2025年10月07日

第3767夜:大衆割烹うなぎ食堂【下野・上三川(栃木)】

 「大衆割烹うなぎ食堂」。高級と庶民の要素が交互に交じる独特のショルダーネームである。店名は<安兵衛>。最後のオチが「安」である。

 令和4年度から3年間に及んだ我が下野市&上三川町合同ミッション。最終の合同会議の1週間前、各市町別々にミッションを行った。下野市が自治医大駅前の市庁舎。上三川町が石橋駅から車で5〜10分ほどの仮庁舎。上三川仮庁舎へ向かう途中、3カ月ほど前に開業したビジネスホテル(S−パーホテル)の前を通る。ポテンシャルの高さを示している。

 最終合同会議(下野市役所)終了後は佐野市役所へ移動せねばならず、昼メシを喰うタイミングがない。上三川町ミッション終了後に前日も一緒に昼メシ(栃木市役所から車で7分の山岡家)を喰ったK林氏に石橋駅まで送ってもらう。この日は神戸にいったん戻る。時間は正午過ぎ。小山駅で新幹線を1時間近く待たねばならず、彼と昼メシを喰うことに。

 これまで下野市内&上三川町で昼飯を喰ったのは3年間で5、6回でないか。そもそも飲食店が両市町とも非常に少なく、定宿が無いので機会も無かった。

 我が6年間の栃木県ミッションも最終年度。自治医大駅は1週間後に乗降するが、石橋駅は我が人生これで最後だろう。最後の石橋晩餐ならぬ昼餐を決めねばならぬ。

 向かった先が冒頭の<安兵衛>さん。初年度に2回昼飯を喰った記憶がある。ショルダーネームの通りで、夜は割烹居酒屋。昼は様々な定食があり、最高値が鰻重だった。

 私はこれまでランチ限定のサービスメニュー「穴子天重」「まぐろ山かけ定食」を堪能した。どちらもメニューの中で最安値だったからだ。

 最後である。ショルダーネームにも刻まれている最高値の「うな重(肝吸い・香物付)」とこの日の朝から決めていた。改めてメニューを見る。愛知県三河一色産。大盛無料も心強い。

 値段は税込3300円。うなぎを冠した店でこの値段でうな重を味わえるのはかなり安い。サービス悪くてショボイ呑み屋で3000円支払うことに比べたら相当にお得である。

 熱いお茶を飲みながら20歳以上年下の煌めく未来と談笑。隣の席の私と同年代と思しきサラリーマン2人組は穴子天重に舌鼓。

 穴子と鰻の見た目の区別など私には全くつかないが、値段と味は大きく異なる。穴子の天ぷらは大好物だが鰻の天ぷらは喰ったことも見たこともない。想像するだけで胸やけしそうだ。

 肝吸と香物を従えて、うな重降臨。びっしり覆っている。テリが眩しすぎる。久々の対面に血沸き肉躍る。

 山椒をパラリ。肝吸で気持ちを落ち着けて、尾の部分からテイスティング…。甘からず辛からず、私好みの塩梅。熱燗をチビチビやりたくなるが、帰路の新幹線で猿打せねばならぬ。

 米と一緒に鰻をかきこみ、喉を押し広げる愉悦。もし宇都宮へ向かう途中に石橋駅を通過することがあれば、途中下車してうな重と酒でイッパイやりたい気持ちが沸き上がった。

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2025年10月06日

第3766夜:角が泣いている【小山(栃木)】

 関さんハイボール。小山駅東口の創業五十余年の居酒屋割烹<東>にて、小山の盟友・S氏が卓上に私に作って下さる超濃いめの角瓶ハイボールである。

 令和元年度から本格的に栃木県と御縁が出来て丸6年が終了間近となった2月の夜。8カ月ぶりに<東>へ。私が小山を担当していたのが令和元年〜3年度まで。後半の3年間は小山を拠点に栃木、佐野、下野、上三川を移動していた。

 宿泊は栃木駅前か小山駅前がほとんど。小山で泊まる場合、特に最終年度(令和6年)は呑みにでかけるタイミングが無く、まず独りソト呑みなどしなかった。近くのスーパーで総菜や酒や乾きものを買い込んで独り部屋呑み。

 予定していた別の呑み会がキャンセルになり、余裕のある小山の夜が生まれた。すかさずS氏に連絡。S氏、瞬殺で快諾。同じく呑み友達のH場氏も参戦して頂けることに。

 8か月ぶりの<東>。大将や女将から忘れられていると思い恐る恐る引き戸を開ける。大将と女将は私の顔を見て一瞬の間の後、破顔一笑。この店で呑むたびにお会いしている気がするH鳳大学Y城先生も私の顔を見て笑顔で「おお、久しぶり!」。安堵感と帰宅感に包まれる。

 私が一番乗りだったので、とりあえず瓶ビール。この店の唯一の3人掛けテーブルは予約せねば確保できない。S氏にどの店が良いか一応尋ねられたのだが、私の選択は<東>一択。卓上にはウィスキーの角瓶が鎮座している。

 女将が瓶ビールとおしぼりとお通し(蛍烏賊)を運んできた。私の耳元で一言囁いた。「ウィスキーが泣いていたわよ」。

 ウィスキーの銘柄は角瓶。昭和の将棋名人の「銀が泣いている」に勝る令和の名言である。

 私はこの店では最初に瓶ビールで喉を開いた後、ひたすらS氏が創って下さる超濃いめハイボールを鯨飲する。S氏はそれほどお強くなく、H場氏は最初から最後までビール党ゆえ実質私が独りで角瓶を空にしてしまう。

 程なくしてお二人がご来店。久々の乾杯。鰹刺身、鯖かっぱ(鯖の刺身と胡瓜の海苔巻)、アジフライ(ポテサラ添え)、自家製漬物…。どれもシビれるほど旨い。18時から呑み始め、気づけば22時前。閉店時間を1時間もオーバーしていた。

 この面子で6年間、この店で数え切れぬほど呑んだ。3週間後に6年間に及んだ私の栃木県ミッションが完遂する。この店で、この面子で呑むことは最後かもしれない。

 もう1軒、お二人を誘った。駅前の餃子居酒屋へ。餃子やポテトフライを注文。ドリンクにホッピーがあった。私はホッピーをこよなく愛している。ホッピーも1年以上呑んでいないかもしれない。ホッピーも泣いていたかもしれない。 

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小山駅西口の至宝。

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お通しから落涙。

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絶対外せない鰹刺身。

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この店でしか味わえぬ鯖かっぱ。

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漬物も半端なき絶品。

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黒ホッピーも泣いているかも。

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餃子は泣いていないかな。

posted by machi at 08:27| Comment(0) | 栃木県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年10月05日

第3765夜:伝説のはじまりは牛久から【栃木(栃木)】

 牛久。焼肉屋とかにありそうな屋号だが、茨城県に牛久市というところがあるそうだ(私は未踏)。昭和63年、牛久から伝説が始まった。<山岡家>1号店の産声である。

 4週連続となった栃木市ミッションの4週目が終了した正午前。その後に下野市へ向かう。栃木から下野といううルートも4週連続。

 栃木市役所を出て下野市役所まで、私より二回りほど年下の「A利銀行出向とちぎまるごと4代目麺友(兼運転手)」K林氏の車に乗せてもらう。途中、昼飯に。当然、ラーメンである。

 私のリクエストは「ラーショ(ラーメンショップ)」か「山岡家」。ただし道中にあるのか全く分からない。ラーショには3年以上、山岡家には1年半以上抱かれていない。

 下野ミッションまで時間に余裕あるものの、遅刻は厳禁。栃木県内のロードサイドはどこもラーメン屋だらけなので選択肢は多いものの、私の気分はこの二択。

 4代目麺友はサクッとスマホで検索。栃木市役所から車で7分の地点に<山岡家>を見つけた。栃木市役所に月1〜2回ペースで通い始めて3年近く。全く気付かなかった。

 一気にテンションが上がってきた。どんなにメニューが増えようが期間限定フェアを展開してようが「ネギチャーシューメン」への愛は30年近く不動である。

 山岡家の赤看板が見えてきた。24時間年中無休ノボリが頼もしすぎる。深夜のドライバーさんたちを、つまり日本の物流を支えている。

 迷わずネギチャーシューメン大盛のボタンを押す。職場から車で2分に<山岡家>があるというK林氏に50枚集めるとTシャツがもらえるサービス券を手渡す。羨ましい限りだが、いつでも行ける環境にあると逆に足が遠のくものである。毎日啜れば、それもスープを完飲すれば、体調面だけでなく精神面でも別のユニバースへ転生してしまうだろう。

 1年半ぶりに対面。彦星と織姫よりも長いスパンだった。このバカブログで横浜家系ラーメンの中でも独自の進化を遂げたこのチェーンの実力や旨さは幾度も乱筆してきたので実況は割愛する。ライスを添えさせなくとも大盛で満足してしまう点に50歳という年齢を痛感する。

 啜り終え、水を飲みながら店内を見渡す。栃木県内だけで10店舗も営業しているそうだ。お隣の群馬県でも10店舗以上。私が知る限り、近畿以西では北九州市に2軒あるだけ。2025年2月時点で約180店舗展開しているそうだ。昭和63年創業ゆえ令和7年まで38年ほど。ラーメン店の廃業がよくニュースになっているが、山岡家には関係なしだろう。

 初めて啜ったのが平成6年、札幌だったはず。札幌発祥の店と思い込んでいた。当時は家系など言葉も知らず、山岡家が唯一無二だった。

 我が拠点の神戸どころか近畿&中国に存在しない(本稿アップ日時点では不明)。FC加盟料や投資額は分からぬが、私が近畿中国1号店第二創業を狙うか。しかし、好きをシゴトにしてしまうと嫌いになってしまう我が悲しい性。距離があるからこそ喜びが増すのだろう。

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栃木市役所から車で数分。

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伝説のはじまり。

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私のすべて。

posted by machi at 06:30| Comment(0) | 栃木県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする