2024年12月11日

第3555夜:大当たりの一択【泉南(大阪)】(後編)

 1品目は「地だこの刺身」。思ったよりも量たっぷり。湯引きしているのにコリコリ鮮度。思わず笑みが漏れた。

 2品目は「ほたるいか酢味噌」。煌めいている。たっぷりの酢味噌に絡めて口に運ぶ。柔らかくプリプリ。熱燗の大に切り替えた。

 3品目は「鰯の天ぷら」。大葉の天ぷらも添えられているのが嬉しい。ピンク掛かった岩塩にチョン付け。野性味と上品が絶妙のバランスで同棲。大き目が2ヶ。食べ応えも充分である。

 海鮮4品目は「地穴子の天ぷら」。思わず目を剥いた。想像と違っていた。たっぷりの天ぷらにたっぷりの刻み葱をトッピング。タレが掛かっている。ドキドキしつつ口へ。

 サクっとした歯ざわりの後、穴子の醸し出す淡泊で奥深い旨味が踊り出した。タレも辛口の濃い目。葱フェチの私にはたまらない。気づけば熱燗の大の2本目が半分に。

 鮮魚系おすすめをまだまだ攻めたいが、定番も試したい。メニューを見る。かなり守備範囲が広い。〆のメニューまで充実している。90分前の会議を思い出す。居酒屋の絶対数が少ないゆえか、様々な客の満足度に応えねばならないのだろう。値段もリーズナブル。

常連客がどんどん入ってきて大将や女将と談笑している。一人客同士も盛り上がっている。

 端に座るイチゲンの私は黙って「煮込みハンバーグ」を選択。「手作り」とプッシュされていたから。熱燗をチビチビやっていると、熱々が眼前に。アスパラの緑が眩しい。

 箸で千切り、口に運ぶ。完全に酒のツマミである。チビチビつまみながら熱燗で追いかける。この組合せ、初めてかもしれぬが悪くない。むしろ良い。

 ハンバーグが残り半分の状態で2本目の熱燗が空に。ハイボールと思ったが、300ml赤ワインがあった。赤ワインをヤリつつハンバーグ。王道、直球、豪速、不変、真実である。

 ハンバーグを食べ終えた。赤ワインが半分残っている。駅前にラーメン屋など見かけなかった。カレー屋はいわゆる本場本格系で酒のシメっぽくない。

乗り換えの難波ならいくらでもシメの店があるだろうが、泉南との出会いは一期一会。ハズレどころか期待値を上回るこの名店でシメてしまおう。

 釜めしは1時間かかるとある。にゅうめんも気になったが「大人気」とあったチャーハン。シメチャーである。

 目の前で中華鍋がチャッチャと振られる。居酒屋いうより町中華の雰囲気すら醸し出している。このシメ、中華でも喫茶でもない。ビジュアルも味もまさに「居酒屋のチャーハン」である。シンプルだが酒の進む味。赤ワインにも合う。

 半分ほど食べ終えた時点で、神戸まで路線検索した。13分後の電車に乗れば神戸まで最短で帰れるルートが。これを逃すと帰宅は30分以上後ろ倒しになり、乗り換え回数が倍になる。

 食べ終える前にお会計をお願いし。米一粒、ワイン1滴残さず完食した。

 大満足で店を出る。もう泉南市を訪ねることはないかもしれぬが、もし機会があれば絶対にこの店を再訪しよう。ただし定休日は水曜のようなので、水曜は絶対に外さねば。

 電車が動き出した。行きの難波駅の待ち時間に駅近くの大型書店で読んだことのないグルメ漫画の新刊を買っていた。「3分待ってむぎ先輩」。途中から違和感を感じた。カップ麺を偏愛するBLならぬGL漫画だった。男性キャラがほとんど出てこない。

 BLもGLも全く関心ないので初めて読んだジャンル故かなり戸惑ったが、カップ麺を喰うシーンは旨そうだ。自宅にカップ麺のストックが30ほどある。しかも、すべて違う種類。帰宅して、どのカップ麺を啜ろうか。

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地蛸。

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地鰯。

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蛍烏賊。

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熱燗。

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地穴子。

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ハンバーグ。

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葡萄酒。

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焼飯。

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南海電車。

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2024年12月10日

第3554夜:大当たりの一択【泉南(大阪)】(前編)

 泉南。厳密な定義は知らぬが大阪南部地方を指す(はずである)。私にとって泉南は「水茄子」のイメージが強い。

 令和5年度の年度末ギリギリな寒い昼。「泉南市」商工会の商業振興委員会にお招き頂いた。90分のうち最初の50分はヒアリング、残りは意見交換や質疑応答に。

 大阪府内のシゴトはコロナ禍に八尾で1日だけお伺いした。その前は8年前に遡る。泉南地方は初。恐らく人生で初めて「南海電車」に乗車した。

 商工会のご担当者から最寄りの樽井駅から徒歩10分も掛からないとお聞きしていた。ところが樽井駅、改札が1か所しかなく商工会はその反対側。踏切も超えてグルーッと大回りせねばならない。直線距離では10分未満だろうが、感覚的に20分歩いた気分。

 この日は朝から氷雨だった。天気予報の気温が高かったので私はジャンパーもコートも羽織らず薄着。寒さで震えた。

 委員会のメイン議題は「イベント」。泉南の商環境や課題などもお聞きする。飲食店が極めて少ないことが分かった。隣接市へ食べに行くか、そもそも外食する習慣もないそうだ。

 この日のミッションは17時過ぎに終了。神戸の自宅まで数回乗り継いで2時間半。毎週のように通っている北九州と変わらぬ。乗換回数と徒歩移動距離を勘案すればむしろ遠い。

 関西空港に行くことはあっても泉南市に足を運ぶのは今宵で最後だろう。自宅に帰りつくまで何か腹に入れたい。できれば泉南の地の肴でイッパイやりたい。樽井駅前から商工会へ向かう途中、確かに飲食店はあまり見かけなかった。チェーン店など微塵もない。

 終了後、ブラブラと樽井駅へ向かう。途中、とてもイチゲンで入れそうにない場末感溢れるスナックは2軒ほどあったが居酒屋などを見かけない。

 間もなく駅に到着してしまうタイミングで、インドかネパール系の本格的なカレー屋が見えた。その手前に居酒屋があった。16時から開いているようだ。<和来>さん。「地魚料理」「手作り一品」の文字に惹かれる。

 探せば他にも呑み屋はあるのだろうが、寒い上に空腹が激しい。デキとしてはイマイチだった我がミッションだが、とりあえず終えた安堵感もある。

 外から中の様子は全く見えないが、暖簾を潜る。毎度のことながらイチゲンで飛び込む時の期待と不安を抱えて。冒険である。

 カウンターに常連客が陣取っていた。「ご予約席」のプレートも視界に。入口から見えぬが奥にテーブル席があるようだ。厨房は私と同年代と思しき大将と女将が。

 一人でも良いかとお聞きしたら笑顔でどうぞ。寒いがイチゲンらしく入口に一番近い席に陣取る。しかしすぐ後ろにファンヒーターがあり、結果的に正解だった。

 瓶ビールを頼むとお通しが出てきた。揚げたての白身フライ。手の込んだお通しである。この店、大当たりの予感がする。

 定番メニューも充実しているようだが、独りなので頼める品数に限界がある。よって「本日のオススメボード」を中心に組み立てる。イマイチどころかイマハチだった私のデキも自分の中で帳消しにできそうだ。

 鮮魚系のメニューがボードを埋め尽くしている。刺身、フライ、揚物、煮付…。ユッケまである。迷ったが「地物」というワードをスルーできない。ただし、私は泉南の地物が何か分からない。海域から考えても神戸とあまり変わらない気もする。

 ちなみにメニューに水茄子は無かった。時期がずれているのか…。先ほどの会議で出席者から水茄子は泉南地方の名物であるが「泉南市」ではないという発言を思い出した。〔次夜後編〕

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初上陸。

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ミッション会場。

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突入。

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戦略を構築する。

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2024年03月21日

第3381夜:ハイハイタウン【上本町(大阪)】

 ハイハイタウン。近鉄上本町駅と谷町九丁目駅に直結した商業ビルである。何階建てが分からぬが、呑み屋がびっしり。大坂第一〜四ビルの地下的世界が広がっている。

 2023年の夏まで、恥ずかしながら私は「ハイハイタウン」を掛け値なしに1gも1oも存じ上げなかった。上本町は難波と鶴橋の間に位置する。何度も電車で通り過ぎたことはあるが、上本町で下車した記憶があまりない。

 インボイスとやらが本格導入される約1か月前。我が超弱小零細自宅事務所社員零一人社長会社の顧問先である大阪総合労務会計事務所のツートップ・S藤先生とA部先生とインボイス他の相談も兼ねて暑気払い。場所はS藤先生ご指定「ハイハイタウン」。集合時間は15時。

 地下の改札から直結しているため、地上に上がる必要なし。そして、どの階もびっしり呑み屋がひしめいている。多くのお店がハッピーアワーの時間帯。ハイボール、99円である。瓶ビール大瓶が399円である。ここは、天国か。お店は先生方にお任せする。

 なぜ「ハイハイ」なのか。這ってでも帰れるほど駅に直結しているからか。酔っ払いが通路をハイハイしているからか。テンションがハイになり過ぎて二乗になるからか。どちらにしても、無駄にシャレておらず、覚えやすく分かりやすい素晴らしいネーミングセンスである。

 1軒目は<Oードリー>。サッポロ赤星(大瓶)を数本。咽を潤しながら鶏と肴の刺身盛合せ。どちらもたっぷり。しかも安い。カレーポテトサラダなど分かってらっしゃる品も追加。

 ゆで卵入りの肉豆腐、肉がこぼれんばかり。豆腐より肉の方が多いのでないか。セロリもさっぱりとした箸休め。メガハイボールに途中から切り替えた。

 2軒目は<Sカグラ>。メニューを観てオススメとあった鶏刺盛合せ、蟹味噌スパゲティサラダ、土手焼豆腐を注文。ジムビームのメガハイボールをヤリながら談笑。先ほどの同じようで違うメニューの妙。いや、ほぼ一緒か。

 3軒目は<Hなきん>。半分オープンカフェ状態。日本各地の地酒がグラス390円で楽しめる。メニューの左上から順番に「土蜘蛛(徳島)」「十勝(北海道)」「白露垂珠(山形)」を注文。肴は鰹たたきとホルモンの天麩羅。常連さんが手渡してくれるので恐縮する。

 二十歳そこそこのバイトのお兄さん、会津若松出身という。私が毎月会津若松を訪問していることを伝えると、何故かドン引きしていた。

 最後は<Cエちゃん>。ホッピー&焼とんの店である。黒ホッピーの中(焼酎)をお代わりながらシロ、カシラなどを満喫。栃尾揚げを齧っていると、ここは大阪でなく首都圏の居酒屋に思えてくる。

 4時間4軒。とんでもないぐらいどこも安かった。ハイハイタウンを出ると、目の前が近鉄の改札。一歩も地上に、外に出なかった。しかも上本町から神戸三宮までの直通快速が来た。

 約50分着で三宮着。地下鉄に乗り換える前に地上を出て駅構内<Y野家>で牛だく牛丼。数日前、連ドラ『ペンディングトレイン』の録画を一気鑑賞していた。主人公が牛丼を喰うシーン、あまりにも旨そうだったからである。

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天国へのゲート。

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1軒目@

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1軒目A

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1軒目(たぶん)B

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2軒目@

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2軒目A

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3軒目

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4軒目@

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4軒目A

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三宮駅構内にて独り5軒目(酒は吞まず)
posted by machi at 08:53| Comment(0) | 大阪府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする