2016年02月11日

第1387夜:オトコ涙の一人焼肉【宇佐(大分)】(後編)

 普段は焼肉のシメにライスを頼むことはないが、オトコ涙の一人焼肉が普段のリズムを狂わせたのか。ラストにライス大盛と白菜キムチとハラミ1人前を追加招集。280円の生を4杯ノドに放り込み、結局2時間ほど店にいた。

 翌朝。T田会長にホテルまで迎えに来て頂き、柳ヶ浦駅へ。その途中、畑のど真ん中にある城井一号掩体壕が見える。掩体壕とは敵の上空からの攻撃を守るための格納庫で、周囲と一体となって小山のようにみえる。とお目には古墳に見えた。

 宇佐には戦時中、海軍航空隊が活動していたという。太平洋戦争末期には特別攻撃隊の基地となり、154名もの若き特攻隊員が戦地へ飛び立ったという。滑走路後が道路と重なるように整備され、モニュメントが道祖神のごとく連なっている。

 戦争遺跡として全国2番目に史跡指定された。1番目が沖縄ひめゆり学徒隊関連史跡、3番目が天下の世界遺産原爆ドームなのだから、いかに重要かが伝わる。このあたりに平和資料館が建設されるという。何ともいえない歴史の重みを感じさせる。

 柳ヶ浦駅に到着。40分の待ち時間があった。待合室の売店が地元民で賑わっている。「宇佐の元気ショップ菜々彩畑」。狭いスペースだが、宇佐産の野菜の産直、惣菜、土産物が効率的に並べられている。地域住民がひっきりなしに訪れ、店員さんや補充に来られる生産者や惣菜づくりの貴婦人らと談笑している。素晴らしくアットホームである。

 私も宇佐の生卵とじゃがいもを購入。野菜、半端なく安い。サンドイッチも地元手作りらしく、旨そうで安い。かしわめしおにぎりも微笑みの値段だ。3ヶ入り280円である。極めつけはお弁当。色とりどりの幕の内系や巻寿司、いなり寿司がどんどん補充され、売切れていく。

 <てづくりおやつの店>という宇佐市内の店が調整元の「里山弁当」購入。素晴らしいほどおかずたっぷりで450円。感涙。これは駅弁と申し上げて差し支えない。幕の内も心惹かれたが、わずか400円。米も宇佐のこしひかり。もしこれから柳ヶ浦に来ることがあれば、もっといろいろ買い込みたい。

 冷え込むホームで時間をつぶし、ようやく特急が入線。指定席は混んでいるが、私の隣は空席だった。気兼ねなく駅弁を味わえる。里山弁当を取りだす、ずしりと重い。この「ずしり」が頼もしい。一人焼肉は切ないが、一人駅弁は思わず笑みが漏れる。酒があればなお良い。

 野菜炒めで舌を鳴らし、煮物へ。味が思いっきり染み込んでいる。濃い目の味付けに御飯に箸が伸びる。この米、旨し。大根甘酢漬の箸休め感も見事。カボチャとコーンをグラタン風に焼いたものもシブい。ゴージャスさ極まる大きな鶏肉フライの甘酢あんかけ。3ヶもある。

 極上の満足感である。車窓は豊前国の豊かな風景。特急の揺れも味のスパイスである。

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城井一号掩体壕

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「宇佐の元気ショップ 菜々彩畑」

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柳ヶ浦駅弁?「里山弁当」
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2016年02月10日

第1386夜:オトコ涙の一人焼肉【宇佐(大分)】(前編)

 宇佐神宮。伊勢神宮に次ぐ第二の宗廟として崇敬されている全国八幡社の総本山であり、天下の国宝である。歴史ミステリフェチの私にとっては『邪馬台国の秘密』(高木彬光 光文社文庫)にてその高名を存じ上げていた。

 ある晩秋の夕方。私はプライベートではなくミッションで宇佐神宮が鎮座する大分県宇佐市に足を運ぶ機会を得た。15時前に毎週のごとく降り立っている小倉駅到着後、久々の在来線乗換。7番ホームで月見かしわうどんを啜った後、座席とテーブルの距離が異様にある特急ソニックで柳ヶ浦駅へ。

 駅のホームには「‘カチ’があるまち」と書かれた看板が。カチは「価値」か「勝ち」か「徒歩」か「下地」か……。大横綱・双葉山の出身地でその偉業を示す記念館もあるそうだ。

 四日市商店街T田理事長に駅まで迎えに来ていただき、四日市商店街へ。車中、理事長が様々な説明をして下さる。広大な農村地帯を突き抜けていくと、役所庁舎がロードサイド沿いに集中。中心市街地から郊外に移転したという。その周囲(ロードサイド沿い)に店も張りつきだした。典型的な地方都市の郊外拡散パターンである。

 宇佐市の中心は宇佐神宮ではなく四日市商店街。東・西本願寺四日市別院の参道商店街でもあるが、最寄駅(柳ヶ浦)から凄まじく遠い。タクシーしか移動手段もないという。

 商店街は全長2qほどある。夜の店も集中し、中心部には駐車場や広場がある。居酒屋も多そうだ。牡蠣小屋が実に魅力的である。ネギの店を見かける。「味一ねぎ」というブランド青ネギの産地で、甘みがあって旨いそうだ。

 中心市街地は意外と若い人が住んでいるそうで、高齢者に特化した事業を展開していた商店街も見直しに着手しているという。まちなかバルなど様々な事業を実施しつつ、商店街が主体となった地域プラットホームづくりを目指している。

 勉強会終了後、理事長の運転で<ホテル宇佐リバーサイド>に戻る。時間は21時。私は一人だ。遅めの昼に立食いうどんを啜っただけで、空腹を覚えた。久々の出張一人呑みだ。

 ホテルのフロントにオススメをお聞きすると、徒歩圏内の飲食店は焼肉屋<とんぎゅう>一択という。前夜も焼肉だったので、焼肉以外なら何でもという気分だった。

 大分県は全国屈指の鶏肉消費量らしいが、中でも宇佐はからあげ専門店発祥の地であり大激戦区であるそうだ。からあげ専門店は市内ではコンビニより多いという。唐揚で生をグビグビやりたかったが。コンビニも近くになさそうだ。

 焼肉店へ突撃する。広い6人掛けの半個室に案内された。炭焼七厘スタイルである。生ビール280円が嬉しい。骨付カルビ1人前、中落カルビ1人前、とんちゃん(豚大腸)2人前を注文。団体客の楽しそうな笑い声がBGMである。〔次夜後編〕

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小倉駅在来線7・8番ホームにて。駅そばでは「姫路」と「小倉(ただし1‣2&7‣8番ホーム)」が我が2強。

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四日市商店街の中心部。

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ホテルから近接。感謝感激。

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ヨロコビと哀愁の一人焼肉。
posted by machi at 00:55| Comment(0) | 大分県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月27日

第795夜:パリパリシャキシャキ、ファジーな焼そば【日田(大分)】

 日田やきそば。2013年8月上旬、不覚にもこのようなジャンルの一軍があることを、実際に大分県日田市に足を運ぶまで存じ上げなかった。私のアンテナの感度も鈍っている。B級ご当地グルメ業界ではすでにしっかりとした立ち位置を確保している実力派やきそばだった。

 3年前。福岡県久留米市で私はふらり一軒の焼きそば屋の暖簾を潜った。その名は<想夫恋>。場末のスナックのような店名でいかにも戦後から営業している雰囲気で、老舗の独立店と思いこんでいた。後日知る。九州北部で手広く展開する一大やきそばチェーンだったことを。

 私が頻繁に足を運ぶ小倉駅構内にも<想夫恋>の支店がある。すっかりファンになった私は生ビールと目玉焼(たまに生卵)落としを注文する。紅生姜入れ放題も頼もしい。独自の味、手法と思いきや、どうやら違うようだ。「日田やきそば」という定義に入っているらしい。日田に訪れた私は、まちづくり飯塚のK保氏をパートナーに日田やきそばの食べ歩きを決行した。

 最初に訪れたのは豆田商店街内の<宝華>。店内は狭いが作業着姿の地元客でビッシリ。朝食抜きのすきっ腹に、ソースの焦げる香りが漂って狂おしくなる。私は我慢できず、生ビールを注文。激暑の昼に、泡までこんもり旨そうな冷え冷えのサッポロ生ビール。作業着たちがこちらを羨ましそうにみている前で、ゴッキュゴッキュ。これ以上のシアワセはあまりない。

 出来上がりの日田やきそばにたっぷり紅生姜を落とす。口に運ぶ。……。パリッとした歯ごたえ、シャキシャキ野菜。実に旨い。ビールに最強。想夫恋に近い味だが、これぞ日田やきそばの味なのだろう。客は全員やきそば。他にも旨そうなラーメンメニューがたっぷりだが、やきそばを頼まない蛮勇をキープすることは困難。なぜか50円引きの600円だった。

 2軒目は隈町の<求福軒>へ。隣は<想夫恋>の総本店。あえて本丸外しだ。瓶ビールをやりながら待つ。運ばれてきた。ビジュアルも食感も味づけも先程の店と極めて似ている。こちらもシャキシャキで旨いが、サービスの白濁豚骨ラーメンスープが抜群。650円スープ付きだ。

 私は2軒の味の違いがほとんど分からなかった。<想夫恋>も同じような味だが、はっきり違う点がある。今回食べ歩いた2店舗は値段が安い。値段の違いは他に秘密があるのだろう。

 2013年9月、B−1グランプリ九州大会が日田で開催。カウントダウンボードで店と客が一体となって盛り上がっている。2店舗ともメニュー豊富だったが、ほとんどの地元客は焼きそばを注文。日常に溶け込んだ感じが頼もしい。作業着の男たちはライスと一緒に頬張っている。

 茹で麺の表面をパリッと焼き、大量のモヤシを投入。卓上紅生姜取り放題が日田やきそばのポイントなのだろう。店の壁に「日田やきそばの楽しみ方6カ条」が張り出されていた。

一.麺の焼き心地(色つや・焼加減)を楽しむべし!
二.麺と絡んだソースの味の奥行きを楽しむべし!
三.豚肉の香ばしさを感じるべし!
四.野菜(モヤシ・ネギ・キャベツ等)のシャキシャキ感を楽しむべし!
五.コショウと紅生姜の分量にもこだわるべし!
六.盛り付けのスタイルをチェックすべし!

 ……。かなりファジーでアバウトである。しかし、やきそばの魅力は手軽でジャンクなところ。能書きは少ないほうがよいのだ。

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<宝華>さんの日田やきそば&生ビール

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<求福軒>さんの日田やきそば&瓶ビール

【130827ネオンの海を泳ぐ日々〜鬼読・鯨飲・熊啜】
昨朝、神戸から7時間かけて三陸宮古へ。盛岡から宮古へ向かう列車内で久々の`駅弁ひとり旅‘。到着早々、おめでたきニュース2点。1点目は宮古コミュニティFM「みやこハーバーラジオ」が8月26日開局。ゲストの商店街S香理事長が復興市等各種PR。2点目は全国高校総体ヨット競技女子デュエットの部で、宮古高校&宮古商業高校が優勝準優勝のワンツーフィニッシュ。市役所前で夕方より凱旋式典。2年半前の大津波でヨットも道具もすべて流された彼女たちの快挙に思わず落涙。夜会議終了後の生ビールと鰹刺身の旨さに感涙。

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posted by machi at 07:28| Comment(0) | 大分県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする