2019年05月26日

第2200夜:母なる大河【奈良(奈良)】

 餅飯殿町12番地の奇跡。いったい何の奇跡を指すのか。奈良市中心市街地「餅飯殿センター街」に屹立するチャレンジショップ『夢CUBE』である。

 全国無敵のチャレンジショップとして名高い『夢CUBE』。プロジェクトは2007年にスタートし、現在11、12年目を迎えている。1〜3年で卒業すると商店街の貸店舗に続々出店。結果的に魅力あふれるお店でびっしり。それに寄せられて観光客も地元民も押し寄せる好循環である。

 更なる受け皿として「夢長屋」「きらっ都」なども誕生。チャレンジから本格出店に繋がるゴールデンルートが完成している。卒業生の多くは商店街の理事にも抜擢され、自店だけでなく地域全体の活性化にも尽力している。行列のできる店も多数で、成長ぶりが凄まじい。

 ある1月の朝。私は約10年ぶりに近鉄奈良駅に降り立った。痛風足を引きづりながら開店前の商店街を歩く。明らかに外国人観光客が激増し、それに対応した店も増えているようだ。

 市の創業支援集客施設で鰍ワちづくり奈良が運営する「きらっ都・奈良」へ。まちづくり会社社長および餅飯殿センター街理事長などを兼任するM森氏と10年ぶりに邂逅。理事長はいつまでも若々しく、発想と行動力は永遠に衰えるどころか輝きは増すばかりではなかろうか。

 10年前に商店街を視察させていただいた際も圧巻だったが、凄みはさらに増している。ただ、M森理事長が10年たっても理事長なのは、いわゆる‘商店街あるある’というご愛敬である。

 M森理事長、U谷副理事長、奈良市中活研S堂専務をはじめまちづくり会社や奈良市中活協議会の皆さまと意見交換の後、中心商店街をご案内頂く。

 商店街は大賑わいである。歩く先々で「ここ、夢CUBE卒業生のお店」とご紹介いただく。その都度、私の口から感嘆のため息が漏れる。立地や条件等で商店街ではなく他地区で出店した卒業生も、結局は商店街に戻って開業するという。外洋に出た鮭が産卵のために戻ってくる、大いなる母なる大河のような商店街である。

 昼食は夢CUBE内のうどん&丼<瑞穂>さんで。海老と野菜のかきあげ玉子とじ丼、かなりのボリュームで旨すぎ。贅沢な一品であり、チャレンジショップではなかなか味わえない超本格派。間違いなく商店街で本格店舗を構え、あっという間に人気店になるだろう。

 食後もたっぷりと中心商店街を視察。どこの個性があり、味がある。歩いている客層が異なる。JR奈良駅は初めて足を運んだが、特に欧米人で賑わっている。ホテルもチェーン店も景観に配慮したファサード設えであり、古都の底力を感じさせる。

 ミッション終了後、「きらっ都・奈良」2階コワーキングスペース『NARA EGG』を利用。2時間までは500円、それ以上は1000円。ワンドリンク付で利用は伸びているという。

 私が利用したのは15時過ぎからだが、すでに先客は10名近く。その一角に陣取り珈琲呑みながらPC猿打。凄まじく捗るが、凄まじく暖かくて居心地よく睡魔も強烈。

 私はたっぷりと2時間以上利用する。普段は煙草が吸えるcaféをコワーキングスペースとして勝手に活用しているが、本格的な利用は初めて。

 2018年度に入って富良野、寄居、越谷のコワーキングスペースを利用したり見学したり活用について意見交換してきた。沖縄市のコワーキングも外観は凄かった。

 夜は<ホテルフジタ>にて餅飯殿センター街祝賀パーティにお招き頂く。豪華な立食&コンパニオン付である。

 一人所在なさげな私をS堂氏が色々お気遣い頂き有難い限り。おかげで予定より30分以上延長滞在する楽しき夜に。FB友人だった奈良県商工会連合会K原氏にもお目に掛かれて嬉しい限りである。

 神戸まで遠し。中座して近鉄奈良駅へ向かうが、エンジンが掛かっているので呑み足りない。阪神なんば線で近鉄奈良から神戸三宮まで乗り換えなしの80分。寄居から朝霞台と変わらぬ。

 駅構内のコンビニでポケットバーボンを車内一人2次会用に、テイクアウト寿司屋で半額だった助六を自宅晩酌用に捕獲。気分は古都奈良モードになり、江戸時代が舞台の田中啓文先生のミステリを読みながらという至福の帰路に。

 マザーリバーな商店街、餅飯殿。平城遷都2000年祭を迎える時も、奈良の中心市街地は今まで以上に賑わっていることだろう。

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伝説の始まり「夢CUBE」。

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「きらっ都」。

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「夢長屋」。

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ボリューム満点。

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古都の中心市街地を久々にたっぷりと視察。

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おめでとうございます。


posted by machi at 10:37| Comment(2) | 奈良県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月30日

第711夜:にゃんとく太子と100円焼酎【斑鳩(奈良)】

 「にゃんとく太子」。JR法隆寺駅北口に広がる法隆寺北口商店街で産声を上げたゆるキャラである。斑鳩町ゆかりの聖徳太子が入滅してから約1400年。太子は猫に転生されたようだ。

 奈良県内のゆるキャラは、あまりユルくない面々が目立つ。奈良の仏教界を敵に回した「せんとくん」、アンチせんとくん派が擁立した「まんとくん」。このあたりの経緯は、壬申の乱や恵美押勝の乱といった古代奈良の政変を彷彿とさせて興味深い。

 斑鳩町にも公式ゆるキャラはいる。「リアルバゴちゃん」である。帽子が法隆寺、顔と体が柿というナゾのデザインで極めて機動性は悪そうだが、徐々に浸透しているのかもしれない。

 2013年4月上旬。法隆寺北口商店街の企画委員会に参加させて頂いた。テーマは、にゃんとく太子の着ぐるみを作るかどうか。作ったとして、どのような舞台に登場できるのか。

 一部もモンスター的人気を誇るゆるキャラ(ひ●にゃん・く●モン・トラ●キーなど)を除き、ゆるキャラ着ぐるみだけで集客することはハードルが高い。ご当地戦隊ヒーローなら芸ができるので人気沸騰の可能性はあるが、戦隊モノは人数もかかり、音楽や権利関係も含めていろいろタイヘンそうである。着ぐるみを作ることは、ゴールではないのだ。

 着ぐるみを作成する費用を棚上げし、まずは町民に浸透せねばならない。駅構内に看板設置、バナー、ノボリ、ステッカー、商店街共通レジ袋……。にゃんとく太子がとにかく目に入るようなブルドーザー的展開が不可欠である。それから、観光客を対象にしていく。

 聖徳太子は‘蘇’という古代の食材が好物とされており、今も現存する。これを用いてにゃんとく太子クッキーを作る。ターゲットは受験生。聖徳太子ゆかりの土産として受験の合格祈願として有効だろう。勉強疲れの脳味噌に甘いモノは効くはずだ。

 商店街の飲食店はこじづけでもいいから「にゃんとくセット」「にゃんとく丼」「にゃんとくラーメン」などをメニュー化する。とりあえず、鰹節を使えば何とかなりそうだ。彦根城に出没するひ●にゃんのように、定期的に法隆寺境内に出没できるようになれば一気に認知度は高まるだろう。ただし、天下御免の世界遺産。実現のハードルは高そうだけど。

 商店街の皆さま方との懇親会は日本中のロードサイドで展開する<和食さと>。普段FC居酒屋やファミレスを利用しない私は、斑鳩を定期的に訪問するまでさと童貞だった。

 ボリューム満点の一人鍋もおススメだが、何といっても焼酎が素晴らしい。1杯100円なのである。私は一回の注文で2杯頼む。鍋をつつきながら、100円焼酎。聖徳太子と反比例し、どんどん頭が悪くなりそうだ。

 ゆるキャラを作るより、商店主全員がにゃんとく太子の格好をして接客する。はるかにインパクトがあり、安上がりだろう。焼酎でトロンした帰りの列車で、悠久の飛鳥に想いを馳せた。

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ブレイク寸前、にゃんとく太子。生まれは奈良県斑鳩町「法隆寺北口商店街」。

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posted by machi at 00:37| Comment(0) | 奈良県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月17日

第419夜:聖徳太子の大好物?【斑鳩(奈良)】

 「蘇」。搾りたての牛乳を煮詰めて作った食品で、もしかすると日本最古の加工食品である。奈良・天平時代には薬や供物として使われ、「蘇」(よみがえる)という字が充てられるように、薬効効果もあったそうだ。

 日本最古の医術書「医心方」には『五臓』の気を補給し、蘇は乳糖が多く含まれ、甘味に縁のなかった古代人にとって濃縮された自然の甘味は極めて貴重品。美容と不老長寿効果も期待され、貴人しか口にできなかったものと推測される。

 2011年10月より毎月1回開催された「法隆寺北口商店街活性化セミナー」。昨夜(2012年2月16日)、集大成となる第5回セミナーで、「蘇」をベースにした斑鳩町の新スィーツがお披露目された。まだ完全に商品化されておらず、試作品と思われる。

 商品名(仮称?)は、「ヤマトヒメノミコト」(漢字分からず)。壮大かつ美しいネーミングである。法隆寺北口商店街の<ももたろう>さん渾身の作品だ。

 まずは「蘇」そのものを試食してみた。商品は真空パックされており、巨大なキャラメル、茶色いチーズ…。表現しようのないビジュアルである。

 削った蘇のカケラを楊枝に突き刺して、恐る恐る口に運んだ。……。限りなく牛乳味に近いチーズ。ほのかな甘味もある、シャリっとしたチーズか。ジェリー級のチーズ好きには抵抗なく楽しめるだろうが、完全に好みは二極化されるだろう。みなさんも最初は複雑な表情だったが、食べ慣れてくるといい感じという声もある。ちなみに私にはストライクゾーンだった。

 続いて「蘇」を原料に開発された新商品「ヤマトヒメノミコト」に挑戦。見た目は完全に羊羹。サイコロ状にカットされたブツを同じく楊枝に突き刺し、口に放り込んだ。

 ……。甘い。黒糖ときなこを混ぜ合わせたような味をベースにほのかにチーズが香る羊羹といったところか。銀河系にこの味を一言で表現できる言葉が見当たらないが、思った以上に食べやすい。蘇が効いている。「私これ大好き」「2回以上食べたら完全にクセになる」「もっとチーズを利かせたら」「クッキーやチーズケーキなどに使うといいかも」という感想が出された。

 「蘇」は極めて高価な食材で、日本史上の大スター・聖徳太子氏も大好物だったそうだ。太子氏の御威光を拝借しながら、美容や薬効効果だけでなく、頭がよくなる受験生の糖分補給として合格祈願商品化すると大ブレイクの予感あり。贈答品として売値高騰にも耐えられる。

 試食した後は、3つのグループに分かれてディスカッション。この新名物候補をいかにPRして売り出すか、商店街だけでなく斑鳩町全体にいかに波及させるかがテーマだ。

 聖徳太子氏の有名な逸話の一つに、大勢の話を一度に聞きわけたというものがある。聖徳氏の好物を口にした私にもその能力が備わったのだろうか。試しに各グループの会話を同時に聞きわけようと耳をそばだてたが、さっぱり分からなかった。

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古代チーズ「蘇」(下)と、それを原料にした「ヤマトヒメノミコト」(上)

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posted by machi at 06:46| Comment(0) | 奈良県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする