2019年06月04日

第2205夜:餃子とラーメンは焼肉の後で【鶴橋(大阪)】(前編)

 『ギャンブルは夕餉の後で』(日本文芸社)。グルメ漫画コレクターの私の中で近年屈指の面白さの作品である。その第2巻を北九州小倉から大阪環状線鶴橋駅へ移動する車中で読みふけっていた。ホルモン焼、馬肉料理、餃子……。狂おしいほどの食欲喚起描写だ。

 鶴橋は宇宙最強の焼肉店密集地。駅のホームに降り立つだけで香ばしい肉を焼く香りが鼻孔を殴ってくる。この香りをスルーできる強い意志を持ち合わせている御仁はほぼ皆無だろう。

 翌朝は日曜だが河内八尾で9時よりミッションを控えた土曜の夜。神戸の自宅から2時間かかるゆえ、準急なら近鉄八尾まで8分という鶴橋駅前のホテルで荷物を解き、一人で手ぶらで焼肉ストリートに繰り出す。さあ、一人焼肉である。

 どの店もすさまじい賑わいである。どこに入ろうか物色しているが、空席はあまりなさそうだ。

 それよりも気づいたことがあった。店頭の呼び込みが誰一人私に声を掛けてこない。目すら合わせようとしない。焼肉店のテーブルは4人掛けが通常。4人掛けを一人で占領されたら店もツラいだろう。私も申し訳なさでツラくなる。ちなみにカウンター焼肉の店は立錐の余地もない。

 焼肉を諦めようか……。ふと遠くへ目をやった時、日本中で見かける看板が視界に入った。<情熱ホ●モン>。ここなら一人でも大丈夫だろうが、焼肉の本場で何もこの店でなくても……。

 2秒ほど迷い、結局飛び込んだ。「一人ですが……」。

 店員さんは笑わない目で1秒ほど間を置き「どうぞ〜ご案内します」。通されたテーブルは1.5人分ぐらいの広さ。絶妙である。

 瓶ビール注文。スピードメニューの韓国海苔とネギサラダを召還。お供はホテルの無料新聞サービスの朝刊と夕刊。グラスに注ぎ、一気に飲み干す。……。キュンと喉が鳴る。七輪が眼前に置かれた。一気に温度が上がる。

 塩タンと黒毛和牛切り落としを注文。3枚の小皿にレモン汁、醤油ダレ&一味&ニンニク、味噌ダレ&一味&ニンニクをセッティング。まずは塩タン。あっという間に焼ける。硬くならないうちにレモン汁にチョン付けし、口に運ぶ。……。肉汁は溢れる。すかさずビールで流し込む。

 次は切り落とし。脂が炭に垂れると炎がブオっと舞い上がる。慌てて氷を置いて鎮火に努める。塩味なので口に運ぶ。……。上品な脂が蕩ける。しかし、オヤジに霜降り系5枚はキツい。

 痛風の痛みがほぼ治まった。懲りない私はプリン体を解禁する。ハツとレバーというプリン体マックスコンビを召還。ハイボールも爽快で旨い。ホルモンを喰らい、ハイボールを流し込む。

 冒頭のグルメコミックでは馬肉が旨そうだった。メニューを見ると「さくらユッケ」がある。生肉実食が法的に認められている最後の砦である。

 卵の黄身を絡めながら鮮度抜群の生肉を口に運ぶ。……。今や幻となった牛よりも馬の方が私の好み。ヒヒーンと嘶く旨さである。〔次夜後編〕

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一人の宴の始まり。

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オヤジには濃すぎ。

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サクラユッケ旨し。
posted by machi at 10:43| Comment(0) | 大阪府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月15日

第2174夜:ワインと士郎とポトフとカレー【八尾(大阪)】

 「ワインと士郎とポトフとカレー〜年末のポトフは俺に任せてくれないか?〜」。この謎の催しの案内が2018年12月に届いた。八尾から河内山本へ事務所移転されたビーダッシュY田氏からである。要するに、忘年会だ。

 事務所移転される前、八尾で呑んで終電が無くなった後、ビーダッシュの応接室によく泊めて頂いた。寝心地無敵の黒ソファーが懐かしい。

 メンバーは私とY田氏の他に、環山楼塾11期生のS楽氏と12期生のK笠氏。Y田氏も12期生である。私は11期生と12期生のお手伝いをさせて頂いた御縁でお招きいただく。S楽氏の事業所はビーダッシュ新事務所に近接している。

 大晦日イブの夜。河内山本駅に降り立った。Y田氏とK笠氏が出迎えて下さり、車でビーダッシュ新事務所へ。実に機能的で快適である。私は自宅事務所なので、いつか我が専用事務所を構えるのが細やかな夢の一つである。

 S楽シェフは朝からポトフやカレーを仕込んでいたらしい。サフランライスまである。痛風発症中だが気にせず缶ビールで乾杯。それから紅白ワインやシャンパン。1時間ちょっとでボトルが数本空になる。

 シェフのポトフ、塩コショウと具材の旨味だけで勝負している。凄まじく旨い。そして、ポトフがカレーに確変。このカレー、どんな専門店にも劣らない極上。

 鍋の残り汁や具材にカレールーをぶち込むだけで幸せの味に昇華するものだが、ポトフからのカレーはその数段上を行く。旨すぎて言葉にできない。

 21時頃、河内山本駅前へ移動し、スナックビルへ。創業50年という場末感溢れる超老舗スナックへ突撃。割と広めの店だが、あっという間に満席に。大人気店のようである。

 K笠氏差し入れの堂島ロールを初めて実食。甘いものをあまり食べない私でも首肯する爽やかな甘み。焼酎と合う。歌って呑んで、〆はチェーン居酒屋。最後はあまり記憶なし。ビーダッシュ事務所に戻って雑魚寝する。

 今回の4人だけの酒宴の凝りに凝ったチラシを作ったY田氏の芸の細かさは驚嘆である。さらにその上を行くS楽氏のこだわりや好奇心はあのサッカー日本代表選手の遥か先を激走するハンパなさ。ちなみにS楽氏はバイクを7台所有しているという。

 私はあまり好奇心というものを持ち合わせていない。これはかなり致命的な欠陥である。しかしS楽氏は好奇心の塊どころか、好奇心モンスター。

 「私、好奇心旺盛です!」とか自分で発している輩は、S楽氏に弟子入りし、ホンモノの好奇心の神髄を身近に学ぶことである。引くかもしれませんが。

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凝りに凝った3人にしか届かない案内状。

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宴の始まり。

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ポトフからの、カレー。

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駅前の場末にて。
posted by machi at 08:42| Comment(2) | 大阪府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月29日

第2160夜:懐石からの極北【八尾・鶴橋(大阪)】

 大阪総合労務会計事務所。大阪府八尾市を拠点とする我が従業員ゼロ超弱小零細会社の顧問である。設立前から現在(3期目)に至るまで会計・労務全般にご指導いただいている。

 そんな我が社の守護神事務所の忘年会にお招き頂いた。私のような組織に属さない自由業者には「社内での忘年会」というものがないので、お気遣いに心から感謝する。

 会場は<えん>。今や押しも押される超人気割烹居酒屋。予約なしでは入れない。この夜もすべて予約で埋まり、予約のないお客がひっきりなしに暖簾を潜るが轟沈している。

 計6名で懇親会スタート。旧知の居A氏も参戦。氏の父君が受勲され、その引き出物だった日本酒で乾杯。豊潤でどっしりとしているのに呑みやすい。

 あえて鍋でなく、懐石コースでスタート。お通しは極小サイズの5種盛。一口程度の分量とはいえ、どれも手抜きなし。気合がこもっている。
 
 刺身はすべて天然もの。本鮪、烏賊、雲丹、石鯛……。コリッコリである。蕩けそうである。芋焼酎と日本酒を交互に口に運びながら、目を細めつつ談笑する。

 なんという料理がわからないが「牛肉と揚芋煮」。ボリュームのある逸品である。肉の旨味を揚げ芋が吸い、揚げ芋に肉の旨味が染み込んでいる。

 目にも美しい金目鯛の塩焼。焼銀杏が添えられている。晩秋と初冬の合間に相応しい季節感溢れる渾身の強肴。味加減も超絶。銀杏のほろ苦さが絶妙のアクセントに。

 天ぷらもたっぷり。気分的に一人10品目ほど揚げたてがあったように思える。野菜、魚、圧巻の大きな海老。油がクドくなくカラリとしているので舌の上で鮮度が跳ね上がっている。

 セコ蟹を思う存分余すところなく調理した逸品も。甲殻類アレルギーの御仁には別料理を提供する芸の細かさ。魂のレベルで打ち震える。

 〆が出てきた。土釜を開けると、たっぷりの炊き立てご飯の上に塩鮭が乗っている。小鉢には大量のいくらが。バイトちゃんが手際よく鮭をほぐしながらかき混ぜていく。茶碗にとりわけ、各自好みの量のいくらをたっぷりとぶっかける。

 私は痛風発症中だが、知ったこっちゃない。鮭といくらの「親子飯」。早速挑む。……。脳内のシナプスが河内音頭を踊りだした。眼前に冬の北海道の海の波濤が現れた。ホクホクとプチプチ。贅沢極まりない〆である。

 味噌汁も家庭では再現できないプロの妙味。デザートの大きなイチゴはレディにプレゼントし、大満足で店を出た。

 外は寒い。風が強い。<えん>と同じく八尾あきんど起業塾生が開業したボードゲームカフェ<INST>へ。赤ワインを喉に入れつつゲームに夢中。童心に帰る。ジェスチャーゲームも奥深い。

 23時半過ぎに中座して鶴橋へ。ホテルへ向かう道すがら「にんにくらーめん」という表記が視界に。理性がぶっ飛びフラフラ店内へ。カウンターだけの狭い店だが超人気。私は並ばなかったがあっという間に行列が発生。

 チャーシューメン召還。出てきたブツ、分厚いチャーシューたっぷり。胡椒をパラリし、スープを啜る。……。ニンニクがバッチシと効いている。スープは醤油豚骨か。私が愛してやまない味である。麺もツルツルのモチモチ。チャーシューも味がしっかりしており、柔らかい。

 無我夢中で啜りこんだ。先ほどの懐石の繊細からは極北であるが、これも一つの完成形。良い2019年を迎えることができそうな八尾と鶴橋の寒夜である。

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いつもありがとうございます。

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極上の懐石コース。

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2次会はボードゲームカフェ。

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〆は鶴橋駅前のにんにくチャーシューメン。
posted by machi at 09:39| Comment(0) | 大阪府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする