「大衆割烹うなぎ食堂」。高級と庶民の要素が交互に交じる独特のショルダーネームである。店名は<安兵衛>。最後のオチが「安」である。
令和4年度から3年間に及んだ我が下野市&上三川町合同ミッション。最終の合同会議の1週間前、各市町別々にミッションを行った。下野市が自治医大駅前の市庁舎。上三川町が石橋駅から車で5〜10分ほどの仮庁舎。上三川仮庁舎へ向かう途中、3カ月ほど前に開業したビジネスホテル(S−パーホテル)の前を通る。ポテンシャルの高さを示している。
最終合同会議(下野市役所)終了後は佐野市役所へ移動せねばならず、昼メシを喰うタイミングがない。上三川町ミッション終了後に前日も一緒に昼メシ(栃木市役所から車で7分の山岡家)を喰ったK林氏に石橋駅まで送ってもらう。この日は神戸にいったん戻る。時間は正午過ぎ。小山駅で新幹線を1時間近く待たねばならず、彼と昼メシを喰うことに。
これまで下野市内&上三川町で昼飯を喰ったのは3年間で5、6回でないか。そもそも飲食店が両市町とも非常に少なく、定宿が無いので機会も無かった。
我が6年間の栃木県ミッションも最終年度。自治医大駅は1週間後に乗降するが、石橋駅は我が人生これで最後だろう。最後の石橋晩餐ならぬ昼餐を決めねばならぬ。
向かった先が冒頭の<安兵衛>さん。初年度に2回昼飯を喰った記憶がある。ショルダーネームの通りで、夜は割烹居酒屋。昼は様々な定食があり、最高値が鰻重だった。
私はこれまでランチ限定のサービスメニュー「穴子天重」「まぐろ山かけ定食」を堪能した。どちらもメニューの中で最安値だったからだ。
最後である。ショルダーネームにも刻まれている最高値の「うな重(肝吸い・香物付)」とこの日の朝から決めていた。改めてメニューを見る。愛知県三河一色産。大盛無料も心強い。
値段は税込3300円。うなぎを冠した店でこの値段でうな重を味わえるのはかなり安い。サービス悪くてショボイ呑み屋で3000円支払うことに比べたら相当にお得である。
熱いお茶を飲みながら20歳以上年下の煌めく未来と談笑。隣の席の私と同年代と思しきサラリーマン2人組は穴子天重に舌鼓。
穴子と鰻の見た目の区別など私には全くつかないが、値段と味は大きく異なる。穴子の天ぷらは大好物だが鰻の天ぷらは喰ったことも見たこともない。想像するだけで胸やけしそうだ。
肝吸と香物を従えて、うな重降臨。びっしり覆っている。テリが眩しすぎる。久々の対面に血沸き肉躍る。
山椒をパラリ。肝吸で気持ちを落ち着けて、尾の部分からテイスティング…。甘からず辛からず、私好みの塩梅。熱燗をチビチビやりたくなるが、帰路の新幹線で猿打せねばならぬ。
米と一緒に鰻をかきこみ、喉を押し広げる愉悦。もし宇都宮へ向かう途中に石橋駅を通過することがあれば、途中下車してうな重と酒でイッパイやりたい気持ちが沸き上がった。

