翌朝。T田会長にホテルまで迎えに来て頂き、柳ヶ浦駅へ。その途中、畑のど真ん中にある城井一号掩体壕が見える。掩体壕とは敵の上空からの攻撃を守るための格納庫で、周囲と一体となって小山のようにみえる。とお目には古墳に見えた。
宇佐には戦時中、海軍航空隊が活動していたという。太平洋戦争末期には特別攻撃隊の基地となり、154名もの若き特攻隊員が戦地へ飛び立ったという。滑走路後が道路と重なるように整備され、モニュメントが道祖神のごとく連なっている。
戦争遺跡として全国2番目に史跡指定された。1番目が沖縄ひめゆり学徒隊関連史跡、3番目が天下の世界遺産原爆ドームなのだから、いかに重要かが伝わる。このあたりに平和資料館が建設されるという。何ともいえない歴史の重みを感じさせる。
柳ヶ浦駅に到着。40分の待ち時間があった。待合室の売店が地元民で賑わっている。「宇佐の元気ショップ菜々彩畑」。狭いスペースだが、宇佐産の野菜の産直、惣菜、土産物が効率的に並べられている。地域住民がひっきりなしに訪れ、店員さんや補充に来られる生産者や惣菜づくりの貴婦人らと談笑している。素晴らしくアットホームである。
私も宇佐の生卵とじゃがいもを購入。野菜、半端なく安い。サンドイッチも地元手作りらしく、旨そうで安い。かしわめしおにぎりも微笑みの値段だ。3ヶ入り280円である。極めつけはお弁当。色とりどりの幕の内系や巻寿司、いなり寿司がどんどん補充され、売切れていく。
<てづくりおやつの店>という宇佐市内の店が調整元の「里山弁当」購入。素晴らしいほどおかずたっぷりで450円。感涙。これは駅弁と申し上げて差し支えない。幕の内も心惹かれたが、わずか400円。米も宇佐のこしひかり。もしこれから柳ヶ浦に来ることがあれば、もっといろいろ買い込みたい。
冷え込むホームで時間をつぶし、ようやく特急が入線。指定席は混んでいるが、私の隣は空席だった。気兼ねなく駅弁を味わえる。里山弁当を取りだす、ずしりと重い。この「ずしり」が頼もしい。一人焼肉は切ないが、一人駅弁は思わず笑みが漏れる。酒があればなお良い。
野菜炒めで舌を鳴らし、煮物へ。味が思いっきり染み込んでいる。濃い目の味付けに御飯に箸が伸びる。この米、旨し。大根甘酢漬の箸休め感も見事。カボチャとコーンをグラタン風に焼いたものもシブい。ゴージャスさ極まる大きな鶏肉フライの甘酢あんかけ。3ヶもある。
極上の満足感である。車窓は豊前国の豊かな風景。特急の揺れも味のスパイスである。

城井一号掩体壕

「宇佐の元気ショップ 菜々彩畑」

柳ヶ浦駅弁?「里山弁当」