2011年11月上旬、石巻から最終バスで仙台に戻る車中で、仙台在住の大学時代の友人にメールで連絡を取った。大学卒業後すっかり疎遠になっていたのだが、東日本大震災の後、旧友がネットサーフィン中にたまたまこのバカコラムにヒットしたそうで、メールにて仙台に寄ることがあれば連絡してほしいと言われていた。
石巻で宿泊できず、急遽仙台に宿泊することになったため、友人のO川君に連絡を取ってみた。まさかアポイントが取れるとは思わなかった。
夜9時前に仙台到着。昼に仙台駅構内で立喰そばを啜っただけなので猛烈な空腹に襲われている。ホテルに荷物を置いた私は友人と合流し、彼が勧めるままアーケード商店街の<利久>に入った。超人気牛たん専門店である。
13年ぶりに小G君とビールで乾杯。人間とはこれほどまでに外見が変わらないものなのかと驚かされるほどそのまま。かくいう私も彼曰くそのまんまだそうだ。
牛たんメニューだけで10種類以上もある。他にも心躍るメニューが豊富だが、せっかくなので牛たん一本勝負を選択。牛たんナイトの始まりだ。
まずは定番中の定番「牛たん焼」。分厚くて柔らかい。塩加減も見事である。甘味、歯ごたえ。牛たんの魅力が全開だ。付け合わせの漬物のシブい仕事をしている。
「牛たんソーセージ」は意外とあっさりした味わい。プツンと皮を噛み切る歯触りが嬉しく、その後に押し寄せる肉汁に感涙。生ビールが止まらない。
正式名称はうる覚えの「牛たん燻製焼」(たぶん)は、スモークすることにより深みとクセのある香りが味の格式を上げている。余分な水分も抜け、歯ごたえがよりしっかりとする。
私は生ビールからハイボールに切り替えた。アツアツ料理は生だが、冷菜系はウィスキーが好適である。ハイボールの炭酸がノドに心地よい。
「牛たんマリネ」は酢の酸味が爽やかで、「牛たんテリーヌ」は独特の濃厚なコクにマヨネーズのまろやかな官能が加わる。ウィスキーをノドにグビグビ放り込む。
大学卒業後の13年間の話より、旧友と再会すると脳内が過去にタイムスリップする。思い出話が尽きない。彼と出会った大学1年の冬に阪神大震災があり、17年を経た2011年、東日本大震災に見舞われた仙台で彼と呑んでいる。不思議な縁である。
私は大学時代、様々なバイトが軌道に乗るまで貧窮を極めていた。その割に毎夜呑み歩いていた。酒は4リットル1000円程度の甲類焼酎、サカナは200円台のほっけや漬物などだった。
30代後半になった私の目の前に、生ビールや牛たん料理の数々が並べられている。頭の中と外見は変わらないかもしれないが、呑む酒と呑む店、ツマミの豪華さは変わった。そして、こってりした食べ物に後半苦戦するようになった。牛たんづくしを決行して、肌身に染みた。
仙台<利久>で牛たんづくし
≪蛇足:昨日のあ〜ほボイルド≫
福岡県飯塚市から北九州市若松地区へ。その後移動して、広島県福山市で宿泊。福山駅周辺の様変わりに少し驚く。

