全国各地の美術館などで巡回開催され、源平合戦終結の地・下関がフィナーレという。連載から52年目を迎えた2019年3月下旬の快晴の日、神戸から下関へ足を運んだ。フグもその他の観光スポットも軽く無視。目的はただ一つ。ゴルゴである。
下関駅に正午着。駅構内の飲食店で海鮮ミックスフライ定食をツマミに瓶ビールをヤリながらバスの発車時刻を待つ。バスは唐戸市場、関門大橋などを通り過ぎる。つかの間の旅情気分を味わう。そして、美術館前へ。
入り口で凛々しいゴルゴがお出迎え。自動ドアには「ズキューン」の文字が。
館内はさいとうプロの生み出した貴重な原画の数々が。一つづつ食い入るように鑑賞する。
連載開始は1967年。さいとう先生は御年80を超えるが、まだまだ健筆だ。シリーズ屈指の名作『海へ向かうエバ』も原画で1話まるまる読むことができる。壁一面に貼りだされたゴルゴがこれまで抱いた女たち一覧も圧巻である。
作品に登場した数多くのモデルガンも展示されている。その提供協力が何故かすべて堺市役所。妙に納得させられ苦笑が漏れる。
実際のモデルガンライフルを構えてみる。ズシリと重い。普段一人のワンショットなど絶対に撮影しないが、会場内の「ゴルジョ」に依頼。それにしても年配者が多い。私と同年代か、それ以上。そして意外なほど女性(熟女)が多い。
さいとう先生の仕事場再現、先生のロングインタビューなどを満喫。売店も垂涎グッズばかり。たっぷり2時間弱、至福の世界に浸る。
見逃せないコーナーがあった。船戸与一特集である。冒険小説の雄・船戸先生は別名義でゴルゴの脚本を数作品書かれている。私は情念と血飛沫煙る船戸節の大ファン。『猛き箱舟』『蝦夷地別件』『砂のクロニクル』をはじめ、南米三部作(山猫の夏・神話の果て・伝説なき地)、東南アジア5部作などかなりの数が我が本棚を占めている。
会場のゴルゴファンは素通りしていたが、船戸先生のプライベートショットが割と雑にたっぷりと掲示され見入ってしまう。
私は大学生の頃からゴルゴに似ているといわれてきた。今(2019年3月)より20年以上前で、20s痩せていた。当時からゴルゴ刈を始めた。今やゴルゴ的鋭さは皆無になり、S郷隆盛氏やBギンのボーカル氏そっくりと言われている。
ゴルゴは世界どころか宇宙を股にかけて仕事しているが、私は日本国内限定である。
ゴルゴは聞き手を他人に預けない(握手しない)が、私はしょっちゅう握手し、頭を下げている。
ゴルゴの報酬は全額スイス銀行に前払いだが、私の報酬は報告書提出後に地元の地銀に2ヶ月〜1年遅れで振り込まれる。
ゴルゴはほとんどしゃべらないが、私は飲み屋やスナックでペラペラしゃべっている。
ゴルゴはどこに行ってもモテモテだが、私はどこに行っても気味悪がられる。
ゴルゴの愛用武器はM16アーマライト変型銃だが、私の愛用武器はポストイットである。
ゴルゴは18か国語に堪能だが、私は日本各地の方言のみ堪能である。
自宅にはゴルゴ文庫版が150冊以上ある。すべて読み返すには半年以上かかりそうだが、もう一度ゴルゴ道について深く考察する所存。「世界一白ブリーフが似合う男」を目指さねばならぬ。
これから私への依頼は、メールや携帯ではなく、KISS−FM(89.9)に讃美歌13番をリクエスト願います。用件を聞こうか……。無駄話も含めて。

魂のレベルで震える感動。

少々照れくさいが。

ロックオン。