2023年11月16日

第3196夜:深窓の令嬢【富良野(北海道)】

 深窓の令嬢。この5文字からの連想に関しては、全世界のオスにとってはある程度共通のイメージを有する思われる。私にとっては、小さな小窓から差し込む月光を見上げる美少女をイメージする。服装は白っぽいドレス…。令嬢というより、軟禁生活を強いられる薄幸の少女っぽい。

 コロナが全世界を席巻する直前まで北海道入りしていたが、コロナ禍の3年間、北海道出禁状態に。ようやく年季が明け、3年以上ぶりに富良野入りした。お宿はもちろん<トマール>だ。

 シングルルームにチェックイン。そもそもシングルルームがあったのか。ドアを開ける。2段ベッドだったが、奥に小上がりが出現していた。荷物置いたりPCできるスペースが増設されていた。抜群にシゴトしやすくなった。小さな窓が深窓の令嬢っぽい。

 3年ぶりの新相生商店街ミッション終了後、7人で<ふらの家>。サッポロクラシック生のメガジョッキが染みる。

 愁眉は「焼ホワイトアスパラ」。豪快に野焼きされ、熱々の焦げた皮をむしる。すると中からアイボリーな深窓の令嬢が。襤褸を纏っているが、一皮むけばシンデレラというヤツである。

 ピンクかかった塩で軽く化粧する。口に運ぶ…。シュワっと密が弾けた。瑞々しいスプラッシュ。上品を極めた野生の甘さ。野趣なのに可憐、白黄にして無垢、天と大地。私だけ数本口に運んでしまった。深窓の令嬢を野菜に例えたら、私の中ではホワイトアスパラがぶっちぎりである。

 地酒を挟み、メガハイボール。牛タンカツ、ピザを楽しんでいると、〆のタイミングで大きな生牡蠣が大皿いっぱいに降臨。ホワイトアスパラ、牡蠣、サッポロクラシック生…。北海道を思う存分満喫する。

 1軒目は新相生の皆さまと絶品料理に舌鼓が基本。そして2軒目は、富良野の夜のパトローラー・Aキラ氏の世界へ。会議所K川田氏と3人で向かったのは1軒目の<ふらの家>正面のお店の2階。<ファミリーコンパ フロリダ>。私は初訪問である。

 ネーミングもたまらなく昭和場末でグっとくる。かなり店内は広い。ママと娘さんで切盛り。昭和のキャバレーのような内装である。人工的でないホンモノの昭和が眼前に広がる。ホントに今は、コロナ禍を乗り越えようとしている令和の世か。

 ママさんは神戸のご出身という。しかも、須磨。私も生まれ育ちは神戸市長田区・新長田「丸は市場」だが、20年前から須磨に住んでいる。

 ママさんは私が生まれる前(1974年)に北海道へ。どのような経緯か存じ上げぬが、富良野で<フロリダ>を創業して半世紀という。娘さんは私と同世代だろうが、抜群の話術と接客。CDも出しているという。次月、歌を聞かせてねと懇願。

 北海道で焼酎と言えば、甲類。鏡月を鯨飲しつつカラオケしていると深夜1時に。お宿の<トマール>に戻る。お宿から歩いて5分の<山岡家>も閉まっている。深窓のオヤジは2段ベッドの下段で爆睡した。

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トマール。

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クラシック生。

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生牡蠣。

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ホワイトアスパラ。

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フロリダ。

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昭和。

posted by machi at 10:42| Comment(0) | 北海道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月14日

第2887夜:道場入門・場外乱闘編【新千歳空港(北海道)】

 <富川製麺所>。コロナ前まで私がこってりたっぷりとお世話になっている北海道のへそ・富良野市を本拠地に展開するラーメン店である(らしい)。

 私は富良野で幾度となくラーメンを啜り続けてきた。

 深夜1時以降に一人で啜る場合は<山岡家>、数人で深夜12時ごろ啜る際はスナック(ニューラベンダー)周辺のお店、ミッション開始前の午後の遅い時間は<小玉亭>と時間、人数等で使い分けてきた。何故か<富川製麺所>に足を運ぶ機会がなかった。

 新千歳空港内の北海道ラーメン道場の門をたたき、10店の実力者と対峙してきた。新たなテキがいなくなった。こうなれば道場を飛び出して、武者修行に励まねばならない。

 ある秋の朝。道場をスルーし、手荷物検査場を突破。余談だが、ナイフを持ったバカをスルーさせてしまい大問題になってから異様にチェックが厳しくなり時間がかかるように。その発端は新千歳空港。他の空港よりもさらにチェックが厳しい。

 何か腹に入れようとホタホタ歩いていると、フードコートが。その中の何店舗かの一つが<富川製麺所>。嬉しい出会い。ついに啜る機会を得た。

 日本人の朝食は、味噌汁から始まる(私は珈琲ですが)。よって味噌スモークチャーシュー麺」を写真指名。

 1,100円という空港価格に怯むが、冷静に考えれば最近の通常価格になりつつあるかもしれない。ノーマルが850円。250円で格段にグレードアップ。コスパ良しと捉えねば。

