肉気分。ベジタリアンや厳格極まりない仏教徒など別として誰もが「今日(今夜)は肉が喰いたい!」と狂おしくなる時がある。太古の野生に還る夜である。
その時の肉は、焼鳥でもトンカツでもないような気がする。牛である。分厚いステーキもよろしいが、複数人数なら焼肉である。それも昔ながらのガス台スタイルで。
ある梅雨の蒸し暑い小倉の夕暮れ時。打ち水のような小雨が降りだした。日中の酷暑を吸い込んだアスファルトから独特にムゥワ〜とした匂いが備考に飛びこむ。この匂い、嫌いじゃない。むしろ好きである。
この日は朝から肉気分だった。小倉の街なかには焼肉店が無数にある。古船場周辺などは日本屈指の焼肉集積ゾーンである。
どうせなら、入ったことのない店に。掛け値なしにクチコミもネット情報もなし、予備知識皆無で飛び込んでみたのは中銀通りの<Nクキュウ>さん。
1階は細長いコの字カウンターであり、2人に一台の割合でガスの焼台が設置されている。理想的なレイアウトである。3人以上は2階に案内されるようだ。店員さんはみな若い。
ドリンク1杯目からすべてスマホQRコード注文なのがオヤジには少々厳しいが(老眼で見えにくい)、このような店が増えてきたので、オヤジ(私)も慣れてきた。
生ビール2杯の後はハイボール。そして芋焼酎ソーダ割。ジョッキに溢れんばかり。剛毅である。おかわり自由の無料お通しサラダも凝っている。箸休めに頼んだ酒豪(青唐辛子&烏賊塩辛)も酒のピッチを加速させる。
好物のセンマイ刺は2種類のタレで。ちなみに精肉は焼いた方が旨いと普段感じているのでめったにユッケは頼まないのだが、炙りユッケは秀逸だった。この逸品を口にした時、我がリピーター化が確定した。
焼物の第一陣は刻み葱がたっぷりのタン、4種のホルモンが眩しい店長お任せ4種盛。ガス台は火力が強く一瞬で焼ける。
第二陣は上カルビ塩、特上ロース、そして雲仙ハム。かなり肉質良いのに驚くほどリーズナブル。量も申し分なし。満足度が跳ね上がる。
たっぷり2時間以上飲み食いし、大満足で中銀通りを南下。定宿へ向かう途中<和や>の提灯が視界に。満腹だが吸い寄せられた。
マスターはもう閉めようと思ってたようで、客は他にいない。マスターと話し込みながらメガハイボール2杯。ツマミは何も焼かずにマスターのお任せ突き出し5品。〆は絶品のビーフンスープ。焼鳥屋で焼肉屋のシメ的体験。いい旅肉気分を思いっきり満たすことができた。
中銀通り。
やはりオススメ中心に陣立て。
焼肉屋では「とりビー」と「とり塩タン」。
ユッケとセンマイ刺。
青唐辛子とイカの塩辛。
店長厳選4種盛。
かなりリーズナブル。
居酒屋で見つけたら頼んでしまう雲仙ハム。
<和や>では付出しだけで。
和洋折衷スープ。最高。

