大仏様が鎮座する東大寺など奈良周辺の神社仏閣は観光した人は多いだろうが、法隆寺は意外と少ないのではないだろうか。私も訪れた記憶がない。そもそも、法隆寺がどこにあるのかも知らず、恥ずかしながらてっきり奈良市内と思っていた。法隆寺は、斑鳩町にあるのだ。
天王寺から快速でわずか20分程度で、JR法隆寺駅に到着する。その北側に広がるのが「法隆寺北口商店街」。超人気レストラン<若竹>の女将さんが商店街会長を務め、ブティック<CECIL>のKるみ姐さんが爆発的なパワーで引っ張る女性上位の力強い商店街である。
一昨年、奈良県庁様が企画され、私もお手伝いさせていただいた「奈良県商店街次世代リーダー塾」。奈良県内8市町(奈良・大和高田・大和郡山・天理・御所・五條・生駒・斑鳩)の商店主たちが参加され、法隆寺北口商店街からは4名の女性商店主が参加されていた。
2011年9月より毎月1回、法隆寺北口商店街を中心とした斑鳩町の商工業者を対象としたセミナーが12月まで開催される。第1回目のセミナーは9月16日。一昨年のリーダー塾が御縁で、セミナー開催と成功を目指し、より一層商店主たちが交流を深めるキックオフ懇親会が9月1日に開催された。リーダー塾が御縁となって、懇親会に私もお招き頂いた。
訪問先の兵庫県伊丹市から奈良県斑鳩町の法隆寺駅前に到着したのは18時ごろ。会場となるホテルの送迎バスが止まっている。私を含めて14名が乗り込み、バスが発車した。
会場がどこか知らされていなかった私は、法隆寺駅近くのビジネスホテルと思い込んでいた。5分程度で到着すると思いきや、一向に辿りつかない。車中で隣席のみなさんと談笑していると、バスは住宅地を抜け、山道を登りだした。一体、どこに行くのだろうか。
乗車すること30分。到着したのは<信貴山観光ホテル>。天然温泉露天風呂や真心のこもったサービス、絶品の懐石料理が充実している温泉宿だった。余談だが、信貴山を舞台にした「信貴山縁起絵巻」は日本4大巻物とされ、国宝に指定されている。
法隆寺近くにはホテルも(あまり)なく、セミナーと懇親会会食を兼ねるような会場がないという。天下の世界遺産・法隆寺が屹立しているのだから、ホテルは溢れんばかりにあると思い込んでいた。懇親会に先立ち、私は30分ほど粗末な一芸でお茶を濁すことになっている。
ある商店主は「法隆寺は立ち寄るところで、泊まる人はいない」と語り、別の商店主は「観光客のトイレみたいなもの」と自嘲気味に苦笑されていた。また、法隆寺北口商店街と法隆寺は徒歩で20分程度離れており、観光客が商店街を訪れることは少ないそうだ。
仲居さんたちによるお出迎えの後、ミニセミナー&懇親会場に案内していただく。会場を見た瞬間、私は目を剥いた。コの字型に配置された、完全な慰安旅行風の宴会セッティングだ。〔次夜後編〕
信貴山観光ホテル特別セミナー会場