 フードコートゆえブザーのようなものを手渡される。ぼんやり水を飲んでいると、ブルブル震えた。ブツを受け取り、自分で着丼。なかなか個性的なビジュアルといえる。

 まずはスープ。……。どこまでもグラデーション。重層感に富み、摩周湖のように深い。青池のようなピュアさも感じられる。麺は驚きのストレート細麺。てっきり黄色いかん水の効いた縮れ系と思い込んでいた。先が読めぬ展開だ。

 普通のチャーシューではない「スモーク」を齧る。……。香ばしい。スモーキーな香りが鼻から抜ける。これはラーメンというよりウィスキーのロックと合わせたい逸品である。

 こうなると、今度は本店で啜りたくなる。富良野へは月1回、多ければ月2回足を運んでいた。新たな選択肢の広がりに、他流試合の厳しさと有益さを痛感させられた。

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本店(富良野)で啜りたいものである。

(付記)
コロナ前の記載内容である。コロナ以降、富良野どころか北海道そのものと御縁が滅失。ラーメン道場の他にも取扱店(フードコート)を見つけていた。そのレポートも加筆するつもりだったが、2022年立春時点で北海道入りの目途が全く立たぬ。よって場外乱闘編(ラーメン道場以外)、完結しないがアップ。場外乱闘で敗退した気分である。
posted by machi at 08:06| Comment(0) | 北海道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月31日

第2492夜:ポツンとハルキッチン【東川(北海道)】

 東川町。留学生の積極的な受入れをはじめ、木工の町、写真(映え)の町、そして「東川スタイル」を推進して定住促進を進めている世界的に注目を集めている人口8000人の町である。

 ある2月の朝。令和元年度富良野ラストミッション終了。新相生N川氏にジープで旭川空港まで送って頂く。フライトまで時間に余裕があり、途中たっぷりとワーキングバケーション敢行。

 まずは大雪山系の絶景が眺める<六花亭>で無料セルフ珈琲&マルセイバターサンド。濃厚で贅沢な甘み。濃い目のブラックかウィスキーのストレートしか受け止められない。

 雄大な自然を眺めながらジープは中富良野、上富良野、美瑛、東神楽を抜けていく。そして東川町へ。メイン通りは家具屋、雑貨屋などデザインセンス溢れるキュートな店が軒を連ねている。

 国道も鉄道もなく、水道もない東川町。しかし、豊かである。定住促進のための施策も充実しているが、それをウリにせず東川のライフスタイルを発信し、まずは東川のファンになってもらい、それから定住してもらう。人口1万人を切る町に活性化のヒントが詰まっている。

 役場のセンスが抜群である。築70年の小学校を耐震し、リニューアルさせて日本語学校の改築。隣接する図書館も町民以降の場として機能性もデザインも優れている。新築された小学校校舎も圧巻である。役場は質素だが、町民のための施設は立派。金のかけどころが分かっている。

 そんな東川町の山の中で、近くに民家すらない山の中の脇道にポツンと「営業中」のノボリが。かなりの車が店頭に停まっている。<ハルキッチン>。女性が一人で切盛りされている。

 もともとは都内で広告代理店勤務のバリバリなキャリアウーマンだったらしいが、5年前に東川町に移住しレストランを開業。ハンターでもあり、実際に鹿打ちなども実践しているという。

 店内はBGMもなく、日替わりメニューが何種類か。そして、満席である。我らは予約して来たが、外でお客が並んでいる。立地とは何なのだという我が命題が揺さぶられる。

 談笑していると「鹿肉ミンチミートドリア」降臨。新鮮そうな生野菜、マカロニ&ビーンズ、洋風茶碗蒸し、わかめスープを従えている。まさに「鹿の王」である。

 ドリアなど食べた記憶がないのでどうすればよいか分からぬ。この日の朝食は富良野の<エベルサ>でそば粉ガレット。私のイメージから1億光年離れたcaféめしである。

 まずはスープ。……。肉とわかめの中華風。大好きな味である。

 ドリアにはゆで卵が輪切りでたっぷり。フォークを突き刺して口に運ぶ。チーズが伸びる。……。熱い、厚い、篤い、そして旨い。コク、野趣、洗練が同居している。見た目以上にボリュームがある。ドリアが何かよく分かっていなかったが、グラタンのご飯版みたいなものでした。

 めったに食べない生野菜も新鮮の極み。地元産なのだろう。鹿肉も自分で撃ったのかお聞きすると、ハンター仲間から仕入れたそうな。

 店内の一角で小物を販売している。女子受け確実のラインナップ。隠れ家以上の隠れ家だが、誰かに招待したくなる、しかし自分だけ独占したい独特の世界観。

 食べ終わるころ、ドサっと大きな音が。少し驚いて窓を見ると、屋根の雪が落ちてきた。この日は暖かいようだ。天は快晴。私の身も心もほっこりと温かくなった。

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六花亭からの景色。雄大の極み。

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六花亭のサービスに驚嘆。

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マルセイバターサンドと無料珈琲。無敵の相性。

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図書館外観。

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図書館内部。

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革命を起こした書籍。

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役所の柔軟性に驚愕。

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立ち寄らずにいられない。

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周りはなにもなし。

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美味しゅうございました。
posted by machi at 10:16| Comment(0) | 北海道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする