2015年06月03日

第1227夜:夜の「伏見」と先斗町【京都(京都)】(前編)

 17時。書道展を伊丹マダムと見学したその日は昼食を取る暇なく空腹の極みに。普段の運動不足に加え珍しくかなり歩いたので喉も乾いている。烏丸御池からとタクシーで先斗町へ。

 先斗町は10年以上前にカウンター天ぷら屋を満喫して以来。当時これほど外国人はいなかったと記憶する。何かのツアーなのか浴衣の男女も歩いているが、さすがに寒いだろう。ほとんどの店がメニューを外に出し、敷居を下げていることに唖然。しかもほとんどのメニューが英語など多言語併記。インバウンド効果を改めて肌身に実感する。

 せっかくなので京都っぽい料理を味わいたい。しかし、豆腐や湯葉一択の店は外した。私はまだそこまで枯れていない。京都のおばんさいが望ましい。生ビールが早く呑みたい。

 <天の川>という店に飛び込んだ。マダムと生ビールで乾杯。若竹煮、はんなり京の出し巻き玉子、お豆富しゅうまい、京の牛すじ煮込み九条葱いっぱい……。「京の」と表記するあたりに京都人のこだわりとプライドと自尊心が感じられる。どの料理も思った以上にしっかりとした味付けでビールが進む。地酒「月の桂」も試してみる。

 ホタホタと京阪三条まで歩く。日も暮れてきた。マダムオススメの<伏見>というシブい居酒屋の暖簾をくぐる。木金土のわずか週3日営業という。思わず私は感嘆の唸り声を上げた。

 魅力あふれる壁一面お品書きとコの字カウンター。ほぼ満席だがちょうどカウンターが2席程度空いている。観光客風は皆無だが、日本語ペラペラの外国人がいるあたりが京都らしい。

 なぜ`伏見´なのか。ママがもともと伏見出身らしく、同じく伏見出身のマダムと軽く意気投合している。瓶ビールを頼むと、サッポロラガー(赤ラベル)。いきなりテンションが上がる。

 メニューを凝視。200円程度から2000円弱と幅広い。見つけると頼まずに居られない大好物「鰹のたたき」を頼み、他に何を頼もうかと少し言葉を詰まらせていると、パンチ力満点の強烈なママが野太い声で「ひらめの刺身、食べるか〜。オススメやで〜」と語りかけてきた。虚を突かれた私は思わず「じゃ、じゃあ…ひらめも」。ディープ関西のノリである。

 店内は老若男女バランスよい配分だが、学生も目立つ。学生が来るにはシブすぎる店である。もっとチェーン居酒屋など安い店に行けばいいのにと思いきや、この店は一品の量が半端なかった。どれも2人前以上ある。山盛りの野菜天ぷらが学生たちに運ばれていく。

 「鰹のたたき」は数きれではなく、ひと房はあった。大根おろしと刻み葱が鬼のように盛られている。平目の刺身も分厚いのに、ゆうに1匹分。新鮮でコリコリで見た目も美しい。食べきれるかと思いきや、どちらも2軒目というのにあっという間に完食。

 ビールは腹が張りだすので、熱燗に切り替える。菊正宗である。同じ大手でも伏見の酒(黄桜など)でないあたりが自由である。ちなみに、冷やでも燗でもキクマサは私にとって最も料理(特に和食)に合う日本酒である。〔次夜中編〕

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逢魔が時の先斗町。

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京阪三条のシブすぎ名店<伏見>。

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アートというべきお品書き。

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圧巻のボリューム。味も圧巻。
posted by machi at 06:22| Comment(0) | 京都府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月02日

第1226夜:三月の書の世界【京都(京都)】

 「三月の会」。商業まちづくり界の巨星・石H御大の奥方様が所属されている書道家グループである。定例会が2015年3月下旬、京都・烏丸御池<京都文化博物館>で開催された。

 烏丸近辺には初めて訪れた。京都駅は四季劇場があった頃は幾度も足を運んだが(<天一>のランチコースと昼酒がメインだったけど)、河原町近辺はおそらく10年ぶりである。

 春の京都。桜も咲き始めた。10年前も人は多かったが、さらに増えている。圧倒的に外国人客だ。いかにも観光っぽい外人だけでなく、京都に長年住んでいるような雰囲気を醸し出す白人も多数散見。いま、河原町近辺は西日本で最もにぎやかな一帯ではなかろうか。

 烏丸御池の周辺はミュージアムが林立。無料で楽しめるスポットも多く大人気。文化博物館も異様なまでにモダンと重厚と斬新が同居。中庭の解放感と落ち着きは筆舌に尽くしがたい。

 エレベーターで5階に上がる。伊丹のマダムMと合流し「三月の会」を見学。1か月前に石H先生と3人で伊丹にて鯨飲した際、先生から展覧会のお誘いを受けていた。奥方様がいらっしゃった。本当に明るくてステキで上品なご婦人。周りを幸せにする気品が漂っている。

 私は芸術心皆無だが、絵画より書はその意味を考えることができるからより奥深い気もする。さっぱり読めぬ字や意味が多数あれど、推測もまた楽しい。

 奥方様の作品も素晴らしい。直接解説していただけるという贅沢。普段の殺伐とした雰囲気と異なり、異世界の心地よさ。命の洗濯である。

「しまのあり ゆるりとまゐる 水牛車」
「日あしのび 水やりおうな らんららん」。

 意味が深そうである。マダムも旧知の書家が多いようで、伊丹話で盛り上がっている。

 来場者は記帳する。筆ペンではなく、毛筆に墨汁。墨書というやつである。小学校の書道以来か。記帳されている毛筆体を見ると、凄まじく皆さま立派。これほど気を使って時間をかけて自分の名前を書いたのは初めてである。40歳の筆おろしだ。

 私は悪筆で自分の字が読み返せない。極力パソコンでメモを取っているとますます筆が悪くなる。最近、住所以上に長い肉筆を書いた覚えがあまりない。

 たっぷり堪能した後、マダムのご案内にて徒歩10分ほどで<京都国際漫画ミュージアム>へ。私は驚嘆した。庭のごときグリーンゾーンで多くの若い子が寝そべって漫画を読みふけっている。何ともいえぬシュールな光景。漫画を読む行為は暗い部屋で引き籠っているイメージがあれど、これほど開放的なマンガ読みの風景は初めて。私も漫画大好きなのでよく分かる。

 館内は有料なうえ、あまり時間もないので売店をチェック。手塚グッズを始め知っている作品と全く知らない作品が同居する。ゴルゴグッズがあれば買い込もうとしたけど、残念乍ら見当たらなかった。

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静謐と重厚。

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御大の奥方様の作品(一部)。
posted by machi at 08:08| Comment(0) | 京都府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月04日

第800夜:鑑賞前の天国、鑑賞中の地獄【京都(京都)】(後編)

 追加1品目は「いか」を注文。大葉を巻かないシンプルバージョンを選択。イカがプチンとはじけ、柔らかくも歯ごたえがある。この揚げ加減は本当に絶妙である。

 続いては「牡蠣」。季節感あふれる食材だ。小ぶりながらも旨みが凝縮されており、牡蠣を食べられない紳士淑女をしみじみと気の毒に思う。

 「アスパラ」も天ぷらは今や欠かせないタネ。独特の瑞々しさとは、齧るだけで体中の血が洗われる心地がする。カレー塩との相性は言わずもがなだ。

 串カツしかり天ぷらしかり、「レンコン」を頼まずにはいられない。ザクっとした歯ごたえとボリュームは極めて満足感高し。塩に合い、つゆに合う。揚げもの界における根野菜の王様だ。

 中締めは「穴子」である。穴子の天ぷらを食べずして、店を出るわけにはいかない。大きな逸品を2ヶ、匠がカウンターに並べた。

 1つ目は塩レモンで齧った。衣がサクっとし、脂が上品にのった穴子の旨みがニュルリと這い出てきた。このパンチ力、熱燗よりもビールである。穴子の天ぷらは生ビールだ。2つ目は天つゆにどっぷり浸した。夢中で食べた。空気頭がさらに空っぽになった。

 匠に‘お好み終了’を宣言。程なくして、ご飯とシジミの赤出汁、漬物が運ばれてきた。熱燗が少し残っている。漬物を肴に杯を重ねていると、大トリを務める「かき揚げ」が降臨した。

 はやる心を抑え、丸かじりせずに箸でちぎりながら、塩レモンで味わう。野菜、魚、すべての旨みが詰まった極上の逸品である。熱燗の肴に半分ほど楽しんでから、残りの半分を天つゆに浸す。ご飯の友とするのだ。

 シジミのエキスが肝臓を癒していく。赤出汁の旨み。揚げモノの後の汁モノは、赤出汁の濃さが引き立つ。天つゆに浸したかき揚げで、白メシを頬張る喜び。天ぷら屋のシメには「天茶」(かき揚げを白メシに載せたお茶漬けのようなもの)という選択もあるが、これは夜向きと感じる。昼は‘天つゆドップリかき揚げをおかずに白メシ’が粋でなかろうか。

 大満足で店を出る。間もなくミュージカルが始まる。11階から屋外エスカレーターで一気に下り、劇場に足を運ぶ。席に着くと、照明が落とされ、現実を忘れる夢の世界が始まる。ただし、昼酒はかなり危険。この後、猛烈な睡魔との闘いが始まる。

 睡魔に負けるだけなら自業自得だが、食べ物はおろか呑み物も一切禁止という極めて静寂な四季劇場において、イビキをかくという壮絶な失態だけはなんとして避けねばならない。天ぷら天国の後には、睡魔地獄が待っている。

(付記)
はっきりと確認していないが、劇団四季の京都劇場が廃止され大阪に一本化されたというウワサを耳にした。天一の楽しみが欠ける四季鑑賞は、私には切ないものがある。

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悶絶の絶品、穴子てんぷら。

【蛇足:いつの間にやら800ボイルド】
 2010年6月1日から誰に頼まれたわけでもなく転籍記念に始めたバカブログ。まちづくりの最新の話題や私の経験、考え方、様々な手法を硬派な論文スタイルを貫こうと意気込んだが、S坊J郎氏より早い第2夜目でまさかの沈没。思いっきり路線転換を図った結果、ハードなまちづくりスタイルから百万光年彼方へ不時着。
 100夜目標にツラツラ駄文を重ねているうちに、いつの間にやら800夜。原稿用紙換算2,400枚。これも全宇宙30名ほどの呑んだくれの皆さまの御寛容とご笑覧あってこそ。また、このバカブログ管理人の必殺WEBマスター・スキンヘッドM好氏にも深く感謝申し上げます。
 遥か彼方だった1000夜が視界に。ラスト200夜、行きがけの駄賃ついでに御伴走下さいませ。これからも御贔屓に!
posted by machi at 07:27| Comment(0) | 京都府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする