私は富良野で幾度となくラーメンを啜り続けてきた。
深夜1時以降に一人で啜る場合は<山岡家>、数人で深夜12時ごろ啜る際はスナック(ニューラベンダー)周辺のお店、ミッション開始前の午後の遅い時間は<小玉亭>と時間、人数等で使い分けてきた。何故か<富川製麺所>に足を運ぶ機会がなかった。
新千歳空港内の北海道ラーメン道場の門をたたき、10店の実力者と対峙してきた。新たなテキがいなくなった。こうなれば道場を飛び出して、武者修行に励まねばならない。
ある秋の朝。道場をスルーし、手荷物検査場を突破。余談だが、ナイフを持ったバカをスルーさせてしまい大問題になってから異様にチェックが厳しくなり時間がかかるように。その発端は新千歳空港。他の空港よりもさらにチェックが厳しい。
何か腹に入れようとホタホタ歩いていると、フードコートが。その中の何店舗かの一つが<富川製麺所>。嬉しい出会い。ついに啜る機会を得た。
日本人の朝食は、味噌汁から始まる(私は珈琲ですが)。よって味噌スモークチャーシュー麺」を写真指名。
1,100円という空港価格に怯むが、冷静に考えれば最近の通常価格になりつつあるかもしれない。ノーマルが850円。250円で格段にグレードアップ。コスパ良しと捉えねば。
フードコートゆえブザーのようなものを手渡される。ぼんやり水を飲んでいると、ブルブル震えた。ブツを受け取り、自分で着丼。なかなか個性的なビジュアルといえる。
まずはスープ。……。どこまでもグラデーション。重層感に富み、摩周湖のように深い。青池のようなピュアさも感じられる。麺は驚きのストレート細麺。てっきり黄色いかん水の効いた縮れ系と思い込んでいた。先が読めぬ展開だ。
普通のチャーシューではない「スモーク」を齧る。……。香ばしい。スモーキーな香りが鼻から抜ける。これはラーメンというよりウィスキーのロックと合わせたい逸品である。
こうなると、今度は本店で啜りたくなる。富良野へは月1回、多ければ月2回足を運んでいた。新たな選択肢の広がりに、他流試合の厳しさと有益さを痛感させられた。

本店(富良野)で啜りたいものである。
(付記)
コロナ前の記載内容である。コロナ以降、富良野どころか北海道そのものと御縁が滅失。ラーメン道場の他にも取扱店(フードコート)を見つけていた。そのレポートも加筆するつもりだったが、2022年立春時点で北海道入りの目途が全く立たぬ。よって場外乱闘編(ラーメン道場以外)、完結しないがアップ。場外乱闘で敗退した気分である。