いなり。神社、狐、男性の下半身の中央に竿を根元から下支えする袋…。「いなり」から連想は無限、でなく有限に広がる。40代半ばから東三河地方へ頻繁に通うようになった私にとっては、下支え袋でなく「寿司」である。
師走の午後。2カ月以上ぶりに豊川稲荷から徒歩20分ほどに位置する諏訪町へ。ミッション開始30分前に到着したので、諏訪町のシンボル<プリオ>1階のスーパー<Mom>へ。
この店の稲荷寿司がお気に入りである。この日は豊川諏訪町ミッション終了後、栃木へ向かう。東京までの、東京からの新幹線夕酌のツマミを強いれるためである。
カゴに稲荷寿司を入れる。ラインナップを強化すべく、海苔天、揚げピーナッツも。揚げピー、大好物である。そして何故か「マムオリジナル」と唯一クローズアップされている「とん平焼」も。とん平、神戸人の私には定番だが東三河でも愛されているのか。
ミッション終了。諏訪町から国府で乗り換えて豊橋へ向かう。車中で新幹線を予約…。指定席、ほとんど空席なし。東京まで約90分。びっしり満席では落ち着いて呑めない。喰えない。ちなみに東京から小山までの東北新幹線も約40分間、恐らく満席だ。
豊橋駅新幹線改札内のロビーで放心。視界に駅弁売場が入る。豊橋は<壷屋>様の王国。最近、豊橋の駅弁を口にしていないことに気づく。新作も出ているようだ。
すでに稲荷寿司をはじめツマミは捕獲済。豊橋駅弁ネタ、遥か昔に書いたことを思い出した。そして、アップせず死蔵状態であったことも。
「三色稲荷」の調整元は壺屋弁当部様。‘弁当部’という部署名がシブい。もしこれが部活動かサークルなら、即座に入部したいところだ。
稲荷寿しはどうしても食べ続けると飽きてしまう。以前の私は甘い味づけが苦手だったので、目先を変えたい。よって「三色」に。
定番(プレーン)3ヶとちりめんじゃこ2ヶ、わさ荷2ヶの計7ヶ。かなり濃い目の色合いだ。欠かせぬアクセントとして紅生姜も隅を固めている。
まずはプレーン。指でつまむと、ジュワっと汁が溢れだしてくる。ひと口で放り込む。……。濃厚な甘味の出汁が口の中で溢れ、飛び跳ね始めた。少しキツ目の酢飯が後から追いかける。私がこれまで口に放り込んできた稲荷とは別物。パンチのある味わいだ。
じゃこはアクセントが好もしい。これもペロリだが揚げの濃さに少し負け気味。最後の砦・わさびを口に……。わさび菜のサッパリ感が見事で個人的にはわさび菜が好み。珍しく熱く濃いお茶が欲しくなった記憶がよみがえる。〔次夜後編〕
もう、この稲荷を(私は)食べることができない。
居酒屋定番だけどスーパーには珍しい逸品。
豊橋駅を統べる王国。
三色いなり。画像が残っていた奇跡。

