2025年06月19日

第3697夜:霜月の錦【京都(京都)】

 インバウンド。今更説明も何もないが、市場商店街も大都市に関してはたっぷりとインバウンドに浸っている。特に市場に関しては、大阪の黒門、京都の錦が2強でなかろうか。

 11月中旬なのに異様なまでに蒸し暑い夜。栃木県から京都河原町に直行した私は、18時ごろ錦市場を通って組合事務所へ向かう。

 昭和時代はいざ知らず、全国的に市場の閉店時間は早くなった。16時には店じまいを始める店が多数。特に地元客向けでない観光地では顕著。

 そのイメージを抱きつつ、初めて日がすっかり暮れた夜の錦市場へ足を運んだ。すべてシャッターが下り、閑散としているかと思いきや、目を剥いた。ギュウギュウで先が見通せない。

 観光客向けでない、プロ向けの店(卸)は閉まっているところもあったが、どの店も大活況。歳末のようである。度肝抜かれた。さすが錦、圧巻である。

 2024年度晩夏から錦市場を担当させて頂くようになり、深秋の11月に3回目となったミッションで最終回。私にとっての3部作完結編である。

 最終回は将来の錦を担う若手商業者の方々3名とたっぷりと濃密に2時間、ノンストップで意見交換させて頂いた。守秘義務があるのでここには内容を記せない。

 まさに、現場の声である。私も認識が足りていなかった。目からウロコどころでない。首ごと落ちそうになる。インバウンドの光と影のコントラストを思い知らされた。

 21時前に終了。河原町へ向かう途中、ビルの1階がシブい呑み屋ゾーンだった。

 かなりの緊張だった、400年以上の歴史と世界的知名度を有する錦市場ミッション3部作。とりあえず千秋楽を迎えた安堵感もあり、錦市場周辺で買物はしたが飲み食いは未経験ゆえ、シブイ老舗でイッパイやりたい。

 しかし、この夜は栃木県から直行し、荷物も多く重く疲労が色濃い。神戸の自宅まで2時間弱。翌日は北九州小倉である。

 河原町は始発駅。十三で乗り換えて三宮へ。そこからは地下鉄で自宅へ。河原町駅改札横のコンビニで「冬物語」を1缶購入。前回は「秋味」だった。季節の移り変わりを缶ビールで体感しつつ、カシュツとグビビビビ。

 十三駅で神戸線に乗り換えるのだが、改札を出てしまった。空腹に耐えられない。1缶だけの缶ビールが私の夜のスィッチを推した。

 呑み屋びっしり集積する西日本屈指の呑み屋街。私が向かったのは、お気に入りのチェーン居酒屋。ビール大瓶、熱燗2合、オヤジ好みの玉子サラダ、串カツ、厚揚、鯖塩焼…。お会計は2500円程度。京都の錦は私にとって手が届かぬ天上。私には十三が絶妙の浸透圧である。

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夜も大晦日の参道のごとき賑わい。

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冬の到来の風物詩。

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阪急十三駅東口のチェーンオアシス。

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オヤジ好みの玉子サラダと赤星。

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2種類の串カツ。

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肉味噌厚揚げ。

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鯖塩焼と熱燗。

posted by machi at 06:36| Comment(0) | 京都府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年06月01日

第3687夜:神無月の錦【京都(京都)】

 錦らしさ。京都らしさと置き換えても良い400年以上に歴史を誇る錦市場商店街の「らしさ」とは何か。定義は数あれど、売っている商品、つまり業種業態からも「らしさ」をある程度は掴むことができる。

 京都の最強にハイシーズンな神無月午後。神様はすべて出雲へ、観光客は世界中から京都へ向かう。錦市場は相変わらず凄まじい人。外国人が9割か。立ち止まれない。歩けない。

 烏丸方面の錦市場入口から突き進む。20分後に錦市場商店街事務所でミッションを控えている。順調に済めば、18時には神戸に帰宅できる。今夜の晩酌の肴を錦で揃えよう。

 6店舗で6品購入。酒は重いので自宅近くのスーパーで京都伏見の酒を買えば良い。ホクホクと事務所へ。先客の中に小倉のパブ(ムーラン)でいつだかお会いした美人さんがおられて度肝抜かれた。名刺交換の際に「実は初めてじゃないんです」と言われて思い出した。

 自宅に帰り、風呂に入ってまずは缶ビールを一気飲み。自宅近くのスーパーで買った伏見のパック酒(月桂冠)をガバガバとコップに注ぐ。錦晩酌の始まりである。

 まずは外国人で賑わっていた魚屋さんの「はもカツ」。鱧と言えば京都。1串に大きなカツが3ヶも刺さって600円(税込)はお得である。

 トースターでカリっと温め、添えられていた塩をチョン付けを齧りつく…。京らしい淡泊な白身が油の衣を纏う。遊郭な味わいである。2ヶ目からはソースでさらに乱れさせた。

 豊富極まりない品ぞろえだった漬物屋さんの「ゆず味噌牛蒡」。秋から冬の京野菜の漬物に目移りするが、この逸品は京都限定とかなり推しが入っていた。ゆず味噌、牛蒡。京都である。サクっとした野趣。ゆず味噌のマイルドと刺激。540円の満足。月桂冠のピッチが上がる。

 総菜屋さんで捕獲した「京のだし巻き」。‘百年の手焼き’というキャッチは錦ならでは。九条ねぎ入りで2分の1本が580円も高いと思わない。歴史の重みを加算すれば安い。

 レンジで温める。やはり、甘さのある硬焼より、出汁の効いた甘みのないふわとろ関西風が私は好き。醤油を垂らさずとも上品かつしっかりした味わいが最後まで楽しめる。

 箸休めに捕獲した「ちりめん山椒」。ピリリとした山椒の香りが素晴らしい。これも京都らしい逸品。熱々のご飯に振りかけたら3杯は軽いだろう。

 塩干屋さんの「にしん棒焚」。わずか400円で無限に酒が飲める。柔らかく、味が濃い。にしんそばを喰ったことないが、にしん棒煮は酒のアテだ。

 白眉だったのが鶏肉屋さんの「鶏チャーシュー」。ボリュームたっぷりな1本700円。柔らかく味が染み込む。日本酒だけでなくハイボール、焼酎、ワインとなんでも合うだろう。

 湯葉、練天麩羅(蒲鉾)、和菓子など他にも狂おしいほど買いたいものがあったが、帰路に<餃子のO将>で焼餃子を買った。王将は錦でないけど京都発祥であり本店。これも一種の京都らしさと言えぬこともない。そうなれば、京都発祥の<T下一品>のこってりラーメンも京都らしさを体現したラーメンと言えるかもしれない。錦らしさは1gも体現していないけど。

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これ、絶品でした。

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100年以上の伝統。

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巨大なハモフライ。かなりお得。

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酒と米が無限ループ。

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今回の白眉。

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自宅で錦晩酌。

posted by machi at 09:19| Comment(0) | 京都府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月16日

第3646夜:長月の錦【京都(京都)】

 台所。一般家庭のみならず、独り暮らしのアパートでも設置されている機能である。料理をする場所だが、洗面所を兼ねている御仁をおられるだろう。風呂を兼ねるツワモノも。

 台所が比喩になる場合がある。いわゆる「〜の台所」である。令和時代において「()九州の台所」といえば旦過市場、そして、「京の台所」といえば400年の歴史を誇る錦市場である。ちなみに旦過が100年、大阪黒門は200年の歴史を誇る。

 私は阪神大震災で壊滅したが、神戸新長田地区「丸は市場」の漬物屋の倅である。1階が店舗で上階に住んでいたので、まさに生まれも育ちも「市場」である。

 商店街と市場は似ているようで異なる。丸は市場が無くなっても、神戸新長田時代の11年間は「丸五市場」、フリー後に「旦過市場」に携わるようになった。北九州では「黄金市場商店街」「門司中央市場」「プラザ祇園」にも御縁を頂いてきた。

 そして旦過と私に縁が出来て10年目の2024年、天下の錦市場へお伺いする機会を得た。単なる観光や買い物でなく、ミッションとして。

 天下の錦である。私ごときヨゴレのまちづくり屋が関わって許される格式でない。調子こいた批評どころか感想すら気軽に口にすべきでない。錦市場に関わるということは、渋谷センター街や心斎橋商店街に関わることと同義である。

 15年前に錦市場を歩いた記憶があるが、定かではない。2010年にフリーになり、京都市内で1度もミッションなど経験がない。

 ミッションの約1か月前の暑さ厳しい盆明け、阪急に乗って烏丸へ。錦市場へ向かった。予習である。事前視察である。こんな自主的経験はフリー15年目初である。

 狭い通路は外国人で溢れかえっている。日本人買い物客を見つける方が難しい。黒門市場もそうだが、十数年前はどうだったのか。

 京都らしく、生鮮よりも加工食品が圧倒的。漬物、練天麩羅、豆腐、ちりめん…。旨そうである。市場のDNAが流れている私はテンションが上がる。

 旦過市場とは商品の売り方、客層、業種構成、何から何まで異なっている。旦過のように、地元優先で観光客を重視しないのに、空き店舗などなくびっしり埋まってお客で賑わう市場の存在は奇跡であることを痛感する。

 勝手に錦偵察から3週間後の9月、錦市場の事務所内で事務長様からいろいろお話を伺う。守秘義務のためこんなバカブログでも活字化は許されないが、貴重な2時間だった。

 どこかでイッパイやりたかったが、京都の地理感が皆無。河原町から阪急特急に乗り込む前、駅売店で「秋味」を購入。カシュッ、グビビ。缶デザインがいかにも京都である。

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今日の台所の入口。

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阪急電車にて。

posted by machi at 07:54| Comment(0) | 京都府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする