<ジャパングルメポート>。大嫌いなフードコート(しかもミニ)である点だけがけしからんが、なかなか味も良く値段も空港としては良心的な旅人のオアシスである。
私が羽田空港でメシを喰うのは、乗り継ぎ便があり、かつ60分以上の待ち時間がある場合、かつ昼メシ時。30分しかなければ間に合わぬので急いで乗り継ぎ便の搭乗口へ向かう。
コロナが5類になり、北海道富良野市へ月1回ペースで半年限定だが通うように。その際、旭川空港を利用することが多い。旭川から羽田経由で福岡または北九州空港へ。この経由時に余裕があれば昼メシを空港で喰らう。
手荷物検査場の外に出たいのだが、乗り継ぎ便は許されない。羽田空港の飲食店は意外にもショボい。新千歳より数億倍貧相だ。そんな私の駆け込み寺がが<ジャパングルメポート>。 初めてココで喰った時は「金沢カレー」。大好きな「GGカレー監修」だった。
富良野を早朝に発ち、旭川空港から羽田経由で北九州へ向かうある秋のタフな日。その前は札幌と富良野に計2泊したが、ラーメンを啜るタイミングが無かった。
「札幌味噌バターコーンラーメン」か「荻窪ラーメン」で迷う。猛烈に北海道系ラーメンを欲したが、北海道系は道内で食すべき。ここは天下の華のお江戸。「荻窪」が相応しい。
ちなみにうどんは「しらすおろしのぶっかけ(神奈川)」と「じゃこ天(愛媛)」。何の琴線も響かない。居酒屋メニューなら「バターコーン」は大歓迎だが、味噌ラーメンに私には不要。
東京駅を経由するだけなら月に5〜6回は都内に居る計算になる。ただし、都内で改札から出ることはまずない。私が途中下車するJR東区間は大宮駅〜郡山駅まで。
荻窪は日本屈指のラーメンシティであり、聖地のひとつに数えられる。しかし、私は荻窪へ行ったことがない。私の関東ルートから外れているからだが、私ほどの(ラーメンに対する)情熱があれば距離などかき消してしまう。聖地への畏怖か、ただ面倒くさいからか。
「荻窪チャーシュー麺大盛」を選択。1250円。小麦高騰でラーメン店の廃業倒産が社会問題になっている令和5年の秋としては良心的。空港外でもこれぐらい普通だろう。
フードコートの座席はすべて埋まっている。全く何も注文せずただ座ってPCしているバカもいる。ラビットのように臆病な私は注意することもできず、立ち席で啜ることに。
番号を呼ばれた。受け取り、胡椒をパラリして立ち席へ。チャーシューは分厚めが3枚。
まずはスープ…。魚介が効いている。麺を啜る。札幌系ほどではないが、かん水の効いた黄色い縮れ麺。魚介系と黄色いちぢれ麺が荻窪系なのか。
麺をリフトアップ。ほぐれず塊のまま離れないのは荻窪系の特徴か?。離婚した両親に引きはがされる兄弟のようで涙を誘う。チャーシューは期待以上の味。スープ1滴残さず熊啜。
フライトまでまだ60分。コロナ前ならJALラウンジで寛いでいたが、飛行機に乗らぬ生活を数年続けたら格下げされ、ラウンジ出禁。しかし、羽田にも旭川にも神戸にも北九州にも福岡にもカードラウンジはある。無料の珈琲を吞みながら長旅の余韻に浸る。
北九州空港行きのJAL便はバスでタラップまで移動。30秒ほどで到着と思いきや、知らぬ間にANAゾーンへ(第2ターミナル)。音楽2曲分だった。
25分遅れでテイクオフ。飛行機は高度を上げていく。荻窪が見えるだろうか。そもそも、荻窪がどのあたりかも分かっていないのだけれど。
富良野から旭川空港へ向かうバス車中。
貴重なオアシス。
この6択。
今だ未踏の「荻窪」を羽田で体感。
(付記)
それから半年以上経過したある春の日。ランクは格下げのままだが、何故か「グローバル会員」に昇格したという通知が。最初、何かの詐欺かと思った。ところが以前のゴールドカードよりさらにゴールド感強めのカードが自宅に。これでラウンジを使えたり、優先搭乗も可能になるのか。しかし、令和6年初夏現在、私はJALどころか飛行機に乗る、空港を利用する機会すら滅失してしまったのだけれど。