2021年05月29日

第2696夜:東武スカイツリーライン立喰ラーメン対決【西新井(東京)】

 西新井。浅草起点の東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)において、北千住と草加の間に位置する急行停車駅である。

 2017年度から4年間、これまで幾度となくこの駅を通り過ぎてきた。改札を出るどころかホームに降り立ったことすらなかった。そもそもこの駅が埼玉県なのか東京都なのかも存じ上げなかった。興味も関心も用事もなかった。

 緊急事態宣言真っ盛りの冬の夕刻。北千住から東武スカイツリーラインで春日部へ向かう。昼を食べ損ねたので猛烈な空腹に襲われた。夜はどこも20時には店を閉めてしまうゆえコンビニなどの味気ないクイモノを酒で流し込むしかない。

 何か腹に入れておきたかった。春日部に着けば、どこに行こうか。残念ながらラーメン屋はこの時間帯休憩に入っている。駅ホームの7・8番線で立喰いラーメンをヤるか……。

 北千住から春日部方面は比較的混んでて座れないので普段ならミステリを読んでいる。しかしこの日は何を腹に入れるかに集中していたため、本に没頭せず車窓をぼんやり眺めていた。

 電車は北千住から5分ほどで西新井駅に入線した。止まった車両の真ん前に「らーめん」という麺形文字が視界に飛び込んできた。その上に小さな字で「西新井」とある。

 無意識かつ反射的に電車を降りた。春日部駅と同じ<東武ラーメン>かと思いきや、券売機からして、はっきりと別の店。その名も<西新井らーめん>らしい。

 次の急行まで10分。同じホームに居れば良い。券売機に対峙。ラーメンが500円。これがベースでワンタンメンが550円、チャーシューメンが680円。カレーライスが500円。

 この4品が特別大きなボタン設定となっている。味噌ラーメンはチャーシューメンと同額。ワンタン単品もあり500円。他にもトッピング系(プラス50〜100円)がいくつかある。カレーラーメン(500円)まである。良心的な値段といえる。

 迷っている暇はない。ワンタンメンか、チャーシューメンか……。

 ここは敬意を表し、最高値の「チャーシューメン」召還。水を飲んでいるとすぐに着丼。大きなチャーシュー4枚、葱とメンマもたっぷり。ゆで卵(ハーフ)が嬉しい。

 胡椒をパラリし、まずはスープ……。私は東京人ではないので東京醤油というものに馴染は無いのだが、これが東京醤油ではなかろうか。鶏ガラに加え魚介もほのかに効いている。醤油は濃い口。痺れるほど、美味い。

 縮れた麺とのカラミも良い。チャーシューも柔らかく満足度高し。メンマも味が染みている。ゆで卵はしっかりとスープに浸し、ラストにスルリする。

 隣の若いサラリーマンにノーマルなラーメンが着丼した。左目でチラリする。チャーシューは1枚だけ、ゆで卵なし。私は4枚にゆで卵ハーフ。わずか180円の差でこの違いは大きい。勝ち誇った気分になった。

 最大の調味料は、外の寒さ。2月上旬の駅のホームは風が強くて寒い。このシチュエーションが旨さを倍加させる。

 麺1本、スープ1滴残さず啜り切ったタイミングで急行列車が入線。約30分後、春日部駅に降りたら、7・8番ホームのチャーシューメンを実食済だが食べ比べてみようか。

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はじめてホームへ。

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西新井のソウルフード(たぶん)。

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メリハリの効いた券売機。

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西新井駅のチャーシューメン。

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春日部のソウルフード(たぶん)。

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豊かなラインナップ。

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春日部駅のチャーシューメン。
posted by machi at 02:29| Comment(0) | 東京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月05日

第2679夜:うなぎの塩焼、居酒屋で【田町(東京)】

 白焼き。酒呑系鰻愛好者にとって、うなぎの白焼きは蒲焼以上に外せない極上の逸品である。

 山葵を白焼きにチョンと載せ、刺身のようの醤油を付けて口に運ぶ。パリッとした皮の食感と、モチモチした鰻の濃厚な淡泊さが醤油に旨みに絡まりながら押し寄せてくる。山葵も抜群のアクセントとして渋く脇を固めている。

 白焼きは、タレが嬉しい蒲焼以外では最も旨いうなぎの食べ方だと思っていたが、私の固定観念を覆す食べ方を発見した。白焼きではなく、「塩焼き」である。

 東京・田町駅北側すぐの幹線道路沿いに<宮川>という居酒屋がある。私は東京滞在中は田町を拠点にしているので、何回か訪れたことがある。うなぎメニューの充実した居酒屋だ。

 うなぎは一年中食べても旨く感じる私だが、やはり暑くなると一層旨さが引き立つ気がする。暖簾をくぐり、豊富な定番居酒屋メニューに心引かれるが、今夜はうなぎシバリだ。

 ホッピーの黒をグビグビやりながら、「うざく」「う巻き」といった定番を注文。うざくのさっぱり感は夏に嬉しい。キュウリと酢が季節を感じさせる。

 う巻きはすごいボリューム。たっぷりとしたサイズで5切れもある。まずは何もつけずにそのままで。甘味のある出汁巻だ。関西人の私は甘い玉子は得意ではないが、うなぎを巻いた出汁巻きなのでそれもアリである。醤油をかけた大根おろしをたっぷり載せて頬張る。かなり腹が膨れてきた。

 シメはうな重がうな丼にしようか。うな丼なら1000円ちょっと。しかし、御飯が重たい。蒲焼か白焼にしようかと迷うが、どちらも1尾2000円以上。食べきれるかどうか不安だ。

 この店が嬉しいのは、一尾まるまるではなく、カットしたうなぎを串焼きで出してくれること。1本300円程度で、蒲焼やうなぎ肝焼が楽しめるのだ。

 蒲焼串を1本、肝焼串を1本、そして白焼串を1本。と思ったが、よく見ると「白焼き」ではなく「塩焼き」と書かれている。今まで気づかなかった。蒲焼、肝焼、そして「塩焼」も3本を注文した。酒はホッピーから熱燗に切り替えた。

 のんびり雑誌を読み、熱燗の杯を重ねていると、香ばしい匂いとともに3本とも運ばれてきた。蒲焼、肝焼は体験済だが、塩焼は初めて。

 塩焼きを口に運んだ。……。言葉を失った。呻き声すら上げることができなかった。思考が止まった。とんでもない旨さだ。この旨さを表現する単語や形容詞は、1万年後も現れないだろう。うなぎって、こんなに奥が深かったのか。

 この塩焼き、串料理でないと表現できないのかもしれない。蒲焼、白焼以外に、塩焼という至福の選択肢が私に追加された。うなぎの塩焼探訪が始まりそうだ。

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これを書いたのが古すぎて画像見つけられず、『酒のほそ道』48巻より写真を撮って無断転載

(付記)
恐らく2010年ごろの訪問記。2020年12月、大宮で鰻串焼コースに感動し、興奮冷めやらぬうちに書きダメしている際にこの死蔵ストック発見。1oも記憶なし。画像もなし。当時は田町を拠点にしていたことが何となく懐かしく感じた程度である。この店がまだあるなら、ぜひ再訪したくなりました。
posted by machi at 05:02| Comment(0) | 東京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月16日

第2645夜:感謝の洪水【品川(東京)】

 忘れ物。日本中をフラフラ徘徊している私は、加齢とともに物忘れと忘れ物が増えだした。特にコロナ以降、緊急事態宣言中にサボリすぎてボケっぷりは加速している。

 ある晩秋の昼。福岡空港で搭乗直前に並んでいると、チケットを無くしたことに気づいた。手荷物検査場を突破しているから大丈夫だろうと気持ちに余裕はあったものの、現在はコロナの非常事態。まさか、もしかしてもありうる。

 一抹の不安を抱えながら挙動不審していると、航空会社の方から「どうかされましたか?」。 搭乗券を落とした旨を申し伝えると、名前を確認された。

「アヅマトモハルですぅ…」

 情けなさそうな声を発したら、私が落としたチケットをピシっと出してこられた。どなたかが拾って下さったようだ。素晴らしい世の中である。

 羽田着後、時間に少し余裕があったのでカードラウンジで珈琲を飲みながら手帳を取り出す。私はスマホにスケジュールを打ち込んでいないので、すべて手帳に書き込んでいる。手帳がなければパニック。パソコンの次に失くしたくないものが手帳。財布よりも重要度が高い。

 京急に乗り込み再度手帳をチェックしながらスマホをいじる。品川駅周辺でラーメンだ……。

 おや?ラーメンの名店が数店舗高架下に密接している「麵達」が2020年3月に高架下改修工事か何かで閉店している。よくこのエリアに通ったので実に悲しい。

 品川駅近くでラーメンを啜れるところは他にないか?どこでもというわけではない。それなりの旨しを啜りたい。スマホチェックに熱中しているとあっという間に品川着。慌てて下車する。

 JRに乗り換えるべく改札に向かっていると、手帳がないことに気づいた。ブレザー、スーツケース、ビジネスバッグ……。どこにもない。

 慌てた。そして、絶望した。京急車内に忘れたかもしれぬが、品川は終点ではない。成田空港行きの快速特急である。とっくに成田方面へ。そもそも見つかるかどうかも分からない。

 メガトン級のため息をつきながら改札を出ようとした瞬間、スマホが震えた。03から始まる見慣れぬ番号。……。京急忘れ物センターからだった。手帳の落し物が届けられたらしい。

 落としてから10分経っていない。信じられない。どこでどうやって見つけられたのか。どなたか届けて下さったのか。車掌さんが見つけたにしてもとても間に合わないはず。

 私は手帳を開いた1ページ目に名刺を貼り付けている。そこに携帯番号がある。そこから辿って連絡を下さったようだ。

 忘れ物センターの場所を聞くと、エスカレーターを上がった品川駅1番ホーム。私が電話を取った場所から30秒。天にも昇る気持ちでエスカレーターを上る。そして、手帳を受けとる。センターの方の「よかったね」という笑顔が眩しい。

 私は何度もヘコヘコ頭を下げる。ほんの少しの感謝の気持ちを表すために、京急1番ホームの立ち蕎麦屋<えきめんや>へ。ここでそばを啜ることで、ほんのわずかの売上に貢献したい。

 券売機に佇む。天玉、コロッケ、肉……。豊富である。普段ならかき揚げかコロッケだが、期間限定で「ヤンニョムチキンそば」があった。何のことかさっぱり分からないが、テンションが異常な状態だったゆえ500円投下してボタンを押す。

 店内のポスターをガン見する。11月4日から1月5日までの期間限定。コチュジャン、唐辛子、ハチミツなどが入った濃厚な甘辛ヤンニョムダレを使用し、ボリューム満点の鶏唐揚げと絡めたものをトッピングしているそうだ。

 ブツを受けとる。刺激的なビジュアルである。唐揚が4ヶも乗っている。白髪ねぎと菜っ葉のコントラストが美しい。

 唐辛子を振らずに、まずは出汁。……。和と韓が見事に抱擁。平和の象徴である。初体験の味だが、思わず笑みが漏れる。蕎麦との相性も良し。気づけば汁1滴残さず熊啜していた。

 搭乗券を届けて下さった方、手帳を届けて下さった方。そして受け取った後に見事な対応をして下さったプロの皆さま。感謝の洪水に溺れながら店を出る。外は寒いが、私の胃と心はポッカポカである。

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刺激的なポスター。

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立ち蕎麦らしくない斜め上を行くビジュアル。
posted by machi at 06:54| Comment(0) | 東京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする