2021年12月07日

第2820夜:牛カツか豚カツか【新橋(東京)】

 「牛かつ」。パンチョのスパゲティと同じく新橋駅まで数年前に満喫した印象深いランチである。大阪系串カツ店以外ではあまり馴染のない料理名。要するに「ビフカツ」のことだろう。

 ガキの頃、稀にビフカツが食卓に上った。狂喜乱舞の御馳走である。ドミグラスソースたっぷりのカツにウスターソースをさらにぶっ掛ける。思い出すだけで目頭が熱くなる。

 ビフカツは字の通り「牛」。世間一般では圧倒的に「豚」。いわゆるトンカツである。値段も安い。私自身、普段は圧倒的にトンカツ派。そもそもビフカツを提供する店の絶対数が少ない。

 神戸・湊川公園<赤ちゃん>で銭湯帰りにビフカツと瓶ビールをヤルことは人生のヨロコビの一つだが、かなり本格的な洋食店の暖簾を潜らねば中々ありつけない。

 数年前のある5月の昼。北九州小倉駅前に行列が。何だろうと遠めから凝視すると、牛かつ専門店がオープン。その行列だった。当時、牛かつの専門店は珍しかった。

 それから数日後の昼時。東京・新橋駅近くの歩道上にこれ見よがしに「牛かつ 000円」と写真入りでデカデカと表記されたA型看板が視界を覆った。ビルの地下に誘っている。

 イザナミを追って冥界を行くイザナギの気分で地下を降りる。そこは広々としたバーだった。A型看板がなければ永遠に足を踏み入れることがなかったであろう究極の分かりにくさだ。

 ランチは「牛かつランチ」一択。最大限ロスを無くした究極である。夜営業がメインで昼ランチ提供を検討しているお店は、絶対的自信に満ちた至高の逸品を一品だけで勝負することもビジネスモデルの一つといえる。

 客層も洒落ている。さすが東京である。美人OLグループや爽やかなサラリーマンたちが店内を占拠。メニューを見るまでもないが、キャッシュインデリバリー方式。料理到着と同時に1000円支払うスタイル。ちなみにライス食べ放題である。冷奴と味噌汁が脇を固めている。

 ユニークなのが、洋風ソースではなく「ピンクソルト」「甘口醤油」「わさび醤油」「塩ポン酢」である。このあたりが洋風な「ビフカツ」と和風な「牛かつ」の違いなのかもしれない。

 ブツが運ばれてきた。……。思わずヒューと感嘆の吐息が漏れた。カラっと揚がった茶褐色の衣の中は、深紅の断面である。見事なレアである。揚げの技術はオリンピック級である。

 まずは揚げたてをピンクソルトで試した後は、残りの3種類の調味料を試しながら牛かつを頬張る。柔らかい。レアなのに火が通り、肉汁が溢れる。御飯で追いかける。思わず目を細める。

 トンカツではなく、ビフカツ。ビフカツではなく「牛かつ」。牛かつブームは静かに伝搬しそうだ。そう感じて全国を飛び回ると、小倉駅前にオープンした<京都 勝牛>を日本各地、主にエキナカで頻繁に見かけるように。発祥は京都のようだが京都と牛かつのイメージが合わない。

 私は小倉駅前店内で食したことないが、テイクアウトして新幹線車内で熱々を満喫。かなりの満足度だった。ビフカツ、私はデミグラスソース一択である。

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新橋の画像が残っていないので、小倉駅前で代用。
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2021年12月02日

第2818夜:パンチョの調べ〜6年前、東京〜【新橋(東京)】

 パンチョ。ラテン系楽器の名前ではなく、ナポリタンスパゲティ専門店である。アルデンテを無視した、男の、漢の、オトコのためのスパゲティを提供して下さっている。

 何店舗があるそうだが、東京・新橋駅前ビル地下2階と秋葉原駅前の2店舗しか数年前までは存じ上げなかった。少なくとも首都圏以外では見かけたことはなかった。

 サラリーマンの聖地・新橋は麺の激戦地。10年ほど前までは、我が東京出張時の定宿も新橋だった。ラーメン、立食いそばなど訪れるたびに何を啜ろうか迷うが、<パンチョ>にハマってからは思考が変わった。パンチョか、それ以外という風に。

 店内は決して広くないが、効率のよい席構え。懐かしい映画ポスターが壁面を制圧。昼時はサラリーマンがオトコ啜しているが、午前中の早い時間はオミズ系のオネエさんや黒服たちが気だるそうに啜っている。

 ボリュームが破壊力。大盛無料で600gもある。「全部のせ」はハンバーグ、目玉焼、ベーコンなどすべてのトッピングがチョモランマのごとく積み重ねられている。

 私の初パンチョは「全部のせ大盛」。確か1200円と記憶する。ナポリタンに欠かせぬ紙エプロン装着し、卓上粉チーズを鬼のようにぶっかけ、タバスコをドボドボし、一心不乱に狂啜。

 アルデンテなど軽く無視。ねっとりと濃厚で、下品なまでに官能的な香ばしいケチャップ味が私の何かを狂わせる。食べても食べても減らない幸せ。

 残り3分の1でズドンと胃が重くなる。そこで、ソースをたっぷり絡め下町大衆洋食に寄せる。口周りネッチャネチャ。紙エプロン大惨事。瞳孔を開ききったまま、夢中で啜り続けた。

 全部のせはさすがにタフであることを学習した後日。夜から大阪で会合があるにも関わらず「にんにくナポ」なる禁断メニューのボタンを押す。大盛で750円だ。

 待っている間、店内のレトロ映画ポスターを眺める。レトロといっても、1980年代と思しき激ダサアイドル映画系多数。80年代後半から90年代を青春していた私の涙腺を刺激する。

 ブツが運ばれてきた。ケチャップが油で香ばしく焦げた匂いが暴力的なほど鼻孔に飛び込んでくる。前夜2時まで鯨飲していたことが信じられぬほど食欲を喚起する。

 紙エプロンを装着し、粉チーズをぶっかけ、右手にフォークを握りしめ、食らいつく。

 ピリ辛である。ニンニクの香りに目を細める。トッピングなくとも、たっぷりウィンナーで十分満足。粗野にして繊細、豪快にして可憐、柔と剛。頭の中でパンチョの調べが鳴り響く。脳内メキシコ状態である。

 600gがあっという間に滅失。猛烈にノドが乾く。水をがぶ飲みしながら余韻に浸ろうとするも、店外で待っているお客も多数。私は席を立ち、重い腹をゆすりながら地上へ。目の前は、SL広場。地下2階パンチョへと続く階段は私にとっての銀河鉄道である。

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いかに看板やPOPが大切か。

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初日。

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翌日。

(付記)
都内でシゴトや用事はないものの、乗換として毎週のように東京駅を利用している。しかし、新橋で降りることが皆無になった。いくつか理由があるが、その一つに、新橋でなくとも、もっと身近に<パンチョ>を満喫できるようになったから。次夜、パンチョ続編。
posted by machi at 05:31| Comment(0) | 東京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月29日

第2696夜:東武スカイツリーライン立喰ラーメン対決【西新井(東京)】

 西新井。浅草起点の東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)において、北千住と草加の間に位置する急行停車駅である。

 2017年度から4年間、これまで幾度となくこの駅を通り過ぎてきた。改札を出るどころかホームに降り立ったことすらなかった。そもそもこの駅が埼玉県なのか東京都なのかも存じ上げなかった。興味も関心も用事もなかった。

 緊急事態宣言真っ盛りの冬の夕刻。北千住から東武スカイツリーラインで春日部へ向かう。昼を食べ損ねたので猛烈な空腹に襲われた。夜はどこも20時には店を閉めてしまうゆえコンビニなどの味気ないクイモノを酒で流し込むしかない。

 何か腹に入れておきたかった。春日部に着けば、どこに行こうか。残念ながらラーメン屋はこの時間帯休憩に入っている。駅ホームの7・8番線で立喰いラーメンをヤるか……。

 北千住から春日部方面は比較的混んでて座れないので普段ならミステリを読んでいる。しかしこの日は何を腹に入れるかに集中していたため、本に没頭せず車窓をぼんやり眺めていた。

 電車は北千住から5分ほどで西新井駅に入線した。止まった車両の真ん前に「らーめん」という麺形文字が視界に飛び込んできた。その上に小さな字で「西新井」とある。

 無意識かつ反射的に電車を降りた。春日部駅と同じ<東武ラーメン>かと思いきや、券売機からして、はっきりと別の店。その名も<西新井らーめん>らしい。

 次の急行まで10分。同じホームに居れば良い。券売機に対峙。ラーメンが500円。これがベースでワンタンメンが550円、チャーシューメンが680円。カレーライスが500円。

 この4品が特別大きなボタン設定となっている。味噌ラーメンはチャーシューメンと同額。ワンタン単品もあり500円。他にもトッピング系(プラス50〜100円)がいくつかある。カレーラーメン(500円)まである。良心的な値段といえる。

 迷っている暇はない。ワンタンメンか、チャーシューメンか……。

 ここは敬意を表し、最高値の「チャーシューメン」召還。水を飲んでいるとすぐに着丼。大きなチャーシュー4枚、葱とメンマもたっぷり。ゆで卵(ハーフ)が嬉しい。

 胡椒をパラリし、まずはスープ……。私は東京人ではないので東京醤油というものに馴染は無いのだが、これが東京醤油ではなかろうか。鶏ガラに加え魚介もほのかに効いている。醤油は濃い口。痺れるほど、美味い。

 縮れた麺とのカラミも良い。チャーシューも柔らかく満足度高し。メンマも味が染みている。ゆで卵はしっかりとスープに浸し、ラストにスルリする。

 隣の若いサラリーマンにノーマルなラーメンが着丼した。左目でチラリする。チャーシューは1枚だけ、ゆで卵なし。私は4枚にゆで卵ハーフ。わずか180円の差でこの違いは大きい。勝ち誇った気分になった。

 最大の調味料は、外の寒さ。2月上旬の駅のホームは風が強くて寒い。このシチュエーションが旨さを倍加させる。

 麺1本、スープ1滴残さず啜り切ったタイミングで急行列車が入線。約30分後、春日部駅に降りたら、7・8番ホームのチャーシューメンを実食済だが食べ比べてみようか。

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はじめてホームへ。

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西新井のソウルフード(たぶん)。

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メリハリの効いた券売機。

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西新井駅のチャーシューメン。

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春日部のソウルフード(たぶん)。

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豊かなラインナップ。

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春日部駅のチャーシューメン。
posted by machi at 02:29| Comment(0) | 東京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする