長崎と言えば私のようなヨソモノにとってはちゃんぽん、皿うどんだが、地元民にとっては食べ飽きているかもしれない。ラーメンも豚骨系か。
私は長崎で麺を啜る前は、当初はちゃんぽんばかりだった。それが昼間にゆっくり滞在できる余裕がなくなり、夜にたまに皿うどんをツマミに呑む。麺はうどんが中心に。「喜助うどん」や長崎バスターミナルの立ち食いうどんがお気に入りに。つまり、ラーメンを啜った記憶がない。
ある土曜日の午前11時。我が定宿から歩いてすぐに冒頭の<政>があることを知った。情報源はN崎市役所に奉職する若手・Tカ氏。成長曲線が青天井の男だが、ラーメンの嗜好が私に類似。ゆえに当然のごとく、小太りだ。
11時オープンと同時に店内へ飛びこむ。カウンターだけの店内だが、従業員さんたちは数名おり、しかも腹の底から声を出す超気合系。まったりした接客が多い長崎では珍しい。
券売機と対峙する。「ラーメン」650円のボタンを押す。定番の家系だろうが、かなりバリエーションがありそうだ。あごだしラーメンにも心が騒ぐ。
チャーシューと海苔を追加トッピング。ランチタイムはライスかおにぎりが無料という剛毅。家系スープに浸した海苔でライスをクルンと巻いて口に運ぶ一連の動作は、人生の大きな歓びの一つに数えらえる。迷わず無料ライスも召還する。
水を飲みながらボンヤリしていると、お客がどしどし来店。全員地元人っぽい。家系らしく常連たちは自由にカスタマイズしている。私も月に最低2回は家系を啜っている気がする。しかし私はカスタマイズせずすべて「普通」で通している。
ブツが降臨。海苔の量が天領なみである。チャーシューも私好みのビジュアルである。
粗挽き胡椒をパラパラし、まずはスープ。……。もしかすると、日本最西端の家系かもしれない。そう思うと味わいがさらに増す。
麺もツルツルのモチモチ。スープを吸った海苔のご飯クルンは最高の安定感。ニンニクをぶち込みたかったが、午後イチからミッションを控える身。奥歯を噛みしめ、代わりに豆板醤でアクセントをつけた。
大満足の大満腹で外に出る。我が長崎市内の定宿(五島町のT横イン)滞在時は大盛洋食<キッチン政>一択だったが、これで二択になった。……。おや、どちらも<政>ではないか。系列店なのか、親族なのか、たまたまなのか。
しかも、この店、休憩時間なく深夜1時まで営業していることが分かった。あまりにも危険すぎる。ホテル近くはコンビニしかないと思い込んでいた。私の五島町24時以降は、この店一択な気配である。
ライスとの相性無敵。
定宿から近すぎ。激ヤバ。

