2023年12月16日

第3311夜:覚悟【富士(静岡)】

 吉原宿。JR吉原駅から岳南鉄道で2駅にある吉原本町駅前からアーケードが広がる。そこには富士市の中心・吉原商店街が領域展開。江戸時代からの宿場町として栄え、現在も新陳代謝を繰り返しながら発展し続けている。

 私が初めて吉原を訪れたのは確か2010年。13年前になる。その頃は地元高校生が運営していた駄菓子屋の事例が全国的に(商店街・まちづくり業界ではだが)有名だった。その頃から、否、遥かその以前から吉原宿の再生、新生、活性に全力を注いでいたのがS野氏。

 2010年訪問時から、いつか忘れたが1日だけ吉原入りしたことがあった。「入り」したということだけは覚えており他の記憶は滅失。そして2023年、超絶久々に吉原へ足を運んだ。

 コロナが5類になり、インバウンド需要が急激に回復。吉原は富士市の中心。富士市、すなわち「富士山」。天下御免の日本のシンボルであり、単独峰としての独特のフォルムは日本人のDNAを直接響く何かがある。

 隣県である愛知の豊川(諏訪町)から名鉄、新幹線、JR在来線、岳南鉄道を計5回も乗り換えて吉原本町へ。S野氏は私を放置し旅行で不在らしく、氏の弟分であるS木氏が私をアテント。氏に吉原商店街を案内して頂く。

 S木氏は吉原活性化を牽引してきたS野氏の後継(たぶん)として様々な役職を兼務。そして、コロナ禍にゲストハウスと唐揚専門店をオープンさせた。しかも唐揚専門店を含んだ共同ビルの3区画分程度を氏は購入。

 賃貸でなく「購入」である。その真意を問うと、氏は「覚悟」と答えた。

 グッときた。私に最も欠けている要素である。コンサル会社に勤めていた氏は地元である富士市(吉原?)に戻った際、「覚悟」を示すためにリスクを負って不動産を購入。また、ゲストハウスや唐揚店などの「実業」に踏み込んでいる。

 私はクチ三味線ばかりのヨゴレまちづくり屋である。覚悟もない。フラフラとお座敷にお声が掛かるままにクチ三味線を弾き、太鼓持ちとして鯨飲鬼喰するばかり。おひねりで生活している。よく言えば食客、傍から見ればごく潰しの居候である。

 ゲストハウスを見学させて頂く。老朽物件が華麗に生まれ変わっている。そして令和5年度、新たな民泊施設建設に向けて動き始めた。計画ではビル上階にサウナも。

 新たな民泊施設で泊まること、サウナで整えることはスケジュール的に難しいが、これからさらに生まれ変わろうとする街の勢いと覚悟を肌身に感じた。私も覚悟を決め選択せねば。乗換の静岡駅構内でソトノミするか、新幹線車内でツマミと酒を買い込んで鯨飲するか。

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岳南鉄道に乗車。

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久々。

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新たな拠点。

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おしゃれ。

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結局、新幹線呑み。

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〆は天丼。

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2022年01月22日

第2853夜:帰れない‥‥‥Y【浜松(静岡)】

 なんてったって××××!。私のような40代後半の中年男女にとっては、この××××は「アイドル」を連想するはずである。そのアイドルとは、言わずと知れたK泉今日子氏である。

 コロナやら繁忙期やらで3ヶ月ぶりに浜松市舘山寺温泉エリアへ。3カ月前のランタンで夜を彩るアイデアがいつの間にか本格的に具現化していた。

 計7回足を運んだ私の舘山寺ミッション最終回。最後に皆さまで舘山寺エリアのキャッチコピーを再度考える。

 スマートインターから5分の近さはウリ。「浜名湖」はどこかに入れたい。舘山寺は「かんざんじ」とひらがなで親しんでほしい。非日常感も加えたい。多様な自分だけの楽しみを選択できることも伝えたい。‥‥‥。混乱してきた。

 参加者のおひとり・トゥナイトのママが『なんちゃって舘山寺』と発した(ように聞こえた)。

 実にポップではないか。思わず感心すると、「なんちゃって」ではなく『なんてったって舘山寺』だった。ちなみに私とママは同世代。「なんてったって」の本歌取りが分かってしまう。

 ミッション後半から、毎回トゥナイトのママが浜松駅まで車で送って下さるように。ノリノリのママのマシンガントークに爆笑していると、あっという間の予定より1時間以上早く到着。

 ママに舘山寺再訪を誓いながらお礼を言い、新幹線乗り場に向かう。

 改札前に人だかりが。皆呆然とした雰囲気で視線は上目遣い。…‥‥。嫌な予感しかしない。

 案の定だった。どこかのバカが新幹線にダイブしたらしく、3時間以上ダイヤが乱れている。せっかく1時間早く着いたのに。

 3時間半前に満喫した鰻がまだ腹に残っており、空腹感はゼロ。満腹時に酒を飲んでもあまり美味しくない。駅構内のTリーズでPCシコシコ猿打。ふと気づけばあっという間に2時間経過。
 
 トイレに行くついでに新幹線改札付近へ。駅員さんに尋ねると、2時間に1本程度しかない新神戸までの直通列車(乗換不要)が15分後に入線するらしい。

 昔はダイヤが乱れると、殺気立った乗客が駅員さんに詰め寄り罵声怒声が飛び交っていた。令和時代、駅員さんはタブレットでリアルタイムに把握。新幹線がどれだけ遅れて、どこに走っているかを瞬時に把握。便利な世の中である。駅員さんの応対にも余裕が感じられて頼もしい。

 慌て気味に荷物を纏めてエクスプレス予約で切符を手配。2時間前に発車した新幹線を予約できるようになっていた。凄まじい技術の進歩。満席を覚悟したが、余裕で悠々と二人掛けの隣がいないシートをネットで確保。タイムワープの気分である。

 緊急事態宣言も解除。新幹線改札内もアルコールを販売再開。缶類3本、そして浜松駅弁「餃子弁当」。冷えても旨いというPOPに惚れた。昼は鰻、夜は餃子。2大名物を思う存分である。 

 乗車成功。発泡酒をカシュっと開けてほぼ一気飲み。2本目の缶チューハイをヤっていると、新幹線は30分で名古屋へ。

 駅弁の掛け紙を外す。おおぶりな餃子が10ヶ。静岡らしく「わさび漬け」が心強い。

 餃子をツマミに缶チューハイ、缶ハイボール。餃子が無くなれば、わさび漬けで白飯を喰う。最近、シウマイばかり食べていた気がする。たまには餃子に浮気である。

 さいとう先生が亡くなられてたら、Gを1巻から再読している。車内で5巻を読んでいるとき、ふと気づいた。餃子の頭文字もG。ゴルゴの頭文字もG。G出生の秘密に餃子が絡んでいるのだろうか。ちなみに私はAである。

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2022年01月20日

第2852夜:殿様への道【浜松(静岡)】

 出世街道。浜松駅から浜松城に至る役2.4qの道のりという。浜松は家康公ゆかりの地。出世街道を散策すると家康公の出世運にあやかれるらしい。家康公が若手の頃17年間を過ごした。

 浜松城は家康公が天下統一への足掛かりとしたことや、歴代城主の中には幕府の要職に就いた者も多いことから、のちに「出世城」と呼ばれるようになったらしい。すべて市のHP情報だ。

 7月中旬の正午過ぎのバスで舘山寺へ。<志ぶき>へまっしぐら。前回は丼の表面の2枚、ご飯の中に1枚蒲焼が潜んでいた「うなぎサンド丼」。今回はさらにランクアップして気合と怯懦の「上うな重」。うなぎサンドより数百円高額である。

 上うな重は蒲焼2枚、白焼1枚。山菜の小鉢と3種類の香の物、肝吸い。ご飯と鰻はセパレート。タレが別途添えられている。

 そして、驚愕の「うざく」サービス。うざくだけでも千円以上する。申し訳ない気持ちと嬉しさで心が混線する。暑かったのでビール呑みたくなったがミッション直前ゆえ耐え忍ぶ。

 ミルで挽く粗びきと定番の2種類の山椒を使い分けながら思う存分満喫。白焼は生姜醤油で。白焼、たまらなく日本酒が呑みたくなる。うざくのさっぱり感がたまらない。うざくの一切れも大きくてたっぷり。こんなうまくて香ばしいうざくは初めてである。

 香の物でさっぱりさせながら思う存分鰻に挑む。至福すぎて意識が飛びそうになる。蒲焼をおかずにご飯。後半は蒲焼を載せてタレを廻しかけしてワシワシ。笑みが止まらない。

 お客さんがひっきりなしにご来店。会長も奥様もスタッフの方々もフル回転の忙しさだが、真心のこもった接客ホスピタリティに隙なし。うざくも入れると、鰻を2匹味わいつくした。

 次回の舘山寺入りは2か月後。そして、最終回である。うなぎサンド丼、上うな重。最後は「殿様御前」にたどり着けるだろうか。

 2か月後が1か月延長になった10月中旬。宇宙一の鰻密地帯・舘山寺の鰻<志ぶき>3部作の最終章。死亡遊戯のごとく、うなぎサンド丼、上うな重とランクアップを重ね、ラスボスは「殿様御膳」。6800円。ミッションをすぐに控える身ゆえ酒は飲めぬ。

 単品昼メシで6800円は浜名湖上のロープウェイから湖上に飛びこむような蛮勇を私は持ち合わせていない。私は、殿様にはなれぬようだ。

 うなぎサンドと上うな重の間に位置する「おひつまぶし」。ひつまぶしは10年ほど前に名古屋で喰って以来。それを最後にひつまよりもうな丼、うな重という鰻道を歩んできた。

 肝吸い、漬物、4種類の薬味(刻み葱・山葵・ごま・梅しそ)、そして出汁を従えて眼前に降臨。圧倒的なコスモである。デススターのようである。

 まずはひと盛目。山椒パラリ。要するに、そのまんま。刻み海苔がご飯と鰻の間にびっしり敷かれている。口に運ぶ。サクサク感強め。そして、これほど実力が決まっている無双もない。

 ふた盛目は刻み葱と胡麻。さっぱり感が増す。3盛目は梅しそ。梅の酸味が濃厚なタレとベッドイン。目が回りそうになる。

 4盛り目は出汁をかけ山葵を浮かべる。静岡はわさび処。効きも良好。贅沢を極めた鰻茶漬だ。

 一般的なひつまぶしなら、4杯で終了である。しかし、志ぶきまぶしは6杯分ある。

 5杯目は葱、ごま、梅紫蘇で。

 最後は残った薬味と出汁ぶち込み、一気呵成に啜り込む。

 意識が遠のく旨さ。最早イリュージョン。ありとあらゆる薬味と出汁を組み合わせて大満足の万乗。

 2023年の大河ドラマは家康公が主人公。岡崎や浜松などゆかりの地は大いに盛り上がることだろう。

 殿様御膳にたどり着けなかった私は、殿様になれなかった。出世できなかった。しかし、おひつまぶしという有力外様大名ぐらいには近づけたかもしれない。

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コロナ禍でも千客万来。

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2種類の卓上山椒。

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うざく。たっぷり。

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上うな重。

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おひつまぶし。
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