嬉野温泉商店サービス会のA川氏にインターまで迎えに来て頂き、メイン通り(商店街)を散策。色分けされた歩道(路側帯)もあり、歩道も決して狭くないのだが、商店街(の一部)を一方通行にしようという動きがあり、それに全力で反対しているのが商店会。
私は商店会側から軍師として招かれた。しかし私は交通や都市計画の専門家でも何でもないし、そもそも車すら持っていない。
商店街を構成するお店は土産物一辺倒というより、生活に根差した店で主に構成されている。かなり垢ぬけてお洒落な店も数多い。ポテンシャルを感じさせる。私は平日の小雨降る夕方に歩いたのだが、観光客よりも地元住民の方が多いように見受けられた。
立派な温泉旅館が無数に林立。湯気が立ち上っている。その2日前、福島県奥会津地方の柳津温泉郷に私は宿泊していたのだが、当然ながら規模が異なる。日本中に無数にある温泉郷の中で、何の順位か失念したが22位らしい。ちなみに名物は「湯豆腐」。なかなかシブい。
悩ましいミッション前に商店街にほど近い<山水グローバルイン>チェックイン。ビジネスホテルだが、男女別の入れ替え式天然温泉大浴場がある。館内の至る所に嬉野の銘水を詰めたウォータークーラーが設置されている。実にポイント高い。
商店街に交流センターがある。20時から22時まで「一方通行を阻止するためには」というウルトラマニアックなテーマで90分話せという大型台風級の無茶ぶりを開始2時間前に聞かされ、何とか気合で対応後、K賀会長、A川元会長と路地の寿司屋へ。
生ビールが染み込むように旨い。絶品の刺身、にぎりをツマミながら日本酒へ移行。様々なお話をお聞かせいただく。
24時にホテルへ。温泉大浴場は24時までなので翌朝の楽しみとし、浴衣に着替えて漫画コーナーへ。『キャプテン翼ワールドユース編』を数冊手にし、部屋へ。
嬉野の冷たい清水をチェイサーにスーツケース常備バーボンをラッパしながら読みふけっていると、いつの間にか瞼が落ちていた。
翌朝。ハシゴせず深酒鯨飲しなかったため異様にすっきり6時起床。大浴場へ。貸切状態の中、体と頭を洗い、嬉野の温泉に浸かる。……。くふぅ、ムフゥという呻きしか漏れぬ。
昨晩集まられた商店主たちは老いも若きも顔の肌艶が潤っていたことを思い出す。日々の温泉の効能か。月々1万円で自宅に温泉を引けるという。
脱衣場で体を拭いていると「ビール冷えてます」というPOPが。思わず頭が真っ白に。しかし時間は朝6時過ぎ。PC猿打せねばならぬだけでなく、これから長崎へ向かわねばならない。
心の隙間に鍵をかけ、奥歯を噛みしめながら冷たい嬉野の清水を呑む。……。これはこれで、甘露。体中の我が汚れた毛細血管と細胞が弾けだした。
昨晩は〆のラーメンなどをやっていないので(24時まで寿司屋にいましたが)、極上温泉に浸かって部屋に戻ると空腹を覚えた。朝食付きプランだったことを思い出し、朝食会場へ。ビジネスホテルだが浴衣のまま行けるあたりも温泉郷ならではといえる。
和洋バイキングは10種類以上ありそうな総菜に生卵、納豆、カレーまである。中でもとびっきり目を惹いたのが、湯豆腐。嬉野名物である。昨晩食べ損ねたので、幸せの邂逅だ。タレはポン酢ともう1種類ある。湯豆腐は角が立っておらず、白濁した煮汁とともに揺蕩っている。
レンゲですくい、ポン酢を垂らす。口に運ぶ。……。口の中で蕩けた。豆腐の旨味そのものも濃厚だ。豆腐自体が旨いのか、温泉成分を含んだ水で煮るからこのように化学変化するのか。ふわっふわの、とろっとろ。
湯豆腐が嫌いな御仁もいないと思うが、何よりも大好物という御仁も多くはないだろう。しかし、この湯豆腐を味わうとこれまで狭き固定概念が根底から覆される。朝食の旨しだが、寒い夜に熱燗をヤリつち味わうとさらに旨味が増すだろう。
早朝から極上の温泉に浸かり、トロントロンの温泉湯豆腐を味わう。そして、チェックアウト前にもう一度温泉に飛び込むことを決意する。私自身が湯豆腐のようにトロトロになってしまいそうである。

嬉野温泉のメインストリート商店街。温泉豆腐が名物?

足湯もシブい。

寿司も旨し。

朝食はバイキング。

湯豆腐がメインディッシュ。

朝から食べ過ぎた。