ハイハイタウン。近鉄上本町駅と谷町九丁目駅に直結した商業ビルである。何階建てが分からぬが、呑み屋がびっしり。大坂第一〜四ビルの地下的世界が広がっている。
2023年の夏まで、恥ずかしながら私は「ハイハイタウン」を掛け値なしに1gも1oも存じ上げなかった。上本町は難波と鶴橋の間に位置する。何度も電車で通り過ぎたことはあるが、上本町で下車した記憶があまりない。
インボイスとやらが本格導入される約1か月前。我が超弱小零細自宅事務所社員零一人社長会社の顧問先である大阪総合労務会計事務所のツートップ・S藤先生とA部先生とインボイス他の相談も兼ねて暑気払い。場所はS藤先生ご指定「ハイハイタウン」。集合時間は15時。
地下の改札から直結しているため、地上に上がる必要なし。そして、どの階もびっしり呑み屋がひしめいている。多くのお店がハッピーアワーの時間帯。ハイボール、99円である。瓶ビール大瓶が399円である。ここは、天国か。お店は先生方にお任せする。
なぜ「ハイハイ」なのか。這ってでも帰れるほど駅に直結しているからか。酔っ払いが通路をハイハイしているからか。テンションがハイになり過ぎて二乗になるからか。どちらにしても、無駄にシャレておらず、覚えやすく分かりやすい素晴らしいネーミングセンスである。
1軒目は<Oードリー>。サッポロ赤星(大瓶)を数本。咽を潤しながら鶏と肴の刺身盛合せ。どちらもたっぷり。しかも安い。カレーポテトサラダなど分かってらっしゃる品も追加。
ゆで卵入りの肉豆腐、肉がこぼれんばかり。豆腐より肉の方が多いのでないか。セロリもさっぱりとした箸休め。メガハイボールに途中から切り替えた。
2軒目は<Sカグラ>。メニューを観てオススメとあった鶏刺盛合せ、蟹味噌スパゲティサラダ、土手焼豆腐を注文。ジムビームのメガハイボールをヤリながら談笑。先ほどの同じようで違うメニューの妙。いや、ほぼ一緒か。
3軒目は<Hなきん>。半分オープンカフェ状態。日本各地の地酒がグラス390円で楽しめる。メニューの左上から順番に「土蜘蛛(徳島)」「十勝(北海道)」「白露垂珠(山形)」を注文。肴は鰹たたきとホルモンの天麩羅。常連さんが手渡してくれるので恐縮する。
二十歳そこそこのバイトのお兄さん、会津若松出身という。私が毎月会津若松を訪問していることを伝えると、何故かドン引きしていた。
最後は<Cエちゃん>。ホッピー&焼とんの店である。黒ホッピーの中(焼酎)をお代わりながらシロ、カシラなどを満喫。栃尾揚げを齧っていると、ここは大阪でなく首都圏の居酒屋に思えてくる。
4時間4軒。とんでもないぐらいどこも安かった。ハイハイタウンを出ると、目の前が近鉄の改札。一歩も地上に、外に出なかった。しかも上本町から神戸三宮までの直通快速が来た。
約50分着で三宮着。地下鉄に乗り換える前に地上を出て駅構内<Y野家>で牛だく牛丼。数日前、連ドラ『ペンディングトレイン』の録画を一気鑑賞していた。主人公が牛丼を喰うシーン、あまりにも旨そうだったからである。