2025年05月13日

第3671夜:なんでやねん【泉大津・高石(大阪)】

 なんでやねん!。いわゆる上方(漫才)定番の「ツッコミ」である。

 3回目となった泉大津市と高石市の市境に位置する北助松商店街ミッション。過去2回は15時から16時までには終了したが、一区切りとなるラスト3回目は17時半ごろ終了。

 これまで両市内で呑むどころか固形物すら口にしたことがなかった。時間も頃合い。街をより知るためにも、何かを刻み付けるためにも、どこかで。北助松でイッパイやって帰りたい。

 ところが商店街を歩けどあまり居酒屋がない。あっても定休日。東助松商店街エリアに寿司屋が開いていた。初見で寿司はハードル高しだが入ってみた。

 年配の大将と女将が明るく出迎えてくれた。カウンターで7席ほど。2階もあるようだ。

 安堵しつつ瓶ビールから。刺身を切ってもらう。マスターのお任せで刺身を切ってもらう。

 私は寿司や刺身で「おまかせ」はめったに頼まない。苦手なネタが入ることが多いからだ。お任せとはいえ、苦手なネタは自己申告。残してしまうよりもマシだろう。

 大将が女将に何か言った。女将は鋭く「なんでやねん!」。久しぶりに耳にした。実生活でもあまり聴かない。ふと神戸ではあまり使わないことに気づいた。大阪方言だったか。

 刺身は鮪、蛸、鯛。コリコリと新鮮。マスターが何か私に対してボケた。一瞬フリーズしてしまった。妙な空気が漂う。すると女将が小さな声で「なんでやねん!困ってはるやないの」

 いたたまれない気持ちになった。私はもはや関西人ではないのだろう。

 体操服を来た小学生を連れた若いお母さんがご来店。大将がヤンママに何か言って、ヤンママはすかさず「なんでやねん!」。…。ここは泉北地方という。ディープ大阪なのだろう。

 女将からどこから来たか尋ねられた。神戸と答えると「えぇーッ」。北海道や沖縄から来たかのようなリアクションに目を剥いてしまう。

 2本目の瓶ビールをヤリつつ小海老天ぷらを注文。量たっぷりで、出汁も絶品。改めてメニューを見る。巻物もアテも200円代から。寿司屋なのに安すぎる。

 どて焼も注文。寿司屋でどて焼など初めて。これぞ大阪の味である。神戸にはない。

 熱燗を2合でお願いすると、大将はニヤリとしながら「酒と女は『にごう』に限るで」。

 一瞬何のことか分からず、私はただ声大きめに笑った。すると女将さんが「なんでやねん!」。恥ずかしいことに、説明された。お酒の2合と女性の2号さんを掛けたボケだった。

 鉄火巻を注文。385円という刻んだ値段。これも旨い。スーパーより安いではないか。

 熱燗をお代わり。出汁巻玉子は外せぬ。たっぷりで480円。甘み無き関西風。絶品である。

 赤出汁を頼むつもりが、気になるシメ系メニューを見つけた。「きつねうどん」。さすがディープ大阪。頼まずにいられない。並で500円。小なら300円。もちろん並をお願いする。

 厨房は女将さんのご担当のようだ。パッケージらしいものを破る音が聞こえたが、詮索は野暮。女将さんは「玉子、落とす?」と聞いてきた。激しく首肯する。

 ブツ降臨。きつねにたっぷりの玉子が絡んでいる。一味をパラリ。出汁…。絶品。染みる。うどんの麺は、まあ、普段から自宅で食べなれた味。

 女の子とお母さんの二人連れ、大将と女将の娘と孫だった。大将は完全にジイジイとしてデレデレとふるまっている。女将はまだ18時半だが孫の横に座ってビールを呑み始めている。

 心地よい気分になった。まだまだじっくりと腰を据えたい。しかし、北助松から神戸の自宅まで約2時間、5回電車を乗り換えねばならない。

 お会計してもらう。1万円渡す。大将がお釣りを手に「ハイ、●千万円!」。

 あまりのベタに、「なんでやねん!」のツッコミチャンスを言い逃してしまった。

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寿司屋と居酒屋のハイブリッド。

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抜群のスタート。

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寿司屋でどて煮は初体験。

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たっぷりすぎる小海老天ぷら。サイズもほぼ「大」。

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鉄火巻は熱燗で。

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寿司屋で太刀魚バター焼。

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関西の出汁巻はやはり最高。

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寿司屋できつねうどんの玉子とじ。

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2025年04月02日

第3634夜:神鶏の神通力【泉大津・高石(大阪)】

 助松神社。泉大津市と高石市の市境で真っ二つな北助松商店街の拠点であり、会合場所である。地域活性化と商店街振興にご理解が深い宮司様のご厚意で社務所をお借りしている。

 史上最強クラスの台風が日本列島に差し掛かる8月下旬。当初は月曜に九州あたりへ上陸し、本州を抜けて水曜には温帯低気圧な予報だった。ところが、実際は台風が九州に上陸してからは「ジョギング並みのスピード」に。

 私が2度目の北助松入りする予定日はとっくに台風は温帯低気圧の予定だったが、九州南部あたりでグズグズし、甚大な被害をもたらしていた。

 私の北助松入りは中止、翌月あたりにリスケだろうと前日まで余裕をこいていた。アタマもカラダもキモチも北助松モードでなかった。しかし、前日になっても中止の連絡が入らない。

 当日、風は幾分強いものの、雨は降っていない。神戸市営地下鉄、JR西日本の神戸〜大阪近郊、南海電鉄は気持ち良いほど通常運行。むしろ、平常時以上にダイヤは正確。台風は九州南部で足踏みしている。

 私の自宅の最寄り駅から南海北助松駅まで5回も乗り換える。所要時間、約100分。出発時点ではまだ半信半疑だった。しかし、徐々に体内メーターが上がり始めた。北助松駅に着いた時、北助松ミッションモードが99%まで上昇していた。

 助松神社の境内へ足を踏み入れるやいなや、超絶に立派なニワトリかシャモか分からぬが、カラフルかつ異様に大きくて強そうな鳥類が何羽も境内を闊歩している。3週間前訪問した際は(お参りでなくすいません)、鳥類はいなかった。

 境内を進むと、柵が目に入った。そこには「神鶏(しんけい)」とあり、『東天紅鶏』と『小国鶏』の2神の説明が。昭和11年、昭和16年にそれぞれ天然記念物に指定され、日本人の起源に遡る神代の御代より活用されている。

 天然記念物の放し飼いは豪放。この日のミッションが中止されることなく成立したのは、神鶏の恩恵かもしれない。翌日は豊川稲荷がシンボルな豊川市の諏訪町へ。

 豊川稲荷といえば、狐。ミッション遂行を祈念すべく、どん兵衛きつねうどんか赤いきつねの神力に縋るため、神戸に戻って自宅近くのコンビニへ立ち寄った。

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格式あるミッション会場。

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境内。

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神鶏。

(付記)

コンビニに立ち寄って、どん兵衛か赤いきつねを捕獲するつもりが、コンビニ誘惑である新商品に惹かれて『辛ラーメン スパイシーチキン』を購入。先ほどの神鶏(チキン)を引きずっていたのかもしれない。結果として翌日、台風は以前として九州に滞在するも、それとあまり関係のない大雨で豊川方面へ向かう新幹線は始発から終日運休してしまった。

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2025年03月22日

第3624夜:分断よりも密着【泉大津・高石(大阪)】

 北助松商店街。南海北助松駅前から広がる住宅地型商店街である。商店街は駅とかなり巨大な団地群との間で形成されている。

 北助松「駅」は泉大津市に位置する。ただし北助松「商店街」は商店街の中央(車道)で片側が泉大津市、もう片側が高石市。一部なんてレベルではない。商店街が完全に真っ二つに、二つの市に分かれている。

 酷暑厳しい8月上旬の朝。神戸の自宅を出て大阪へ。環状線で新今宮駅。南海電車に乗り換えて北助松へ。北助松だけでなく、泉大津も高石も完全に未踏。初上陸を果たした。

 正午という独特の時間に集合。商店街理事長、神社の宮司様、大学や市会議員の先生方に商店街をご案内頂く。

 夏休み期間中の正午ゆえ学生の姿はあまり見かけないが、周囲には高校が3校もあるという。堺市も難波も近く、住むには極めて便利そう。北助松駅、特急も快速も停まらないそうだが、南海本線屈指の乗降客があるという。

 銀行も2行あり、大きなドラッグストアがあり、団地だけでなくマンション、アパ―ト、戸建ても数多くみられる。1次商圏(調子に乗ってプロっぽいワードを使ってみました)に居住人口が担保されていることは最強クラスの強みである。

 13時から神社の社務所をお借りしてアヅマ漫談&掛け合い。泉大津市と高石市の2市からも関係者が参加。改めて、一つの商店街を両断する珍しさを痛感する。伊丹空港や富士山などは市や県が跨っている。しかし、商店街ではほぼ例がない。

 イベントなどは拡大許容されるだろうが、空き店舗の補助金などはどうするのか。泉大津市側と高石市側でルールや助成率が異なるのであれば混乱しそうだ。片側だけ条件が良くなったりしたら…それはそれで味わい深いのかもしれない(付記:3週間後に再度確認しましたが、その通りでした)。

 たっぷり2時間の漫談掛け合い。1回限定、一期一会の精神で北助松入りしたが、3週間後に再訪することに。御縁を大切に、ほんの少しでも役に立たねばならぬ。

 大阪駅まで戻る。空腹がピークになった。どこかで串カツなどを肴に冷たい生ビールをゴキュゴキュやりたかったが、駅の改札を出るのも億劫。

 改札内のコンビニの横にカレー屋があった。時間は16時半。こんな私だが平日は可能な限り17時までは酒精をヤラないと一応決めている。

 ハイボールのハッピーアワー200円を振り切り、シンプルな「プレーンカレー」。次回、もし状況が許すなら、北助松でイッパイやってから帰りたいものである。

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初上陸。

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何か決まりそうな予感。

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北助松商店街。左側が高石市、右側が泉大津市。

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気になる一角。

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ミッション会場である北助松神社。社務所ご提供の宮司様に感謝。

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JR大阪駅改札内。

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空腹に勝てませぬ。

posted by machi at 03:24| Comment(0) | 大阪府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする