天候中止。2010年からフリー稼業として全国徘徊するようになり、2025年2月6日まで台風、地震、大雨等の天災に見舞われてもこれまで奇跡的に現地にたどり着きミッションを遂行できた。そんな15年間の奇跡の積み重ねが2月7日、崩壊した。列島を襲った大雪である。
2月6日午後、新幹線は定刻通り小倉駅着。降り立つと小雪が舞っていた。翌日、小倉から出雲へ向かう予定だった。ところが前日段階で出雲市発着のすべての特急列車の運休。移動手段がない。関係各所と調整し中止が決定。リスケではない。完全中止。ついに、途切れた。
15年続いた奇跡の崩壊に3秒ほど肩を落とすも、体力的にキツかったため、シゴト(ギャラ)は無くなったが休みを頂けたと考えた。肩が上がってきた。同時に、腹が減ってきた。
とにかく、寒い。手袋が無ければスーツケースを引く手が悴む。小倉駅からサンロードを突き抜けていく。アーケードとの交差点に<資さん>が屹立していた。期間限定の「豚汁うどん」ポスターが視界に。頭が真っ白になり、店内へ駆け込んだ。
普段資さんではフェアメニューを頼むこともあるが、かつ丼(ミニうどん付)、カツカレーぶっかけうどん(小ライス付)、肉ごぼう天うどんのほぼ三択。
タッチパネルをいじって豚汁うどんを探す途中、気になるメニューが視界に入った。「カツのせ焼きうどん」。そのまんまのネーミングである。添えられた目玉焼がセクシーだ。
小倉名物数あれど、あまり見かけぬ焼うどんもその一つ。好物だが小倉で食べに行こうと思ったことはない。北九州名物店で小倉名物を味わう。熱いミニうどんを付ければ盤石。
タッチパネルでカツのせ焼うどんを押す。大盛か否かの画面に代わり、否に。ミニ丼をセットするかどうかの選択も、否。ネギ多めかどうかは、是。ミニうどん付きにするかどうかの画面は出なかった。うどんで被るからか。その組み合わせは想定外なのか。
別ページに移動し、ミニうどんを探す…。どこだ?ちょこちょこしてたら間違えて「かけうどん」を押してしまった。ノーマルサイズである。変更の仕方も分からず忙しそうな店員さんを呼び止めるのも野暮ゆえ、そのまま通した。
最初に「かけうどん」が運ばれてきた。蒲鉾、葱がベース。そこに卓上の無料アイテム(とろろ昆布・天かす)投下。「かけ」で380円(税込)なのに、ハイカラ昆布うどんにレベルアップ。
続いて、カツのせ焼うどん降臨。思ったよりも多い。テンション上がるが、焼うどんと汁うどんを同時に喰ったことがない。故に異次元の気分である。
まずは伸びないうちに、汁うどんを全力。これぞ資さん。体の芯から温まってくる。細うどんが好きなのだが、ノーマルの太さも寒い日には好もしい。
夢中で汁1滴残さず啜り切った。すると、かなりお腹がいっぱいになった。焼うどんに目をやる。先ほどより量が増したような錯覚に襲われる。
カツにソースを垂らし、焼うどんに粉末スパイスと一味をパラリ。まずはカツ…。サクっとしているがヘルシー。焼うどん、甘辛さが精妙なバランスのソースが嬉しい。
隣のシャレたスーツを着こなしたオヤジがおでんを肴にビールを呑んでいる。私もビールが欲しくなるが、2時間後にミッションを抱える身。水で奥歯を噛みしめる。
半熟目玉焼は途中まで手を付けなかった。後半からうどんやカツに黄身を絡める作戦だ。
慎重に目玉焼を箸で持ち上げてうどんにオンさせようとした。ところが、途中で崩れた。時間が立ちすぎて、黄身の土台(白身)が鉄板にひっついてしまっていた。
魚町の24時間宮殿。
夢コラボ。

