2020年05月03日

第2437夜:岩手北上コロッケは雪の中で【take-out】(後編)

 北上コロッケ店頭揚げたてハフハフ作戦に暗雲が垂れこめた。私の隙っ腹がキュルキュル音を立て出した。

 これまで見かけた飲食店は<さくら野百貨店>フードコートのマクド●ルド程度。初上陸の北上において、一生で恐らく最初で最後に口に入れる食べ物がマッ●ではあまりにも芸がない。

 脳内作戦会議を開いた。口の中も胃の受入体制も完全にコロッケ。駅構内の立喰そばに心惹かれるが、初心貫徹すべしという方針が正式に決定した。

 1階フロアを見渡した。食品スーパーゾーンを発見。惣菜コーナーに北上コロッケが隠れているかも知れぬ。奇襲を浴びせるがごとく、ソロリと標的(惣菜)に近づいた。

 山盛り陳列のコロッケを発見した。小躍りした私はさっそく捕獲を試みたが、よく確認すると「北海道コロッケ」と書いてある。ズッコケそうになった。恐るべきトラップである。

 途方に暮れながら惣菜コーナーを去ろうとした瞬間、視界180度ギリギリにPOPが飛び込んできた。「北上里芋コロッケ」。もしや、北上コロッケのことだろうか。

 小走りに近づいた。値段は1ヶ250円。一般の3倍もするコロッケは初めてだ。恐るべし北上コロッケと先制パンチを喰らいながらも少し冷静になると、その定義がよく分かっていないことに気付いた。POPにも説明が書かれていない。

 再度スマホを取り出し検索する。いろいろ書かれていたが、要するに里芋を使うこと。また、普通の里芋ではなく「二子里芋」という銘柄のものを使用することが最低限の定義と思われた。それをベースに各店で様々なバリエーションが加わるという。

 これが正式な北上コロッケなのか自信を持てなかったが、パックを手に取った。しっかりと冷えている。会計を済ます際、レジのお姉さんに温めることが可能かとお聞きする。サービスカウンターに電子レンジがあることをご教授いただく。

 レンジがチンとなった。ぼんやりしていたためか、今度は持てないほど熱々に。ダイヤルを回し過ぎたようだ。私は館外に出た。外は一面の銀世界だ。

 冬に屋内よりも屋外で食べた方が絶対に旨い食べ物が、私には2つある。コロッケと豚まんである。どちらも熱々が条件で、フーフーしながら寒い屋外で頬張る楽しさと喜びは筆舌に尽くしがたい魔力がある。

 雪の歩道に立ちつくしたまま、私は人生最初でもしかすると最後の北上コロッケ(と思われる)をフハフハしながら齧った……。

 確かに里芋独得のねっとりした食感である。粘り強いが、甘さは少ない。1ヶとはいえかなりのボリューム感。空腹も一気に満たされた。気のせいか分からぬが、寒さも和らいだようだ。

北上@.JPG
2012年に実食したらしい。
posted by machi at 14:15| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月02日

第2436夜:岩手北上コロッケは雪の中で【take-out】(前編)

 北上コロッケ。天下無双のまちおこし食イベント・B‐1グランプリ常連の実力派コロッケである。みしまコロッケ(三島)、ぼっかけコロッケ(神戸新長田)など競合ひしめくコロッケ界でも知名度はかなり高い。

 2012年12月下旬の大雪の翌日。岩手県花巻市から釜石市へ向かう間に、2時間ほど自由時間が生まれた。北上市は花巻市と隣接し、電車は1時間に1本程度だがうまくタイミングが合えば10分で到着する。運よく電車を捕まえた私は、岩手県北上市に初上陸した。

 時間は9時半過ぎ。観光案内所は新幹線改札口の中にあるらしく、在来線で移動した私には何の情報も掴めない。駅前ビルに観光案内センターらしき表示が見えるのだが、開館は10時。

 何の予備知識もないまま、何となく主要道路で店が散在する通りを歩き始めた。歩道も車道も雪で真白。ツルツル滑る。私は2011年5月より毎月何度も岩手や宮城の三陸沿岸を訪問した。内陸は大雪だが三陸はほとんど雪が降らず積もらない。

 歩き慣れていない私はヨチヨチとペンギン歩き。靴底は冬国用ではないためツルツル滑る。時速1q以下で歩く私を、地元女子学生や年配熟女らが私を追い越していく。

 途中、ズルっと滑りそうになり、両腕をバタバタさせてバランスを取って踏ん張っていると、私をぶち抜いた女子高生が半笑いで振り向きながら「大丈夫ですか」と同情して下さる。優しさが心に刺さる。

 いきなり「PIA すわちょう」と書かれた立派なアーケードが眼に飛び込んできた。アーケードの下の舗装も雪で凍っているが、かなりの道幅。全長もある。今は苦戦を強いられているとお見受けするが、30年〜40年前はさぞ賑わっていたのだろう。頑張っていただきたい。

 アーケードを超えると巨大な百貨店が屹立している。シネコンも入っている。東北の雄<さくら野百貨店>だ。時間は10時。ちょうど開館である。寒さで震えていた私は迷わず飛びこむ。

 朝5時に起床し、名古屋から北上してきた私は猛烈な空腹に襲われた。北上と言えば、コロッケ。さっそく館内のフードコートで北上コロッケを頬張ろうと思ったが、見当たらぬ。

 スマホを取り出して、検索した。北上コロッケのページを発見。覗いてみると市内に30軒ほどで取り扱っているようだ。なかなか心強い。期待が膨らむ。どの店の作品を頬張ろうか。

 私は11時半の列車に乗車せねばならあい。惣菜店や肉屋なら10時には開いているだろうから、店頭で揚げたてを頬張ろう。午後からビッシリ仕事なので、ビールは飲めぬ。ノンアルコールビールで我慢するか…。妄想を膨らませながら、マップ掲載店舗の営業時間を確認した。

 私は、口を半開きのまま目を剥いた。北上駅徒歩エリア内に10時から北上コロッケを扱っている店が見当たらぬ。ほとんどが11時半から営業開始。

 何となく街なかを散策して感じたのだが、肉屋や惣菜店があまり見当たらない。レストランや居酒屋等でしか取り扱っていない雰囲気だ。〔次夜後編〕

200502北上A.JPG
たしか今はもう無きアーケード。
posted by machi at 08:08| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月01日

第2435夜:パンの中のじゃじゃ麺?【take-out】

 じゃじゃパン。盛岡駅構内<iwate tetoteto>で捕獲した謎の惣菜パンである。盛岡駅のみならず岩手県内の駅弁を食べ尽くした感のある私は、駅構内の駅弁屋で新作を発見できず肩を落としていた。そんな時、視界に「じゃじゃパン」なるネーミングが視界に飛び込んできた。

 これは`じぇじぇパン‘ならいかにも流行りの朝ドラに便乗したものと推測されるが、「じゃじゃパン」とはおそらく盛岡三大麺の一角「じゃじゃ麺」を挟んだものと推測できた。焼きそばパンやスパゲティロールのような位置づけだろうか。

 じゃじゃ麺はもともと「炒めみそうどん」の意味で、中国東北部の麺を参考に白龍の店主さんが屋台から始めたそうだ(『MORIOKA麺マップ』より)。中華麺消費量が全国県庁所在地で第一位という麺都。確かに、盛岡のみならず岩手県内でうどん屋をほとんど見かけない。

 2011年5月に初めて盛岡で本場のじゃじゃ麺を啜って以降、すっかり魔性の魅力の虜になった私は、迷わずじゃじゃパンを捕獲。300円。ずしりと重い。

 午前11時。盛岡からJR山田線の宮古行き列車に乗車。2時間のローカル線の旅。美しい車窓を眺めながら、ノンアルコールビールをカシュッと開ける。

 ノドを潤した後、じゃじゃパンを袋から取り出し、かぶりつく。……。辛めの味噌の存在感が強烈である。ネギと胡瓜のシャクシャクも歯に嬉しい。しかし、何かが欠けている気がする。

 齧りついてから2秒後、喪失感の意味を理解できた。麺がないのだ。麺の代わりがパンだった。麺入りなら「じゃじゃ麺パン」だが、麺抜きなので「じゃじゃパン」。見事である。

 味噌、ネギ、胡瓜といったじゃじゃ麺に欠かせぬ具在が挟まれている。最初は鮮烈に感じた味噌も、じゃじゃ麺よりはマイルドに仕上げている。パンとの相性を優先していると思われる。 

 一般的なサンドイッチ系はカツ、野菜、玉子などがメインだが、これはメインが味噌。マーがリンサンドやジャムサンドのノリに近い。

 このお店では、イチオシのじゃじゃパンだけでなく、岩手県産の名物を挟んだシリーズをそろえている。「岩手県産ソーセージチリドッグ」「岩手県産牛プルコギサンド」……。300円均一でどれも素晴らしいボリューム感。1本で満腹になる。

 駅弁マニアの私だが、これらの駅パンも駅弁に含めるべきか迷っている。車窓を眺めながらビールやウィスキーをやり、駅弁をツマミとする。至福のひと時だが、パン系はリーズナブルで食べやすい。ビールよりも発泡酒の方が相性が良さそうだ。

 じゃじゃパンを食べ終え、一息ついた。電車は新緑の中を牛歩のごとく怪走している。満足感に浸りながら、無性にじゃじゃ麺が啜りたくなってしまった。

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(付記)
テイクアウトとしての駅弁ネタが続いたので少し毛色を変えたテイクアウトネタに。このパンにかじりついたのがいつごろか全く思い出せぬ。7,8年前か。当時の画像を奇跡的に発見。よって今回アップ。
posted by machi at 16:06| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする