2022年04月14日

第2909夜:醤油の街のホワイト餃子【野田(千葉)】

 Kッコーマン。世界に冠たる醤油メーカーである。本拠地は千葉県野田市。2019年度から3年間、月2回ペースで通っている埼玉県春日部市から東武野田線で20分ほどである。2022年新春5日、上様改めて義父(オヤジさん)の引き合いで初めて野田へ訪れる機会を得た。

 日本には企業城下町と呼ばれる街がある。野田におけるキッKーマンは圧倒的。野田市駅前は広大なキッKーマン工場が。ある意味で近未来でサイバーな光景である。

 市内にも様々なキッコーMン関連施設が。キッコーマN病院まである。高血圧な私には余計に血圧が上がりそうな病院名である。市内に溢れるKッコーマンのロゴマークを見て、数年前に札幌ススキノで見つけた「亀甲マン」という看板を思い出した。

 野田市商店街連合会の皆さまと意見交換会。仕切りは我が岡崎の義父。全国の商店街を統べる全振連A部理事長様ご降臨。私は末席を穢させて頂く。テーマは空き店舗対策。新年早々相応しいテーマとは言えないけれど。

 懇親会は20名近く参加。誠に目出度い。コロナ以降、最大人数での飲み会。役所や会議所の皆さまも参加されているのが心強い。

 テーブルには大皿が。刺身盛合せ、オードブルクラッカー、そして、目視レベルで分かるKFCフライドチキン。居酒屋でKFCは初めてかもしれぬ。

 A部理事長が乾杯のご挨拶。2022年の初生である。KFCをかぶりつく。安定の味。自宅テイクアウトや店内飲食とは異なる非日常な旨さがある。考えてみれば、生ビールとKFCを組み合わせることは至難の業であることに気づく。

 野田には最強のソウルフードな名物がある。「ホワイト餃子」である。

 餃子のO将がすべてのベースである私は、神戸東門街<愛愛>や春日部<けいらく>など日本中で旨し餃子を頬張ってきた。宇都宮、浜松という2大ギョーザシティでも満喫してきた。しかし、ホワイト餃子はその名称も存在も存じ上げなかった。恥ずべき不明である。

 饅頭サイズのホワイト餃子が大量に運ばれてきた。

 なぜホワイトなのか。ハク(白)さんという方が考案されたという。野田に嫁いでこられた女性は、ホワイト餃子を上手に焼けるかどうかが一つの基準であるそうな。

 酢の物は大好物だが餃子のタレには醤油とラー油だけな私。大ぶりなホワイトに箸を伸ばし、口に運ぶ‥‥‥。

 モチモチの皮が弾け、肉汁が飛びだす。熱さの後の悦楽。旨い。美味い。上手い。巧い。いくらでも箸が伸びる。大きいのに、いくらでも腹に入る。背徳な餃子である。

 呑み放題のハイボールがハイピッチな中でお開き。2軒目は焼肉屋。しかも「焼かなくても良い」焼肉屋という。野田の皆さまは2軒目にここででラーメンを啜って締めるという。

 僭越ながらアタシが乾杯の発声を仰せつかる。目の前は七厘ロースター。焼かなくても良いらしいが、焼きたい。メニュー見るのが面倒なので適当に盛合せで注文する。

 塩タンが出てきた。かなりの極上肉がどんどん運ばれてきた。ハイボール鯨飲の後は、焼酎をボトルで。呑み切らんばいけん。

 2軒目でも14人参加。ラーメンを啜られている方もいれば、ひたすら肉を喰らう輩(私)もいる。気づけば気づけば23時に近くに。

 野田と言えばホワイト餃子あることを2022年1月5日の夜に知ったが、世間的には醤油。醤油ラーメンを啜りたくなった。お宿のある流山おおたかの森に昭和風の醤油ラーメンを啜れる店はあるだろうか。それも深夜に。

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今や珍しい壮観な眺め。

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KFC。

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ホワイト餃子。

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さんざん呑み喰いした後の2軒目。
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2019年11月02日

第2308夜:ツインエアーズロック【安孫子(千葉)】

 唐揚そば。関西ではあまり見かけぬタネだが、東日本ではこれまで浜松町駅、郡山駅構内で対峙してきた。いずれもかなりの満足感である。ツユの染みた唐揚の衣も実に旨しである。

 ある寒い冬の雨の朝8時。ホテルから歩いて潮来駅へ向かう。イコカが使えない昭和の改札だが、駅員もいない。券売機に対峙するが、何故か北朝霞までのチケットが買えない。

 駅員さんを奥から捕まえ切符を買おうとしたら、何故か潮来駅から北朝霞駅までは同じJRだが発券できないらしい。1660円の切符を買い(券売機の上限)、差額を北朝霞駅で払ってくれとおっしゃる。

 首を傾げながら1時間に1本の成田方面行へ。成田で乗り換え安孫子、新松戸を経由し北朝霞へ。かなり接続が良くても2時間40分の長旅である。すべて普通列車だ。ちなみに新松戸駅の立体ホームの複雑さは折尾駅クラスである。

 前々日の夜に襲ってきた歯痛がかなり治まっている。今治水が効いたのだろうか。長旅の途中、腹が減ってきた。外は氷雨。こんな日は湯気煙る立ち食い蕎麦に勝る惹きはない。

 乗換の我孫子駅でふと思い出した。この駅のホームには全世界の駅そばマニアで知らぬ者なき有名な逸品がある。「唐揚そば」である。なぜ有名なのか。理由はその巨大さにある。

 我孫子駅をぐるりと見渡し、1番ホームへ向かう。ここまで来れば電車は10分の1本ペース。蕎麦を楽しむ時間もある。歯痛も治まってきたので、久々にガツンと歯ごたえのあるブツを喰いたい。麺類と、ガツン。唐揚そばしか思いつかない。

 店内は満員である。唐揚そばは1ヶ(440円)と2ヶ(540円)。店内客の半数が唐揚そばを頼んでいるようだ。

 私はガツンと2ヶ入りに。行列に並ぶがすぐに着丼。唐揚2ヶがデカすぎて蕎麦がほぼ見えない。丼が小さく見える。店頭のビジュアルポスターよりデカいのではないか。汁を啜ろうにも、そばを手繰ろうにも、まずは唐揚1ヶを完食せねば次に進めない。

 一味をパラリし、エアーズロックにかぶりつく。……。ザクっとした衣の歯ごたえが力強い。その後に鶏もも肉の旨味が口の中でステップを踏む。汁に浸してかぶりつく。ソリッド感が薄まるかわりに衣が出汁を吸い、味が確変する。もも肉も温められて旨味が増す。

 1ヶ完食した段階でかなりの満足感である。蕎麦もコシがあり香りも豊か。濃いめの出汁とよく絡む。唐揚の衣の脂がつゆに溶けだして思わず目を細め、口角を上げる。

 もう一つのエアーズロックに挑む。出汁に浸かっているので渾然一体。それにしても大きい。何とか喰い切ったが、1ヶで十分かもしれない。しかし再度券売機に対峙したら、一瞬迷いながらも2ヶのボタンをきっと押すはずである。

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安孫子市民のソウルフード(たぶん)。

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立ち寄らずにいられない吸引力。
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2019年10月31日

第2306夜:衣から覗く淡黄の肌【千葉(千葉)】

 生ゆば。いかにも京都的な和の高級感漂うおぼろげで儚い豆腐料理の一種(たぶん)である。湯葉という漢字も風流で、鍋にさっと泳がすと湯の中でにヒラヒラ舞う木の葉を連想させる。

 様々な料理法があるのだろうが、私はさっと湯がいてポン酢に浸したものしか経験がなかった。ゆばの旨さ、風流が少し理解できるようになったのは30歳を超えてから。それまでは全く心が動かされることもなかった。大抵のオトナ(特にオトコ)が同じようなものだろう。

 千葉市の中心地である京成電鉄千葉中央駅前で、一日一麺を達成すべく午前10時ごろ、ホタホタ散策を試みたが、ラーメン店はまだ開店していない。立ち食い蕎麦の店も発見できず、あきらめかけた時だった。私の目に、「手打ち」「24時間」「蕎麦」などの文字が飛び込んできた。

 某全国カレーチェーン2階のガラス戸に、これらのキーワードが踊っている。店名は<岩井のお蕎麦>。心強い限りだ。早速2階に駆け上がった。

 店内はカウンターとテーブル席で構成。完全に居酒屋風の造りだ。店内の巨大TVはワイドショーを流している。朝でも昼でもない中途半端な午前10時。客は私一人だけだ。

 券売機系の立喰い蕎麦なら迷わず天ぷらそばを注文するが、試しにメニューを見る。各種麺類だけでなく、居酒屋メニューもかなり充実している。目移りする中で、豆腐系専用ページがあった。その中の「生ゆば天ぷらそば」に心を鷲掴みされた。

 メニューを再度じっくり見る。これが朝10時ではなく、午後から仕事もなければ、完全に朝から蕎麦屋で一杯モードに突入していただろう。24時間営業の手打ち蕎麦は、日本初だそうである。チェーン店でないのに、本当にすごい。店主の岩井さん、いつ寝ておられるのだろうか。

 徹底的な味のこだわりは、メニューに記載された迫力満点のワードに満たされている。名店で修行した店主、無農薬の蕎麦畑栽培、蕎麦粉づくり、源水手打ち、3種の節を使ったダシ、秘伝調合の返し、化学調味料は一切使用せず……。

 鋼のようなスキのなさだが、手打ちでコシが強いため、柔らかめも希望に応じていただけるそうだ。強さのなかに優しさを感じる。

 至高のブツが運ばれてきた。私のゆば概念を覆すような巨大天ぷらが3ヶ。茄子天ぷらとワカメ、刻みネギが彩りを添えている。スープは真っ黒ではなく、私の好む関西風の透明感だ。

 レンゲでダシを啜る。……。五臓六腑に沁み渡る。思わず目を閉じ、幸せの吐息が漏れる。麺を啜る。……。手打ちならではの歯ごたえとコシの平打ち麺。蕎麦粉の香りも高い。

 生ゆば天ぷらを齧る。……。熱々の汁が口の中に飛びだした。あっさり味のゆばが油を吸いこみ、出汁という湯に浸かり、フワフワのトロトロに。衣が少しはだけ、淡黄の肌を覗かせる。衣の油が出汁に沁み出し、コクが倍増する。モロモロ、ズルズル、ジュルジュル…。混然一体。

 天ぷら系蕎麦は、衣がツユに溶けグズグズになった後半のカオスが、最も官能的で魅力的。年増悪女の深情けのような熟した色気のある味になる。

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posted by machi at 14:22| Comment(0) | 千葉県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする