行語である。

 緊急事態宣言解除後の初訪問となった岡山市表町商店街。リモートも駆使しつつ参加者も絞り込んだミッション終了後、理事長とY部氏と大将が一人で切盛りする激シブ居酒屋<なかむら>へ。私は2度目である。入口のドアが全開。コロナ対策だろうが、結果的に入りやすい。

 大皿に乗った総菜がどれも絶品。蛸煮も味が染みて柔らかく、黄ニラの豚バラ巻炒めはこれぞ岡山名物なのではないか。生の後は芋焼酎に切り替え。ピッチが加速する。途中、明らか理事長のスィッチが入った瞬間が分かった。

 タクシーで<イブ>へ。店内は高級感のあるラウンジ。カウンターに特注の可動式アクリル板で仕切られている。某豚骨ラーメンチェーンみたいだが、こちらの方がより開放的でスマートだ。

 カウンターも広々、隣との間隔も十分。消毒も完璧。そして、驚くほど流行っている。フロアレディの数だけでなく女性客も多い。

 「大ママ」と呼ばれる御方がカウンター越しに。いろいろお話をお聞きする。10代でお店を持ち、創業50年以上。岡山で知らぬ者なき全国的にも有名なお店であり、大ママらしい。

 お話がとにかく面白い。危篤状態に陥った常連客の奥様に呼び出され、病室で起こしてあげてくれと懇願される。大ママは「起きなさいっ」と一喝。するとガバっと起きて何事か言葉を発して永遠の眠りにつくという。こういうことが何度もあるらしい。寝た子を起こすどころじゃない。

 他にも豪快な武勇伝をたっぷりお聞かせいただき大笑い。極上の夜である。

 壁面に素敵でセクシーな女性の絵が飾られている。それと全く同じ構図の写真が熟女レディから手渡された。……。大ママだった。何年前か分からぬが、凄まじくいい女である。

 これまで50余年の記録を募った写真集を3冊見せていただいた。大ママ、掛けねなく、どんな女優よりもイイ女。格好いい。私が生まれる前と思しき写真も多数。一緒に移る様々な男性諸氏も政治家や社長などひとかどの人物なのだろう。

 60歳を手前に初めて水商売の世界に飛び込み3年目という熟女レディが勧められたのが、ゆずの皮の砂糖漬け。これが上品な甘さで、ウィスキーに抜群。

 私は昔、甘いモノが苦手だったのだが、この数年はかなりのスィーツ好きに。特に引き籠り中は箱アイスにハマった。ニコニコしていると、大ママが「ちょっと待ってて」と席を外した。程なくして「内緒よ」と1ケースお土産に下さった。感激である。

 常時20名ほど女性を雇っており、4月1日からスパッと休業し6月1日に再開。岡山の歓楽街のかなりの数のお店が大ママの動向に合わせたという。再開もしかり。

 2か月の間、従業員女性を解雇することなく、給与も減額せず満額支払ったという。客層は抜群で、若いお客も多い。ヤクザものは絶対に敷居を跨がせないという。

 ほとんどの時間を再開を喜んだ常連でびっしりなのに、ほとんどの時間をイチゲンの私ごときに色々話しかけて下さった。

 岡山は緊急事態宣言が発令前から警察が繁華街をパトカーで巡回し、帰るように促していたらしい。しかも、営業中の店のドアを開けて「帰りなさい!」と回っていたようだ。どの店も締めざる負えない。あくまでも休業自粛の要請なのに、ムチャクチャ。ガチの自粛警察である。

 12時前に3軒目。<フランス長夜>という独特の屋号のスナックへ。レディ2人はマスク完全着用。お二人とも20代前半かと思いきや、40代の私やY部氏と妙に会話が合う。同世代だった。マスクをしているとほうれい線が見えず分からない。

 深夜1時半になった。理事長にお礼を述べ、Y部氏と歩きながら帰る。氏は足を引きづっている。痛風の発作が始まったらしい。私も痛風持ちなので、比喩ではなく痛いほど気持ちが分かる。観ているだけで痛そうで、目も当てられない。

 9時半ごろチェックアウト。のんびり歩いて岡山駅へ。朝10時過ぎに携帯が震えた。見慣れぬ番号である。応答すると昨晩お世話になった<イブ>の大ママだった。

「あなたの笑顔が可愛かったまた来てね」。

 これぞ岡山の女帝が醸し出す気配り。感動の嵐。しかも笑顔がカワイイなど言われたのは45年生きてて初めて。親にも言われた記憶がないだけれど。

 岡山入りは出禁を喰わらない限り、自分から自粛できそうにない。

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大ママの肖像画。

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今でこそ当たり前な臨席アクリルパーテーションを特注でいち早く。

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上品な甘み。

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オミヤで頂く。多謝。
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2020年09月09日

第2519夜:両面とも表【岡山(岡山)】

 タイムサービス。桜満開な2020年4月上旬、神戸から岡山へ向かう途中、姫路駅でわざわざ途中下車して<えきそば>へ。平日限定タイムサービス中(14:00〜17:00)で天ぷらえきそばが330円に(380円)。啜らずにいられない。汁1滴残さない熊啜。

 表町商店街ミッション終了後、諸事情で一人呑みに。せっかくなので商店街内の居酒屋を物色。

 西大寺町のビル前に看板が。<萬唐屋>。奥まった所にあるようだが、入り口がどこか分からない。引き戸があった。そこに名刺より小さな箸袋サイズの張り紙がピンと止められていた。<萬唐屋>。屋号通りのバンカラスタイルに怯む。しかし、グイッと引き戸を開けた。

 マスターが一人カウンターに。店内は広く2階もある。コロナの影響で客足が途絶えたようで、客は私だけ。

 カウンターに着座し、まずは瓶ビール。アサヒとキリンを聞かれ、普段は何故かキリンだがアサヒの気分だった。世の太平を願うなら麒麟に来てほしいが、まずは朝日が昇ってほしい。

 お通し3種をツマミにマスターと談笑。移転を含めて30年以上居酒屋を続けているという。その長き居酒屋人生の中で、2020年の春ほど客足が途絶えたことはなかったという。岡山最大の歓楽街・中央町も閑古鳥が凄まじい勢いで繁殖しているという。

 メニューは豊富である。しかし、一人なのでそれほど食べられない。本日のオススメを観る。刺身、和食、洋食、中華。カレーもある。どれも呑んだくれの心震わせるセクシーさだ。

 ビーフカツがあった。980円である。洋食屋より安い。個人的には「ビフカツ」と呼称したい。マスター曰く、いい肉が入ったそうで自信作であるという。楽しみである。

 ハイボールに切り替えてグビグビやっていると、ブツ降臨。大きい。分厚い。デミグラスの掛かり具合が官能的である。はだけた浴衣のようである。

 口に運ぶ。……。これ。これである。柔らかい。ビフカツは霜降りであってはいけない。脂で揚げるのだから。分厚い。ほのかにレア。デミも見事な深み。噛みしめるほどに赤身肉の上品な旨味が溢れだし、溺れそうになる。

 たっぷりと満喫した。牡蠣と言えば広島、三陸、厚岸あたりかもしれないが、岡山の日生も牡蠣どころ。カキオコ(お好み焼き)が有名だ。牡蠣バター焼きを注文。もうシーズンが終わるのでラスト牡蠣。これはラッキーである。

 程なくして、大振りのプリプリが降臨。口に運ぶ。……。ワヒャーと唸った。海のミルクが弾けだした。そこの山のミルク(バター)が絡む。絶妙の火加減。お店にとってはタイヘンだが、コロナ不況でマスターの絶品料理とトークと店を独り占めできる幸せを味わう。

 2軒目は<コイン>。3回目である。私はラフロイグを入れている。店内は先客が2名。70年代の懐メロを唄っている。今夜はバーではなくカラオケスナックモードのようだ。

 岡山人は割と人見知りらいしのだが、先客たちも私に色々話しかけてくれる。岡山といえばママカリ、桃太郎、千鳥、マスカットぐらいしか思いつかないが、黄ニラが有名らしい。白桃も外せないという。

 先輩二人が帰られて入れかわりで、見た目と雰囲気から明らかに美容師と分かる50代の御仁が。グデングデンである。

 現在進行形で付き合っている彼女とけんかと仲直りを繰り返しているそうで、この夜は喧嘩モード。ママから電話しなさいと説教されている。

 私にもすさまじい勢いで唾を飛ばしながら立ったり座ったりと話しかけてくる。ママは酔っ払いから私を守ろうと全力を尽くしてる。しかし、これが呑み屋の、場末の醍醐味である。

 コインという店の屋号の意味が分かった。バーとしての面と、場末スナックとしての面。私にとってはどちらもが表町の表面である。

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これを啜らずして姫路駅を素通りできぬ。

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入りにくさの極北。

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私が知る限り、世界最小の看板。

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「麒麟」に来てほしいけど、今は「朝日」が昇ってほしい。

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ビフカツ。頼まずにいられない。

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プリプリ。

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<コイン>にて。
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2020年08月30日

第2511夜:検索と嗅覚【岡山(岡山)】

 検索。私がネットで検索する際、ほとんどが訪問地でのラーメン情報である。

 ある3月の生暖かい午後。岡山は寒くないが霧雨である。岡山では初めて路面電車で田町駅下車。いつもの駅前定宿が満室のため、表町商店街に一番近そうだった<岡山Sクエアホテル>へ。それにしても新型コロナで宿泊施設大打撃中に満室とは見事である。

 そのホテルから一番近そうなラーメン屋を検索。……。発見。<ラーメンDかいち>。二郎系インスパイア店のようである。店内はカウンターで7名も座れば満席か。

 券売機の前で佇む。大きく分けてラーメンとつけ麺の2種。つけ麺は私の視界にも入らんのでラーメン一択。並が200g、大が300g、特大が400g。そして、トッピング(別料金)がある。

 二郎系の特徴として「無料」トッピングがある。野菜を思いっきり「増し増し」にできること。とても飲み干せない濃厚スープ。極太麺。量を増やし過ぎると食べきれない恐れがある。

 ここは初めての店ゆえ「並」で妥協。年齢不詳の笑わない感じの職人肌の店主にチケットを渡す。すべて「普通」に。麺大盛やトッピングが有料の場合は残してもギリギリセーフだが無料トッピングを残すことは絶対にご法度。これは譲れない天地の法則である。

 ぼんやり水を飲みながら待つ。店内は30〜40代と思しき男性3名。一心不乱に啜っている。

 我がブツ降臨。すべて普通。量も並。それでもモヤシたっぷり。ニンニクだけは増し増しにしたかったが、この後ミッションを控える身。世間は新型コロナ一色のご時世なのでマスク着用のままミッションかましても許されるだろうが、自分自身で窒息するかもしれぬ。

 スープは二郎系にしては薄めでマイルド。全部呑み切れないが、私好み。二郎系初心者には最適だろう。モヤシをまずなかったことにして、太麺に全力で挑む。

 この太さとコシは濃厚スープでなくては釣り合わなぬ。チャーシューも分厚い。背脂が良い仕事をしている。汁は5分の1ほど残したが、麺1本残さず桃太郎啜を決める。

 初めて利用するこのスクエアホテル。設備もサービスも大充実。ミッション先からも近い。これから岡山表町ミッションの際の定宿に定める。

 広域型商店街ゆえ新型コロナ自粛が深刻な岡山最大最強の表町商店街ミッション終了後、Y部氏とサシ呑みを決行。

 昭和レトロなラーメン居酒屋だがオープンして1年ちょっとな独特の世界観を放つ<桃T郎商店>へ。ジャンボ串カツや餃子をメガハイでやり、店主の奥さんとも話し込む。

 Y部氏はネギ中華そばを旨そうに啜っている。私も惹かれたが、何故か1軒目からラーメンを啜る気になれない。酒が進まないからか。〆には早すぎるという体内アラームゆえか。

 店内POP「児島デニム生地ラーメン」が強烈である。あまりにもラーメンからかけ離れたビジュアル。これぞSNS時代のラーメンといえよう。
 
 キャッチコピーの「ウキウキ♪」「わくわく♪」まではわかるが「食べづらい♪」が怖い。いつか試そうと思うが、これは一人ではなく誰かツッコミを入れてくる人がいないと寒いことになる。

 2軒目はバーとカラオケスナックが融合した独特の場末感を放つ<コイン>へ。2020年3月、10年前まえは神戸市内に何本あったか覚えていないほどあった我がキープボトルが20年ぶりに滅失。その反動でラフロイフをボトルキープ。テンション高めのママとも話し込む。

 24時ごろY部氏と別れてホテルに向かう道すがら。絶対に旨そうな「中華そば」表記が視界に。<山F士>という夜から深夜3時までしか営業しないラーメン屋へ。

 店内はまだ酔いの口なのか先客は1人だけ。「チャーシュー中華」召還。ビジュアルがぼっけえ美しい。思わず生唾。

 胡椒をパラリし、まずはスープ。……。最初あっさりすぎるかと思いきや、食べ進めるごとにコクと旨さ増す。シメに無敵系。チャーシューも味わい深く、刻み葱が最高のアクセント。ぼっけぇ旨い。岡山はちぢれ系ではなくストレートな麺が主流のようである。

 岡山ラーメンの定義はないそうだが、何となく以前<桃T郎商店>で啜った炙り中華そばとこの店のチャーシュー中華はビジュアルは異なれど味の系統は何となく似ている気がする。ラーメンのレベルが高い街は無条件で私にとっては素敵な街である。

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岡山の二郎系。

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ジャンボ串カツ。

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いつか挑まねばならぬ。「食べづらい♬」が笑わせる。

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<コイン>にて。

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入らずにいられない。

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間違いのない美。
posted by machi at 10:41| Comment(0) | 岡山県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする