昼は蒸し熱いが夜は涼しさを感じさせる青森県八戸市9月中旬の夜。月1回恒例の勉強会の後は毎回違う会場による懇親会。目の前にセッティングされた小鉢類を肴に地元最強の蔵元「八鶴」社長持ち込みの超プレミア日本酒を鯨飲。社長の横で呑む市場にあまり出回らない酒を浴びる至福。プチアル中まちづくり屋の醍醐味と言える。
焼鶏も天晴な旨さだが、カレ―鍋が食欲をそそる。刺激的な匂いが空腹を刺激する。絶妙の加減に煮込まれた豚肉や野菜を口に運ぶ。すかさず地酒で追いかける。カレーライスに合うとはあまり思えないが、カレー鍋に日本酒は好適。Yシャツをドロドロにしながら呑み喰い談笑する。
数人で2軒目へ。メイン通りではないところに妖しく輝いている<キューテイー>。場末感漂う外観だが、店内は若いマスターが切り盛りする本格的なバー。このギャップが最高である。
同行の紳士淑女らと談笑しながらカクテルやスコッチの杯を重ねる。私の八戸の夜、それもスナック限定だが欠かせないアイテムが増えた。<南国>さんの出前唐揚である。この唐揚、私にとっては東日本で最も旨いキラーコンテンツ。満腹だったのだが、これは別腹である。
時間は24時を大きく回った。店を出る。街中には至る所に偉人を称える碑や案内板がある。最も新しいネタが八戸出身の伊●香選手国民栄誉賞おめでとうポスター。八戸は訪れるたびに新たな発見があり、常に新鮮な驚きに包まれる。
同行氏たちと宿泊ホテルまでプラプラ歩く。その途中にもいろんな碑があり、解説して下さる。へぇと感心しながら耳を傾けていると、N崎氏が私に「八戸は協議離婚発祥の地なんですよ!」
協議離婚発祥の地?最初、言葉の意味が頭に入ってこなかった。その証拠を示す碑もあるという。しかも、ホテルへの道筋にあるそうだ。
現場に到着。レリーフが壁面に埋め込まれていた。名称は「プリマドンナ原信子 原たま生誕の地」。以下、全文である。
「日本オペラ草創期から、大正〜昭和初期の全盛期に三浦環(みうらたまき)に続くプリマドンナとして活躍した原信子は、明治26年に大工町17番地のこの地で誕生しました。また、片山潜夫人となり、後に石橋湛山の仲介で協議離婚した原たまも、明治2年にこの地で誕生。」
男尊女卑の時代。「三行半」が最もポピュラーだった時代に協議離婚を実現させた新進性。すぐ近くにも文豪・川端康成氏の奥様の碑も。大川端の奥様、どう想像しても苦労していたはずである。
八戸オンナの強さは、五輪4連覇の最強女子や毎回トップ当選する`美人すぎる市会議員‘(残念ながらどちらもお会いした事ありませんが)たちに受け継がれているのかもしれない。
世界最強女子は八戸産。
最高のプレミア地酒。
食欲そそるカレー鍋。
場末スナックにしか見えぬバーの外観。
同行の紳士淑女たちと。
夜のキラーアイテム。
協議離婚発祥の碑。

