2016年01月17日

第1371夜:自分で焼く近江牛100%ハンバーガー【東近江(滋賀)】

 <奥永源寺渓流の里>。東近江市内の秘境・永源寺付近から永源寺ダムを越え、大型トラックと狭い道を交錯しながら辿り着く秘境中の秘境に屹立する2015年秋開業の道の駅である。

 売店は1か所だが、地酒、土産物、産直野菜に加え一般のコンビニのようなラインナップも揃えている。出張診療所もある。奥永源寺住民にとってはなくてはならないライフラインなのだろう。謎の小さな水族館もある。

 飲食店は2軒ある。一軒は永源寺ダムを見立てた「ダムカレー」や岩魚の天丼などジャンプ力の高いメニューを揃えているフードコートのようなお店。

 もう一軒は「近江牛100%ハンバーガー」1600円をウリにしたお店。その名も<いかきん茶屋>。東近江宿泊時に必ず立ち寄るようになった八日市駅前の下ネタ禁止バー(現在は恐らく解禁)<いかきん商店>オーナー氏のお店である。もう一種が「近江牛100%カレー」。どちらも1600円という高価格帯だが、すべて東近江産に拘った結果である。

 券売機で1600円のボタンを押す。車両切符でもないのに1600円のボタンを押すことはめったにないので少し緊張する。マスターが炭をおこしている。このハンバーガー最大の特徴は「自分で焼く」ということ。マスターにお願いすれば焼いてもらえるようだが、「なぜ1600円も出して自分で焼かねばならぬのか」という客(特に年配)とのバトルが絶えないそうだ。

 ワンプレートに材料がすべて乗せられている。パンも近江牛100%挽肉も玉子も野菜も付け合わせのポテトもすべて東近江産。炭まで東近江産らしい。

 鉄板に油を引き、挽肉を乗せてコテで伸ばす。焼きにコツがあるそうで、壁面に貼られている。その通りに試みるが、中々難しい。焼き過ぎても生焼けでもボロボロになるという。

 何とかハンバーグらしいものが出来上がった。いったん皿に移し、目玉焼を作る。コテ二刀流を駆使する。ひっくり返す時にとんでもない緊張を強いられる。エイヤッと気合一発。黄身が敗れれば私の負けである。気合が天に通じたのか永源寺の仏さまが加勢して下さったのか、何とか黄身を潰さずに成功する。

 鉄板で少しだけ温めたパンの上に、生野菜、ハンバーグ、目玉焼の順で乗せていく。この乗せ方にルールはないようだ。ケチャップを垂らした後、マスター自家製ひの菜を用いたドレッシングマヨネーズをたっぷり垂らす。これが全体の味をまとめ、旨さを倍加させるそうだ。

 カブリつく。……。思わず吠えた。東近江のすべての恵みが一体となって口の中で大暴れ。手も口の周りもぐちゃぐちゃになるのを無視し、夢中でかぶりつく。見てくれは悪いが自分で作った楽しさも味に加味されているかもしれない。

 アウトドア好きやハーレー乗りにもっとこのハンバーガーを楽しんでもらいたいというマスター。しかし、1600円は1回ならともかく中々頻繁には手を出しずらい。

 近江牛を使った800円から1000円程度のメニューがあればステキという旨をその一週間後の夜、バーでマスターに申し上げた。するとすでに「近江牛肉うどん」を800円程度でメニュー化したらしく、ハンバーガーより何故か好評とおっしゃる。フットワーク軽快である。

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迫力満点。

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プレートに乗せられた東近江産100%材料。

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実に難しいが、楽しい。

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見てくれは悪いが、絶品。
posted by machi at 10:21| Comment(0) | 滋賀県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月16日

第1370夜:邪心への裁き【東近江(滋賀)】

 野生の猿。そんな輩は一般的に中心市街地と呼ばれるエリアには存在しえないはずだが、広大な面積を有する東近江市の中心市街地・八日市駅前エリアには野生の猿が出没するという。駅のすぐ裏側の小高い丘のような山にある延命公園である。

 春の一時期は桜の名所(しかも穴場)らしいが、普段は掛け値なしに人っ子一人見かけない。街灯もないため夜は真っ暗という。猿だけでなく猪、鹿、狸も街なかに繁殖しているらしく、ある意味で自然界のパワースポットといえるかもしれない。

 八日市エリアの商店街旦那衆とバーで真夜中に呑んでいる時、東近江市内のオススメスポットをお聞きした。皆さん口を揃えて教えて下さったのが「太郎坊宮(阿賀神社)」と「永源寺」。呑んだ翌朝、F間コーディネーターにドライブがてらご案内していただくことに。

 市の観光ガイドブックによると、「太郎坊宮」の名称はこの神社を守護するのが京都鞍馬の次郎坊天狗の兄天狗・太郎坊であると言われていることが由来。イマイチよく分からないが、中腹の社殿から遠くを眺めると浮遊感を感じるそうだ。「勝運福授」の御利益があるという。どんなことにも勝つという「勝運の神様」。ある意味で最強ではないか。

 夫婦岩伝説もある。幅80センチ、長さ12メートルの巨岩の隙間を通って参拝するそうで、即座に病苦を払い願いを成就させてくれるという。一方で悪心あるものは岩に挟まれるそうだ。悪心だらけの私は怖くて歩けそうにない。

 ガイドブックの知識を空気頭に叩き込んだ私は、F間氏の運転で朝日眩しい太郎坊宮へ。時間は10時にもなっていない。駐車場を降りると、心が折れそうなほど階段が上に伸びている。こんな時間帯に体を動かすなど久しぶりである。

 朝の清々しい冷気が私の汚れきった体と心をほんの少し浄化してくれる。息が上がる。足が震える。上下スーツのF間氏は軽快そうである。

 夫婦岩に到着。最後の審判のごときこの岩の間を潜ると、後は下るだけである。普段有している邪心を振り払い、緊張しつつ岩の裂け目を通っていく。何となく岩の形状から、夫婦岩と言われている理由が分かる気がした。伊勢志摩の夫婦岩とはビジュアルがかけ離れている。

 パワースポットの宝庫・東近江。近江商人発祥伝説を始め、豊かすぎる自然も圧倒的だが万葉ロマンの郷でもある。

「茜さす 紫野行き 標野行き 野守りは見ずや 君が袖ふる」

 この唄を読んだのは額田王。何と大君は東近江市内で詠んだそうな。

 他にも船岡山、鏡神社、石塔寺、百済寺、鬼室神社、苗村神社などが万葉ロマンと渡来人の足跡を今に息づかせているという(パンフより)。太郎坊宮で人智を越えたエネルギーを体内に注入した私は、F間氏とともに最強のパワースポット・永源寺エリアに向かった。

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太古のロマンが息づく平野。

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二日酔いの心が折れそうに。

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夫婦岩の入口。

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邪心を有していると圧死するそうな。
posted by machi at 09:34| Comment(0) | 滋賀県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月20日

第1349夜:下ネタ禁止【東近江(滋賀)】

 近江ちゃんぽん。めったにないが東近江八日市で遅めの昼を腹に入れるなら、基本的にこのメニュー一択である。気持ち良い秋晴れの14時過ぎ。八日市商工会議所すぐの<をかべ>さんに直行し、和風ちゃんぽん野菜特盛。なぜスープが最後まで冷めないのか不思議である。

 夜の勉強会終了後、22時ごろから商店街の旦那衆らと<蔵実>さんへ。東近江の地酒「喜楽長」を冷やでガバガバやりながら鱈鍋をつつく。

 東近江市内だけで蔵元が4つあるらしい。滋賀は酒ドコロ。豊潤でどっしりしてフルーティなのに切れ味がよくスッキリ。超絶の旨さだ。ラベルが未だに東近江市ではなく「八日市市」と表記されているところに妙なこだわりを感じさせる。

 たっぷり呑んだ2軒目は駅前のバー<いかきん商店>。マスターが昼間に永源寺から10q離れている道の駅で1600円のハンバーガー屋をオープンさせたらしく、寝る間もないほどの忙しさで過労死寸前のシブい表情を浮かべている。カウンターの前の水槽で金魚が目の前で泳いでおり、独特の涼やかな空間と雰囲気を醸し出している。

 皆さん思い思いのドリンクを注文。私はスコッチが呑みたくなり、マスターにオススメを聞いた。即答で私の横にあった木樽を指さし、「山崎のタルがオススメです」と力強い一言。ロックでお願いする。談笑しながらガバガバお代わりする。

 お通しが出てきた。チーズと鮒寿司である。鮒寿司の香りと風味は酸味の強いチーズと似ている。まさに西洋と大和(近江ですが)の2大発酵アテの競演である。

 年の1度のお愉しみは滋賀守山の鉄人宅で開催される餃子パーティ。参加者は各自酒など持ち寄るのだが、極上の鮒ずしを持参する御仁もおられる。神戸育ちの私は川魚や湖魚を口にする習慣がなく、食べる前から抵抗があった。少なくとも食卓に出たことはないはずだ。

 食わず嫌いだったが、鉄人宅で鮒ずし(高級なもの)を口にしてからすっかり虜。ただし、ワインや紹興酒と鮒ずしがマリア―ジュするか分からないし、試そうとも思わない。

 舌にピリピリくる酸味と豊潤な香りが口内から鼻孔に抜ける。すかさず山崎で追いかける。蕩けそうである。鮒ずしとチーズと山崎。究極の東近江な取り合せかもしれない。

 東近江は街なかに猿、猪、狸、鹿が出没するという野生の王国。商店街の方の知識レベルも凄まじい。街の歴史だけでなく、戦時中の秘話を含め森羅万象を網羅。東近江に限らず滋賀県民と呑む際は本当に上品。前夜の北九州旦過市場での呑み会は9割以上が下ネタであった。

 トイレに立った時、店に思いっきり目立つように額装に入った標語が掲示されていた。思わず目を剥いた。「下ネタ禁止!」。会話の上品な理由はここにあるのか。前夜の我が振る舞いを反省しつつ、山崎のロックを口に運んだ。

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近江名物「和風ちゃんぽん」。

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「山崎」の樽。

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鮒寿司をロックで。

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下ネタ禁止!
posted by machi at 07:08| Comment(0) | 滋賀県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする