2025年09月13日

第3750夜:45分待ちの値打ち【佐野(栃木)】(前編)

 45分。面白い(大河)ドラマならあっという間だが、遅々として前に進まぬ行列の待ち時間であれば時空が歪んだかと思うほどの苦行である。人気店の行列待ちを楽しめるという御仁もこの世におられるそうだが、私には徹頭徹尾理外の範疇。行列など私の苦手な事象ベスト3位以内が下がったことがない(1位は何かと言われたら出てこないのだが)。

 年明け早々タフ極まりないミッションが掛け値なしに休日なく押し寄せる火曜日の正午過ぎ、栃木市から1時間に1本の両毛線で佐野市へ。私は時間を間違えていて、ミッション開始は2時間半後だった。駅周辺にチェーン系コーヒー店(PC猿打しても気が咎めぬ)がない。

 とりあえず腹ごしらえ。駅前に移転した佐野ラーメン店<F谷>さんへ向かうが定休日。一瞬の放心後、とりあえず市役所周囲を歩く。

 ふと思い出した。会議所の近くに昼しか営業していない佐野ラーメン店が屹立していたことを。<Hれる屋>。佐野市の中心部の位置するが決して立地はド一等地でない超人気ラーメン店である。この店の評判を市のご担当者からかなり前から耳にしていた。

 厄除け大師の看板が見えた。遠目からでも人の集積が見える。厄除けでなく私の目的地<Hれる屋>に並んでいるようだ。ざっと20人は並んでいる。店舗壁面に「このあたりなら40分待ち」趣旨の表示が。私のその少し後ろ。45分ぐらいか。

 普段ならは行列に並ぶなど絶対にありえない。時計を見ると12時45分。ミッション迄2時間15分もある。スープ売切トラップにかかる恐れに不安を感じつつ、私は意を決した。1月の中旬なのに寒くもない快晴。むしろ心地よいほど。店舗名と気候が完全にシンクロしている。

 地元常連と私のようなヨソモノが半々な雰囲気。しかし並んでいる皆さまはそれほどいらだっていない。佐野市民の穏やかさか。行列必至は想定済だからか。じわじわと前へ進む。後ろを振り返ると行列が。常に20人は並んでいるようだ。

 途中、店員さんが出てきて笑顔で店内トイレ利用を勧める。店頭にウォーターサーバーがありご自由にどうぞと嬉しい気配り。この段階で絶対に間違いない名店であることを確信する。

 列の前の3人組のリーダー格っぽいオヤジが携帯で何やら話し込んでいる。オヤジはすさまじく切なそうに他の2人を連れて列を離れた。急ぎが入ったか。さぞ無念だろう。しかし我ら後列は怒涛の3人抜きゆえ、ほんのりと笑みが漏れる

 45分後、入店を許された。いきなり席でなく、店内で待合いイスで少し待つ。この間に券売機と対峙し、じっくり検討する。私の後ろはまだ店外ゆえプレッシャーもない。

 この日、私はスーツケースだった。店員さんがわざわざ置き場所を作って下さる。入口に「スーツケース入店お断り」表示のラーメン屋も実在する(経験済)。感動で目頭が熱くなる。〔次夜後編〕

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食後に撮影のため、かなり行列は減少。

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素晴らしい気配り。
posted by machi at 06:46| Comment(0) | 栃木県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年09月12日

第3749夜:はま〜い柚子【栃木(栃木)】(後編)

 第二陣は「柚子&大根おろし」系で構える。「生えび柚子おろし盛(2)」「アカイカ柚子おろし盛(2)」「豚塩カルビ柚子おろし盛(2)」「えび天握り柚子おろし盛(2)」「いか天握り柚子おろし盛(2)」。

 おろしにも味が柚子果汁が仕事しているようだが、柚子ポン酢を垂らす。豚塩カルビなど回転寿司でしか味わえない。コクと爽やかさのバランスが秀逸。天ぷらの握りもしかり。サクサク揚げたてに笑みが漏れる。

 途中、この店のアプリをダウンロードするとクーポンが付いてきた。好きな味噌汁100円引き、好きなラーメン50円引きである。

 「あおさ味噌汁」(税抜100)を召還。驚くほどたっぷりで熱々。あおさという海藻がたっぷり。私は酒を呑みながら汁モノをヤることを偏愛している。この味噌汁、クーポンで実質無料。空腹感は収まったが、その代わりにテンションは上がり続ける。

 私の寿司屋でのデザートは「玉子」。握りではなく切ってもらう。しかし、ここは回転寿司屋。驚かされたのは握りでない玉子のツマミもメニュー化されていたことだが、柚子しばりゆえ「旨だし玉子柚子おろし盛(2)」を決める。

 時間帯的に空いていたので、注文メニューが瞬殺でレーンを滑走する。私も慣れてきたものである。注文してすぐに出てくるので、ラストオーダーまでまだ20分もある。

 柚子シリーズが売切もあったが、注文できる柚子は食べ尽くした。寿司を喰うのに忙しく日本酒がまだ余っている。

 期間限定メニューから想像もつかない「クラムチャウダー茶碗蒸し」を写真指名。クラムチャウダーと茶碗蒸し、別々で味わったことあれど、コラボは初。フタを外し、具をつまむ…。

 目を剥いた。様々な具がたっぷり。洋と和の抱擁。出汁(スープ?)も具も壮絶に旨い。300円程度だが、他店では1000円は軽く超えるだろう。このメニュー、定番化してほしい。はま〜い店をリピートしてしまう惹きの強さである。

 かなり満腹である。日本酒も吞み切った。お会計ボタンを押すつもりが、何故か期間限定の「北海道味噌バターコーンラーメン」を押してしまう。ラーメン人気ナンバーワンとある。

 ブツはレーンに乗らず店員さんが運んでくださる。「ごゆっくりどうぞ〜」と一言を添えて。しかし、ラストオーダーまで残り10分、閉店まで25分。

 まずはスープ…。濃厚である。コーンもたっぷり。バターが溶け込んでコクが増す。麺も黄色い縮れの札幌風。これが500円程度。量は少なめだが、凄まじい満足感。コーンもメニュー写真より多い。この店、全般的にメニュー写真より現物の方が力強い。汁1滴残らない満足。

 ラストオーダーまで5分。何かのスィッチが入ってしまった。シメのシメに「ホットカスタードアップルパイ バニラアイス添え」を押す。これも期間限定である。

 ラストオーダーの時間が過ぎた。なかなか出てこない。閉店時間まで残り10分。店員さんたちが忙しそうに片付けモード突入。客はすべて吐けて私だけ。かなりのプレッシャーである。

 11秒が永遠に思えた時、レーンにラストスィーツが滑ってきた。

 アップルパイ、茶碗蒸しより熱い。ハフハフしながら口の中をアイスで冷ます。昔は生クリームが苦手で喰えなかったが、添えられたクリームをパイに塗り付けて味わう。

 50歳オヤジのシメスィーツ。大満足を通り越して、何かの地平が見えてきた。悟りそうになった。回転寿司はこのチェーン店、しかも栃木駅前店以外に足を運ぶことはなかった。しかし、私のスタイルも変わりそうである。この夜、完全にハマってしまった。

 この日は「柚子しばり」。駅前の定宿に向かいながら、独りニヤニヤと新たな戦略の構築に入った。

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柚子しばり、第2陣。

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あおさたっぷりで100円の慈愛。

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寿司ネタのデザート。

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クラムチャウダー茶碗蒸し、無双の旨さ。

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かなりの本格派。

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オーラスも盤石。

posted by machi at 06:34| Comment(0) | 栃木県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年09月08日

第3748夜:はま〜い柚子【栃木(栃木)】(前編)

 はま〜い。某大手回転寿司チェーンのCMで若手人気女優が発するお馴染みのフレーズである。恐らくこの女優さんはこの回転寿司チェーンをプライベートでは利用していないだろう。CMにおいても、明らかに店の雰囲気から華やか過ぎて浮いている。

 比較的暖かな1月中旬の夜。栃木市内のミッション会場からミツワ通り商店街を抜けて駅方面へ向かう。ミツワ通りの始点であり終点なのが「はま〜い」でお馴染みの回転寿司屋、某ハンバーグステーキ系ファミレス、はま〜いと同一グルプの牛丼3大メジャー一角。

 ミツワ通りは入りにくそうな老舗カラオケスナックが点在しているが、唯一私が入れるのがバー<ブーザーズ>。神戸の自宅から6時間かけて栃木入りし、2時間しゃべり倒した。とりもなおさずビールで喉を開かねば夜を閉められない。

 30分ビール2本のはずがマスターやママ、常連さんと話し込み気づけば60分ビール4本。

 店を出る。腹が減り過ぎている。時間は22時。この時間帯で私が知る限り固形物を口にすることができる飲食店は、前述の3大チェーンのみ。ただし、ラストオーダーが分からない。

 牛丼チェーン<Sき家>は我が自宅から最も近い飲食店ゆえスルー。ファミレス<Bッグボーイ>は先月か先々月この店でメシを喰った。私が向かったのは2階のはま〜い回転寿司。確か12年前に1度だけ独りで飛びこんだ記憶がある。我が人生で2度目のはま〜いである。

 私は普段、回転寿司は利用しない。車を持たぬ私の生活圏にないからだ。出張先で見かけないこともないが、ラーメンやカツ丼をチョイスしてしまう。

 はま〜い寿司屋のメニューはまさに百花繚乱。寿司、ラーメン、うどん、揚物、スィーツなど大充実。何か戦略を立てねば独りゆえに迷宮に迷い込んでしまう。

 ラストオーダーが45分後。閉店が1時間後だった。間に合った。ビールで充分に咽を開いたので期間限定の「越の寒中梅」(300ml)をタッチパネルで洗濯し、お茶をチェイサーにする。

 タッチパネルをいじりつつ戦略を立案。期間限定コーナーを攻めるか。しかしこの期間限定メニューだけでも凄まじく豊富。

 あるキーワードが林立していた。「柚子」。いかにも冬らしい。回転寿司でしか柚子風味は味わえないだろう。「柚子」を軸に据えた。いずれも税抜100円〜160円という慈愛である。

 第一陣は「柚子塩」系を放つ。「アカイカ柚子塩(2)」「炙り真鯛柚子塩(2)」「炙り大切り中とろ柚子塩(1)」「煮穴子柚子塩(2)」。

 私の席番号は「1番」だった。つまり、レーンの最も端。それも始点。壁からいきなり出てくるので油断ならぬ。普段のシゴト以上に集中力を発揮し、かなり速度のあるレーンから皿をつかみ取る。

 卓上には醤油やゆずポン酢など5種が林立。しかし「柚子塩」には不要。柚子の風味が効いた塩味に目を細める。中でも炙り真鯛が秀逸。中とろも炙りと柚子塩で脂っぽさが緩和されて美味である。〔次夜後編〕

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<ブーザーズ>。2本のつもりが4本に。

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貴重な選択肢。

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5種を駆使。

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チビチビと。

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第一の陣。

posted by machi at 07:12| Comment(0) | 栃木県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする